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2012年02月01日

1月の読書

食べたい、眠りたいと同じくらい読みたい。
隙間時間に部屋で立ったまま読んでいたりします。
先にやらなきゃいけないことやらないとね。
ほんの少しずつ、毎日の我慢。

読書メーターは感想に字数制限があるのでいつも削っています。
今月は削りたくないものがいくつかあったので、ソーシャルライブラリーから補修しました。

ブック

1月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3032ページ
ナイス数:57ナイス


今かくあれども今かくあれども
町の図書館で除籍になったのを貰い受けた。
61歳のメイ・サートンが書いた小説であるが、自身の十数年後を思い書いている感触がする。彼女自身の生き方、愛情の形が見え、どこまでも私小説的である。独り立ってあろうとする心、孤独と引き換えであっても自由であろうとする心。私は読んで自分の魂を思う。実際に友人を見舞った、老人に生活空間を提供する施設を訪れて受けた衝撃が題材になっている。老境に入り、社会的に自立できない弱者として扱われるようになって、身体的に受ける屈辱も無論のこと、それよりもこの人は頭がおかしいからと言わんばかりの応対、猫なで声でなだめるような応対が、まだ正常であるはずの自らを疑わせること、それこそが恐怖であり、内面的な感情の増幅、抑えきれず溢れる感情表現も事態を悪い方向へ向かわせてしまう、それもまた恐怖。私も怖い。自らの分別や自尊心を恃んで独りで生きることを選び、生きることができても、老いによってその分別と自尊心が揺らぐとき、私はやはり独りで立っていられるのだろうかという不安、ひいては独りで生きる決断が誤っていたのではないかという猜疑心はいずれ訪れる。そのときにも心折れずにいられるだろうか。死を自ら支配できると感じられれば、自分を諦めずに保てるかと、自らの先を想像しつづけているような衝撃的な終わり方だった。カーロの叔母が言う。「自分自身であることよ。ほかの誰にも、あなたのためにそれをしてくれる人はいないわ。」
読了日:01月30日 著者:メイ サートン

君と一緒に生きよう君と一緒に生きよう
毎日新聞に連載されたノンフィクション。現代の日本で、捨て犬や行政の殺処分から犬たちを逃れさせ、幸せな家庭の一員にと橋渡しの活動をする人たち、犬を家族に迎え入れた人たちに話を聞いている。人間から受ける理不尽を乗り越えて幸せになった犬と、愛する新しい家族に出会えた人たちのエピソードから始まり、森さん自身が保健所で見届けた数頭の命の最期で連載は終わる。多くの人の目に触れる連載において、幸せになった少数の幸運な命と、圧倒的多数である殺処分される命、どちらのことを書けば、不幸な命を減らせるのか考えた、と森さんはあとがきに書いた。ここに幸せになれた犬のことばかり書けば、捨てる人が「捨てても誰かがなんとかしてくれる」と思ってしまうかもしれないと。また読む私たちも、そうやって助かっているのだ、という考えに、自分の感じる息苦しさ心苦しさから逃れるために、飛びついてしまいがちだ。だけど殺処分される命のほうが桁違いに多いこと、その墓標が今日以降にも何万何十万と連なってあることから目をそらしてはならない。
読了日:01月29日 著者:森 絵都

泣いた赤鬼 (絵本)泣いた赤鬼 (絵本)
幼いころ読んだ文章に、浦沢直樹氏が絵を描いている絵本。絵本であっても私は文章やリズムに重きを置きがちなのだけど、この赤鬼は表情豊かでついじっと見てしまう。青鬼も、底抜けに人の良い顔をしている。
読了日:01月27日 著者:浜田 廣介

手づくりする木のスツール―座り心地のよい形をさがす、つくる、つかう手づくりする木のスツール―座り心地のよい形をさがす、つくる、つかう
スツールは椅子と違い、ちょっとした間にお尻を乗っけるもの。でも体重を預けるからにはしっかりしたつくりでなくては役に立たない。スツールにはスツールの哲学があり、美学があり、それぞれ作家さんのこだわりがある。そして幾十種類のスツールの中で私の目が惚れたスツールは一脚だけなのだ。つくり方も載っていて楽しそうだけれど、私はいいや、惚れたものを大切にするのが私の流儀。あれに座ってみたいなぁ。
読了日:01月27日 著者:西川 栄明

名もなき毒 (文春文庫)名もなき毒 (文春文庫)
宮部さんの小説には年配の聡い人物が登場する。物語に織り込まれた洞察や希望の言葉が好きだ。この日本のあちこちに存在する種々の毒。願わくば自分も家族友人も毒を被ることなく生きたいと願う。しかし土壌の汚染のように測れる毒と違い、人の中には目に見えない、名前のない毒がある。困窮や怒りに苛まれて毒を凝縮させれば、人は簡単に他人を傷つけられる。そしてそれはどんな権力者でも完全に阻むことができない。皆が無力であり無縁でいられない。そして毒の処し方など、どこにもないのだと、読み終えて窓の外の雲の切れ間をぼんやり見ている。
読了日:01月22日 著者:宮部 みゆき

日本人と日本文化 (中公文庫)日本人と日本文化 (中公文庫)
例えば平城京を計画した人がなにを考えていたかなど想像したことがない。それをああであったろう、こうであったろうと楽しげに話の華を咲かせるお二人の博学と好奇心に、ぽかんと口を開けて聴き入るばかり。中国文化に対するおもねりと対抗意識。日本的なものと日本的でないもの。外に対して閉じている時代と開いている時代。金の文化と銀の文化。日本は諸外国から舶来したいろんなものが溜まっていく国だが、その芸術や文化は外国に持ち出したとしても根づかないという。対談の最後、キーンさんの日本に対して持つ希望を感じてじんとした。
読了日:01月20日 著者:司馬 遼太郎,ドナルド キーン

スティーブ・ジョブズ Iスティーブ・ジョブズ I
人を惹きつけ、動かす大きな力。彼はなにを持っていたのかが私の関心事だった。その答えは、彼は"現実歪曲フィールド"に人を引き込む術と、ずば抜けた美的感覚と頑固さを持っていた、である。しかしまた、とんでもない、偏った人格の人でもあった。私としてはお近づきになるのは嫌な人種である。 現代を生きた人の伝記を編み上げる作業は、取材できる人の記憶や情報量が膨大で、だからどの面を切り取り組合せるかが難しい代わりに、構築された人物像ははるかに立体的になりうる。このジョブズ像が全てではないだろうが、著者の職人技に敬服する。
読了日:01月13日 著者:ウォルター・アイザックソン

人生がときめく片づけの魔法人生がときめく片づけの魔法
片づけに困ってはいないけど流行りものは読んでみたいもの。世間の注目が集まっている自信からか、口調に勢いがあって饒舌。女性には関心度の高い話題だから訴求力を持つだろうね。「理想の暮らし」って惹かれるものね。後半へ行くほどこんまりさんが追求の末に片づけ好きの域を通り越しているのが感じられ、すると"マニア""スピリチュアル"の単語が思い浮かぶ。人間、追求を極めると宗教ががかってくるのだな、と変に関心した。自分の片づけ方が確立していないなら、試してみてもいいかも。
読了日:01月05日 著者:近藤 麻理恵

俺俺俺俺
モザイク画のように少しずつ記憶や周りがずれ、混沌とした世界に自意識だけがある。自分の記憶が確かなものでなく、親が子であるだけの子を見て、他人と自分が相対的なら、なにが確たる自分なのだろう。自己完結することは他人を排除すること。他人の醜い部分を蔑むことはいずれ自分自身を否定すること。私自身の思考の生々しい記憶、自意識の果て。実は誰もが通る一時期を不条理な筋書きに乗せて描いているのだと思う。自分の存在を再発見する物語だ。ただ序盤で俺が引っかかっていた日常の瑣末事はこれで解決するのかな?
読了日:01月04日 著者:星野 智幸

いっしょにいるだけでいっしょにいるだけで
猫たわけを自認する私が太鼓判を押す、町田康氏の「猫にかまけて」に並ぶ良猫書。人にとって猫がどれ程いとおしくなり得る存在かを余すことなく描いている。追体験しながら始終鼻を鳴らし、呵呵と笑った。 装丁も文章に似合っていい。こちらのほっこり暖かい気分を感じ取るのか、寝転がって読んでいるうちに私の背には3匹の猫が積みあがっていた。幸せだ、いっしょにいるだけで。
読了日:01月03日 著者:森下典子

Xの悲劇 (創元推理文庫)Xの悲劇 (創元推理文庫)
再読のはずなのにすっかり記憶にない。登場人物が多く複雑なので、若い私は謎を諦めてしまったのだろう。おかげで100%楽しめた。 芝居がかった場面の趣向と、芝居を心得た主人公。ところどころでシェイクスピアの台詞が引用される。それがまた物語を劇的にする。ドルリー・レーン氏はひねくれていて美意識が強く、なにより年齢とそぐわず美しい。シリーズ物のミステリの中で、最も私が好む探偵が誕生する物語。
読了日:01月03日 著者:エラリー・クイーン


2012年1月の読書メーターまとめ詳細
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