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2020年04月01日

2020年3月の記録

読み終わった本で手放したくないものは、実家で住んでいた部屋にそのままにしてあった本棚に送り込むことにしていた。
その部屋が父に接収されるに至り、今や本が溢れ出た本棚が災害時には凶器になるだろうことが予想されるため、本棚よりもむしろ搬入出しやすい紙箱がよかろうと、ジャンル別に詰めて納戸に仕舞うことにした。
まあ、あるわあるわ。
今後を考えればあんまりぎちぎちに詰めるのも賢くない、とはいえ、数えると19箱。
手放したくないこの気持ちは物欲なのだろうか。

2020年3月の記録


<今月のデータ>
購入10冊、購入費用9,685円。
読了9冊。
積読本202冊(うちKindle本88冊)。

ブック

3月の読書メーター
読んだ本の数:9

幸せな牛からおいしい牛乳幸せな牛からおいしい牛乳感想
牛乳は買えば飲めるのが当たり前で、賞味期限を延ばしコストを抑えるための不自然な手法を私は初めて理解した。乳脂肪分を上げ、低価格を補うために大規模化した酪農業が、牛を過剰に抑圧していると知った。しかも輸入飼料に過剰依存。著者は自然放牧酪農の牧場主である。自然交配、自然分娩、自然哺乳。放牧牛は医者要らずとは聞いていたが、なんと分娩も母牛単独でこなすとは、驚いた。どれだけの英知が牛の遺伝子に詰まっているのだろう。一方、荒れた里山や山地に牛を放牧することにより、余分な植生を抑え、獣害を減らす利点にも言及している。
"物価の優等生"と呼ばれる牛乳の真実は鶏卵のそれと酷似している。『牛舎という工場で、牛というロボットに、輸入飼料という原材料を用いて、牛乳という工業製品を生産させているのが、日本の酪農の実態である』。
読了日:03月26日 著者:中洞 正

下町ロケット ヤタガラス下町ロケット ヤタガラス感想
よくもこれだけ憎たらしいキャラを集めたものだ。登場人物も多く、問題も山積みで、それらを収めるところに収めるべく、前巻よりも沁みるポイントが少ない感は否めない。ともあれ読者が求めるカタルシスは得られた。伊丹のことを考える。さほど若くもない、真っ当を知っている男が、あのように人を突き放すものだろうか。あるいは、そうさせるほどの感情とはどんなものだろうか。自分はそんなものに囚われない。と思っているが、ひょっとすると程度の差はあれどありふれたことかもしれないと、自戒してみたり。失うものの大きさは計り知れんでね。
読了日:03月22日 著者:池井戸 潤

そもそも島に進化あり (生物ミステリー)そもそも島に進化あり (生物ミステリー)感想
鳥類研究者にとって島は"すべての生態系の箱庭的存在"。島の成り立ちから生物相の特徴まで説明が詳しい。島は種数が少なく、アンバランス。天敵のいない環境で生育する動植物は、防御性能が低いほうへ種を進化させる。だから侵略者は固有性の高い植物を選んで食べるそうだ。つまり絶滅しやすい。研究者は研究対象を守るために外来種駆除をしなければならない。そのため外来種問題は他人事でなく、これについても詳しく書かれているのでいくつか疑問が解けた。あと「パシフィックリム」は『地球規模での外来種問題が描かれた普及啓発映画』である。
さて外来生物問題。外来種は悪者と単純化されて議論になりがちだが、これには理由があるという。研究や生態系を守る事業には税金を使うことになる。税金を使うには一般国民の理解を得なければならず、その図式は単純で分かりやすい必要があった。これが結果的に、それで全てだと誤解を招いた、と著者は言う。生態系は単純ではない。問題はある。捕食者であれ、島に根付いてしまえば新しい生態系の動的平衡が生まれる。今日ではこの問題にも一定のコンセンサスが得られるようになったので、もっと深化させた理解も可能であり、また必要なのだろう。
読了日:03月20日 著者:川上 和人

アドベンチャーレースに生きる! 田中正人×田中陽希 百名山ひと筆書きへの挑戦はEAST WINDのためだったアドベンチャーレースに生きる! 田中正人×田中陽希 百名山ひと筆書きへの挑戦はEAST WINDのためだった感想
「イーストウインドは田中塾」。アドベンチャーレースチーム“イーストウインド”の成り立ちがよくわかる。中でも田中正人は、テレビの放映の中で「人じゃない」とさえ感じる言動をとるが、理系脳の彼も彼なりに悩み、ビジネス書を読み、気を使って発言しているらしいとわかって納得した。3百名山の放映で田中陽希が「まだ戻らないよー」といったような発言をしていた意味合いも、これを読んだ後ではニュアンスがくみ取れる。レースやチャレンジに同行するカメラマンの存在感は大きい。レーサーと同程度の身体能力を持ってないとそら無理やわな。
読了日:03月19日 著者:田中 正人,田中 陽希 ファイル

ゴリラの森、言葉の海ゴリラの森、言葉の海感想
ゴリラはチンパンジーやオランウータンと同じくヒト科に属す。言葉を得たヒトと、言葉を持たないゴリラ。そのこと以外がとても似ているから、ヒトの論理でゴリラを考えたり、ゴリラにヒトの理想を投影したりするのだろう。言葉よりも『接触や行為のほうが信頼の手がかりになる』。ゴリラと長い時間を過ごし、言葉でない手段でつながりあうことを知っている山際さんと、言葉を紡ぐことによって人間の心を表現しようとする小川洋子の立ち位置は対極と言ってよいもので、ゴリラの生と人間の本性を行き来しながらなされる対話は興味深い箇所が多かった。
読了日:03月14日 著者:山極 寿一,小川 洋子

下町ロケット ゴースト下町ロケット ゴースト感想
池井戸作品を読む醍醐味は、様々な立場の人の視点を疑似体験させるところだ。この立場ならこう考える、こう感じると脳内でシュミレーションすると本気で疲れるが、そのうちに現実の出来事に思いが及び、相手はあの時こう考えたのではなかったかと新しい気づきを与えてくれるのだ。仕事に没頭する楽しみ、取引の長さへの慢心、失敗の痛み、仕事への熱量こそが生む怒りと、その落とし穴。この物語のいちばんの見せ場は裁判の場面だが、その他の色々が心に沁みすぎる。帯の意味は最後の最後にわかる仕掛けになっていて憎い。次作が楽しみで仕方ない。
読了日:03月14日 著者:池井戸 潤

汚れた桜 「桜を見る会」疑惑に迫った49日汚れた桜 「桜を見る会」疑惑に迫った49日感想
今の日本の"忖度"風潮の中で、新聞記者が矜持を懸けて取材した内容を書籍化したとあれば読むしかないではないか。『桜を見る会で何が起きたのか、そもそも何が問題なのか』。デジタル時代の新聞社のありかたを模索する中で、毎日新聞はこの事件について日々の詳報をネット上で報道し続けている。事実の積み重ね、正確な記録が持っている力こそが大きい、それを踏まえて国民は正しく選択できると私は信じたい。私たちはちゃんと監視しているという姿勢を政権にもメディアにも見せることだな。事件が終わらない以上、途中経過である点は注意。
"長期政権の緩み"という表現が気持ち悪い。緩みは詰めの甘さを生むかもしれないが、緩んだら白が黒になったり縞になったりするのか。安倍や菅のような人間が身近にいることを想像してみるといい。毎日言うことが変わり、嘘をつき、態度を変えるのではそもそも人として信用できない。既に払ってしまった税金の使途は実感を持って感じづらいかもしれないが、今回の新型コロナウィルスへの場当たり的で論理的思考に欠けた対応は、物理的金銭的心理的にも、日常に直に影響を感じざるを得ない。この政権に致命的な鉄槌となることを心から願う。
読了日:03月10日 著者:毎日新聞「桜を見る会」取材班 ファイル

東の果て、夜へ (ハヤカワ・ミステリ文庫)東の果て、夜へ (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
ハードボイルド、と形容したいような物語だが、この兄弟がまだ10年ちょっとしか生きていないという設定に殺伐とした気分になる。その筋ではいっぱしのメンツでも、アナグマも北斗七星も自分のことも知らないひょろひょろの少年なのだ。ペリーは雇用者として褒められたものではない。しかし彼には初めての温かい居場所、温かい食卓だった。「ありがとう」のカードにじんとくる。彼は東へ向かう。東はアメリカにとって始まりの地だと思い至り、その暗喩を考えるのも楽しかった。アメリカという国のことをもっと知っていると、より楽しめそうだな。
読了日:03月08日 著者:ビル ビバリー ファイル

大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実 (光文社新書)大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実 (光文社新書)感想
『私たちは捨てすぎている』。衣服と食物の大量生産と大量廃棄が繰り返される、日本の現実。それは深刻な労働問題や環境問題が切っても切れない関係にある。同じ世代の著者二人の方向性は、私にはわかりやすかった。現実を知れば、買い方も捨て方も変わる。現状が持続不可能というだけでなく、何がどのように処理されている(または処理しきれずに積み上げられている)のかを知れば、自分がどうすべきかがわかる。『みんな知ることさえできれば、気配りができるのです』。安いモノがもてはやされる日本全体の雰囲気に対し、新たな動きはまだ小さい。
ビジネスの観点から。下請けの零細企業や外国人研修生を搾取するやり方の上にしか、今のアパレル業界は存続できない。これはおかしい。補助金や制度が中小企業の延命を図っても、結果的にその上にアパレル企業が変わらずあぐらをかいているなら、D・アトキンソンの指摘どおり、社会の為にならない。また、『廃棄物リサイクルの業界は、縮小均衡でええんです』というリサイクル会社社長の言葉。ごみ収集業者の話でも感じたことだが、日々廃棄物と向き合っている人は正しく現実を見ている。外国に輸出してしまえば万事OKなんてごまかしでしかない。
他方、一個人として。ファストファッションは買わない。フェアトレードの服はTPOが限られる。アウトドアファッションばかり着てもいられない。では百貨店で定価で服を買うか? それは問題の先送りにしかならない。結局、ほどほどに環境対策を謳い、ほどほどの値段でしっかりしたつくりの服を売るブランドのものを、心掛けて長く着るという選択にならざるをえない。綿、ウールは比較的リサイクルしやすい。ポリエステル混合のものはリサイクル不能品になりやすく、サーマルリサイクル=焼却になる。資源ごみよりも再利用か寄付か店のボックスへ。
読了日:03月06日 著者:仲村和代,藤田さつき ファイル


注:ファイルはKindleで読んだ本。


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