2013年03月01日
2013年2月の読書
ソーシャルライブラリーや読書メーターの読書管理アプリにも功罪あって、
しんどいのは「今月はまだこれだけしか読んでいない!」強迫観念です。
そのために結果読書の質が落ちたり、じっくり読む本に手を出せなかったりします。
忙しかったせいか2月はそういう月で、そういうとき私は書店に立ち読みに行きます。
絵本、文字の少ないビジネス書、流行りの猫本。
冊数を稼ぎつつ、これはこれで思いがけない本に出会うこともあるのです。
あとは読みたい本をじっくり読むだけ、まさに一石二鳥(笑)。
予想どおりと言うべきか、リアル本とKindle本の積読が相乗効果で増えている。
Kindle本が安いため、金額を基準に計るとペースが狂ってしまう。
積読本82冊、気になった本294冊。

2013年2月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
リーダーになる人に知っておいてほしいことの感想
松下政経塾の塾生に向けた松下翁訓話集。塾訓は日々に向かう心の在り様について、五誓はその状態から政や商売に挑む姿勢についてを指しているようだ。松下翁の、日本をよくしたい思いが垣間見える。成功した商売人として後続に道を示すとともに、自ら商ってお金をいただくという経験をしないまま政界を目指す者へ少しでも人の生きる道を教えておきたいと思われていたようだ。などと理屈をこねず、お前自身が、素直な心で、少しでも自分の思う高みを目指す糧にせよと松下翁はおっしゃるのだ。
読了日:2月28日 著者:松下 幸之助
いるの いないの (怪談えほん3)の感想
この絵本、中学生未満の子どもに与えてはいけません。夜中、トイレに行きたい子どもが我慢したり親を起こしたり、大変なことになりそう。本屋で見て衝動買いだった。なぜなら文字には一切現れていないのに、不自然なほど猫が多いのである。つい数えた。14匹。猫は、空間を埋める。帰宅した家に猫がいることがわかっていると、ほっとする。だが空間に対して多すぎると、苛々する。この家は猫が14匹いても埋められないくらい広いってことなのだ。猫の挙動は飼ったことのない子どもには不気味だろうし、夜中に立てる音も、慣れなければさぞ怖かろ。
読了日:2月24日 著者:京極 夏彦
のせ猫 かご猫シロとおなじみ4人弟子の感想
飼い猫のポテンシャルを広げた達成感に満ちた写真集。なんであんなにいろいろなものを乗せられて(かぶせられて)平気なんやろ? 目をつぶっている写真が多いから、寝てる間に乗せるのか。いずれにしても動じない。図太い。
読了日:2月24日 著者:SHIRONEKO
うきわねこの感想
台所で猫のえびおがおかかおにぎりを食べている。冒頭のその光景で私の心は鷲掴みにされてしまう。えびおは満月の夜、冒険の旅に出る。なんでもありな自由さが楽しい。満月の夜って、大人になっても特別が期待できてしまう時間帯だな。その気分を一緒に読む子どもに伝えたい。(注:猫の名前が、えびお。)
読了日:2月24日 著者:蜂飼 耳
歓喜の仔 下巻の感想
人は独りで生きていけない。自分でない誰かが必要で、それは血がつながっていなくてもかまわない。誰でもよくて、誰でもはなれない。論理でなく大切に思いあえる、それが家族。なら、大切に思えなければ家族でないのか。ときには嫌な思いをすることも含めて、「相手の存在をあてにしている」。そうしていつの間にか家族になる。実は家族であったことに気づく。そんなこともある。家族だから、とか、決めつけなくていいと思えた。表紙の像は読む前、ただの作品に見えた。今は、ほんとだ、歌が聞こえる。高らかに響け、私の中に。世界に。これが希望。
読了日:2月21日 著者:天童 荒太
歓喜の仔 上巻の感想
著者の主題は徹底して他人、家族、愛。作品を重ねるにつれ、拠り所と思える結末が存在感を増していて、この物語のの結末にも期待してしまう。 この幼き者たちの生活は、幼いが故に社会の範からこぼれ、自身ではどうしようもない。しかしどうしようもなさの狭間にちらりと光を放つ存在が現れ、彼らはそれを大事にする。無条件に愛して庇ってくれる親がもういないのに、知っている。とすればそれは、人間に備わった原始的な存在だと、言えるのだろうか。
読了日:2月17日 著者:天童 荒太
質屋「六文屋」の訳アリな訪問客―謎、買い取ります。 (メディアワークス文庫)の感想
流行りなのか、専門分野の話は熱っぽくできるが、普段は相手の顔も見られない美形主人公。ティーカップサイズの謎でほっこりする。登場人物若いな。お茶を客と一緒に飲もうとするミカに客が持つ感想がそれぞれで楽しい。
読了日:2月14日 著者:吉川 美樹
バックマン・ブックス〈2〉ハイスクール・パニック (扶桑社ミステリー)の感想
この小説を回収し、絶版にすることをキングが決めたと、Gunsを読んで知った。改めて読み直し。この小説に影響されて、又は模倣して事件を起こした少年は2人や3人でないという。彼らはこの物語の中になにかを見つけたのだ。クラスメイトの注目を集めたい願望、悲惨な現状を劇的に変えたい気持ち、実は憎んでいた相手。嫌悪と恐怖。震えを押し隠しながら行動に出たチャーリーに勇気づけられて。そうするしかもう道を見つけられなかった少年の切実さは理解できないけれど、それを念頭に読むと目の留まる箇所がいくつもある。
読了日:2月11日 著者:スティーヴン キング
死ねばいいのにの感想
正論や建前や上繕いをばっすりばっすり剥ぎとっていくと、他者になすりつける以外処し様のない大きな、そして自身を雁字搦めにする不満が姿を現す。自分では覗き込むのが怖いような奥底に、私にもある。そして我慢するほどに増長する。生きている限りそれを除くことができないのなら、死んでしまえばいいのに、とは乱暴だが、ではそういう怪物は障害であって、抱えることなく昇華させたとして、人は生きていけるのか。そしてケンヤ、アサミのことを知りたい、その欲求は人生かけての不満ではありえない。解消されたとき、彼はどうするのだろう。
読了日:2月9日 著者:京極 夏彦
田舎暮らしの猫 トビー・ジャグと過ごした英国の四季の感想
獣医が安楽死を奨めた、弱った仔猫をポケットに入れて帰る。衝動的であれ、生の責任を引き受ける行為は気高い。幸運を得てトビー・ジャグは生き延び、そののち著者が一緒に過ごす11年の日々は、報われたどころか、千金に価すると思う。イングランド北西部の猫の生活は我が家のそれと違って興味深い。うさぎの穴に入ったり、馬に乗ったり、猫の好奇心がいかんなく発揮されている。またコテージの周りの環境が素敵だ。著者が気に入って買い、自然を満喫する姿が羨ましい。ただ田舎暮らしに馴れないから、勇敢だけれども様にならないのもまたご愛嬌。
読了日:2月7日 著者:デニス オコナー
面白南極料理人 (新潮文庫)の感想
南極の内陸、ドームふじ観測拠点は富士山より高い標高にあるそうだ。男9人、各界のプロが集い、それぞれの研究に必要な数値を採取しつつ飲み食い騒ぎ、越冬する。ただでさえ常識を超える南極越冬隊の生活では、隊員たちも常識を超えてしまうらしい。男は何歳になっても男子である。笑わせたい気持ち満点の喩えもてんこ盛りで、暑苦しい。Google Earthで昭和基地とドームふじの場所を探して見た。青に囲まれた真白な大地のひとところを、それぞれ矢印が示した。このような生き方が、日本人にあるというところが、いちばん心に残りそう。
読了日:2月5日 著者:西村 淳
しんどいのは「今月はまだこれだけしか読んでいない!」強迫観念です。
そのために結果読書の質が落ちたり、じっくり読む本に手を出せなかったりします。
忙しかったせいか2月はそういう月で、そういうとき私は書店に立ち読みに行きます。
絵本、文字の少ないビジネス書、流行りの猫本。
冊数を稼ぎつつ、これはこれで思いがけない本に出会うこともあるのです。
あとは読みたい本をじっくり読むだけ、まさに一石二鳥(笑)。
予想どおりと言うべきか、リアル本とKindle本の積読が相乗効果で増えている。
Kindle本が安いため、金額を基準に計るとペースが狂ってしまう。
積読本82冊、気になった本294冊。

2013年2月の読書メーター
読んだ本の数:11冊

松下政経塾の塾生に向けた松下翁訓話集。塾訓は日々に向かう心の在り様について、五誓はその状態から政や商売に挑む姿勢についてを指しているようだ。松下翁の、日本をよくしたい思いが垣間見える。成功した商売人として後続に道を示すとともに、自ら商ってお金をいただくという経験をしないまま政界を目指す者へ少しでも人の生きる道を教えておきたいと思われていたようだ。などと理屈をこねず、お前自身が、素直な心で、少しでも自分の思う高みを目指す糧にせよと松下翁はおっしゃるのだ。
読了日:2月28日 著者:松下 幸之助

この絵本、中学生未満の子どもに与えてはいけません。夜中、トイレに行きたい子どもが我慢したり親を起こしたり、大変なことになりそう。本屋で見て衝動買いだった。なぜなら文字には一切現れていないのに、不自然なほど猫が多いのである。つい数えた。14匹。猫は、空間を埋める。帰宅した家に猫がいることがわかっていると、ほっとする。だが空間に対して多すぎると、苛々する。この家は猫が14匹いても埋められないくらい広いってことなのだ。猫の挙動は飼ったことのない子どもには不気味だろうし、夜中に立てる音も、慣れなければさぞ怖かろ。
読了日:2月24日 著者:京極 夏彦

飼い猫のポテンシャルを広げた達成感に満ちた写真集。なんであんなにいろいろなものを乗せられて(かぶせられて)平気なんやろ? 目をつぶっている写真が多いから、寝てる間に乗せるのか。いずれにしても動じない。図太い。
読了日:2月24日 著者:SHIRONEKO

台所で猫のえびおがおかかおにぎりを食べている。冒頭のその光景で私の心は鷲掴みにされてしまう。えびおは満月の夜、冒険の旅に出る。なんでもありな自由さが楽しい。満月の夜って、大人になっても特別が期待できてしまう時間帯だな。その気分を一緒に読む子どもに伝えたい。(注:猫の名前が、えびお。)
読了日:2月24日 著者:蜂飼 耳

人は独りで生きていけない。自分でない誰かが必要で、それは血がつながっていなくてもかまわない。誰でもよくて、誰でもはなれない。論理でなく大切に思いあえる、それが家族。なら、大切に思えなければ家族でないのか。ときには嫌な思いをすることも含めて、「相手の存在をあてにしている」。そうしていつの間にか家族になる。実は家族であったことに気づく。そんなこともある。家族だから、とか、決めつけなくていいと思えた。表紙の像は読む前、ただの作品に見えた。今は、ほんとだ、歌が聞こえる。高らかに響け、私の中に。世界に。これが希望。
読了日:2月21日 著者:天童 荒太

著者の主題は徹底して他人、家族、愛。作品を重ねるにつれ、拠り所と思える結末が存在感を増していて、この物語のの結末にも期待してしまう。 この幼き者たちの生活は、幼いが故に社会の範からこぼれ、自身ではどうしようもない。しかしどうしようもなさの狭間にちらりと光を放つ存在が現れ、彼らはそれを大事にする。無条件に愛して庇ってくれる親がもういないのに、知っている。とすればそれは、人間に備わった原始的な存在だと、言えるのだろうか。
読了日:2月17日 著者:天童 荒太

流行りなのか、専門分野の話は熱っぽくできるが、普段は相手の顔も見られない美形主人公。ティーカップサイズの謎でほっこりする。登場人物若いな。お茶を客と一緒に飲もうとするミカに客が持つ感想がそれぞれで楽しい。
読了日:2月14日 著者:吉川 美樹

この小説を回収し、絶版にすることをキングが決めたと、Gunsを読んで知った。改めて読み直し。この小説に影響されて、又は模倣して事件を起こした少年は2人や3人でないという。彼らはこの物語の中になにかを見つけたのだ。クラスメイトの注目を集めたい願望、悲惨な現状を劇的に変えたい気持ち、実は憎んでいた相手。嫌悪と恐怖。震えを押し隠しながら行動に出たチャーリーに勇気づけられて。そうするしかもう道を見つけられなかった少年の切実さは理解できないけれど、それを念頭に読むと目の留まる箇所がいくつもある。
読了日:2月11日 著者:スティーヴン キング

正論や建前や上繕いをばっすりばっすり剥ぎとっていくと、他者になすりつける以外処し様のない大きな、そして自身を雁字搦めにする不満が姿を現す。自分では覗き込むのが怖いような奥底に、私にもある。そして我慢するほどに増長する。生きている限りそれを除くことができないのなら、死んでしまえばいいのに、とは乱暴だが、ではそういう怪物は障害であって、抱えることなく昇華させたとして、人は生きていけるのか。そしてケンヤ、アサミのことを知りたい、その欲求は人生かけての不満ではありえない。解消されたとき、彼はどうするのだろう。
読了日:2月9日 著者:京極 夏彦


獣医が安楽死を奨めた、弱った仔猫をポケットに入れて帰る。衝動的であれ、生の責任を引き受ける行為は気高い。幸運を得てトビー・ジャグは生き延び、そののち著者が一緒に過ごす11年の日々は、報われたどころか、千金に価すると思う。イングランド北西部の猫の生活は我が家のそれと違って興味深い。うさぎの穴に入ったり、馬に乗ったり、猫の好奇心がいかんなく発揮されている。またコテージの周りの環境が素敵だ。著者が気に入って買い、自然を満喫する姿が羨ましい。ただ田舎暮らしに馴れないから、勇敢だけれども様にならないのもまたご愛嬌。
読了日:2月7日 著者:デニス オコナー

南極の内陸、ドームふじ観測拠点は富士山より高い標高にあるそうだ。男9人、各界のプロが集い、それぞれの研究に必要な数値を採取しつつ飲み食い騒ぎ、越冬する。ただでさえ常識を超える南極越冬隊の生活では、隊員たちも常識を超えてしまうらしい。男は何歳になっても男子である。笑わせたい気持ち満点の喩えもてんこ盛りで、暑苦しい。Google Earthで昭和基地とドームふじの場所を探して見た。青に囲まれた真白な大地のひとところを、それぞれ矢印が示した。このような生き方が、日本人にあるというところが、いちばん心に残りそう。
読了日:2月5日 著者:西村 淳

Posted by nekoneko at 21:28│Comments(0)
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