2013年01月02日
2012年12月の読書
消化試合のような手当たり次第加減の中に、大切な再読や、新しい発見がちらり。
そう、130冊読んだからといって、その内に一生物と思える本は20冊もないのです。
たとえばある瞬間に、その一節が胸いっぱいに想起されるような…。
でも読まなければ一生物には出会えない。
だから読まずにいられないのです。

2012年12月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
ネコを撮る (朝日新書 33)の感想
プロの猫写真家としての自負が見える、猫撮影にまつわるエッセイ。猫の写真を撮るときの手法や要点も明かしているが、メインは外猫観察であり、著者はその道のプロである。ずっと見ているからこそ気づくことは多く、一般的な説と違うこともあるようだ。外猫は内猫と違い、社会がある。外猫社会の仕組みもおもしろい。そして外猫の背景は街である。猫は人につながり、街につながり、世界のあらゆる都市へ、また大自然へとつながってゆく。
読了日:12月27日 著者:岩合 光昭
フリーター、家を買う。 (幻冬舎文庫)の感想
最初は過剰なくらいアホで見放したかったが、だんだん応援したくなってくる。主人公視点ではなく姉とか職場の先輩視点で読んだ。反省して性根を改めるのは立派なことよ。ただ、他人の内省の吐露を親身に全部が全部聞いてくれる大人は少ない。もし傍にそうしてくれる人がいるなら、ものすごく恵まれてるってこと、優しさで付き合ってくれてるんだってことをわかって感謝しないとね。普通は「態度で示せ」で終わり、時間を割いてなんかくれないよ。
読了日:12月23日 著者:有川 浩
一歩を越える勇気の感想
一人で山に登ることにこだわりがある若い登山家、程度の認識はあり、ニュースで最近の登山での失敗による凍傷で指を失う可能性が高い、と知った。そのリスクを負っても高みに登りたい著者の原動力を知りたいと思った。6000m、8000m級の山という知らない世界。単独でそれらの山に登るとはどういうことかを垣間見た。それから、夢を持つこと、そしてそれを公言することで自分の中で昇華していくことの強みが、彼の中にはある。これからも応援したい。
読了日:12月23日 著者:栗城史多
地球はグラスのふちを回る (新潮文庫)の感想
食い道楽の呑み道楽の旅道楽に釣り道楽。気になったら即実行。世界を旅して博識であるし、下ネタ交じりの軽い読み口だが、時折とてもロマンチックな描写をなさり、そのアンバランスにやられる。ダーム・ブランシュというショコラにうっとりした次はアマゾンの雲古話で呆れさせられ、男の世界旅観に感じ入った後はニューヨークのディープな風俗の記録で〆である。なんでやのん。と思わされるネタの振れ幅である。文章の核心はちゃんと別にあるがとかく印象が強烈。
読了日:12月20日 著者:開高 健
奇跡の脳の感想
言語中枢と方向定位連合野を脳卒中で損傷した脳神経科学者が自らの社会復帰の過程を語る。生理学的にも心理学的にも、脳の仕組みがいかに奇跡であるか垣間見せてくれる。左脳を損なうと、バランスを取っていた右脳が右脳そのものの働きを発露する。それは意識によって自我の制限を受けない、世界にあるがままの、世界と切り離されていない私であることを感じさせるという。左脳を黙らせて右脳の声を聞く。その底なしの幸福感という感覚を、不謹慎だが味わってみたいと思った。そして時々は、私の灰色の脳細胞たちに思いを馳せる時間を持とうとも。
読了日:12月16日 著者:ジル・ボルト テイラー
魔性の子 十二国記 (新潮文庫)の感想
『人が人であることは、こんなにも汚い』。潔癖を内に抱えていた若い頃、貪るように読んだ物語だ。今の私は、清濁併せ呑む術を身につけてしまった。それでも惹きこまれる。高里の出自を知っている読み手は高里を中心に読むが、これは徹底して再び目覚めぬ高里の周りで起こる物語なのだ。物語の展開に伴っていや増す潮の匂い。ねっとりした、つんとした、濃厚な…。今更気づいた、この物語は十一章で終わる。
読了日:12月14日 著者:小野 不由美
このミステリーがすごい! 2013年版の感想
毎年買わずにいられない。読んだ本の評を念入りに読み、読んでいない本の評をざっと読む。気になった本を、これから読みたい本に登録するところ。
読了日:12月12日 著者:
はんなちゃんがめをさましたらの感想
夜中に目を覚ましたはんなちゃん。その傍らで眠っていた猫がものも言わず、はんなちゃんについて歩く姿があまりに心温まる光景だったので、私の猫絵本コレクションに加えました。はんなちゃんはきっとそこまで思っていないだろうけれど、きっといつか、ただ一緒にいてくれた猫の存在を思い出すと思うのです。
読了日:12月11日 著者:酒井 駒子
動物王国ラプソディ (角川文庫)の感想
能天気なタイトルからの予想に反し、ムツゴロウさんの哲学がちりばめられたエッセイ。ムツゴロウさんがやりたかったのはショーではなく文章書きであり、自然と動物を守るジャーナリストだった。言葉を持たぬ動物と長年つきあってきただけに、本質を突くことができ、自力の可能性に境界線を引かず、結果、信念に従って所謂常識を外れることができる人。動物も人間もひっくるめての命と向き合う姿は、本当の意味での常識人であり、その正義感を心底自分の糧にしたい。言葉先行の愛護とは次元が違う。
読了日:12月9日 著者:畑 正憲
手帳活用パーフェクトBOOKの感想
手帳なんて、必要があれば買うし書き込むし、不便があれば吟味する。パーフェクト活用なんて大げさだとは思う。自分が使っている手帳に、もう少し余白があるのでなにかアイデアがあればと思って立ち読みした。忘れがちな家族の予定を書き込むのはあり。今つけている読書の記録とともに、なにか取り組みたいことの記録を加えるか。ポチ袋を常備するアイデアはもらう。シンプルな表紙をカスタマイズして気分を揚げて、元気よく新年を迎えたい。
読了日:12月9日 著者:
Breaking Dawn (Twilight Saga)の感想
これでTwilight Sagaの5冊を原著で読み終えた。物語の引力で、初めての洋書を挫折することなく読み終えることができたことに感謝したい。外国語の文章を読むことは、注意深く文章を吟味することであるとともに、読解能力の至らない部分を想像力で補うことでもあった。それはえもいわれぬ美しい光景を私に見せてくれた。この本がいわゆるヤングアダルトであることに恥じるところはない。
読了日:12月8日 著者:Stephenie Meyer
炎路を行く者 —守り人作品集— (偕成社ワンダーランド)の感想
在りし日の自分を、ヒュウゴとバルサがそれぞれ思い返している趣向の短編2つ。人生の進み方は、意志で選ぶ積極的の部分と、なされるがままに進まざるを得ない消極的の部分とでできている。そして積極的の部分が多いほうが生き方として派手で、人生を切り開いている感がある。しかしリュアン父子のように貧しくとも自らの倫理を守り通して生きる人生が取るに足らないとは思わない。無論ヒュウゴとバルサは頼もしく、番外であっても物語の力強さは逸品である。
読了日:12月5日 著者:上橋 菜穂子
「守り人」のすべて 守り人シリーズ完全ガイドの感想
全編読み返したいと思いつつ時間を取れず、懐かしく思い出しながら読んだ。「春の光」は「天と地の守り人」完結後のある朝を描いた短編。人がたくさんのことを経験して成熟したとき、幼き者を守り導くことは責務であると、上橋さんは言っているようだ。子を持たない独身の身で、周りに子どもがいない私などが忘れているようなことを、バルサは当たり前に思うのだな。
読了日:12月2日 著者:上橋 菜穂子
そう、130冊読んだからといって、その内に一生物と思える本は20冊もないのです。
たとえばある瞬間に、その一節が胸いっぱいに想起されるような…。
でも読まなければ一生物には出会えない。
だから読まずにいられないのです。

2012年12月の読書メーター
読んだ本の数:13冊

プロの猫写真家としての自負が見える、猫撮影にまつわるエッセイ。猫の写真を撮るときの手法や要点も明かしているが、メインは外猫観察であり、著者はその道のプロである。ずっと見ているからこそ気づくことは多く、一般的な説と違うこともあるようだ。外猫は内猫と違い、社会がある。外猫社会の仕組みもおもしろい。そして外猫の背景は街である。猫は人につながり、街につながり、世界のあらゆる都市へ、また大自然へとつながってゆく。
読了日:12月27日 著者:岩合 光昭


最初は過剰なくらいアホで見放したかったが、だんだん応援したくなってくる。主人公視点ではなく姉とか職場の先輩視点で読んだ。反省して性根を改めるのは立派なことよ。ただ、他人の内省の吐露を親身に全部が全部聞いてくれる大人は少ない。もし傍にそうしてくれる人がいるなら、ものすごく恵まれてるってこと、優しさで付き合ってくれてるんだってことをわかって感謝しないとね。普通は「態度で示せ」で終わり、時間を割いてなんかくれないよ。
読了日:12月23日 著者:有川 浩

一人で山に登ることにこだわりがある若い登山家、程度の認識はあり、ニュースで最近の登山での失敗による凍傷で指を失う可能性が高い、と知った。そのリスクを負っても高みに登りたい著者の原動力を知りたいと思った。6000m、8000m級の山という知らない世界。単独でそれらの山に登るとはどういうことかを垣間見た。それから、夢を持つこと、そしてそれを公言することで自分の中で昇華していくことの強みが、彼の中にはある。これからも応援したい。
読了日:12月23日 著者:栗城史多


食い道楽の呑み道楽の旅道楽に釣り道楽。気になったら即実行。世界を旅して博識であるし、下ネタ交じりの軽い読み口だが、時折とてもロマンチックな描写をなさり、そのアンバランスにやられる。ダーム・ブランシュというショコラにうっとりした次はアマゾンの雲古話で呆れさせられ、男の世界旅観に感じ入った後はニューヨークのディープな風俗の記録で〆である。なんでやのん。と思わされるネタの振れ幅である。文章の核心はちゃんと別にあるがとかく印象が強烈。
読了日:12月20日 著者:開高 健

言語中枢と方向定位連合野を脳卒中で損傷した脳神経科学者が自らの社会復帰の過程を語る。生理学的にも心理学的にも、脳の仕組みがいかに奇跡であるか垣間見せてくれる。左脳を損なうと、バランスを取っていた右脳が右脳そのものの働きを発露する。それは意識によって自我の制限を受けない、世界にあるがままの、世界と切り離されていない私であることを感じさせるという。左脳を黙らせて右脳の声を聞く。その底なしの幸福感という感覚を、不謹慎だが味わってみたいと思った。そして時々は、私の灰色の脳細胞たちに思いを馳せる時間を持とうとも。
読了日:12月16日 著者:ジル・ボルト テイラー

『人が人であることは、こんなにも汚い』。潔癖を内に抱えていた若い頃、貪るように読んだ物語だ。今の私は、清濁併せ呑む術を身につけてしまった。それでも惹きこまれる。高里の出自を知っている読み手は高里を中心に読むが、これは徹底して再び目覚めぬ高里の周りで起こる物語なのだ。物語の展開に伴っていや増す潮の匂い。ねっとりした、つんとした、濃厚な…。今更気づいた、この物語は十一章で終わる。
読了日:12月14日 著者:小野 不由美

毎年買わずにいられない。読んだ本の評を念入りに読み、読んでいない本の評をざっと読む。気になった本を、これから読みたい本に登録するところ。
読了日:12月12日 著者:

夜中に目を覚ましたはんなちゃん。その傍らで眠っていた猫がものも言わず、はんなちゃんについて歩く姿があまりに心温まる光景だったので、私の猫絵本コレクションに加えました。はんなちゃんはきっとそこまで思っていないだろうけれど、きっといつか、ただ一緒にいてくれた猫の存在を思い出すと思うのです。
読了日:12月11日 著者:酒井 駒子

能天気なタイトルからの予想に反し、ムツゴロウさんの哲学がちりばめられたエッセイ。ムツゴロウさんがやりたかったのはショーではなく文章書きであり、自然と動物を守るジャーナリストだった。言葉を持たぬ動物と長年つきあってきただけに、本質を突くことができ、自力の可能性に境界線を引かず、結果、信念に従って所謂常識を外れることができる人。動物も人間もひっくるめての命と向き合う姿は、本当の意味での常識人であり、その正義感を心底自分の糧にしたい。言葉先行の愛護とは次元が違う。
読了日:12月9日 著者:畑 正憲

手帳なんて、必要があれば買うし書き込むし、不便があれば吟味する。パーフェクト活用なんて大げさだとは思う。自分が使っている手帳に、もう少し余白があるのでなにかアイデアがあればと思って立ち読みした。忘れがちな家族の予定を書き込むのはあり。今つけている読書の記録とともに、なにか取り組みたいことの記録を加えるか。ポチ袋を常備するアイデアはもらう。シンプルな表紙をカスタマイズして気分を揚げて、元気よく新年を迎えたい。
読了日:12月9日 著者:

これでTwilight Sagaの5冊を原著で読み終えた。物語の引力で、初めての洋書を挫折することなく読み終えることができたことに感謝したい。外国語の文章を読むことは、注意深く文章を吟味することであるとともに、読解能力の至らない部分を想像力で補うことでもあった。それはえもいわれぬ美しい光景を私に見せてくれた。この本がいわゆるヤングアダルトであることに恥じるところはない。
読了日:12月8日 著者:Stephenie Meyer

在りし日の自分を、ヒュウゴとバルサがそれぞれ思い返している趣向の短編2つ。人生の進み方は、意志で選ぶ積極的の部分と、なされるがままに進まざるを得ない消極的の部分とでできている。そして積極的の部分が多いほうが生き方として派手で、人生を切り開いている感がある。しかしリュアン父子のように貧しくとも自らの倫理を守り通して生きる人生が取るに足らないとは思わない。無論ヒュウゴとバルサは頼もしく、番外であっても物語の力強さは逸品である。
読了日:12月5日 著者:上橋 菜穂子

全編読み返したいと思いつつ時間を取れず、懐かしく思い出しながら読んだ。「春の光」は「天と地の守り人」完結後のある朝を描いた短編。人がたくさんのことを経験して成熟したとき、幼き者を守り導くことは責務であると、上橋さんは言っているようだ。子を持たない独身の身で、周りに子どもがいない私などが忘れているようなことを、バルサは当たり前に思うのだな。
読了日:12月2日 著者:上橋 菜穂子
Posted by nekoneko at 12:05│Comments(0)
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