2011年12月01日
11月の読書
通常の生活の中で、ひと月に何冊読めるかやってみた。
常にジャンルバランスよく、選ぶ本を手加減したつもりはない。
活字に飽きるほど根を詰めて読んでもいない。
ただ、もっと深く掘って感じられる文章を見落としたり浅く済ませたりもあったように思う。
12月は今年一を争えそうな本をじっくり読んでゆくことにする。

11月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:4542ページ
ナイス数:66ナイス
幸せの作法 働く女性に贈る61のヒント (アスキー新書)
"売れている"とうたう帯に誘われて。仕事と結婚。母の世代の持つイメージ、私の持つイメージ、メディアの喧伝するイメージ、どれも現実の全てを捉えている訳ではない。前例のないほどの多様化、自分に合う生き方を見極める。自分の人生を見通せる歳になってから結婚を考えるのも正解。ただし独りで無理しない、意地にならない、軽くていいから複数の人ネットワークを保つ、礼儀を守る、謙虚を心がける。三十路過ぎてんやし、ほなことわかってるわ。と斜に読んでしまう時点で、あぁいかん私。今日の私、ちょっと謙虚。物事の見え方が違うの。
読了日:11月28日 著者:坂東 眞理子
一日一日が旅だから
詩の翻訳は難しいのだろう。リズムや言葉の選択に、読んでいる私が迷いを感じる。メイ・サートンに長く触れる武田さんでも難しいとおっしゃるのだ。 愛の炎についての詩は私が愛を尊重しないのでよくわからない。老いてからの日々を愉しみ嘆く詩は我もまた行く道と心強く読めた。人生のずっと先を照らす灯りのようだ。 父を誇る詩(実は弔辞)が素敵。
読了日:11月27日 著者:メイ サートン
舟を編む
出版社の中でも辞書編集部を舞台にするのは余程日本語に自信がないとできない気がしてこちらが身構えてしまう。言葉に気をつけて読む。小難しい日本語を使うことなく軽快で、すっきりした文章の感触。 "ポットの脳天をじゃこじゃこ"が好き。あぁ、あのポットね、と思えるところ、雰囲気が端的に出ている。 凡人の視点から、辞書づくりに熱意を注ぐ人を羨望しながら見守る心地になった。よい物語だった。処分を迷っていた学生時代の辞書、やっぱり本棚に戻そう。こんなの読んだら、捨てられんわ。 神様のカルテに感じが似ているように思った。
読了日:11月26日 著者:三浦 しをん
猫ヲ祭ル
俳句を詠む人の文章は短い中に静かに溢れるような情感がある。自分の知覚できる世界をいっぱいに感じて生きているようでいい。季節があって色がある。 私小説なのかな、晩年と呼ばれる年齢を猫と暮らす。淡々と背筋をのばして寂しさと向き合い、猫の暖かさについ胸が熱くなる。私、強くあれ。 ただ「祭猫」の詩と物語との関係がよくわからなかった。
読了日:11月23日 著者:千田佳代
山頭火日記〈2〉 (山頭火文庫)
行乞が嫌になり庵に定住したいと願う。友人の手配で借家に定住して、これこそ人の生きかたと山頭火は大いに満足する。金銭は友人に頼らざるを得ない生活である。彼女とは元妻であろうし、無茶苦茶な人である。またそのような生き方の山頭火を是とし会う度食べさせ呑ませる知人の思いを想像する。与えることの哲学がそこにあるのか。 そしてまた旅に出る。先々で親しい知人をおとなうことを楽しみにし、別れる寂しさを痛感する。生活の形式に関わらず、ものを持たないことが季節や自然を余さず感じとる要素であるようだ。句の空気感は変わらず。
読了日:11月21日 著者:種田 山頭火
ずるい考え方 ゼロから始めるラテラルシンキング入門
がっちがちの自分の思考方法を変えられるものか。その観点からは、この本はずれていた。 ロジカルに対しラテラル。ボトムアップとトップダウンの関係と似ている。描くゴールがまずあって、現状から達成するルートをいくつ描けるかが"ラテラル"であるようだ。そのためのトレーニングはおもしろい。 つまり、些細な物事にも興味を持ち、たくさんの引出しを持つことで、いつか必要とするときに持っているいくつかの、突飛かもしれない発想を結びつけることができる能力、それがラテラルの本質であると私は結論した。
読了日:11月20日 著者:木村 尚義
ゴーストハント 7 扉を開けて (幽BOOKS)
リライトで最終話は二倍怖くなり、三倍切なくなった。こんなに切ない物語だっただろうか? 能登の余韻から麻衣のもがく気持ち、ナルのこと、誰一人欠けても辛い仲間のこと、事件のこと、真実。読む間ずっと感じていた、リライトはこれが最後という事実との相乗で、ずっと胸が詰まったようだった。 小野センセ、ありがとう。それはもう、楽しかったです。
読了日:11月18日 著者:小野不由美
クリスマスに少女は還る (創元推理文庫)
女が読んで痛快なミステリ。早く結末にたどりつきたくてつい目が滑り、散らされた手掛かりを読み逃したかと思ってまた遡って読んで。 3人の母親は強く、賢く、凛々しい。2人の少女はもたくましく、信頼し合っている。そして青年と少年の信頼関係にほんわかする。野球の場面が爽快。機知に富んだ一言で相手をやりこめる場面にはにやりとする。「あなたの感情や直感は男性ホルモンに汚染されているんだから。お母さんの言うことを聞きなさい」。 エピローグで全てが一転、涙が止まらなかった。彼女の友達である少女のように、彼女の母親のように。
読了日:11月15日 著者:キャロル オコンネル
竜が最後に帰る場所
5編の短編。この現実の世界を恒川色の幻想で少し広げてくれる。あくまで日常の先に境目なく存在しているように、しかもその幻想を閉じてしまわずに、いつかどこかで出会うかもしれない余韻を残すやり方が好きだ。 と思っていたのは3編目までで、「鸚鵡幻想曲」と「ゴロンド」は違った。色鮮やかで、でかい。これが新しい恒川ワールド。オビの「世界の全部を解放」したかはわからないが、なにかが加わったと感じさせる。いつか、その幻想で長編を書いて、私を現実に戻れなくさせてほしい。
読了日:11月12日 著者:恒川 光太郎
猫鳴り (双葉文庫)
流産した中年女、絶望した中学生、妻に先立たれた老年の男、いずれにも同調しがたく、描かれるささくれた感情表現を流し読むしかなかった。長く暮した猫の最期を看取る箇所を短編として読んだ、に近い。著者ご自身は、猫が好きなのだな。しかしこれも全体に対して緩やかでくどい。
読了日:11月09日 著者:沼田 まほかる
グーグーだって猫である3 (角川文庫)
「あんたのあたらしいおうちに帰るんだよ タビ 元気で長生きして うんと愛されてそして うんと愛するんだよ」 気兼ねすることなくたくさんの猫と暮らす生活、心底羨ましい。
読了日:11月07日 著者:大島 弓子
朽ちていった命―被曝治療83日間の記録 (新潮文庫)
東海村臨界事故における被曝は中性子線とガンマ線の放射線が身体を突き抜けたことによるもの。症状に悪化が見られる、会話ができなくなるより前、染色体が全て破壊された被曝の瞬間に人間として生きていく未来は消えたのだ。そこには安易な慟哭も欺瞞も許されない。 被曝1ヶ月後頃には患者は人間の形を失い、意思活動の描写はほとんどない。希望とはなんと苦しいものか。被曝直後、大内氏は「普通」に見えたから、本人、家族、医療従事者皆に「助かる」希望を生んだのだ。だけど、なぜ希望を抱かずにいられるだろう。人間であり、家族なのだ。
読了日:11月06日 著者:NHK「東海村臨界事故」取材班
ブルックリンの八月 (文春文庫)
シャーロック・ホームズ。チャンドラーの模倣。オーエン君所属野球チームのノンフィクション。詩。著者自身の気に入っている作品群にもかかわらず、私はあまり楽しめなかった。さらにこれは今に始まったことではないが、人物が多く、固有名詞が多くなるほど純日本人の私の理解は浅くなる。アムニー氏よろしく、キング愛読者としての自分を疑い不安になった。私は彼の物語の荒唐無稽さばかり愛してしまっているのだろうか?
読了日:11月06日 著者:スティーヴン キング
半眼訥訥 (文春文庫)
さらりと読み流せるエッセイも気分転換にはよいけれど、このように1章ごと自前の頭で考えてみたくなる文章は濃くてよい。日常の世情あれこれに対する考察でどちらかといえば辛辣。 「他者の目にさらされ、評価され、洗練されるという試練を受けない快楽は、せいぜい個人の日記の中に留めておくべき程度のクズ」。思わず我が身を省みる。
読了日:11月03日 著者:高村 薫
The Twilight Saga: The Official Illustrated Guide
Shannon Haleとの対談だけでも読む価値あり。始まりの夢から、書く過程、登場人物、生まれた哲学について。書き手である前にまず読み手であるというスタンスの微妙なバランスが、この物語を生き生きとした魅力的なものにしている。そしてこの物語を自分だけのものにせず、こうして分け与えてくれたことに感謝する。 各人物の来歴が描かれている。本編に書かれていないこともたくさん書かれていて、読んで楽しい。しかし必要以上に詳しい。まるで…これ以上Twilightの世界を書くつもりがないと決別宣言しているようにも思えた。
読了日:11月02日 著者:Stephenie Meyer
麒麟の翼 (特別書き下ろし)
家族であれ知人であれ、ふとした心の揺れで左右されるごく些細なことの積み重ねで日々は成っており、その真意や成り行きは他者にはわからないことのほうが多い。誤解でさらなる隔たりを生むことさえある。刑事と被害者なら尚更、ふとつながった細い糸をたどって真実と確信を持てる場所へ到達する物語の流れは見事な職人技だと思う。身近な人のふとした行動、それこそが大いなるミステリなのだと、初めて東野圭吾を読んだときに感じたことを改めて教えてもらった。 ただしミステリとしては、あの人とあの展開怪しすぎるやろ。
読了日:11月02日 著者:東野 圭吾
2011年11月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター
常にジャンルバランスよく、選ぶ本を手加減したつもりはない。
活字に飽きるほど根を詰めて読んでもいない。
ただ、もっと深く掘って感じられる文章を見落としたり浅く済ませたりもあったように思う。
12月は今年一を争えそうな本をじっくり読んでゆくことにする。

11月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:4542ページ
ナイス数:66ナイス

"売れている"とうたう帯に誘われて。仕事と結婚。母の世代の持つイメージ、私の持つイメージ、メディアの喧伝するイメージ、どれも現実の全てを捉えている訳ではない。前例のないほどの多様化、自分に合う生き方を見極める。自分の人生を見通せる歳になってから結婚を考えるのも正解。ただし独りで無理しない、意地にならない、軽くていいから複数の人ネットワークを保つ、礼儀を守る、謙虚を心がける。三十路過ぎてんやし、ほなことわかってるわ。と斜に読んでしまう時点で、あぁいかん私。今日の私、ちょっと謙虚。物事の見え方が違うの。
読了日:11月28日 著者:坂東 眞理子

詩の翻訳は難しいのだろう。リズムや言葉の選択に、読んでいる私が迷いを感じる。メイ・サートンに長く触れる武田さんでも難しいとおっしゃるのだ。 愛の炎についての詩は私が愛を尊重しないのでよくわからない。老いてからの日々を愉しみ嘆く詩は我もまた行く道と心強く読めた。人生のずっと先を照らす灯りのようだ。 父を誇る詩(実は弔辞)が素敵。
読了日:11月27日 著者:メイ サートン

出版社の中でも辞書編集部を舞台にするのは余程日本語に自信がないとできない気がしてこちらが身構えてしまう。言葉に気をつけて読む。小難しい日本語を使うことなく軽快で、すっきりした文章の感触。 "ポットの脳天をじゃこじゃこ"が好き。あぁ、あのポットね、と思えるところ、雰囲気が端的に出ている。 凡人の視点から、辞書づくりに熱意を注ぐ人を羨望しながら見守る心地になった。よい物語だった。処分を迷っていた学生時代の辞書、やっぱり本棚に戻そう。こんなの読んだら、捨てられんわ。 神様のカルテに感じが似ているように思った。
読了日:11月26日 著者:三浦 しをん

俳句を詠む人の文章は短い中に静かに溢れるような情感がある。自分の知覚できる世界をいっぱいに感じて生きているようでいい。季節があって色がある。 私小説なのかな、晩年と呼ばれる年齢を猫と暮らす。淡々と背筋をのばして寂しさと向き合い、猫の暖かさについ胸が熱くなる。私、強くあれ。 ただ「祭猫」の詩と物語との関係がよくわからなかった。
読了日:11月23日 著者:千田佳代

行乞が嫌になり庵に定住したいと願う。友人の手配で借家に定住して、これこそ人の生きかたと山頭火は大いに満足する。金銭は友人に頼らざるを得ない生活である。彼女とは元妻であろうし、無茶苦茶な人である。またそのような生き方の山頭火を是とし会う度食べさせ呑ませる知人の思いを想像する。与えることの哲学がそこにあるのか。 そしてまた旅に出る。先々で親しい知人をおとなうことを楽しみにし、別れる寂しさを痛感する。生活の形式に関わらず、ものを持たないことが季節や自然を余さず感じとる要素であるようだ。句の空気感は変わらず。
読了日:11月21日 著者:種田 山頭火

がっちがちの自分の思考方法を変えられるものか。その観点からは、この本はずれていた。 ロジカルに対しラテラル。ボトムアップとトップダウンの関係と似ている。描くゴールがまずあって、現状から達成するルートをいくつ描けるかが"ラテラル"であるようだ。そのためのトレーニングはおもしろい。 つまり、些細な物事にも興味を持ち、たくさんの引出しを持つことで、いつか必要とするときに持っているいくつかの、突飛かもしれない発想を結びつけることができる能力、それがラテラルの本質であると私は結論した。
読了日:11月20日 著者:木村 尚義

リライトで最終話は二倍怖くなり、三倍切なくなった。こんなに切ない物語だっただろうか? 能登の余韻から麻衣のもがく気持ち、ナルのこと、誰一人欠けても辛い仲間のこと、事件のこと、真実。読む間ずっと感じていた、リライトはこれが最後という事実との相乗で、ずっと胸が詰まったようだった。 小野センセ、ありがとう。それはもう、楽しかったです。
読了日:11月18日 著者:小野不由美

女が読んで痛快なミステリ。早く結末にたどりつきたくてつい目が滑り、散らされた手掛かりを読み逃したかと思ってまた遡って読んで。 3人の母親は強く、賢く、凛々しい。2人の少女はもたくましく、信頼し合っている。そして青年と少年の信頼関係にほんわかする。野球の場面が爽快。機知に富んだ一言で相手をやりこめる場面にはにやりとする。「あなたの感情や直感は男性ホルモンに汚染されているんだから。お母さんの言うことを聞きなさい」。 エピローグで全てが一転、涙が止まらなかった。彼女の友達である少女のように、彼女の母親のように。
読了日:11月15日 著者:キャロル オコンネル

5編の短編。この現実の世界を恒川色の幻想で少し広げてくれる。あくまで日常の先に境目なく存在しているように、しかもその幻想を閉じてしまわずに、いつかどこかで出会うかもしれない余韻を残すやり方が好きだ。 と思っていたのは3編目までで、「鸚鵡幻想曲」と「ゴロンド」は違った。色鮮やかで、でかい。これが新しい恒川ワールド。オビの「世界の全部を解放」したかはわからないが、なにかが加わったと感じさせる。いつか、その幻想で長編を書いて、私を現実に戻れなくさせてほしい。
読了日:11月12日 著者:恒川 光太郎

流産した中年女、絶望した中学生、妻に先立たれた老年の男、いずれにも同調しがたく、描かれるささくれた感情表現を流し読むしかなかった。長く暮した猫の最期を看取る箇所を短編として読んだ、に近い。著者ご自身は、猫が好きなのだな。しかしこれも全体に対して緩やかでくどい。
読了日:11月09日 著者:沼田 まほかる

「あんたのあたらしいおうちに帰るんだよ タビ 元気で長生きして うんと愛されてそして うんと愛するんだよ」 気兼ねすることなくたくさんの猫と暮らす生活、心底羨ましい。
読了日:11月07日 著者:大島 弓子

東海村臨界事故における被曝は中性子線とガンマ線の放射線が身体を突き抜けたことによるもの。症状に悪化が見られる、会話ができなくなるより前、染色体が全て破壊された被曝の瞬間に人間として生きていく未来は消えたのだ。そこには安易な慟哭も欺瞞も許されない。 被曝1ヶ月後頃には患者は人間の形を失い、意思活動の描写はほとんどない。希望とはなんと苦しいものか。被曝直後、大内氏は「普通」に見えたから、本人、家族、医療従事者皆に「助かる」希望を生んだのだ。だけど、なぜ希望を抱かずにいられるだろう。人間であり、家族なのだ。
読了日:11月06日 著者:NHK「東海村臨界事故」取材班

シャーロック・ホームズ。チャンドラーの模倣。オーエン君所属野球チームのノンフィクション。詩。著者自身の気に入っている作品群にもかかわらず、私はあまり楽しめなかった。さらにこれは今に始まったことではないが、人物が多く、固有名詞が多くなるほど純日本人の私の理解は浅くなる。アムニー氏よろしく、キング愛読者としての自分を疑い不安になった。私は彼の物語の荒唐無稽さばかり愛してしまっているのだろうか?
読了日:11月06日 著者:スティーヴン キング

さらりと読み流せるエッセイも気分転換にはよいけれど、このように1章ごと自前の頭で考えてみたくなる文章は濃くてよい。日常の世情あれこれに対する考察でどちらかといえば辛辣。 「他者の目にさらされ、評価され、洗練されるという試練を受けない快楽は、せいぜい個人の日記の中に留めておくべき程度のクズ」。思わず我が身を省みる。
読了日:11月03日 著者:高村 薫

Shannon Haleとの対談だけでも読む価値あり。始まりの夢から、書く過程、登場人物、生まれた哲学について。書き手である前にまず読み手であるというスタンスの微妙なバランスが、この物語を生き生きとした魅力的なものにしている。そしてこの物語を自分だけのものにせず、こうして分け与えてくれたことに感謝する。 各人物の来歴が描かれている。本編に書かれていないこともたくさん書かれていて、読んで楽しい。しかし必要以上に詳しい。まるで…これ以上Twilightの世界を書くつもりがないと決別宣言しているようにも思えた。
読了日:11月02日 著者:Stephenie Meyer

家族であれ知人であれ、ふとした心の揺れで左右されるごく些細なことの積み重ねで日々は成っており、その真意や成り行きは他者にはわからないことのほうが多い。誤解でさらなる隔たりを生むことさえある。刑事と被害者なら尚更、ふとつながった細い糸をたどって真実と確信を持てる場所へ到達する物語の流れは見事な職人技だと思う。身近な人のふとした行動、それこそが大いなるミステリなのだと、初めて東野圭吾を読んだときに感じたことを改めて教えてもらった。 ただしミステリとしては、あの人とあの展開怪しすぎるやろ。
読了日:11月02日 著者:東野 圭吾
2011年11月の読書メーターまとめ詳細
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Posted by nekoneko at 09:06│Comments(0)
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