2018年07月02日
2018年6月の記録
世界には私の知らないことがたくさんある。
それを片っ端からかじり散らしているような読書だ。
さすがに疲れた。
ノンフィクションの疲れと小説の疲れは違う。
しかし、脳の一部を尖鋭化させる作業を伴うのは同じだ。
少し、ぼんやりいこう。
<今月のデータ>
購入11冊、購入費用13,100円。
読了13冊。
積読本114冊(うちKindle本24冊)。

6月の読書メーター
読んだ本の数:13
蔵の中・鬼火 (角川文庫)の感想
雑誌の連載だっただろうか。陰湿で、艶めかしくて、狂気じみた物語は、横溝正史の世界の王道だ。陽の当たりそうにない事件の真相への、読む者の好奇心を的確に誘う。妖しさを醸す小道具は言うまでもなく、音、色、形、臭いまで、五感を絡め取られて、ついどっぷり読まされてしまう。『何かしら日陰の湿地で熟れ崩れた果実のようにすえたにおいのする美しさ』とは、これらの物語たちをずばり言い当てた形容じゃないだろうか。Kindleではなく、思わず汗がじっとり滲みそうな手で紙のページを押えつつ、部屋の隅で密かに読みたい。
読了日:06月29日 著者:横溝 正史
マンガでやさしくわかるCSRの感想
Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任。「自然環境や社会環境へのダメージを少なくし、社会から信頼される会社を作るための持続可能なマネジメントの手法」としてEUで立案された。と言えば拒否感が半端ないが、つまり「三方良し」の思想だ。ISO26000に沿って大幅改革するより、小さな選択の積み重ねとして浸透させたい。要素のうち、・組織統治・人権・労働慣行・環境・公正な事業慣行・消費者問題・コミュニティ参画と開発はうちも該当する。ひとつずつ詰めていく、まずはエコアクション。
読了日:06月28日 著者:足立 辰雄
リアル・シンデレラ (光文社文庫)の感想
シンデレラと題されれば、読者は泉をシンデレラに照らし合わせて読む。幸せになってほしいと読者が願える主人公。ちょっとヘンだけど、女らしい嫌らしさの全く無い女の子。しかし女がより良い伴侶を勝ち取って幸せに暮らそうと闘争する世界では、泉は完全に異物なのだろう。言うまでもなく現実でも。外界から来て泉に出会った人は泉を好ましく思う。その落差が際立っていた。泉は冒頭から不穏な陰を漂わせていた。幸せになってほしい願いは見事裏切られる。姫野カオルコは人の歪さ、醜さをすっぱりと書く。しかし毒々しくはない、そこが私は好きだ。
読了日:06月27日 著者:姫野 カオルコ
職業は武装解除 (朝日文庫)の感想
NPO法人JCCPは人材育成を通じた紛争解決と紛争予防の活動をしている。というと難しげだが、臨場感のあるエピソードでわかりやすい。『日本が言うから、信頼して武器を差し出すんだ』。平和で裕福な、そして武力を持たない国の人間だからこそできることがあると気づかされる。こういう日本人の活動を知らないことが、資金協力や自衛隊派遣以外の国際貢献を選べることに気づけない理由のひとつだ。日本人のリテラシーを育てるために、将来を選ぶ若者が「人並み」以外の道を知り「自由に行動できる権利」を行使できるために。お薦めしたい本だ。
読了日:06月23日 著者:瀬谷ルミ子
人質の朗読会 (中公文庫)の感想
場面設定自体が特異だが、まず周りは言葉の通じない外国人ばかりで、部屋には同胞が8人いて、そこでどんな過去を語るだろう。命が助かるかもしれない。助からない可能性も高い。そのような状況下で出る言葉が「祈り」に近づくのは間違いないだろう。しかし、もし私だったら、過去の、ふとすれ違っただけの、名も知らぬ人とのエピソードを思い出したりはしないんじゃないか。人質たちの語る話がしっくりこなかった。そんなときだからこそ、他人とのつながりに思いを託すものだろうか。あるいは忘れられたくない願いの証左にすがったのだろうか。
読了日:06月19日 著者:小川 洋子
忘れられた日本―沖縄文化論 (1964年) (中央公論社)の感想
昭和36年、米軍占領下の沖縄へ岡本太郎は渡る。戦中の悲惨、戦後の土地接収はもとより、戦前の文化剥奪、薩摩藩と王府による人頭税、台風、マラリアと沖縄は奪われ続け、「無い」のが標準とはやりきれない。著者は言う。無いから生まれる唄や踊りが美しい。無いから純粋に胸を打つ。「なんにもない清らかさ」を理解できることが、日本人古来の魂の存在を証明すると。御嶽のように、日本人も昔、なにもない場で祈っていた。自然の樹木。石。そこに人と神とをつなぐ道を見つけられるから、物々しい社や道具は必要なかったという指摘が印象的だった。
読了日:06月17日 著者:岡本 太郎
10年後の仕事図鑑の感想
時代の寵児のおしゃべり本。論拠があって言っているわけではない。巻末の参考文献の少なさときたら。人が生きることの上っ面だけをかき回しているというか、人間は生物学的理由やこれまでの歴史の上に生き、稼ぐためよりも生きるために仕事をしている訳で、そこの部分をすっかり抜かして話していて、私には理解できない。ただ、他人と違わないようにと生き、安全と思わされているレールの上に留まることを「人並みの幸せ」と盲信してしがみつく生き方からは離れるべきとの考え方には賛成だ。人間はもっと別の方向に、別の意味で幸せになれるよ。
読了日:06月15日 著者:堀江 貴文,落合 陽一
魅惑の黒猫 知られざる歴史とエピソードの感想
贈られた本。黒猫の写真のひとつひとつが悶絶級の可愛さ。どの写真もうちの子に似て見え、世界一可愛い。とかく不吉な迷信、それに伴う迫害の歴史が黒猫のイメージと言われるが、主に西洋のものだ。日本や世界全体で見れば良い迷信も悪い迷信も、他の色の猫同様、均衡しているのではないかな。ただ、黒猫は譲渡が難しい、ハロウィン前は虐待回避の為に譲渡を避けるなど、悲しい現実は今もあるようだ。黒猫以外の猫全体の話題にすり替わっていたり、果ては「黒猫」他文芸作品を丸々引用するなど、黒猫だけで1冊の本にしようとした企画自体が苦しい。
読了日:06月15日 著者:ナタリー・セメニーク
暴政:20世紀の歴史に学ぶ20のレッスンの感想
蓮舫氏お勧めの本。著者はトランプ大統領統治下のアメリカを念頭に書いているが、少なからず日本にも当てはまり、目次を概観しただけで溜め息が出る。ジェファーソンの時代の格言『不断の警戒は自由の代償だ』が頭に残った。この場合の警戒対象は、諸外国ではなく自国内だ。一見平和でも、為政者を始め、世間の不穏を見逃しては取り返しのつかないことになる。そして、父祖が戦後築いてくれた法律や制度を含むシステムは万能ではない。自動的に私たちを守ってくれるとどこか思っている、それは確かに現代日本人の慢心の、ひとつの原因だと思った。
読了日:06月15日 著者:ティモシー・スナイダー,Timothy Snyder
未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA)の感想
久々の爆読寝不足系。私は海外拠点を持つ企業の内実も知らなければ、マクベスを読み込んでもなく、もちろん裏社会を知らず、香港と上海と澳門の区別も覚束ない。だからこそ茫漠と、物語だけを楽しめた。マクベスの筋をなぞることでこの物語は成立しているのだが、「あなたは王になって旅に出なくてはならない」という占い師の予言は、私にはそれとは別物としても秀逸に感じる。そして『偶然を偶然としか考えない立場と、偶然にさえ、そこに隠された必然に怯える立場の違い』というマクベスにも伏流するテーマに、彼も飲み込まれてしまったのだ。
読了日:06月13日 著者:早瀬 耕
香川県 雑学読本―これだけ知ればあなたも讃岐人の感想
これも亡祖父の本棚から拝借。小ネタ雑学集だが、著者が地元在住の好事家らしく、過剰にローカルな話題が多く面白かった。例えば「○○町△△の××さんの持っている山にはたくさん生えており…」みたいな話は、どこから仕入れてきたのだろう。平成の初期、小豆島のオリーブ産業が縮小傾向にあったことや、JR端岡駅南の道脇に養蜂者により蜂魂碑が建てられたこと、讃岐三白"砂糖・綿・塩"の話も興味深い。また、明治初期の調査では、香川県民の主食は通常は麦七分、米三分であり、島では麦だけ、芋、粟の所もあったそうだ。無論うどんではない。
読了日:06月08日 著者:阿津 秋良
西南シルクロードは密林に消える (講談社文庫)の感想
アヘン王国に続く、主にミャンマーもの。国家制度により国境を引いた結果、共通の文化を持つ民族が分断された様子が見える。しかし、同じは同じなのだ。展開が巧みで、行ったことがない私でも「東アジア文化圏」「同じモンゴロイド」という大きな視座が芽生える。それにしても、高野さんの高い教養と、後先顧みず飛び込む習性は、それぞれの土地での肌感覚を統合・比較するとき大々的に化学反応を起こすのだろう。ゲリラの存在は民族の結びつきの強さと表裏で、独立=国家政権打倒=革命=希望の構図は人間にとって原始の性質なのだろうか。大作!
読了日:06月07日 著者:高野 秀行
生命の逆襲の感想
『自然は動的平衡の網の目から成り立っています』。AERAコラムの書籍化。一篇4ページのエッセイは、身近な話題や時事ニュースを取り上げてわかりやすく解説してくれる。それにしては過激な書籍タイトルなのは、現代の潮流に警鐘を鳴らしたい思いがあるからだろう。著者の文章には一貫して生物への崇敬がある。そしてそれは、人間がおいそれと「解明した」と断言し、「解決策を見つけた」と決めつけてはいけない、深遠な世界の自覚でもある。その姿勢が私には心地よい。ミツバチが減っている現象も、やっぱり人間のせいらしいぜ。学習しないね。
読了日:06月04日 著者:福岡伸一
注:
はKindleで読んだ本。
それを片っ端からかじり散らしているような読書だ。
さすがに疲れた。
ノンフィクションの疲れと小説の疲れは違う。
しかし、脳の一部を尖鋭化させる作業を伴うのは同じだ。
少し、ぼんやりいこう。
<今月のデータ>
購入11冊、購入費用13,100円。
読了13冊。
積読本114冊(うちKindle本24冊)。

6月の読書メーター
読んだ本の数:13

雑誌の連載だっただろうか。陰湿で、艶めかしくて、狂気じみた物語は、横溝正史の世界の王道だ。陽の当たりそうにない事件の真相への、読む者の好奇心を的確に誘う。妖しさを醸す小道具は言うまでもなく、音、色、形、臭いまで、五感を絡め取られて、ついどっぷり読まされてしまう。『何かしら日陰の湿地で熟れ崩れた果実のようにすえたにおいのする美しさ』とは、これらの物語たちをずばり言い当てた形容じゃないだろうか。Kindleではなく、思わず汗がじっとり滲みそうな手で紙のページを押えつつ、部屋の隅で密かに読みたい。
読了日:06月29日 著者:横溝 正史


Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任。「自然環境や社会環境へのダメージを少なくし、社会から信頼される会社を作るための持続可能なマネジメントの手法」としてEUで立案された。と言えば拒否感が半端ないが、つまり「三方良し」の思想だ。ISO26000に沿って大幅改革するより、小さな選択の積み重ねとして浸透させたい。要素のうち、・組織統治・人権・労働慣行・環境・公正な事業慣行・消費者問題・コミュニティ参画と開発はうちも該当する。ひとつずつ詰めていく、まずはエコアクション。
読了日:06月28日 著者:足立 辰雄

シンデレラと題されれば、読者は泉をシンデレラに照らし合わせて読む。幸せになってほしいと読者が願える主人公。ちょっとヘンだけど、女らしい嫌らしさの全く無い女の子。しかし女がより良い伴侶を勝ち取って幸せに暮らそうと闘争する世界では、泉は完全に異物なのだろう。言うまでもなく現実でも。外界から来て泉に出会った人は泉を好ましく思う。その落差が際立っていた。泉は冒頭から不穏な陰を漂わせていた。幸せになってほしい願いは見事裏切られる。姫野カオルコは人の歪さ、醜さをすっぱりと書く。しかし毒々しくはない、そこが私は好きだ。
読了日:06月27日 著者:姫野 カオルコ

NPO法人JCCPは人材育成を通じた紛争解決と紛争予防の活動をしている。というと難しげだが、臨場感のあるエピソードでわかりやすい。『日本が言うから、信頼して武器を差し出すんだ』。平和で裕福な、そして武力を持たない国の人間だからこそできることがあると気づかされる。こういう日本人の活動を知らないことが、資金協力や自衛隊派遣以外の国際貢献を選べることに気づけない理由のひとつだ。日本人のリテラシーを育てるために、将来を選ぶ若者が「人並み」以外の道を知り「自由に行動できる権利」を行使できるために。お薦めしたい本だ。
読了日:06月23日 著者:瀬谷ルミ子


場面設定自体が特異だが、まず周りは言葉の通じない外国人ばかりで、部屋には同胞が8人いて、そこでどんな過去を語るだろう。命が助かるかもしれない。助からない可能性も高い。そのような状況下で出る言葉が「祈り」に近づくのは間違いないだろう。しかし、もし私だったら、過去の、ふとすれ違っただけの、名も知らぬ人とのエピソードを思い出したりはしないんじゃないか。人質たちの語る話がしっくりこなかった。そんなときだからこそ、他人とのつながりに思いを託すものだろうか。あるいは忘れられたくない願いの証左にすがったのだろうか。
読了日:06月19日 著者:小川 洋子

昭和36年、米軍占領下の沖縄へ岡本太郎は渡る。戦中の悲惨、戦後の土地接収はもとより、戦前の文化剥奪、薩摩藩と王府による人頭税、台風、マラリアと沖縄は奪われ続け、「無い」のが標準とはやりきれない。著者は言う。無いから生まれる唄や踊りが美しい。無いから純粋に胸を打つ。「なんにもない清らかさ」を理解できることが、日本人古来の魂の存在を証明すると。御嶽のように、日本人も昔、なにもない場で祈っていた。自然の樹木。石。そこに人と神とをつなぐ道を見つけられるから、物々しい社や道具は必要なかったという指摘が印象的だった。
読了日:06月17日 著者:岡本 太郎

時代の寵児のおしゃべり本。論拠があって言っているわけではない。巻末の参考文献の少なさときたら。人が生きることの上っ面だけをかき回しているというか、人間は生物学的理由やこれまでの歴史の上に生き、稼ぐためよりも生きるために仕事をしている訳で、そこの部分をすっかり抜かして話していて、私には理解できない。ただ、他人と違わないようにと生き、安全と思わされているレールの上に留まることを「人並みの幸せ」と盲信してしがみつく生き方からは離れるべきとの考え方には賛成だ。人間はもっと別の方向に、別の意味で幸せになれるよ。
読了日:06月15日 著者:堀江 貴文,落合 陽一

贈られた本。黒猫の写真のひとつひとつが悶絶級の可愛さ。どの写真もうちの子に似て見え、世界一可愛い。とかく不吉な迷信、それに伴う迫害の歴史が黒猫のイメージと言われるが、主に西洋のものだ。日本や世界全体で見れば良い迷信も悪い迷信も、他の色の猫同様、均衡しているのではないかな。ただ、黒猫は譲渡が難しい、ハロウィン前は虐待回避の為に譲渡を避けるなど、悲しい現実は今もあるようだ。黒猫以外の猫全体の話題にすり替わっていたり、果ては「黒猫」他文芸作品を丸々引用するなど、黒猫だけで1冊の本にしようとした企画自体が苦しい。
読了日:06月15日 著者:ナタリー・セメニーク

蓮舫氏お勧めの本。著者はトランプ大統領統治下のアメリカを念頭に書いているが、少なからず日本にも当てはまり、目次を概観しただけで溜め息が出る。ジェファーソンの時代の格言『不断の警戒は自由の代償だ』が頭に残った。この場合の警戒対象は、諸外国ではなく自国内だ。一見平和でも、為政者を始め、世間の不穏を見逃しては取り返しのつかないことになる。そして、父祖が戦後築いてくれた法律や制度を含むシステムは万能ではない。自動的に私たちを守ってくれるとどこか思っている、それは確かに現代日本人の慢心の、ひとつの原因だと思った。
読了日:06月15日 著者:ティモシー・スナイダー,Timothy Snyder

久々の爆読寝不足系。私は海外拠点を持つ企業の内実も知らなければ、マクベスを読み込んでもなく、もちろん裏社会を知らず、香港と上海と澳門の区別も覚束ない。だからこそ茫漠と、物語だけを楽しめた。マクベスの筋をなぞることでこの物語は成立しているのだが、「あなたは王になって旅に出なくてはならない」という占い師の予言は、私にはそれとは別物としても秀逸に感じる。そして『偶然を偶然としか考えない立場と、偶然にさえ、そこに隠された必然に怯える立場の違い』というマクベスにも伏流するテーマに、彼も飲み込まれてしまったのだ。
読了日:06月13日 著者:早瀬 耕

これも亡祖父の本棚から拝借。小ネタ雑学集だが、著者が地元在住の好事家らしく、過剰にローカルな話題が多く面白かった。例えば「○○町△△の××さんの持っている山にはたくさん生えており…」みたいな話は、どこから仕入れてきたのだろう。平成の初期、小豆島のオリーブ産業が縮小傾向にあったことや、JR端岡駅南の道脇に養蜂者により蜂魂碑が建てられたこと、讃岐三白"砂糖・綿・塩"の話も興味深い。また、明治初期の調査では、香川県民の主食は通常は麦七分、米三分であり、島では麦だけ、芋、粟の所もあったそうだ。無論うどんではない。
読了日:06月08日 著者:阿津 秋良

アヘン王国に続く、主にミャンマーもの。国家制度により国境を引いた結果、共通の文化を持つ民族が分断された様子が見える。しかし、同じは同じなのだ。展開が巧みで、行ったことがない私でも「東アジア文化圏」「同じモンゴロイド」という大きな視座が芽生える。それにしても、高野さんの高い教養と、後先顧みず飛び込む習性は、それぞれの土地での肌感覚を統合・比較するとき大々的に化学反応を起こすのだろう。ゲリラの存在は民族の結びつきの強さと表裏で、独立=国家政権打倒=革命=希望の構図は人間にとって原始の性質なのだろうか。大作!
読了日:06月07日 著者:高野 秀行


『自然は動的平衡の網の目から成り立っています』。AERAコラムの書籍化。一篇4ページのエッセイは、身近な話題や時事ニュースを取り上げてわかりやすく解説してくれる。それにしては過激な書籍タイトルなのは、現代の潮流に警鐘を鳴らしたい思いがあるからだろう。著者の文章には一貫して生物への崇敬がある。そしてそれは、人間がおいそれと「解明した」と断言し、「解決策を見つけた」と決めつけてはいけない、深遠な世界の自覚でもある。その姿勢が私には心地よい。ミツバチが減っている現象も、やっぱり人間のせいらしいぜ。学習しないね。
読了日:06月04日 著者:福岡伸一
注:

Posted by nekoneko at 09:36│Comments(0)
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