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2024年03月01日

2024年2月の記録

引っ越し、実家に置いていた本も運びこんだ。
えいやっと造りつけた本棚に納めると、案外空間があった。
まあ、3列詰め込んだ区画もあるからこんなものかな。
と思っていたところ、また違う場所から本が出てきた。
引っ越したら買おうと思っていた本も続々届く。

2024年2月の記録

<今月のデータ>
購入23冊、購入費用32,485円。
読了9冊。
積読本334冊(うちKindle本161冊)。


ブック

英国一家、日本をおかわり英国一家、日本をおかわり感想
前回家族で訪れてから10年、再び一家が来日した。とはいえ前作以来あちこちに人脈ができたようで、単独来日しては各地を取材した記録も混じっている。相変わらずの興味を持ったら深掘り体質、一見お断りの店からフードフェスまで片端から食べ、調べ、呑む。柿右衛門窯で人生を懸けんとする職人の姿に理解できない様子を見せるが、厳格に決められた手順や調理法の先に最高を究めようとする在りかたに著者は気づき、賛辞を贈る。これを日本固有とは思わないが、外来のものを日本なりに極みへと突き詰めてゆくのは確かにお家芸、あらまほしき姿だ。
読了日:02月29日 著者:マイケル・ブース ファイル

「ユマニチュード」という革命: なぜ、このケアで認知症高齢者と心が通うのか「ユマニチュード」という革命: なぜ、このケアで認知症高齢者と心が通うのか感想
ユマニチュードは、ケアの技術であり哲学である。手のひらの持つ能力を活かすケア技術と聞きかじりで認識していたけれど、それだけではなくて、ケアされる人の身体ではなく気持ちに働きかけて動かすことで、互いに協力し合う自然なケアをしようとする取り組みだ。相手をちゃんと見つめ、話しかけ、優しく広く触れ、一日トータル20分でも立ってもらう。立つことができれば寝たきりにはならない。『人は死を迎える日まで、立つことができる』。それは本人にも、ケアする周りにも、福音ではないか。最期まで自律を尊重する姿勢に理想を見る。
自宅に独りであれば、立つことができなくなるとき=死ぬときである。病院や施設では、ケアを中心にした環境になることで、ケアする側には十全なケアをしようとして本人ができることもさせないシステムに組み入れ、ケアされる側もケアされる役割に甘んじて自力でできるはずのこともしなくなれば、云わば寝たきりをつくるようなものと考えてみたりする。だから日本の老人が施設で過ごす年月が欧州の国に比べて長いのか、とか。それは不自由だし、不自然だし、自分はそんなの嫌だよな、と思って、先の上野さんの「在宅ひとり死」に行き当たったのだ。
読了日:02月24日 著者:イヴ・ジネスト,ロゼット・マレスコッティ

在宅ひとり死のススメ (文春新書 1295)在宅ひとり死のススメ (文春新書 1295)感想
病院死、施設死を経て、自宅死へ。日本人の「死」へ至る道は年々変化している。高齢者は施設に入れるものとの共通認識も薄らぎ、今は人々の希望もかかるコストも、自宅が望ましいと目算される。公的保険で賄えない部分が心配だが、専門家に聞いたところでは緊急コール、訪問介護、保険外自費サービスをフルに使っても月額160万円程度。末期の数カ月なら貯金でなんとかなりそう、と思わせる。"在宅ひとり死"予備軍として、介護保険の動向は気を付けておきたい。年寄りの独居は決して可哀そうではない。ガンでも認知症でも…認知症はまだ怖いな。
祖父は施設で独りの時間を狙ったように朝方逝った。自宅での逝き時に息子が名残惜しんで救急車を呼んでしまい、祖父には望まぬ余生のおまけがついてしまった。動きもしゃべりもできず、さぞ悔やんだろう。逝きかたは家族ではなく、本人が決めるもの。家族の都合で決めた処しかたは、いずれにも後悔を生む。親にも、伴侶にも、自分にも、そのことを肝に銘じ、より良い方策を選びたい。
読了日:02月24日 著者:上野 千鶴子 ファイル

RRRをめぐる対話 大ヒットのインド映画を読み解くRRRをめぐる対話 大ヒットのインド映画を読み解く感想
ラージャマウリの「RRR」について、背景や台詞の真意など、一般日本人にわからない事柄を説明してくれる。特筆すべきは叙事詩「マハーバーラタ」「ラーマーヤナ」だ。台詞のそこここや物語の形に、自分たちの知悉した古き物語のパターンが踏まれていることがインドの、特にテルグの人々には直感され、より楽しんだと知って羨ましく思った。国家として独立して100年に満たないとしても、あんな広大な国家を仮初にも束ねるものは物語である。もちろんその物語を我がものと思わない地方の人々にも、独立運動の翻る旗は訴えるものがあっただろう。
叙事詩を踏んでいる点はひとつ前の「バーフバリ」もおなじで、物語として「そうでなければならなかった」流れが腑に落ちた。すごいなラージャマウリ。ちょっと「ラーマーヤナ」に挑戦してみたい。日本には日本の、そういう"原形"や"原風景"があるのだろうけど、私たちは知らず読みこなしているのだろうか。インドの前に日本のそれを読み解くのが先だろう、という気もする。古事記か。
読了日:02月22日 著者:山田 桂子,山田 タポシ

北海道犬旅サバイバル北海道犬旅サバイバル感想
『銃と犬と荒野へ』。惜し気に寝かせていたのを手に取ったのは、ナツの失踪を聞いたからだ。もしナツがいなくなった後では、もうこの本を読むことはできないと思った。服部文祥の旅の集大成。さらりと読んでしまうが、そこには彼ならではの計算と選択の連続が記録されている。女神ナツ。服部文祥は衒いもなく「かけがえのない存在」と呼ぶ。20分、3時間といなくなる度、動揺し逡巡する。最後に貰った餞別に暴走する服部文祥は全くストイックではない。食べものへの執着の凄まじさは生体としての本能なんだろう、ポリンキーめんたいあじもきっと。
『ナツと登山や猟を三年間ともにして、こうして北海道を一緒に旅できる相棒になったいま、ナツは私にとってかけがえのない存在で、とてもドライに接することなどできない』。『ナツの存在そのものが私にとってやり直しの利かない一方通行のようなものだ』。愛おしい。しかし事故を恐れて家に閉じ込めることはできない。お互いに山と猟を愛する相棒である限り。そういうところが、服部文祥なんだよなあ。ナツ見つかって、本当に良かった。今は本人は自分を責めているだろうけれど、再び旅に出るんだろうなあ。だってナツはまだ若いもの。
読了日:02月18日 著者:服部文祥

バスドライバーのろのろ日記――本日で12連勤、深夜0時まで時間厳守で運転します (日記シリーズ)バスドライバーのろのろ日記――本日で12連勤、深夜0時まで時間厳守で運転します (日記シリーズ)感想
47歳にして教師からバス運転手へ転身。生徒の心が育つさまは見る機会がなかなかないが、バスは物理的に動かす実感がある。と勘繰るぐらい、大きな決断だ。規則を遵守し、乗客に気遣いができる。こんな真面目な性根の人が最終的に辞めたとはどんな捻じれた力学が働いたかと危惧するも、健康上の理由では仕方がない。真面目の反面として、ひとつの嘘と体裁から苦しい心理に追い込まれていくのが辛い。懲罰主義的な会社の方針は、人間の安全を守るためとはいえ、著者の心持ちを萎縮させ、保身に回らせたのも事実。もう少しやりようがありそうだ。
個室に缶詰めで反省文や誓約書を書かされるあたりで、「反省させると犯罪者になります」を思い出した。原因究明と事故回避策は重要だ。しかしそれは当事者に何度も書かせたところで根絶できるものではないし、本人に屈辱感しか残らないとあれば本末転倒だ。ミスや事故の件数の見える化も、効果が限られると同時に、職場の雰囲気づくりに寄与しない。大きなグループ企業の改革はなかなか難事業だと溜息が出た。
読了日:02月17日 著者:須畑 寅夫 ファイル

じぶん時間を生きる TRANSITIONじぶん時間を生きる TRANSITION感想
コロナ禍を機に、人々の中に価値観の転換が生まれ始めたという。地方在住、しかもリモートワークできなかった建設業勤務には実感のない話だ。それ東京の話やろ、という冷めた感覚が否めない。そしてこれもまた東京お得意のブーム煽動ではないのかと疑う。だって著者の言う新しい豊かさ、それは全然新しくない。ただ気づき、回帰していく動き、それは歓迎すべきだと思う。そして自我肥大が薄らいで地面に根っこをおろせるといいですね。最近テレビもSNSも遠ざけているので、東京の喧騒が遠ざかって心安らかだ。好い。これもtransition。
読了日:02月14日 著者:佐宗邦威 ファイル

いま見てはいけない (デュ・モーリア傑作集) (創元推理文庫)いま見てはいけない (デュ・モーリア傑作集) (創元推理文庫)感想
サキを想起させる意地の悪さ、底なしである。さらにクリスティの観察眼も持ち合わせているとあれば、読むのをやめられるわけがない。好き。ぼんやりした結末などあり得ない。直感や偏見、強い感情が行動を呼び起こし、行動は思いがけず烈火のごとき運命を呼び込む。読みながら、「あーーー」、「もうだからさ~~~」の連続だった。「ボーダーライン」の隻眼の男のメンタリティは気になるし、「十字架の道」の少年が夢見る世界人類共通の祝祭への周囲の大人たちの感想も聞いてみたいところ。棘で傷だらけになる人々を見守る自分も残酷の一部かも。
読了日:02月12日 著者:ダフネ・デュ・モーリア ファイル

還暦からの底力―歴史・人・旅に学ぶ生き方 (講談社現代新書)還暦からの底力―歴史・人・旅に学ぶ生き方 (講談社現代新書)感想
昔の60歳は今の75歳と体力や老化の程度が同じであるとのデータがある。そして歳を取ったからと活動を縮小するのはナンセンス、働くこと、学ぶこと、旅すること、楽しむことに遅すぎることはないと出口さんは言い切る。一方で変わりゆく日本社会について、社会保障や企業のありかたなど、考え方のアップデートを指南する。自分の世代の損得ではなく、若い世代の未来を想って行動できる、こういう考えかたを良識と呼ぶのだろう。気づいたのは、SNSにはエピソードが多いこと。他者のエピソードに引かれて、全体を見誤らないようにしたい。
読了日:02月03日 著者:出口 治明 ファイル


注:ファイルは電子書籍で読んだ本。



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