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2020年06月01日

2020年5月の記録

読みに読んだ1か月だった。
読みすぎて、目が文字の上を滑り始めた。
落ち着くのを待たないと、これ以上読めないっていうのも満足至極。
今月は右脳系の本をゆったり読もう。
引きずり込まれるようなのがいいな。

<今月のデータ>
購入15冊、購入費用16,795円。
読了19冊。
積読本210冊(うちKindle本90冊)。

ブック

5月の読書メーター
読んだ本の数:19

寄付をしてみよう、と思ったら読む本寄付をしてみよう、と思ったら読む本感想
寄付が必要な分野は、行政が行き届かない状況にある問題、行政と違うやり方の方が効果的な問題、社会が十分に認識できていない問題だという。政府がポンコツに思える今は特に、民の力を育てる機会なんだろう。政府が全てやってくれると思うから、なにもしないで文句を言うのだ。行政と企業とNPOにはそれぞれ役割がある。「微力でも集まれば世の中を動かせる」確信がある人は強い。提案される「共感×解決策」に共鳴できたら、どんどん乗っかっていこう。漫然と税金を納めるより、世の役に立ってる気がしてくるし、無駄な物買わなくなったなあ。
阪神や東日本の震災、新型コロナなど突発的な災害が契機にもなって、日本人は自分のお金を他人に役立ててもらうことに馴染み始めているとは思う。私の特別定額給付金10万円は寄付で使い切った(まだもらってもないけど!)。リターンがあるものもないものもある。リターンを喜ぶのは悪いことではないんだね。お金を有効に使ってくれる団体かどうか、それだけは見極めなければならない。『寄付や社会事業とは未来への投資』。最近は様々な団体が増えて情報が伝わり渡りやすいぶん、活動の質も千差万別なのだろうと想像されるから。
今の日本政府は軍需企業の株を大量に税金で購入保持しているし、銀行はせっせと金を貸し付けて利子を稼がなきゃ存続できない時代。日本初の銀行の理念を聞いてあまりの高邁さに腰を抜かしそうになりましたよ。『一個人や一企業が利益を独占するのではなく、社会に還元してみんなで共有することで、国が全体的に豊かになり、築いた富が永続する』。渋沢家は凄いな。ビジネスと社会貢献は背反しない。営む業種がSDGsに資することはそれはそれで重要だが、企業としての寄付というのもあって、優遇税制とうまく組み合わせるのは有りだと思う。
読了日:05月30日 著者:渋澤 健,鵜尾 雅隆 ファイル

第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)感想
Facebookで"ブックカバーチャレンジ"なるものに誘われ、7日間毎日好きな本の表紙を投稿した。写真を工夫したり、本の内容には触れない、でも思いが伝わるような短い文章をつけたりの作業は楽しかった。又吉は「本を好きになってほしかった」と言う。又吉が読書へのきっかけになる人がいることを自覚しているからだ。その姿勢の真面目さに、共感するし、好意を新たにする。幼少からのどっぷりな読書経験が興味深い。しかし彼の感性と私のそれが徹底的に違うと、「読書芸人」を観てよく判っているので、読みたい本登録は控えめにしておく。
読了日:05月28日 著者:又吉 直樹

「畳み人」という選択 「本当にやりたいこと」ができるようになる働き方の教科書「畳み人」という選択 「本当にやりたいこと」ができるようになる働き方の教科書感想
「畳む」という概念が面白い切り口。畳み人とはビジネス戦略を発想する広げ人と、実行部隊をつなぐ、マネジメントのできるゼネラリストである。職位としての中間管理職とは違う。単にデキるヤツとも違う。広げ人のアイデアがどれだけ突飛でも、可能性があるなら、一緒に面白がり、手間や時間をもったいながらず、全力で実行する。しかし裏では冷静に検討して現実的な案に落とし込む策士。一人で広げて自分で畳むのだと中途半端になるという所感は興味深い。畳み人がいるから広げられる。広げ人がいるから全力で畳める。こういう関係は強いなあ。
同時に、時代の寵児故の危うさも思う。広げ人/畳み人は箕輪氏のネーミングだ。この本も畳みスキルネタの営業活動の一環である。幻冬舎を時代の産物と、つい斜に見るのは聞こえてくるゴシップと無関係ではない。ご本人の労力はそれは人並み以上だったろうが、たまたまうまくいった、性格が向いていた、時代の波に乗った物の見方を厭わなかった、といった懐疑的な見方はあえて持っておきたい。マイナビや幻冬舎の看板あればこそ、立場の弱い者相手に横車を押すような遣り方だって無かったはずはないのだから。
読了日:05月25日 著者:設楽 悠介 ファイル

顔の読み方 (平凡社新書0910)顔の読み方 (平凡社新書0910)感想
私が他人と出会ったとき、表情や服装などの非言語的兆候からその人について瞬時に判断しており、同時に顔かたちも判断要素である。そこを体系知識化したのが観相なのだろう。漢方医学の診察が人を外から見るところから始めるなら、観相は職域である。だからといってその知識=データの蓄積からAIで人間を判断できる時代へと言われると仰天してしまうな。だって、本当の知識が活字となり公になっているものはせいぜい7~8割と丁先生自身が言っている。それ以外の部分、人間の肌感覚もAI化できちゃうってことになりますよ。それって気持ち悪い。
読了日:05月24日 著者:丁 宗鐵 ファイル

カラスは飼えるかカラスは飼えるか感想
カラスにとどまらない、生き物エッセイ。サルやハヤブサの話題も興味深いが、「カラスの教科書」以来、カラスの魅力をわかりかけている身には少し物足りない。韓国のカササギや日本のツバメに比べてカラスは人気がない。人間の作った環境の中で生きることが得意なカラス故に、人間に憎まれるのも因果なものだと、著者の執拗な恨み節を読みつつ思う。近所のごみステーションに来るカラスを観察したり、ゴミをほじくり返すのを念入りに片づけたりしていたら、あまり見かけなくなった。これは敬遠されていると知り、カラス道の難しさを味わっている。
読了日:05月24日 著者:松原 始

季刊 環境ビジネス『ESG、SDGsに効く 攻めの脱炭素ビル・オフィス戦略』(2020年春号)季刊 環境ビジネス『ESG、SDGsに効く 攻めの脱炭素ビル・オフィス戦略』(2020年春号)感想
世界的にSDGsの取組みが推進される以上、資本主義社会においては環境対策への需要を満たすべくビジネスが乱立している。それが本当に環境のためになるかは別にして、先進的な話題を得ておくことは大事だろう。ZEBでも小さな企業ほど"Nearly ZEB"を目指しやすいことや、再エネコストの動向、脱プラスチックへの各国の取組みは興味深かった。イタリアはゴミ危機を乗り切るため、有機ゴミを分別収集し始めた。袋は生分解性プラ製で、それごと大型コンポスト施設で堆肥化する。大逆転の成果に感嘆した。竹村公太郎氏の連載が面白い。
読了日:05月21日 著者:

話すチカラ話すチカラ感想
夫から手渡され、話が尻切れとんぼになったり辻褄が合わなかったりする私の話し方をなんとかせよという意味かと思ったので、急いで読んだ。主に人前でのスピーチや場の進行、初対面の相手との話し方である。安住アナの「人前で話すときはあえて高めの声がいい」が収穫だった。人に話を聞いてもらいやすいという。経験から言うと電話で相手を威圧するときは低い声の方が効果的なのだが、それは相手が集中して聞いてくれている時だからだそうだ。つまり使い分け。いわゆるキンキン声は耳障りだから、緊張の混じらないフラットな高さということだろう。
読了日:05月19日 著者:齋藤 孝,安住 紳一郎

白墨人形白墨人形感想
『If you like my stuff, you'll like this』。あとがきにあるように、私もキングのSNS投稿を見て手を出した一人だ。私と同じくらい長くキングファンだという著者が書いた物語からは、当然キング臭がぷんぷんする。練られたミステリの趣向に、キングの多用するモチーフ。だからこそ余韻の違いが際立つのだ。キングの物語は愛ゆえの哀しみがその凄惨や生臭さを圧倒する。この物語の、それぞれの人物が持つ秘密は、人を孤独にはしても、結びつきを深めることはなく、失うばかりでいたたまれなかった。
読了日:05月19日 著者:C・J・チューダー ファイル

プリンシプルのない日本 (新潮文庫)プリンシプルのない日本 (新潮文庫)感想
『将来の日本が生きて行くに大切なことは、全部なら一番いいのだが、なるべく多くの人が、日本の国の行き方ということを、国際的に非常に鋭敏になって考えて行くことだ』。白洲次郎が現代でSNSなどやったら、それは数多のフォロワーがつくだろう。ほんとうに格好いい。先見の明があって、理路が整って、原理原則を見失わずに話ができる。しかも茶目っ気まで持っているとは、どうやったらそんな男が日本に生まれるのか。昭和30年頃から40年代に雑誌に掲載された文章。まるで今の日本の話をしているようでもあり、読みやすい。惚れます。
昭和30年頃の日本は行き詰っていた。『終戦直後の真剣な気持も朝鮮戦争のアブク銭のお蔭ですっかり消え失せ、何かこの敗戦破産経済も大体頬かむりで何とかなるとの神風期待論法でこの二、三年ごまかし一点張りでやって来たが、矢張りごまかしはごまかしで、愈々本格的に立直りに踏み出すべく余儀なくされかけたのが現在のほんとの姿ではあるまいか』。この国は変わらん。終戦を震災、朝鮮戦争をオリンピックと置き換えればまさに現在で、二、三年どころか二、三十年も時間と金を空費してきた。そのうえ、三権分立まで今失おうとしているとは。
読了日:05月18日 著者:白洲 次郎

ねことねこねことねこ感想
絵本原画ニャー!展を観てきた。猫の出てくる絵本の原画やラフスケッチなど、猫好きにはたまらん展示で、舐めるように鑑賞した後、グッズと一緒に買い込んだ絵本。作品それぞれに味があるけれど、やっぱり町田尚子さんの猫はたまらんなあ。一匹たりとも同じ猫はいない。それぞれの猫への観察力と、眼の描き込まれ方が素敵だ。この絵本はストーリー性や背景があまりないぶん、描かれた猫に見入ってしまう。もうじき2歳になる姪の英才猫教育に与えようと意気込んでいる。
読了日:05月17日 著者:町田 尚子

読まない力 (PHP新書)読まない力 (PHP新書)感想
巷の雑多な時事を扱った、養老先生には珍しい時評集。20年近く前の話題が古びて感じないのは、養老先生が言うことが変わらないからか、人間というものが変わらないからか。ちょうどSARSやMARSの頃で、それについても触れていて、各国の統計数値がおかしいのは今に始まったことではないと再認する。私も、世の一つ一つの出来事について怒ったり嘆いたりせず、自分の軸で判断した後はすっぱり割り切って行動する年代に差し掛かったのかもしれない。『一段先を考えるのは、たった一段階なのに意外に難しい』。でもその一段がめっちゃ大事。
この数日の報道、やはり腹は立つ。歴史が繰り返している愚行の相似形は頭に留めつつ、怒るべきだし、声は上げるべきだと改めて思った。今生きている日本人の責務だと思った。『一段だけでもいい。先を考えておくれ』。感想に引用したのと同じ文章に書かれた、この部分がしきりと思い出される。割り切った、捉えようによっては突き放したような言い方をよくなさる養老先生だが、今よりお若い出版当時の思い、心底に持っている本当の思いはここにあるのだ。
読了日:05月16日 著者:養老 孟司 ファイル

ソラリス (ハヤカワ文庫SF)ソラリス (ハヤカワ文庫SF)感想
1961年、ポーランドの作家による小説とあとがきで知った。言われてみれば、装備が若干古びている感じがしなくもない。この物語で存在を主張する者は、もちろん海だ。地球人たちはあれこれ実験と思索を重ねて微細に描写するけれど、海は単に散漫なだけだ。だって長い間ずっと独りだった訳だし。変なのが現れたからって、気まぐれに手遊びしてみただけで、どこまでも地球人たちの一人相撲。様々な要素を含んだ物語であることが長く支持される理由だそうだ。私にはその空疎、空回りが諸般の事共に通じて印象的だった。地球人って面倒くさいね。
読了日:05月10日 著者:スタニスワフ・レム ファイル

2030年の世界地図帳  あたらしい経済とSDGs、未来への展望2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望感想
新型コロナによりこの予想未来図は大幅に書き換えられると直感したので、そのうちといわず取り急ぎで読了した。人間の世界を考える材料として、興味深い現象がいくつかあった。しかし何か見落としているようで、腹に沁みてこない。事実に基づいた予測情報としては正しいだろう。ただおそらく、本著の言葉を借りると『人類を主体として現状を捉えること』の、人類という地球の一部だけを俯瞰で見ることの歪さが気持ち悪いのだ。新型コロナによる影響としてはグローバリズム、中でもモノづくりや食料調達のスキームについて見直しを迫られるだろう。
著者と池上彰氏の対談のかみ合わなさも留意しておきたい。これも主義主張が相容れないというよりは、視点の置き方に差異があるからと思われる。昨夜、テレビの報道番組に出演していたが、他の出演者の発言に首を傾げたり、正確を期すように言葉を選びながら発言する様子は、好感の持てるものだった。
読了日:05月08日 著者:落合 陽一

バンクシーを読む (TJMOOK)バンクシーを読む (TJMOOK)感想
バンクシーが日本で広く認知されたのは、私同様2018年のシュレッダー事件のときだったようだ。そのときは奇矯なことをするものだと思っただけだったが、その後徐々に作品を知り、好きになった。『ニュートラルに生きてるだけじゃダメなんだよ。資本主義の世の中では、普通に生きているだけで、誰かを抑圧していることになる』。ユーモア、シンプル、サプライズ。愛ある"アート・テロリスト"。今年日本で予定されていたバンクシー展はどうなるんだろう。バンクシーは「会場」で「作品」が「展示」されることをどう思ってOK出したんだろう。
読了日:05月06日 著者:

軽装版 風と行く者 (軽装版 偕成社ポッシュ)軽装版 風と行く者 (軽装版 偕成社ポッシュ)感想
思春期のバルサ。長い旅で何人もの命を守ってきたバルサも、20年前はジグロたち大人に守られていた。一人前の護衛士らしく割り切って見せても、胸の内はじたばたしていたこと、周りの大人たちにはお見通しだったってことよね。物語を通じて、若者を見守る視線の温かさが常にあったと感じるのは、バルサと同年代だからか。『それにね、人ってのは案外、いくつになっても半端なものです。考えつくしても、いま、それしか見えないなら、選んだら、行くしかない』。歳を重ねたから見える景色を、若者の背を押すために伝える役割が、世の大人皆にある。
読了日:05月05日 著者:上橋菜穂子

新型コロナウイルスの真実 (ベスト新書)新型コロナウイルスの真実 (ベスト新書)感想
情報がこれだけ日々溢れると、自分の判断に自信が持てなくなる。感染症のプロに判断の軸を貰おうと思った。マスクをするよりも他人と距離を取る。家中を殺菌するよりも手指を消毒して鼻や口に触らないようにする。どうやら国の発表は政府であれ専門家であれ鵜呑みにはできないようだ。PCR検査が万能でないとはいえ、自分たちに都合のよいシナリオに合うようにデータや事実の解釈をして見せている疑念はやはり拭えなかった。自国のトップや省庁のアウトプットを信用することができないなんて、私たち日本人には本当に不幸なことだけれども。
読了日:05月03日 著者:岩田 健太郎 ファイル

オリーブ石けん、マルセイユ石けんを作る―「お風呂の愉しみ」 テキストブックオリーブ石けん、マルセイユ石けんを作る―「お風呂の愉しみ」 テキストブック感想
家にいる時間に石けんをつくろうと思い立つ。久しぶりなので、通読してみた。前田さんの文章は、丁寧で、優しくて、読んでいるだけで楽しくなる空気がある。それにこの写真にある石けんたちの断面の、なめらかで美しいこと。今回はオリーブオイルとマカダミアナッツオイル、ホホバオイルに、柑橘の香りを贅沢につけようと決めた。世間の雑事は忘れて、ゆったりと優しい気持ちで石けんづくりを楽しみたい。
読了日:05月03日 著者:前田 京子

科学的に見る SDGs時代のごみ問題科学的に見る SDGs時代のごみ問題感想
構成が散漫に感じられ、焼却や埋立は是と読める論調に苛々した。しかし整理すると、焼却や埋立は廃棄物が発生した以上、最終的には仕方のないことで、それをどのように減らすかが課題なのである。排出する不要物のうち、自然に還せたり資源としてリサイクルできるものを除いた残余が焼却や埋立になる。そう考えるとすっきりする。サーマルリサイクルは私はリサイクルとは認めない。なぜなら、焼却は資源を使って作った物を、灰と排ガスという無に変える行為だ。焼却ベースで、加えて熱を回収するので円満解決と考える思考軸は間違っていると思う。
そもそも自分たちが出すごみがどのように処理されるかを知りたかった。行政は「分けましょう、洗いましょう」と唱えるばかりで、処理の仕組みを知らなければ、ごみを排出する行動原理を変えることは難しい。行政が説明するべき要点を押さえないために生じる無駄は大きいんじゃないか。早い段階で分けることが大事なんだって言うべきだ。何が正しいか見えないから、行政への疑念ばかり膨らんで、結果的にごみ処理施設への誤解や感情的な拒否感を生んでいるように感じた。現代のごみ処理は思っていたより科学的で、許容できる程度にクリーンだった。
『真の排出量、リサイクル率を知ること、自治体が関与してリサイクル率を上げることは、本当に必要だろうか。また、排出量は資源化量を含んでおり、どれだけリサイクルを進めても排出量を減らすことはできない』と著者は指摘する。それはエコアクション21の活動の中で生じた私の疑問そのものであり、厚労省の対応をはじめ、エコアクション21には根本的な問題があるのではないかという考えが固まりつつある。大なり小なり役立つことはやるが、破綻した論理につきあう暇と金はない。いざとなればこちらから突き放すくらいの意識は持っておこう。
読了日:05月02日 著者:松藤 敏彦

働かないアリに意義がある (中経の文庫)働かないアリに意義がある (中経の文庫)感想
「働かない働きアリ」で話題になった本。今また読み直されてほしい。アリもハチもヒトも真社会性生物であり、社会を形成する種の論理は共通と考えて無理はない。中でも仕事への反応レベル=閾値の考え方は胸に刻みたい。物事への閾値が個体ごとに多様になることは、社会に必然なのだ。余力があるから非常時に対応できるし、個性があるから必要に応じて配置できる。人員を画一的に扱う/評価する志向性は、近視眼的な最適解の追求であり、短期的には利益につながるとしても、"未来の存続可能性"から離れる可能性が強い点は覚えておくべきだ。
『ミツバチにおいては、コロニーに見られる多様な個性の存在がコロニーの成長にとってメリットになると証明された』。なるほど。そこで、実際問題として働きの鈍い社員を許容できるかと問われると言葉に詰まる。この論理で考えると、まずは許容すべきだ。ただし働く意思は必要なのであり、もし他の社員が一杯一杯になっている状況になっても働かないとすればそれはチーター(ただ乗りする奴)なので、これは見切る。逆にチーターと分かった者を見切れなければ、その組織は存続の可能性を自ら削っているというべきだろう。
ビジネス理論の推す組織は、短期的視点に立って構成されていると推測できる。効率を最大限まで上げようとする努力は間違っており、長期ではかえって非効率であるという事実を、図らずもこの新型コロナにおける医療体制において証明してしまった。日本企業は生産効率が悪いと言われるが、一部にはこの要因も関係があるかもしれないと考えてみた。根拠は無い。ただ、社会のグローバル化、企業の大組織化への違和感としか説明できなかったローカリズムの動きは、そのほうが組織の、また種の多様性が保てることをどこかで知っているからかもしれない。
読了日:05月01日 著者:長谷川 英祐 ファイル


注:ファイルはKindleで読んだ本。



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