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2013年02月02日

2013年1月の読書

Kindleで日本語の本を買うようになって判ったことがいくつかあります。

ひとつは、冒頭試し読み機能が殺人的に購買欲をそそること。
試し読みすると、どうしようもなく合わないもの以外全て、欲しいものリストへ移動します。

ひとつは、気になっていた本がセールになると即1clickで買ってしまうこと。
だっていつセールじゃなくなるかわからないじゃない。という言い訳は脳内常駐。

ひとつは、読んでいる本を変えることで気分を切り替えることが難しくなったこと。
読む内容が変わっても、同じ端末では同じ重さ、同じフォント、同じ行間。
特に小説、雰囲気を楽しみたい本はリアル本でなくてはと痛感しました。

今後Kindleで読んだ本を区別するため、感想にファイルマークをつけることにしました。

ただいま積読82冊、気になっている本約320冊。

ブック

2013年1月の読書メーター
読んだ本の数:9冊

屍者の帝国屍者の帝国感想
伊藤計劃の書いたプロローグを手がかりに円城氏が書きあげた物語からは、伊藤計劃の匂いと円城氏の論理の融合を感じる。わかったようなことを書いてみたが、正直なところ論理立ての部分で目が上滑りし、物語に深く潜ることができなかった。円城氏の提示する命題が響いてこず、目一杯楽しめなかった。伊藤計劃がどのような方向性でプロローグを書いたかはもう誰にもわからない。円城氏と伊藤計劃を比べることに意味はない。ただ、伊藤計劃ならどんな物語を築いたかと思い、伊藤計劃が恋しかった。読後、円城氏の「あとがきに代えて」や書評、お気に入りさんの感想を読んでいくうちに、私を混乱させた複層構造、伊藤計劃がブログなどに記していたこだわり、円城氏の思いの深さと、二人の共通しない才能の折り合いとした地点を知り、感じられるようになった。その後、もう一度エピローグを読んだ。伊藤計劃の不在を排して読むべきだ、織り込んで読むのは不誠実だと考えて読んだのは間違いだった。特にエピローグは、伊藤計劃を想って読むべき章だ。やっと受け取った。ありがとう。
読了日:1月29日 著者:伊藤 計劃,円城 塔

柔らかな犀の角―山崎努の読書日記柔らかな犀の角―山崎努の読書日記感想
読んだ本と感想を日記形式にした連載。筋書きに触れるものから、自身の経験に連想するもの、1冊あたりの行数は2行から3頁までばらばらであり、熱く語っていても触れているのはほんの一部だったりする。からだや声など、表現についての描写が多い。実に楽しそうに語られるから、そのタイトルをついメモしてしまう。本を読む楽しみを知っている人と知り、親近感がぐっと増した。演じることに興味のある人なら、もっと同調できるのかもしれない。
読了日:1月14日 著者:山崎 努

真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒 (ポプラ文庫)真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒 (ポプラ文庫)感想
希実は初詣したことがなくて、バレンタインイベントに参加したこともなくて、17歳は立派な大人だと思ってる。口は悪いがひね曲がってはいない、理想的な主人公。無性にパンが食べたくなり、ジョアンへ買いに出かけた。美味い。
読了日:1月14日 著者:大沼 紀子

介助犬シンシア介助犬シンシア感想
介助犬は身体障害者の自立生活を助ける訓練を受けた犬である。些細な介助が最も人に頼みにくいそうだ。盲導犬オルガの本でもあったように、共にいることで人の心の支えとなり、生活が広がる。ただし盲導犬と違い、法律の公的な後ろ楯が遅れていた。ボランティアやNPO、金銭に結びつかない行為に力を割く人たちの姿が印象的である。被災経験のある阪神の土地柄もあるようだ。様々な立場、関わり方があっていいと気づかされた。できることをすればいい。各々の活動が行政への働きかけへつながり、日本を変えていくモデルとしても読むことができる。
読了日:1月13日 著者:木村 佳友,毎日新聞阪神支局取材班

私、社長ではなくなりました。 ― ワイキューブとの7435日私、社長ではなくなりました。 ― ワイキューブとの7435日感想
著者の本に傾倒していた時期がある。その経営する会社が倒産するまでの回顧録。前半が経営に前向きになるまでの悔恨の弁であり、後半はそれでも倒産に至ってしまった悔恨の弁である。自分がこうしたいからする。嫌だからしない。結果、倒産したが、この人は会社がいずれ倒産するまでこのような考え方を続けただろうと感じた。それでも20年続いたのである。良い面はあったのだ。見せかけから着手する姿勢は、裏返せば自分や会社や商品を魅力的に見せるノウハウを一流に体現していたということだ。そこは張りぼてではなかった。
読了日:1月10日 著者:安田 佳生(やすだ よしお) ファイル

誰か―Somebody (文春文庫)誰か―Somebody (文春文庫)感想
謎は解かれ、皆が日常に戻っていったにもかかわらずすっきりしない読後感。当事者の誰も、前に進めていないからだ。肝心の真実を知らぬままだからだ。真実を知れば、当人は視界を晴らすことができたのではないか。一方、三郎は、全部ぶちまけてしまえば受けなかったであろう、謂れない中傷を受けて、やるかたなく黙ってしまったように見える。読者は謎解きは得られたが、カタルシスは得られなかった。私の中に強く残った感情は、あの女に真実をぶちまけたついでに、頬を一発張ってやりたい、である。
読了日:1月9日 著者:宮部 みゆき

生首に聞いてみろ (角川文庫 の 6-2)生首に聞いてみろ (角川文庫 の 6-2)感想
初法月。混ぜ込まれた流行りものに時代を感じる。意外に古い小説だったか。薀蓄多し。探偵役は普通の人、環境設定も現代日本であるので、おどろおどろしい雰囲気のミステリではない。そういった空気感がないので、なかなか入り込めない感じがあった。よく言えば直球勝負、ミステリ勝負のミステリである。
読了日:1月8日 著者:法月 綸太郎 ファイル

ジェーン・エア (下巻) (新潮文庫)ジェーン・エア (下巻) (新潮文庫)感想
わからない。慎ましく抑えていた想いの成就ほど激しいものはないのに、なぜ双方ともを絶望の崖下に突き落とす道を選んだのか。信じている道徳に背いたことを、他ならぬ自分が苦しみたくないだけなのではと疑った。しかし、その後しばしの別離でロチェスターもジェーンも変わった。この最強の結末を手に入れるために、あの別離は必要と著者は考えたのだし、私もそう感じられた。より魂の高みへ。信仰とは謙虚さ、忍耐、希望、感謝の源泉である。現代では、日本では、私は、そうした規範は薄いから、全部放っぽり出して溺れてしまいそうだな。
読了日:1月6日 著者:C・ブロンテ

ジェーン・エア (上) (新潮文庫)ジェーン・エア (上) (新潮文庫)感想
ジェーンの境遇と著者の境遇は、きっと全く違うだろう。想像の中でジェーンに光を、新しい世界を与えたのだ。そしてジェーンは魂の、より高みを望む。著者の内に溜めていただろう、鬱屈した、鋭い観察眼の発露。書かれてから長い間に読んだ、数えきれぬ人々が同じ言葉にときめいたと思うと不思議だ。そして皆が思っただろう、ロチェスター、あんたの目は節穴か?
読了日:1月2日 著者:C・ブロンテ


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