2018年08月01日
2018年7月の記録
硬いなぁ。感想が。
世界の深刻な部分がとても気になって、あれこれ考えてしまうのだけれど、
思い詰めて考えるのは、良くない。特に身体にとって。
諦めるんじゃなくて、とりあえず身体の実感を味わおう。
それに、読んで知ったことが全てじゃないよ、きっと。
<今月のデータ>
購入10冊、購入費用9,470円。
読了14冊。
積読本110冊(うちKindle本25冊)。

7月の読書メーター
読んだ本の数:14
骨から見る生物の進化【普及版】の感想
贅沢して買ってしまった。黒い背景に、生物の骨格が白く浮かび上がってなんとも美しい。これは遠い昔から続く進化により到達した構造であり、しかし通過点に過ぎないのだ。『進化とは、何億世代にもわたって自然淘汰が容赦なく選び抜いてきた、突然変異の膨大な蓄積である』。写真と短めの生物学的解説がセットになっている。さて、脊椎動物、特にほ乳類の背骨はまず反らされていることがない。丸めるか、真っ直ぐまでで、それは内蔵を守るためであり、身体の要に力を溜めるためだ。それが生物の摂理ということを頭において、今日の練習に向かう。
読了日:07月31日 著者:J・ド・パナフィユー
縮小ニッポンの衝撃 (講談社現代新書)の感想
今の政府は赤字削減どころか、予算を押える気が全く見えない。近いうちに皆が「痛みを伴う縮小」に迫られるだろう。都会田舎を問わず、地方交付税依存度が高いほどその時は近い。これからの日本で自分自身が賢く立ち回るための情報収集として読み始めたが、そのリアルな痛みのなんと悲しいことか。望む場所で人生を終えることが難しい未来。命題は「少なくなる人口でどうすれば幸せに生きていけるか」なのだと私は思う。公助を頼れない未来では、自助力と共助力を高めるしかない。自分に何ができるか、絶えず考える癖づけをしよう。早いほど良い。
読了日:07月28日 著者:NHKスペシャル取材班
その犬の歩むところ (文春文庫)の感想
この切なく、温かい読後感。原題は犬の名前、Giv(ギヴ)。give、givenと連想する。テロや天災、戦争は容赦なく奪う。のみならず、他者の財産や権利を横奪する人間も少なからずいる。しかし人間と人間は与え合うこともできる。人間と犬もまた、お互いに与え合うことができる。その無私が、犬の眼差しが、切なく温かいのだ。前作は女性が持つことのできる強さがテーマだった。今作はより根源的な、故に敬虔な祈りのような、内なる力の成した物語だ。犬の細かい仕草を知悉した描写、著者は犬好きに違いない。脇役の猫もいい味出してる。
読了日:07月24日 著者:ボストン テラン
お家賃ですけどの感想
雰囲気のある表紙と、若林正恭に似たタイトルセンスに感じて、買ってしまった。「大家さんと僕」のようなエッセイをどこか期待していたので、読んでみるとエッセイではなく日記だ、と思った。こういうテンションで話す友達、身近にいるなぁ。楽しそうに話すのを見るのが楽しくて、話した内容はほとんど覚えていないのだけれど。こんな「大家さん」という人種は、現代日本にまだ一定数いらっしゃるのだろうか。矢部さんの大家さんと通じる部分がある。身の周りをきっちりとして、品が良くて、自分の道を守っている。歳取っても自立した女性って素敵。
読了日:07月22日 著者:能町 みね子
風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡 (文春ジブリ文庫)の感想
聞き手の酷いこと。驕り出しゃばり、「凄いイデオロギーを具現した傑物」ばりに崇めようなど失礼に過ぎるが、宮崎駿は話の噛み合わなさを流しつつ、イデオロギーで語る言葉の雑さに囚われないよう、言葉を選んで話している。どんな状態になっても世界を肯定したい気持ちと、生きることが困難な世界の予感、そのはざま。半藤一利との対談や甲野先生への手紙に表れた率直な危機感は、この対談では隠されているが、各作品の背景となった時代や宮崎駿の足場が存分に語られていて興味深かった。私も、タタラ場で生きるしかないのだよな。映画観直したし。
読了日:07月21日 著者:宮崎 駿
長い道の感想
大島青松園から小豆島を挟んで岡山側、長島愛生園に著者はいた。ハンセン病療養施設は人間の尊厳剥奪の代名詞のように言われるが、この本は様子が違う。『私だけ、らい患者だけが特異で、皆様とは大きく違う人生とは思えない』。実の家族との愛情深い生活、入園以降の療養生活を情感豊かかつ理知的に語りつつ、病のために苦しんだ事実と自分の人生の価値は別物と、安易な憐れみを拒絶する。これこそ本当の尊厳なのだと思った。ハンセン病療養施設にもっと残酷な過去があるのは事実だが、それだけを見ては、入所者の尊厳を更に奪うことになる。
読了日:07月21日 著者:宮崎 かづゑ
山と私の対話 (達人の山旅)の感想
『自然と人間の命の道場のような場所』(武藤昭)。その表現の的確さにしびれるような感動を覚える。単独で山に登るソロクライマーと自然を扱うアーティスト、そこに共通するものがある点には議論の余地がない。自然や自分に対峙する厳しさと心安さ。しかしその姿勢や表現には人それぞれ違いと濃淡がある。山に自然に惹かれる衝動、自分が良しとする水準まで妥協しないストイックさ、裏腹な臆病さ。それが私の好みだ。他ならぬ山野井泰史や岡田昇の純粋な突き抜け感は、表現方法に依るものか、その切れ端でも味わいたいと卑小な私にも切望させる。
読了日:07月16日 著者:
野生のベリージャムの感想
名前は聖岳から、なんて素敵なエピソードから始まるエッセイ。ジョン・ミューア・トレイルもアラスカもハードな行程のはずだが、ブログ日記みたいな文章で、厳しさや美しさは具体的に伝わってこない。楽しさを伝えるのが目的とのことなので、そうなるのかもしれない。そして半分以上がごはんのことだ。女性だから余計に、ごはんをつくって食べる行為の大きさを意識するものなのだろうか。女性の連れがいて、ロングトレイルやキャンプが多くなると、気にせずにいられないものかもしれない。確かに長丁場で携帯食が続くと栄養状態は気になるなぁ。
読了日:07月15日 著者:小島 聖
自閉症スペクトラム 異なるレンズで世界を見るの感想
スペクトラム:意見・現象・症状などが、あいまいな境界をもちながら連続していること。この単語が示すとおり、自閉症は人によって程度も違い、症状も違う。まるで万華鏡みたいだ。話している内容や書かれていることが、少なくとも過不足なく、文字通りの意味でないと理解できない。細かなことに固執するなどのコミュニケーション面が印象強いが、IQが高かったり、思いがけない才能が開花することも珍しくない。啓発のための写真集。実際に出会ったとき、どう接していいかわからないが、脳の発達の仕方が違っている、それだけのことと覚えておく。
読了日:07月13日 著者:MAKIKO
増補版 チェ・ゲバラ伝 (文春文庫)の感想
ラテンアメリカの歴史。スペインの帝国主義、次いでアメリカの資本主義に中南米は搾取され続ける。搾取への反抗、独立闘争の立役者としてゲバラとカストロは現れた。武器に頼らなければ国を変えることができなかった状況下に、「純粋な革命家」として名を遺したゲバラ、その人生を辿ると、精神の稀有さに目を見張る。人間の魂のあるべき姿を求め闘い続けた人生に見えた。1959年に来日した際、ゲバラは注目されるどころかマスコミは無視、閣僚は冷遇した。革命の精神にほど遠い日本国内でゲバラ本やグッズが未だ根強いのはファッションなのかな。
読了日:07月13日 著者:三好 徹
「国境なき医師団」を見に行くの感想
ハイチ、ギリシャ、フィリピン、ウガンダ。国境なき医師団(MSF)の活動を著者は見に行った。「見に行く」というなんとも平たい表題は、裏返せば「見ることしかできなかった」自覚の表明だろう。MSFスタッフは自分が持つ技術を提供するしなやかな力の集まりだった。<ひとつ違えば自分であったかもしれない立場にあるのが相手>と気づいたことが彼らの原動力だ。本人次第で人間の視野は際限なく狭まりも広がりもする。では読むことで小さなバトンを受け取った私は? 企業人としての役目を終えてから加わるのでも遅くはないことを覚えておく。
読了日:07月09日 著者:いとう せいこう
図解入門よくわかる最新スマートグリッドの基本と仕組み[第3版] (How‐nual Visual Guide Book)の感想
電気業界がこの先どのように変化するかを考察するために。スマートグリッドとは、電力送配電のデジタル化による需給制御を指す。発送電分離、電力自由化、スマートメーター普及、HEMS/BEMS。ここまでは既に実現した。皮肉にも原発停止がシステム変革を急速に後押ししたように見える。特に使用電力の可視化は熟成期間に入った。ここからは蓄電池、スマートコミュニティからマイクログリッドまで進むと期待したい。大型インフラな高圧直流送電は疑問だ。エネルギー政策だけでなく環境対策の部分が日本でも進むかがポイントになりそうだ。
読了日:07月07日 著者:山藤 泰
一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白いの感想
昂然ともたげられた頭に伸びた背筋。100歳を超えてなお明正な精神はどのような境地か。人生は途切れなく続く螺旋を登るようなものだけれど、どうやら生きている限り上へと続いているみたいだ。「人」の甲骨文字の形は、二人が支え合っているのではなく、一人が手を前に出して何かを始めよう助けようとする姿に見える、なんて思いがけない発想で興味深かった。しかし本文以外の、大きなフォントで印刷された言葉は、本人の言葉ではないように感じる。もっともらしげに要約する言葉は胡散臭く、邪魔なので読まないようにした。備忘『我が立つ杣』。
読了日:07月06日 著者:篠田 桃紅
下町ロケット (小学館文庫)の感想
私は疲れているのだろう。行き詰まる会社の描写が苦痛で、つい銀行の不義理や大企業社員の無能を罵倒したくなる。かたや社員は和解金を賞与で出せなどと言って、お前は会社の金を何だと思っているのだと憤まんやるかたなくもなった。『いつも顔を合わせていても、社員と経営者との間には途方もないほどの距離がある』。父はどんな気分で読んだのか。今はうまくいっていても、いつかどうにもならない状況に転落するのではという不安は常につきまとう。信頼、信用を積み重ねる。それだけではこんな成功とカタルシスは得られないが、夢だけでもいかん。
読了日:07月03日 著者:池井戸 潤
注:
はKindleで読んだ本。
世界の深刻な部分がとても気になって、あれこれ考えてしまうのだけれど、
思い詰めて考えるのは、良くない。特に身体にとって。
諦めるんじゃなくて、とりあえず身体の実感を味わおう。
それに、読んで知ったことが全てじゃないよ、きっと。
<今月のデータ>
購入10冊、購入費用9,470円。
読了14冊。
積読本110冊(うちKindle本25冊)。

7月の読書メーター
読んだ本の数:14

贅沢して買ってしまった。黒い背景に、生物の骨格が白く浮かび上がってなんとも美しい。これは遠い昔から続く進化により到達した構造であり、しかし通過点に過ぎないのだ。『進化とは、何億世代にもわたって自然淘汰が容赦なく選び抜いてきた、突然変異の膨大な蓄積である』。写真と短めの生物学的解説がセットになっている。さて、脊椎動物、特にほ乳類の背骨はまず反らされていることがない。丸めるか、真っ直ぐまでで、それは内蔵を守るためであり、身体の要に力を溜めるためだ。それが生物の摂理ということを頭において、今日の練習に向かう。
読了日:07月31日 著者:J・ド・パナフィユー

今の政府は赤字削減どころか、予算を押える気が全く見えない。近いうちに皆が「痛みを伴う縮小」に迫られるだろう。都会田舎を問わず、地方交付税依存度が高いほどその時は近い。これからの日本で自分自身が賢く立ち回るための情報収集として読み始めたが、そのリアルな痛みのなんと悲しいことか。望む場所で人生を終えることが難しい未来。命題は「少なくなる人口でどうすれば幸せに生きていけるか」なのだと私は思う。公助を頼れない未来では、自助力と共助力を高めるしかない。自分に何ができるか、絶えず考える癖づけをしよう。早いほど良い。
読了日:07月28日 著者:NHKスペシャル取材班


この切なく、温かい読後感。原題は犬の名前、Giv(ギヴ)。give、givenと連想する。テロや天災、戦争は容赦なく奪う。のみならず、他者の財産や権利を横奪する人間も少なからずいる。しかし人間と人間は与え合うこともできる。人間と犬もまた、お互いに与え合うことができる。その無私が、犬の眼差しが、切なく温かいのだ。前作は女性が持つことのできる強さがテーマだった。今作はより根源的な、故に敬虔な祈りのような、内なる力の成した物語だ。犬の細かい仕草を知悉した描写、著者は犬好きに違いない。脇役の猫もいい味出してる。
読了日:07月24日 著者:ボストン テラン

雰囲気のある表紙と、若林正恭に似たタイトルセンスに感じて、買ってしまった。「大家さんと僕」のようなエッセイをどこか期待していたので、読んでみるとエッセイではなく日記だ、と思った。こういうテンションで話す友達、身近にいるなぁ。楽しそうに話すのを見るのが楽しくて、話した内容はほとんど覚えていないのだけれど。こんな「大家さん」という人種は、現代日本にまだ一定数いらっしゃるのだろうか。矢部さんの大家さんと通じる部分がある。身の周りをきっちりとして、品が良くて、自分の道を守っている。歳取っても自立した女性って素敵。
読了日:07月22日 著者:能町 みね子


聞き手の酷いこと。驕り出しゃばり、「凄いイデオロギーを具現した傑物」ばりに崇めようなど失礼に過ぎるが、宮崎駿は話の噛み合わなさを流しつつ、イデオロギーで語る言葉の雑さに囚われないよう、言葉を選んで話している。どんな状態になっても世界を肯定したい気持ちと、生きることが困難な世界の予感、そのはざま。半藤一利との対談や甲野先生への手紙に表れた率直な危機感は、この対談では隠されているが、各作品の背景となった時代や宮崎駿の足場が存分に語られていて興味深かった。私も、タタラ場で生きるしかないのだよな。映画観直したし。
読了日:07月21日 著者:宮崎 駿


大島青松園から小豆島を挟んで岡山側、長島愛生園に著者はいた。ハンセン病療養施設は人間の尊厳剥奪の代名詞のように言われるが、この本は様子が違う。『私だけ、らい患者だけが特異で、皆様とは大きく違う人生とは思えない』。実の家族との愛情深い生活、入園以降の療養生活を情感豊かかつ理知的に語りつつ、病のために苦しんだ事実と自分の人生の価値は別物と、安易な憐れみを拒絶する。これこそ本当の尊厳なのだと思った。ハンセン病療養施設にもっと残酷な過去があるのは事実だが、それだけを見ては、入所者の尊厳を更に奪うことになる。
読了日:07月21日 著者:宮崎 かづゑ

『自然と人間の命の道場のような場所』(武藤昭)。その表現の的確さにしびれるような感動を覚える。単独で山に登るソロクライマーと自然を扱うアーティスト、そこに共通するものがある点には議論の余地がない。自然や自分に対峙する厳しさと心安さ。しかしその姿勢や表現には人それぞれ違いと濃淡がある。山に自然に惹かれる衝動、自分が良しとする水準まで妥協しないストイックさ、裏腹な臆病さ。それが私の好みだ。他ならぬ山野井泰史や岡田昇の純粋な突き抜け感は、表現方法に依るものか、その切れ端でも味わいたいと卑小な私にも切望させる。
読了日:07月16日 著者:

名前は聖岳から、なんて素敵なエピソードから始まるエッセイ。ジョン・ミューア・トレイルもアラスカもハードな行程のはずだが、ブログ日記みたいな文章で、厳しさや美しさは具体的に伝わってこない。楽しさを伝えるのが目的とのことなので、そうなるのかもしれない。そして半分以上がごはんのことだ。女性だから余計に、ごはんをつくって食べる行為の大きさを意識するものなのだろうか。女性の連れがいて、ロングトレイルやキャンプが多くなると、気にせずにいられないものかもしれない。確かに長丁場で携帯食が続くと栄養状態は気になるなぁ。
読了日:07月15日 著者:小島 聖

スペクトラム:意見・現象・症状などが、あいまいな境界をもちながら連続していること。この単語が示すとおり、自閉症は人によって程度も違い、症状も違う。まるで万華鏡みたいだ。話している内容や書かれていることが、少なくとも過不足なく、文字通りの意味でないと理解できない。細かなことに固執するなどのコミュニケーション面が印象強いが、IQが高かったり、思いがけない才能が開花することも珍しくない。啓発のための写真集。実際に出会ったとき、どう接していいかわからないが、脳の発達の仕方が違っている、それだけのことと覚えておく。
読了日:07月13日 著者:MAKIKO


ラテンアメリカの歴史。スペインの帝国主義、次いでアメリカの資本主義に中南米は搾取され続ける。搾取への反抗、独立闘争の立役者としてゲバラとカストロは現れた。武器に頼らなければ国を変えることができなかった状況下に、「純粋な革命家」として名を遺したゲバラ、その人生を辿ると、精神の稀有さに目を見張る。人間の魂のあるべき姿を求め闘い続けた人生に見えた。1959年に来日した際、ゲバラは注目されるどころかマスコミは無視、閣僚は冷遇した。革命の精神にほど遠い日本国内でゲバラ本やグッズが未だ根強いのはファッションなのかな。
読了日:07月13日 著者:三好 徹


ハイチ、ギリシャ、フィリピン、ウガンダ。国境なき医師団(MSF)の活動を著者は見に行った。「見に行く」というなんとも平たい表題は、裏返せば「見ることしかできなかった」自覚の表明だろう。MSFスタッフは自分が持つ技術を提供するしなやかな力の集まりだった。<ひとつ違えば自分であったかもしれない立場にあるのが相手>と気づいたことが彼らの原動力だ。本人次第で人間の視野は際限なく狭まりも広がりもする。では読むことで小さなバトンを受け取った私は? 企業人としての役目を終えてから加わるのでも遅くはないことを覚えておく。
読了日:07月09日 著者:いとう せいこう

![図解入門よくわかる最新スマートグリッドの基本と仕組み[第3版] (How‐nual Visual Guide Book)](https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51ZBNMWBoDL._SL120_.jpg)
電気業界がこの先どのように変化するかを考察するために。スマートグリッドとは、電力送配電のデジタル化による需給制御を指す。発送電分離、電力自由化、スマートメーター普及、HEMS/BEMS。ここまでは既に実現した。皮肉にも原発停止がシステム変革を急速に後押ししたように見える。特に使用電力の可視化は熟成期間に入った。ここからは蓄電池、スマートコミュニティからマイクログリッドまで進むと期待したい。大型インフラな高圧直流送電は疑問だ。エネルギー政策だけでなく環境対策の部分が日本でも進むかがポイントになりそうだ。
読了日:07月07日 著者:山藤 泰

昂然ともたげられた頭に伸びた背筋。100歳を超えてなお明正な精神はどのような境地か。人生は途切れなく続く螺旋を登るようなものだけれど、どうやら生きている限り上へと続いているみたいだ。「人」の甲骨文字の形は、二人が支え合っているのではなく、一人が手を前に出して何かを始めよう助けようとする姿に見える、なんて思いがけない発想で興味深かった。しかし本文以外の、大きなフォントで印刷された言葉は、本人の言葉ではないように感じる。もっともらしげに要約する言葉は胡散臭く、邪魔なので読まないようにした。備忘『我が立つ杣』。
読了日:07月06日 著者:篠田 桃紅

私は疲れているのだろう。行き詰まる会社の描写が苦痛で、つい銀行の不義理や大企業社員の無能を罵倒したくなる。かたや社員は和解金を賞与で出せなどと言って、お前は会社の金を何だと思っているのだと憤まんやるかたなくもなった。『いつも顔を合わせていても、社員と経営者との間には途方もないほどの距離がある』。父はどんな気分で読んだのか。今はうまくいっていても、いつかどうにもならない状況に転落するのではという不安は常につきまとう。信頼、信用を積み重ねる。それだけではこんな成功とカタルシスは得られないが、夢だけでもいかん。
読了日:07月03日 著者:池井戸 潤
注:

Posted by nekoneko at 10:36│Comments(0)
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