2013年04月02日
2013年3月の読書
1か月の目標冊数を8冊に下げました。年間100冊。
読むのに時間がかかると予想しては敬遠している積読本を読む余裕を持つため。
読みたいから手に入れたのに、本末転倒なことになっているのは確かです。
Kindle本のセールで気になっていた本をつい買ってしまう現象も続いています。
いずれは読みたいと思っている本だし、なにより「本の値下げ」に慣れていない。
本の増えるペースと読むペースが狂ってしまった。困ったなぁ。うふ。
積読本92冊、気になっている本300冊。

2013年3月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)の感想
政治哲学は立法や政策に係る哲学で、まま哲学入門の講義である。事例の提示が上手く、主な論理を漠然ではあるが理解した。正義について自分がどう考えるか、なぜそう考えるかという命題。切り離せない「善き生」。常に議論の食い違いを生む、宗教的思想や道徳観念を避けて、世界共通完全中立の正義を求めることが望ましいと限らない。より度量が大きく信仰に好意的な形、つまり一致しない思想の双方を受け入れる公共的理性を追求することが、人の正しいありかたにつながると述べる。そんなことがはたして可能なのか、しばらく考えてみたい。
読了日:3月30日 著者:マイケル サンデル
君たちはどう生きるか (岩波文庫)の感想
良書は普遍であることの見本のような本。1937年初版、古さを感じさせない。少年のための倫理本として書かれた。これから如何様にも伸びていく、若き者への慈愛。身近にその存在がいたとして、何歳くらいで読ませたいだろうか。やはりコペル君と同じ中学生かな。語りの部分は平易なので読みやすいだろう。おじさんのノートは理解できないかもしれない。それでも、読むこと自体が為になる。とわかったようなことを言いつつ、私の為にもなる。大切なことは時代を経ても変わらない。思い出し、涙が出て、勇気を貰った。
読了日:3月22日 著者:吉野 源三郎
ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)の感想
満を持して母登場。黒い栞子さんの印象。性格と行動は男前というより、男。読み流し気味だったので、伏線もだいぶ見落としたらしい。あの解決は妥当だったのかな? 謎はまだ残されている模様。
読了日:3月21日 著者:三上 延
ある一日の感想
妻の出産に立会う男が、子の生まれ出るその日、生を感じ取る。感じ取れないところを想像する。その高ぶりが著者の想像を突飛に飛翔させる。「食べながら食べられる」は有機的で興味深い表現。そして女性の胎内に宿った命は一個の命となり、世界にひとりある孤独へつながっていく。男性が肌で捉える生命はこのような感じかと感心した。女性は産んだことはなくても、月々のものの生臭さが生命につながるものだと薄々感じているところはあると思う。無論、誕生の神秘は未知。感動しきれなかったのは私の共振力、生命を感じる力が足りないからか。
読了日:3月17日 著者:いしい しんじ
美術手帖 2013年 03月号増刊 瀬戸内国際芸術祭2013 公式ガイドブック アートをめぐる旅 完全版 春 [雑誌]の感想
開幕前夜の今、海は華やいでいる。しかし顧みるに、島の住人にとってこれらの私たちは結果として異物ではないのか。この芸術祭は本当に島の将来の為になるのか。下線や疑問符を書き入れながら読んだ。芸術祭関係者や行政、芸術家、こえびの他、既存の他団体にも波及し、想像以上の人を巻き込んで芸術祭が動いていることを感じた。そして芸術家が島のこれからを思って創作することと、後生正当化されることは別である。大事なものを徹底的に壊してしまわないよう願いながら、私は私の役割で参加することで、比較的近い距離から見守っていくだろう。
読了日:3月14日 著者:
黒い雨 (新潮文庫)の感想
戦時下の暮らし、8月6日以降の広島の様子が幾人かの筆によって描かれる。制限ある中に活力と工夫がある暮らしであり、打ち砕かれても生きようと立ち上がる人の姿であった。『広島はもう無くなったのだ。それにしても広島という町が、こんな惨状で末路をつげるだろうとは思いもよらなかった』。たとえ貧しくとも保たれていた暮らしがとてつもない力で破壊された光景、人の悲しみが満ちる点において、東日本大震災の光景を重ねずにいられなかった。まだ町も人の心も癒えていない。そのような場所がある限り、日本は平和などではない。3.11、読了
読了日:3月11日 著者:井伏 鱒二
養老孟司の旅する脳の感想
JAL機内誌連載、バカの壁と同じく語りおろしで軽いエッセイ。するする読める。スティーヴン・キングを原書で読んでいたり、RPGがお好きだったり、新しい側面を知る。旅をしていたのはほんの数編まで。あとはいつもの養老節でした。
読了日:3月10日 著者:養老 孟司
明日もいっしょにおきようね─捨て猫、でかおのはなしの感想
絵がほんわかかわいらしい。ある保健所で、殺処分されるまで少しでも快適にと心を砕いて猫たちの世話をする女性と、数奇な運命の末に幸せになった一匹の猫の話。結局、でかおの運命以外なにも変わらなくて、他の猫たちは殺処分され続ける日本。このお話をいったいどの年代の人に薦めればよいのか、私はわからない。
読了日:3月9日 著者:穴澤賢
BORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”の感想
絶賛。最強のランを追い求める冒険譚としても読めるし、人類が類人猿から進化した意味にまで遡る壮大な真実探究の旅としても読むことができる。これは普段走らない人間にとってもべらぼうにおもしろい。どころか、自分が走らないことが自分の肉体に対する罪のようにさえ思え、可能性への挑戦を決意したくなる。ウルトラランを走れるとはさすがに思わないが、私のこの肉体は、人類が走ることを覚えた太古から受け継いだ最強の真実を秘めているかもしれない。うっとりするような名言にも満ちている。『大地をはばたくその大いなる恵み』、なんて素敵!
読了日:3月4日 著者:クリストファー・マクドゥーガル
【文庫】 丸亀ナイト (文芸社文庫)の感想
地元在住の作家と聞いたので、敬意を表して。地元を舞台にしたミステリだが、ことばは標準語、明確にしてある実在固有名詞は駅名くらいで、有名百貨店とか、幹線道路とか某イベントとか、推量できる程度の地元度数。逆に学校名などは意図的に伏せているため、会話に入ってくるとちょっとおかしい。変てつのない地方都市の風景、のわりに彼の結末がダークやね。
読了日:3月3日 著者:山下 貴光
東の海神 西の滄海 十二国記 (新潮文庫)の感想
私はこの物語をビジネス書として読んだと思う。若い頃、家や家業は巨大な存在に見え、まるで一国一城だった。民あっての王。民あっての国。主一人ではなんの意味もない。いつか主になるから、その資質を問うことなく若と呼び、立ててくれた。その意味を知る重責。期待に報いる義務。ことばを入れ替えながら読めばひどく身近だった。「家を背負って辛気臭い顔をした女」になってはならぬ。『なんだ。そんな悲壮な顔をしてどうする。どうせなるようにしかならん。軽く構えろ』そして、私の中ではこの後祥慶の物語へとつながる。
読了日:3月1日 著者:小野 不由美
注:
はKindleで読んだ本。
読むのに時間がかかると予想しては敬遠している積読本を読む余裕を持つため。
読みたいから手に入れたのに、本末転倒なことになっているのは確かです。
Kindle本のセールで気になっていた本をつい買ってしまう現象も続いています。
いずれは読みたいと思っている本だし、なにより「本の値下げ」に慣れていない。
本の増えるペースと読むペースが狂ってしまった。困ったなぁ。うふ。
積読本92冊、気になっている本300冊。

2013年3月の読書メーター
読んだ本の数:11冊

政治哲学は立法や政策に係る哲学で、まま哲学入門の講義である。事例の提示が上手く、主な論理を漠然ではあるが理解した。正義について自分がどう考えるか、なぜそう考えるかという命題。切り離せない「善き生」。常に議論の食い違いを生む、宗教的思想や道徳観念を避けて、世界共通完全中立の正義を求めることが望ましいと限らない。より度量が大きく信仰に好意的な形、つまり一致しない思想の双方を受け入れる公共的理性を追求することが、人の正しいありかたにつながると述べる。そんなことがはたして可能なのか、しばらく考えてみたい。
読了日:3月30日 著者:マイケル サンデル

良書は普遍であることの見本のような本。1937年初版、古さを感じさせない。少年のための倫理本として書かれた。これから如何様にも伸びていく、若き者への慈愛。身近にその存在がいたとして、何歳くらいで読ませたいだろうか。やはりコペル君と同じ中学生かな。語りの部分は平易なので読みやすいだろう。おじさんのノートは理解できないかもしれない。それでも、読むこと自体が為になる。とわかったようなことを言いつつ、私の為にもなる。大切なことは時代を経ても変わらない。思い出し、涙が出て、勇気を貰った。
読了日:3月22日 著者:吉野 源三郎

満を持して母登場。黒い栞子さんの印象。性格と行動は男前というより、男。読み流し気味だったので、伏線もだいぶ見落としたらしい。あの解決は妥当だったのかな? 謎はまだ残されている模様。
読了日:3月21日 著者:三上 延

妻の出産に立会う男が、子の生まれ出るその日、生を感じ取る。感じ取れないところを想像する。その高ぶりが著者の想像を突飛に飛翔させる。「食べながら食べられる」は有機的で興味深い表現。そして女性の胎内に宿った命は一個の命となり、世界にひとりある孤独へつながっていく。男性が肌で捉える生命はこのような感じかと感心した。女性は産んだことはなくても、月々のものの生臭さが生命につながるものだと薄々感じているところはあると思う。無論、誕生の神秘は未知。感動しきれなかったのは私の共振力、生命を感じる力が足りないからか。
読了日:3月17日 著者:いしい しんじ

![美術手帖 2013年 03月号増刊 瀬戸内国際芸術祭2013 公式ガイドブック アートをめぐる旅 完全版 春 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51p%2But4vzYL._SX70_.jpg)
開幕前夜の今、海は華やいでいる。しかし顧みるに、島の住人にとってこれらの私たちは結果として異物ではないのか。この芸術祭は本当に島の将来の為になるのか。下線や疑問符を書き入れながら読んだ。芸術祭関係者や行政、芸術家、こえびの他、既存の他団体にも波及し、想像以上の人を巻き込んで芸術祭が動いていることを感じた。そして芸術家が島のこれからを思って創作することと、後生正当化されることは別である。大事なものを徹底的に壊してしまわないよう願いながら、私は私の役割で参加することで、比較的近い距離から見守っていくだろう。
読了日:3月14日 著者:

戦時下の暮らし、8月6日以降の広島の様子が幾人かの筆によって描かれる。制限ある中に活力と工夫がある暮らしであり、打ち砕かれても生きようと立ち上がる人の姿であった。『広島はもう無くなったのだ。それにしても広島という町が、こんな惨状で末路をつげるだろうとは思いもよらなかった』。たとえ貧しくとも保たれていた暮らしがとてつもない力で破壊された光景、人の悲しみが満ちる点において、東日本大震災の光景を重ねずにいられなかった。まだ町も人の心も癒えていない。そのような場所がある限り、日本は平和などではない。3.11、読了
読了日:3月11日 著者:井伏 鱒二

JAL機内誌連載、バカの壁と同じく語りおろしで軽いエッセイ。するする読める。スティーヴン・キングを原書で読んでいたり、RPGがお好きだったり、新しい側面を知る。旅をしていたのはほんの数編まで。あとはいつもの養老節でした。
読了日:3月10日 著者:養老 孟司


絵がほんわかかわいらしい。ある保健所で、殺処分されるまで少しでも快適にと心を砕いて猫たちの世話をする女性と、数奇な運命の末に幸せになった一匹の猫の話。結局、でかおの運命以外なにも変わらなくて、他の猫たちは殺処分され続ける日本。このお話をいったいどの年代の人に薦めればよいのか、私はわからない。
読了日:3月9日 著者:穴澤賢

絶賛。最強のランを追い求める冒険譚としても読めるし、人類が類人猿から進化した意味にまで遡る壮大な真実探究の旅としても読むことができる。これは普段走らない人間にとってもべらぼうにおもしろい。どころか、自分が走らないことが自分の肉体に対する罪のようにさえ思え、可能性への挑戦を決意したくなる。ウルトラランを走れるとはさすがに思わないが、私のこの肉体は、人類が走ることを覚えた太古から受け継いだ最強の真実を秘めているかもしれない。うっとりするような名言にも満ちている。『大地をはばたくその大いなる恵み』、なんて素敵!
読了日:3月4日 著者:クリストファー・マクドゥーガル


地元在住の作家と聞いたので、敬意を表して。地元を舞台にしたミステリだが、ことばは標準語、明確にしてある実在固有名詞は駅名くらいで、有名百貨店とか、幹線道路とか某イベントとか、推量できる程度の地元度数。逆に学校名などは意図的に伏せているため、会話に入ってくるとちょっとおかしい。変てつのない地方都市の風景、のわりに彼の結末がダークやね。
読了日:3月3日 著者:山下 貴光

私はこの物語をビジネス書として読んだと思う。若い頃、家や家業は巨大な存在に見え、まるで一国一城だった。民あっての王。民あっての国。主一人ではなんの意味もない。いつか主になるから、その資質を問うことなく若と呼び、立ててくれた。その意味を知る重責。期待に報いる義務。ことばを入れ替えながら読めばひどく身近だった。「家を背負って辛気臭い顔をした女」になってはならぬ。『なんだ。そんな悲壮な顔をしてどうする。どうせなるようにしかならん。軽く構えろ』そして、私の中ではこの後祥慶の物語へとつながる。
読了日:3月1日 著者:小野 不由美
注:

Posted by nekoneko at 00:17│Comments(0)
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