2012年04月01日
3月の読書
3月は異色の読書記録になりました。
11冊のうち、10冊がノンフィクション、フィクションはなんと1冊のみ。
震災から1年の節目であったことと、猫本が多いですね。
咀嚼して書いているつもりが、読み返すと流されていて恥ずかしい。
春は心機一転、馬車馬のように??小説を読みたいです。

3月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3162ページ
ナイス数:48ナイス
震災死 生き証人たちの真実の告白
震災関連の手持ち本はこれが最後。被災者の心情を慮る風潮の陰に見落とされている最たる被害増大要因は、住民の津波警報慣れ、避難慣れ、増強した堤防への過信であったと言う。認識が甘かったと述懐する遺族は多いそうだ。地震発生から津波が到達するまでの僅かな時間、行政も警察もどんなに避難を促したところで、点でしかない。全員に働きかけることはできない。堤防ではなく個々人メンタルの防災が必需。また消防団員は命の盾ではなく、自衛隊は便利屋ではない。「自助、共助、公助」の順を間違えてはならないという言葉が印象に残った。
読了日:03月31日 著者:吉田 典史
待ちつづける動物たち 福島第一原発20キロ圏内のそれから
2012年1月までの記録。時が経ち問題は深刻化する。犬は人を警戒して寄りつかなくなり、捕獲が難しくなった。猫はもっとであろう。飼い主に会いたい気持ちを叶えてやれない、ボランティアさんの辛さがにじむ。公に登録された犬の数5,800頭、猫はそれ以上と推測される。今年1月末時点、行政捕獲数637頭、不法侵入ボランティア捕獲数は2000頭を超えるとされる。捕獲できるだけを保護した後、この4月には一部区域完全閉鎖される。厳しい夏冬を乗り越えた命、このまま人間の目の届かないところに封じ込めて、ないものとするのか。
読了日:03月24日 著者:太田康介
スティーブ・ジョブズ II
1で性格を踏まえたので2は躊躇なく読める。アップル音痴の私さえもがジョブズの名を知り、その製品が世界をばく進する時代の到来だ。折しもニュースでは新iPad発売が報道され、熱狂する人々を映す。すさまじい集中力の裏には強烈な無視が共存する。そのためにジョブズの癌の治療は遅れることになり、死期を早めた。ここに登場する専門的天才の何人もがアップルを去り、何人かが今、ジョブズのいないアップルを動かしていると思うと、切ない。時代は静止しないことを痛感する。ジョブズのDNAがアップルを守り立て続けるように願う。
読了日:03月24日 著者:ウォルター・アイザックソン
のこされた動物たち 福島第一原発20キロ圏内の記録
2011年7月までの原発警戒区域内の動物たちの記録。「私が現地に通いはじめて強く感じたのは『待っている』ということでした。動物に限らず、土地も、家も、桜の木も、すべてが待っているように思えました。」。厩舎に閉じ込められたまま餓死する牛がいることを知り、せめて柵の開放をしていればと考えていたが、そうして開放された結果、喉の渇きの余り水路や沼にはまって死ぬ牛が多数いたことを初めて知った。その中には持ち主に許可なく開放されたものもあった。テレビで見た海岸をのびのびと疾走する牛たち、それが真実の全部ではなかった。
読了日:03月22日 著者:太田康介
山頭火 日記〈3〉 (山頭火文庫)
九州から山口あたりを行乞している。酒を呑む習慣からは逃れられないようだ。時代は昭和7年戦時、出征兵と帰還兵に時々出会うが、人々は普通に生活している。嬉野温泉に庵を結ぶ夢を抱いている。初めて山頭火の句を見たのは嬉野の温泉宿だったことを思い出した。先日尾崎放哉記念館を訪れる機会があったが、比べるならば、山頭火の句には、どこか風の抜ける背景があって、広い。たとえ本人が相も変わらず酒と人恋しさと煩悩の間をせせこましく行き来していても、自然風景へと気が逸れて、思いつめずにすむ。開放感がある。
読了日:03月19日 著者:種田 山頭火
毛柄がいっぱい!ねこのきもち (ベネッセ・ムック ねこのきもちブックス)
眺めてかわいいだけの写真集ではありません。猫の場合、飼い方指南や写真集、病気の一般解説書が多く、外見や性格傾向についてまとめた本は少ないように思うので、勉強のために購入した。オールカラーで写真が多く、色や模様が見やすい。猫を毛柄で分類し、それぞれ国内外の呼称、色の入り方のパターン、遺伝性、ルーツ、歴史をまとめている。毛柄と性格の関連も、そうかも、と思える感じ。骨格の分類には触れていない。純血種と遺伝性病気には少し触れている。うちの猫はレッド・マッカレルタビーと呼んでいいらしい。茶トラよりかっこいい。
読了日:03月13日 著者:
膝のうえのともだち
前半3分の2が「猫にかまけて」以来お馴染みの町田家の猫たちの写真集、合間にはさんだ小文は既刊本からの引用。抜き出された文章には町田さんならではのキレがある。 後半の短編小説は一読に値する。町田さんの小説は正直苦手であるが、猫が題材なので読んでみた。題材どころではなかった。亡くなったココアへの追慕と慈しみに溢れている。特に帯にもある、ココアのまなざしの描写は真に迫って切ない。また、住まいを持たない猫たちの痛み苦しみを知ってしまった町田さんの思い、決意もまたよく表れていた。立ち読みはもったいなかった。
読了日:03月13日 著者:町田 康
詩の礫
福島で被災された。独りで福島市内の自宅アパートにこもって呟いた言葉の数々の記録である。外は放射能の雨、余震が続く。「詩の礫」は、2時間の間に次々とツイッターに言葉を放つ試みである。礫という言葉に、自然災害や風評に対し、無力な個人の力で渾身に投げ続ける姿が浮かぶ。故郷である福島から人が失われ忌避されることを嘆き、余震に怯えながら、それでも言葉に見せる執念が印象的だった。被災地から遠く、なにも失わずに読む私は手探りだった。深夜、ツイッターでリアルタイムに礫を受け取っていたら、受け取り方はまた違っていたと思う。
読了日:03月11日 著者:和合亮一
東亰異聞 (新潮文庫)
何度目かの再読、私のルーツである。大人の読書に足を踏み入れかけた私に、架空の世界を力強く包みこみ独特に色づける空気感の存在を教えてくれた物語。 夜は暗いもの。いや、この物語にはおおかた薄闇色を刷いたような色調がある。遍在する得体の知れなさ。その中で突出する色は、白であったり、真黒であったり、緋色であったり、いずれも鮮やかに脳裏に残る。黒衣と娘人形の趣向が好き。黒衣の白い指になんともいえず色気があって、それもこの物語の色合いの一部である。いつものように、頭をゆらゆら揺らして物語の余韻を楽しんだ。
読了日:03月10日 著者:小野 不由美
見捨てられた命を救え!―3・11アニマルレスキューの記録
無人の原発警戒区域内で動物救出を続ける星さん一家の活動記録。写真と共に綴られている。公的機関は「餓死により」と短く言うが、写真で見る餓死体は想像を軽く超え、実際に見る衝撃は死臭と相まり私には計り知れない。失われた命に涙と懺悔と祈りを。そして人間たち、自分が見捨てた命への呵責に一生苛まれて生きろと呪う。悲惨なのは、人間の管理下で生きてきたにもかかわらず、柵に閉ざされ鎖に繋がれたまま放置された家畜とペットだからだ。そして放されても無人の家で家主を待ち続けるペットだからだ。この本を受けて私は何を正義とするのか。
読了日:03月05日 著者:星 広志
キャプテン・アメリカはなぜ死んだか (文春文庫)
アメリカの事件やメディアの世俗的な話題から、あの大きな国の持つ独自性や時代背景を垣間見る、と言いたいところだが「アメリカ人の半分は~」よりも1編が短いので、さほど掘らずに揶揄して終わる感触。ゴシップ事件の裏にはただの劣情があることもあるし、アメリカならではの根深い問題が見えることもある。そんなの日本人でも知ってるよ、と思っていることが実はそうではないと知る、軽い衝撃の連続だった。こんな抽象的な書き方になるのは、そう思う回数が多すぎるのと、ひとつひとつの衝撃が軽いせい。次はじっくり読ませるエッセイを希望。
読了日:03月01日 著者:町山 智浩
2012年3月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター
11冊のうち、10冊がノンフィクション、フィクションはなんと1冊のみ。
震災から1年の節目であったことと、猫本が多いですね。
咀嚼して書いているつもりが、読み返すと流されていて恥ずかしい。
春は心機一転、馬車馬のように??小説を読みたいです。

3月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3162ページ
ナイス数:48ナイス

震災関連の手持ち本はこれが最後。被災者の心情を慮る風潮の陰に見落とされている最たる被害増大要因は、住民の津波警報慣れ、避難慣れ、増強した堤防への過信であったと言う。認識が甘かったと述懐する遺族は多いそうだ。地震発生から津波が到達するまでの僅かな時間、行政も警察もどんなに避難を促したところで、点でしかない。全員に働きかけることはできない。堤防ではなく個々人メンタルの防災が必需。また消防団員は命の盾ではなく、自衛隊は便利屋ではない。「自助、共助、公助」の順を間違えてはならないという言葉が印象に残った。
読了日:03月31日 著者:吉田 典史

2012年1月までの記録。時が経ち問題は深刻化する。犬は人を警戒して寄りつかなくなり、捕獲が難しくなった。猫はもっとであろう。飼い主に会いたい気持ちを叶えてやれない、ボランティアさんの辛さがにじむ。公に登録された犬の数5,800頭、猫はそれ以上と推測される。今年1月末時点、行政捕獲数637頭、不法侵入ボランティア捕獲数は2000頭を超えるとされる。捕獲できるだけを保護した後、この4月には一部区域完全閉鎖される。厳しい夏冬を乗り越えた命、このまま人間の目の届かないところに封じ込めて、ないものとするのか。
読了日:03月24日 著者:太田康介

1で性格を踏まえたので2は躊躇なく読める。アップル音痴の私さえもがジョブズの名を知り、その製品が世界をばく進する時代の到来だ。折しもニュースでは新iPad発売が報道され、熱狂する人々を映す。すさまじい集中力の裏には強烈な無視が共存する。そのためにジョブズの癌の治療は遅れることになり、死期を早めた。ここに登場する専門的天才の何人もがアップルを去り、何人かが今、ジョブズのいないアップルを動かしていると思うと、切ない。時代は静止しないことを痛感する。ジョブズのDNAがアップルを守り立て続けるように願う。
読了日:03月24日 著者:ウォルター・アイザックソン

2011年7月までの原発警戒区域内の動物たちの記録。「私が現地に通いはじめて強く感じたのは『待っている』ということでした。動物に限らず、土地も、家も、桜の木も、すべてが待っているように思えました。」。厩舎に閉じ込められたまま餓死する牛がいることを知り、せめて柵の開放をしていればと考えていたが、そうして開放された結果、喉の渇きの余り水路や沼にはまって死ぬ牛が多数いたことを初めて知った。その中には持ち主に許可なく開放されたものもあった。テレビで見た海岸をのびのびと疾走する牛たち、それが真実の全部ではなかった。
読了日:03月22日 著者:太田康介

九州から山口あたりを行乞している。酒を呑む習慣からは逃れられないようだ。時代は昭和7年戦時、出征兵と帰還兵に時々出会うが、人々は普通に生活している。嬉野温泉に庵を結ぶ夢を抱いている。初めて山頭火の句を見たのは嬉野の温泉宿だったことを思い出した。先日尾崎放哉記念館を訪れる機会があったが、比べるならば、山頭火の句には、どこか風の抜ける背景があって、広い。たとえ本人が相も変わらず酒と人恋しさと煩悩の間をせせこましく行き来していても、自然風景へと気が逸れて、思いつめずにすむ。開放感がある。
読了日:03月19日 著者:種田 山頭火

眺めてかわいいだけの写真集ではありません。猫の場合、飼い方指南や写真集、病気の一般解説書が多く、外見や性格傾向についてまとめた本は少ないように思うので、勉強のために購入した。オールカラーで写真が多く、色や模様が見やすい。猫を毛柄で分類し、それぞれ国内外の呼称、色の入り方のパターン、遺伝性、ルーツ、歴史をまとめている。毛柄と性格の関連も、そうかも、と思える感じ。骨格の分類には触れていない。純血種と遺伝性病気には少し触れている。うちの猫はレッド・マッカレルタビーと呼んでいいらしい。茶トラよりかっこいい。
読了日:03月13日 著者:

前半3分の2が「猫にかまけて」以来お馴染みの町田家の猫たちの写真集、合間にはさんだ小文は既刊本からの引用。抜き出された文章には町田さんならではのキレがある。 後半の短編小説は一読に値する。町田さんの小説は正直苦手であるが、猫が題材なので読んでみた。題材どころではなかった。亡くなったココアへの追慕と慈しみに溢れている。特に帯にもある、ココアのまなざしの描写は真に迫って切ない。また、住まいを持たない猫たちの痛み苦しみを知ってしまった町田さんの思い、決意もまたよく表れていた。立ち読みはもったいなかった。
読了日:03月13日 著者:町田 康

福島で被災された。独りで福島市内の自宅アパートにこもって呟いた言葉の数々の記録である。外は放射能の雨、余震が続く。「詩の礫」は、2時間の間に次々とツイッターに言葉を放つ試みである。礫という言葉に、自然災害や風評に対し、無力な個人の力で渾身に投げ続ける姿が浮かぶ。故郷である福島から人が失われ忌避されることを嘆き、余震に怯えながら、それでも言葉に見せる執念が印象的だった。被災地から遠く、なにも失わずに読む私は手探りだった。深夜、ツイッターでリアルタイムに礫を受け取っていたら、受け取り方はまた違っていたと思う。
読了日:03月11日 著者:和合亮一

何度目かの再読、私のルーツである。大人の読書に足を踏み入れかけた私に、架空の世界を力強く包みこみ独特に色づける空気感の存在を教えてくれた物語。 夜は暗いもの。いや、この物語にはおおかた薄闇色を刷いたような色調がある。遍在する得体の知れなさ。その中で突出する色は、白であったり、真黒であったり、緋色であったり、いずれも鮮やかに脳裏に残る。黒衣と娘人形の趣向が好き。黒衣の白い指になんともいえず色気があって、それもこの物語の色合いの一部である。いつものように、頭をゆらゆら揺らして物語の余韻を楽しんだ。
読了日:03月10日 著者:小野 不由美

無人の原発警戒区域内で動物救出を続ける星さん一家の活動記録。写真と共に綴られている。公的機関は「餓死により」と短く言うが、写真で見る餓死体は想像を軽く超え、実際に見る衝撃は死臭と相まり私には計り知れない。失われた命に涙と懺悔と祈りを。そして人間たち、自分が見捨てた命への呵責に一生苛まれて生きろと呪う。悲惨なのは、人間の管理下で生きてきたにもかかわらず、柵に閉ざされ鎖に繋がれたまま放置された家畜とペットだからだ。そして放されても無人の家で家主を待ち続けるペットだからだ。この本を受けて私は何を正義とするのか。
読了日:03月05日 著者:星 広志

アメリカの事件やメディアの世俗的な話題から、あの大きな国の持つ独自性や時代背景を垣間見る、と言いたいところだが「アメリカ人の半分は~」よりも1編が短いので、さほど掘らずに揶揄して終わる感触。ゴシップ事件の裏にはただの劣情があることもあるし、アメリカならではの根深い問題が見えることもある。そんなの日本人でも知ってるよ、と思っていることが実はそうではないと知る、軽い衝撃の連続だった。こんな抽象的な書き方になるのは、そう思う回数が多すぎるのと、ひとつひとつの衝撃が軽いせい。次はじっくり読ませるエッセイを希望。
読了日:03月01日 著者:町山 智浩
2012年3月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター
Posted by nekoneko at 12:21│Comments(2)
│読書
この記事へのコメント
相変わらず よく読書されてますね 毎月感心してます!
私も 30代までは かなりの読書やってたように思いますが
近頃は歳のせいか? 眼はかすむし、根気がなくて(笑)
軽いものしか 読めなくて・・・
息子の件も見込みがついて、そう遠くない日に読書三昧の日々が送れるのでは
と 淡い期待をしているのですが・・・
私も 30代までは かなりの読書やってたように思いますが
近頃は歳のせいか? 眼はかすむし、根気がなくて(笑)
軽いものしか 読めなくて・・・
息子の件も見込みがついて、そう遠くない日に読書三昧の日々が送れるのでは
と 淡い期待をしているのですが・・・
Posted by UNKAI at 2012年04月01日 13:40
UNKAIさん、こんにちは!
息子さんとお話されたそうで、他人事ながらよかったなぁ、と思っておりました。
昨夜から調子に乗って読み続けていたら、今日は目が辛いです。
祖母などは「目がくしゃくしゃする」とよく言います。
根気がないとは誰のことをおっしゃっているんですか!
毎月、丁寧にトラップを仕掛けては回収されているのはすごいことです。
特に3月は流れがつかみづらくて、呆然唖然でした。
30pips取ってごらんと言われてもどうしていいやら(笑)。
新年度、また激しくなるのでしょうね、楽しみですね。
息子さんとお話されたそうで、他人事ながらよかったなぁ、と思っておりました。
昨夜から調子に乗って読み続けていたら、今日は目が辛いです。
祖母などは「目がくしゃくしゃする」とよく言います。
根気がないとは誰のことをおっしゃっているんですか!
毎月、丁寧にトラップを仕掛けては回収されているのはすごいことです。
特に3月は流れがつかみづらくて、呆然唖然でした。
30pips取ってごらんと言われてもどうしていいやら(笑)。
新年度、また激しくなるのでしょうね、楽しみですね。
Posted by 猫々亭 at 2012年04月01日 17:46