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2023年02月02日

2023年1月の記録

理想の本棚を夢想しただけで積読本が増えるのはどうした現象だろう。
積読本の棚が本に申し訳ないような様相になってきた。
本が二列になると後ろの本の背表紙が見えなくてもやもやするのは私なのに。

2023年1月の記録


<今月のデータ>
購入18冊、購入費用14,992円。
読了14冊。
積読本332冊(うちKindle本157冊、Honto本4冊)。


ブック

黒猫ルーイ、名探偵になる (ランダムハウス講談社文庫)黒猫ルーイ、名探偵になる (ランダムハウス講談社文庫)感想
元気でキラキラした女性テンプルが主人公。相棒は堂々たる体躯の黒猫ルーイ…と言いたいところだが、ルーイは喋るでも主人公の腕を咥えてナビゲートするでもなく、仮にルーイの独白パートを除いても、最後のメッセージを除いてすら普通にミステリの起承転結が成立している。しかしルーイはテンプルを心配に思っていて、助けるために奔走した挙句収容されてしまうのだ。テンプルは姿を消したルーイが心配で事件解決に集中したい気持ちを乱されるのだ。そこが私は面白かった。そして二人はそれぞれ真相に辿り着く。そんなわけで、邦題はなんか違った。
読了日:01月27日 著者:キャロン ネルソン ダグラス ファイル

SDGs投資 資産運用しながら社会貢献 (朝日新書)SDGs投資 資産運用しながら社会貢献 (朝日新書)感想
もやもやが晴れない。説く対象は誰なのか、SDGsに絡めた投資が真に地球と人類の為になるのか。SDGsの有用性を祖父の「論語と算盤」に結びつけるのはずるくないか。と、ひねくれて思ってしまう。だって、良いと思う企業を応援したいなら購買なり寄付なりクラファンなりでお金を託せばいい。そこで常に見返りを求める投資という金融商品である必要性は無い。投資は社会貢献の一形態と主張する著者をポジショントークだと思ってしまうのは、株式会社という仕組みが企業の健全を阻害する側面をも持っていることへの疑念と切り離せないからだ。
しかし、素直に受け取るなら、つまり実際に現代の資本主義社会においてより善きものへ資本を注いでいこうとするなら、コモンズの投資信託は相対的に考えて好いとは思う。例えばコモンズ30の投資先は日本国内の「真のグローバル企業」と位置づけている。公開された組入銘柄は有名大手企業が多く、商社、製造業、サービス業と多岐にわたる。カネを稼ぐ力に加えて、経営者の意識や社内外への姿勢、企業文化をも評価基準としている点に特徴がある。そういう視点を持っているファンドを、資産を預ける相手を決める基準の一つにするのはありかと。
読了日:01月23日 著者:渋澤健 ファイル

巨大津波は生態系をどう変えたか―生きものたちの東日本大震災 (ブルーバックス)巨大津波は生態系をどう変えたか―生きものたちの東日本大震災 (ブルーバックス)感想
人間の生活が優先と断わりながら、リアルタイムで記録しておく重要性を著者は訴え、調査を続けた。自身の生活も大変な中、記録しておいていただいてほんとうにありがたい。津波により沿岸の風景も地形も変わってしまった。しかし元は砂浜、湿地、広葉樹林であった地を人間が水田や農地に改変してきたのだ。それにより野性生物の生息域が分断された。津波の塩分は生物の多くを死滅させたが、雨のたびに洗い流され、徐々に生物が現れる。農地跡に咲いたミズアオイの清しさ、儚さに胸を衝かれる。写真が美しいので、カラーで読むことをお勧めします。
『生態系保全の観点からは、人為的にクロマツを植えるよりも、海岸本来の姿である草原や広葉樹の低木林に戻ることが最も望ましいのだが、内陸に宅地や農地があることから、飛砂防止にすぐれたクロマツ林がどうしても必要とされるだろう。海岸に瓦礫を埋め立てて、そこに広葉樹を植えるという案までが「森づくり」として大きく宣伝される例も見受けられるが、再生途上にある砂浜や湿地を埋め立てることは、生態系を根本から破壊してしまうので論外だ』。
読了日:01月22日 著者:永幡 嘉之 ファイル

本の雑誌476号2023年2月号本の雑誌476号2023年2月号感想
「本を買う!」という特集は、企画する側も読む側も確信犯だろう。『いつか読む本を買いなさい』。『積みなさい、天に届くまで』。これでもかと煽る煽る。しかし1カ月に費やす本代が70万円越えの事例とまでくると、頭の芯がすーっと醒めてゆくのがわかる。特殊な職業であったり、買うことが目的化していたり、いやさ、自身のキャパとかスタンスとか、わきまえるべき"分"に思考が至ったのだった。とはいえ、読みたいと思った本が絶版になる速度は考えるべきで、遠からず絶版になる本は見極めて買っておきたい。と宣言してあれこれポチっと…。
読了日:01月20日 著者:

やっぱり、このゴミは収集できません ~ゴミ清掃員がやばい現場で考えたことやっぱり、このゴミは収集できません ~ゴミ清掃員がやばい現場で考えたこと感想
ゴミ清掃員は世界の真実を直視する仕事。その仕事を続ける著者はいい顔をしている。動画配信で稼ぐと聞く芸人の水膨れしたような顔とは大違いだ。ゴミ回収しながらいろいろ考えるそうで、1個のポリバケツから人生の成功に思いを馳せるとはもはや詩人か哲学者の域だ。パッカー車で圧縮することによって一般人には想像不能な事態が多々発生する。見るも触れるも耐え難いモノに日々直面する。恥ずかしい仕事と考える風潮が世間にあるゆえに、それはなかなか伝わってきづらい。金持ち松竹梅のゴミ事情など、軽妙かつ熱く伝えてくれる存在は貴重である。
読了日:01月20日 著者:滝沢 秀一 ファイル

路 (文春文庫)路 (文春文庫)感想
日本と台湾をまたいだ群像。目まぐるしく変転する視点と時間が最後に繋がり、一本の台湾高速鉄道に集束させる手腕は見事だ。日本と台湾の歴史は近代以降、陰に陽に絡まり合っている。引き揚げの日、基隆で別れた『昨日までの隣人たち』は、今もやはり隣人であると思う。ありたいと思う。吉田修一の思い入れも相まって、優しい気持ちになる物語だった。騒音や匂い、温度湿度と台湾の街が繰り返し描かれるなかで、何か物足りない。そうか、私は自分の足で台湾行きたいし街を歩きたいし美味しいもの食べたいし温泉入りたいし台湾高鉄に乗りたいのだ。
読了日:01月18日 著者:吉田 修一 ファイル

読書の森へ 本の道しるべ (NHKテキスト)読書の森へ 本の道しるべ (NHKテキスト)感想
角田光代、福岡伸一、ヤマザキマリでもうお腹いっぱい。好きな作家の本棚を眺めるってなんて悦楽だろう。その人が大切にしている本、ルーツとなる作家は、必ず私にも響く気がする。知りたい。読みたい。そして絶版。「祖国地球」みたいに番組をきっかけに再版してくれないかしら。テレビは再生を一時停止して、写真はピンボケに目をすがめて、何の本があるか、どんな並べ方をしているか隅から隅まで眺め渡し、読みたい本の拾い出しと理想の本棚設計に余念がない。やっぱり本棚は重厚なのが良いなとか地震対策に造り付けで深めが良いとか。ああ至福。
読了日:01月17日 著者:角田 光代,福岡 伸一,ヤマザキマリ,町田 樹,平野 レミ,堀川 理万子,鹿島 茂,Aマッソ・加納

人類が消えた世界人類が消えた世界感想
突如地球上から人類が消えたら、地球は人類が誕生して経た変化を逆回しに復元するか。その糸口となるいくつかの事象。「すずめの戸締り」の"人の手で元に戻して"が幾度も思い出される。人の力で元に戻すことなど、どれひとつできやしない。ただ自然の持つレジリエンスが似て非なる均衡を見つけるだけなのだ。この本が出た直後の東日本大震災、原発事故後の福島に、人が突如いなくなった地を日本人は既に知っているではないか。湿地に還るマンハッタンが感傷を帯びて描かれているようで苛立つ。人間あってこその地球みたいな考え方は好かない。
読了日:01月17日 著者:アラン・ワイズマン

陰翳礼讃 (角川ソフィア文庫)陰翳礼讃 (角川ソフィア文庫)感想
かの有名な「陰翳礼讃」はたったこれだけのエッセイなのだ。文豪の有名な著作という摺り込みへのびびりっぷりに我ながら驚いた。明治からこちらを眺め渡すような他のエッセイも素敵に変態で楽しい。早く読めばよかった。この「陰翳礼讃」を私は宿で読んだ。現代へも続く欧米流と和風の綱引きは、この宿の障子を用いた間接照明や、落とした明かりに映える蒔絵風の椀を見るに、和のほうへ傾きつつあると言えるだろうか。照明や電飾の過剰を憂い、些事にもこだわる氏らの言は、私にも肯ずるところが多く、たぶん大事なのだと思う。この人好きだな。
旅や宿屋についての文章に、琴平のとらやが出てくる。『間口の長い店が街道に面していて、土間に入ると上り框の正面に幅の広い階段があり、二階の欄干からは町の人通りが見おろせるといった風の』宿だった名残は外観に見受けられたけれど、私が通い始めた頃にはただのうどん屋だった。そしてその由緒正しい建物も、今年の正月には解体されているのを見た。惜しい。あまりに惜しい。
読了日:01月16日 著者:谷崎 潤一郎 ファイル

「いい会社」ってどんな会社ですか? 社員の幸せについて語り合おう「いい会社」ってどんな会社ですか? 社員の幸せについて語り合おう感想
会議で若い社員の昇給を主張していて感じたのは、経営者の考え方のブレである。私が様々に資料を用意して説得して、概ね賛同に傾いても、実際の数字を見ると迷う。『利益は残ったウンチにすぎない』。塚越氏や青野さんも散々迷ったはずだ。しかし検討と試行錯誤の末に自分の中に軸が持てれば、こんなに鮮やかに踏み切れるのだと目を見張った。性善説に立って社内制度を設計運営することは難しい。つい疑いの芽が出る。しかし疑い始めれば効率も人の心持ちも悪くなることは行政のやり方を見れば瞭然だ。自信をもって、思い切りよくいこう。
読了日:01月12日 著者:塚越 寛 ファイル

文学こそ最高の教養である (光文社新書)文学こそ最高の教養である (光文社新書)感想
古典文学という領域の、自分の中での置き所を決めあぐねている。現代の作品や思想の前提となる古典をよむことは、今年の目標である「読書の深度を上げる」には有効な手段だ。新訳古典文庫は読みやすく、またこのような企画によって背景や作者の思想を知って読む利は大きい。しかし翻訳が読みやすい=理解しやすいではないのは翻訳者自ら語るとおりであり、限られた時間と他への興味との折り合いをつけるべく、始終唸りながら読んだ。落としどころはなんとなく見つかったので、それでOKとする。つまみ食い万歳、解れば良し、わからなくても良し。
読了日:01月09日 著者:駒井稔,光文社古典新訳文庫編集部 ファイル

現代中国・台湾ミステリビギナーズガイドブック (風狂推理新書)現代中国・台湾ミステリビギナーズガイドブック (風狂推理新書)感想
ミステリはパズルだと思う。事件の大小不法合法を問わず、作者の企みをためつすがめつ、“真実”を得てすっきりする。ミス研は読んで楽しいを超えて、古今東西のミステリをトリックやパターンで類型化したり、整合性をつついて皆で盛り上がる場所なのね。座談会の皆さん、まあよく読んでおられること。私も所属したかったような、所属しなくてよかったような。いずれにせよ中国と台湾のミステリ、SFに負けず盛りあがって(翻訳されて)ほしい。あと、綾辻不由美が売れっ子マジシャンの犯人て、その筋から怒られなかったんですかね?
読了日:01月08日 著者:白樺香澄 ファイル

虚擬街頭漂流記 (文春e-book)虚擬街頭漂流記 (文春e-book)感想
現代華文推理系列で読んだ籠物先生の長編ミステリ。『見るからに真実のような、そして触れてみても真実としか思えない、そして聞こえる音も真実のような』仮想現実世界における殺人。今よりIT技術が進んだSFテイスト、台北にある西門町の繁華を再現する設定も、伏線も、意欲的で好かった。人物の造形と翻訳にだいぶ難があるけれど、国を問わず若いミステリにはあるレベルだし、もっと読みたくなった。もっと人物が膨らめば東野圭吾みたいな感じになろうか。あるいは少し視点を引いて、ミステリアスな作風もいいなあ。そういや、あの人影ってさ…
読了日:01月08日 著者:寵物先生 ファイル

ぶらりユーラシア: 列車を乗り継ぎ大陸横断、72歳ひとり旅ぶらりユーラシア: 列車を乗り継ぎ大陸横断、72歳ひとり旅感想
ロシア:ユジノ・サハリンスクからポルトガル:ポルトまで、大陸を横断する鉄道の旅。著者は写真のプロである。鉄道の進む速度で移り変わってゆく風土や文化のさまを眺めるのは楽しかった。イラン、トルコは特に、垣間見る豊かさに溜息が漏れる。美しい。行きたい。道中、国境をまたぐ鉄道は一本には繋がっておらず、かつてのオリエント急行の路線すら今は分断され、列車をいくつも乗り継がなければならないという。国家と国家の間の事情で、大地は繋がっているのに寂しいものだ。飛行機では見えないものを見られる鉄道の旅、素晴らしいと思った。
シベリアの夏。湿地帯の大地には果てしなく草木が生い茂り、水面には青空と白雲を映す、なんとも清涼な景色。ずっと寒くて凍っているという自分の頑なな思い込みにびっくりする。ウズベキスタン・ゼラフシャン川。山岳地帯から流れ下った雪解け水は、乾燥した大地に作物をつくるための灌漑用水として右に左に奪われ、そのうちに川そのものが地表から消えてしまうという。乾燥地帯の自然は、集めて早し最上川な日本の常識を引っ繰り返してくれる。
読了日:01月04日 著者:大木茂


注:ファイルは電子書籍で読んだ本。


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