2013年06月01日
2013年5月の読書
軽い。
疲れて滅入っていると集中力が衰え気味で、つい軽めの本を選んでしまう。
神経はざわざわして、紛らすために眠らず読んでしまう。そして寝落ち。
これではいかんと中旬から奮起。
本読みは常に向上心を持たねば!と先達の選書を見て自戒するのでした。
軽めの本が悪いのではなく、何事もバランスが大切ということ。
齢80を過ぎた祖父の机に文庫本の山を発見。
私の本読み遺伝子は祖父から父へ、父から私へ伝わってきたもののようです。
孫が湯水のように本を消費しているのを知ったらどう思うかしらん。
積読本100冊。気になっている本316冊。

2013年5月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
青春を山に賭けて (文春文庫 う 1-1)の感想
日本でもっとも有名な冒険家のエッセイ。明大山岳部で偶然「山というものを始めた」植村氏は、海外の山に登りたいためにほぼ無一文でアメリカ行きの船に乗る。その一行動を起こさしめたものこそ、冒険家遺伝子であると思う。瞬間の決断力、運、幸せを自覚できる心、誰もが助けてくれる天性のもの。そういうもの全てが植村氏の冒険家魂を助けた。アルプス、グランド・ジョラス北壁登攀の記述は、冒険は自分自身のため、自分の意思ひとつのものでありたいという逆説の記述であったと感じる。
読了日:5月31日 著者:植村 直己
1922 (文春文庫)の感想
1922、中編。破滅の物語。そして破滅を司るものたちの容赦のなさよ。なにが彼らを喰い荒らしたかを想像するとき、彼らは愚かではあっても真の悪ではなかったとわかる。時代の流れの、そのポイントに舞台を配置したのが心憎い仕掛け。
読了日:5月27日 著者:スティーヴン キング
村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』メッタ斬り!の感想
大笑いしながら読ませていただいた。氏の小説は私の心をかすりもせずに過ぎてしまうので、読まないことの正当化、ではないけれど、これだけたくさんの本を読み、氏の小説がお好きというお二人がメッタ斬りにするのならまぁ私なんぞは読まなくても、と溜飲を下げたかたちにはなった。
読了日:5月19日 著者:大森望,豊崎由美
空白を満たしなさいの感想
平易なことば遣い。辞書を引かぬ怠慢を糾弾されることなく、こんなにすんなり入ってくる。どころか、端正な文章で、細微な比喩が美しく魅力的である。内容も明晰で、人間臭い。子供への思い。その高揚感が全編に渡って感じられる。『くたびれ果ててるからこそ、僕には幸福になる資格があると、信じたい気持ち』。なにを基準に自分の権利を正当化するか考えたときに、労働の内容により偏差のある収入や時間でなく、疲れという主観を基準にすることで、誰より自分を説得する。突き詰めれば自身を極限疲弊させるその感覚こそは現代的だし、私にも解る。
読了日:5月19日 著者:平野 啓一郎
ヘンリ・ライクロフトの私記 (岩波文庫)の感想
ライクロフト氏は外界との戦いから隠遁したのだ。自分の面倒をみることすら雇い人に任せる。その甘さが私の気に食わない。黙考と洞察で満たされた静かな日々。しがらみも血縁のごたごたも、金銭の不安もない。これはギッシングの夢雑じりのエッセイ、といった方が正しいかもしれない。秋頃、ライクロフト氏は人生の終焉の兆しを自覚する。その驚きは鋭く、意気喪失するのかと思いきや、その後イギリス人の味覚がいかに外国人より秀でているかを賛美する。あらゆる肉の旨味を描写し、味つけを評し、垂涎するのだ。まだ死にそうにないな。
読了日:5月15日 著者:ギッシング
日経プレミアPLUS VOL.2の感想
新書判のビジネス雑誌の印象。旬の方々の寄稿と厚手の紙質がプレミア感を演出している。雑誌の寄稿文は、読んだことのない寄稿者との出会いの場でもある。そういう意味で、これは新書判だけど雑誌。「人は本棚で決まる」と言いながら、こういう本を読まなきゃ読書とは言えないね、の匂いがこちらの姿勢をざっと読みにさせる。
読了日:5月12日 著者:
本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術 (知的生きかた文庫)の感想
痛快。本を読まない人間とはつきあわなくていいなど、過激に聞こえるかもしれない。けれど、なんというか、同意してしまう部分がある。私はなにか間違っているだろうか、本などに耽溺しているから相手と齟齬するのかとも迷いかけていたところだった。その迷いを吹っ飛ばしてくれた著者に感謝する。がんがん読み倒せ。そしてもう一段上の本読みになるのだ。知識より好奇心、そして好奇心はどこまでも伸びてゆくもの。
読了日:5月12日 著者:成毛 眞
なぜ?どうして?動物のお話の感想
小学校中高年向けだろうか。私でも「そうなんだ!」と声を上げるような生き物の習性、からだの仕組み。イラストがかわいらしく、生き物好きの子どもだけでなく、興味を引くことができそうだ。Kindleでは文字と絵のページがわかれてしまい、しかも白黒で、どうも残念。
読了日:5月11日 著者:
風の万里 黎明の空(下) 十二国記 (新潮文庫)の感想
行動も無茶なら展開も無茶だけど、なんとも勇気をもらえる。かっこよすぎやろ、とつぶやいてしまう。信念を得て動けることの強さが、この勢いを生んでいるのだと思う。少々人間の域を超えてしまった強さもありますがね。新しい道を見つけた登場人物たちに、また新しい慶の物語で会えるよう祈ります。
読了日:5月8日 著者:小野 不由美
風の万里 黎明の空(上) 十二国記 (新潮文庫)の感想
3人の少女が苦難にぶち当たっている。それは読み手にも置き換えられる、人生の課題というやつ。大人になって再読する今も、自分を顧みて自問する。どうすればいい? なにが正しい? やれるだけやった? これが限界なの? きっと年齢は関係ない。自問できるかぎり成長できる。でもたぶん、尚隆のように達観することは生涯ないと思うわ。
読了日:5月6日 著者:小野 不由美
旅猫リポートの感想
猫が一人称の小説はちょっとねぇ、と思いつつ文句なしに号泣。ずるいわ。サトルからナナ、ナナからサトルへの愛が全開すぎて、それ以上大切なものなんてないような気がしてくる。
読了日:5月5日 著者:有川 浩
ワンワンワン―捨て犬たちの小さなおはなしの感想
人間に捨てられた犬の、幸せになるストーリー3つ。著者は殺処分の現実を知ってこの絵本を書くことを決めた。だけど、ご自分の書いた犬たちの結末を、悲しいものにはできなかった、ということで、辛いけれど幸せになるストーリー。『現実の世界の犬たちに、優しい手が少しでも多くさしのべられることを祈っています』。捨てられた犬猫を引き取りたい人へのメッセージがあたたかい。
読了日:5月4日 著者:さかざき ちはる
注:
はKindleで読んだ本。
疲れて滅入っていると集中力が衰え気味で、つい軽めの本を選んでしまう。
神経はざわざわして、紛らすために眠らず読んでしまう。そして寝落ち。
これではいかんと中旬から奮起。
本読みは常に向上心を持たねば!と先達の選書を見て自戒するのでした。
軽めの本が悪いのではなく、何事もバランスが大切ということ。
齢80を過ぎた祖父の机に文庫本の山を発見。
私の本読み遺伝子は祖父から父へ、父から私へ伝わってきたもののようです。
孫が湯水のように本を消費しているのを知ったらどう思うかしらん。
積読本100冊。気になっている本316冊。

2013年5月の読書メーター
読んだ本の数:12冊

日本でもっとも有名な冒険家のエッセイ。明大山岳部で偶然「山というものを始めた」植村氏は、海外の山に登りたいためにほぼ無一文でアメリカ行きの船に乗る。その一行動を起こさしめたものこそ、冒険家遺伝子であると思う。瞬間の決断力、運、幸せを自覚できる心、誰もが助けてくれる天性のもの。そういうもの全てが植村氏の冒険家魂を助けた。アルプス、グランド・ジョラス北壁登攀の記述は、冒険は自分自身のため、自分の意思ひとつのものでありたいという逆説の記述であったと感じる。
読了日:5月31日 著者:植村 直己


1922、中編。破滅の物語。そして破滅を司るものたちの容赦のなさよ。なにが彼らを喰い荒らしたかを想像するとき、彼らは愚かではあっても真の悪ではなかったとわかる。時代の流れの、そのポイントに舞台を配置したのが心憎い仕掛け。
読了日:5月27日 著者:スティーヴン キング

大笑いしながら読ませていただいた。氏の小説は私の心をかすりもせずに過ぎてしまうので、読まないことの正当化、ではないけれど、これだけたくさんの本を読み、氏の小説がお好きというお二人がメッタ斬りにするのならまぁ私なんぞは読まなくても、と溜飲を下げたかたちにはなった。
読了日:5月19日 著者:大森望,豊崎由美


平易なことば遣い。辞書を引かぬ怠慢を糾弾されることなく、こんなにすんなり入ってくる。どころか、端正な文章で、細微な比喩が美しく魅力的である。内容も明晰で、人間臭い。子供への思い。その高揚感が全編に渡って感じられる。『くたびれ果ててるからこそ、僕には幸福になる資格があると、信じたい気持ち』。なにを基準に自分の権利を正当化するか考えたときに、労働の内容により偏差のある収入や時間でなく、疲れという主観を基準にすることで、誰より自分を説得する。突き詰めれば自身を極限疲弊させるその感覚こそは現代的だし、私にも解る。
読了日:5月19日 著者:平野 啓一郎

ライクロフト氏は外界との戦いから隠遁したのだ。自分の面倒をみることすら雇い人に任せる。その甘さが私の気に食わない。黙考と洞察で満たされた静かな日々。しがらみも血縁のごたごたも、金銭の不安もない。これはギッシングの夢雑じりのエッセイ、といった方が正しいかもしれない。秋頃、ライクロフト氏は人生の終焉の兆しを自覚する。その驚きは鋭く、意気喪失するのかと思いきや、その後イギリス人の味覚がいかに外国人より秀でているかを賛美する。あらゆる肉の旨味を描写し、味つけを評し、垂涎するのだ。まだ死にそうにないな。
読了日:5月15日 著者:ギッシング

新書判のビジネス雑誌の印象。旬の方々の寄稿と厚手の紙質がプレミア感を演出している。雑誌の寄稿文は、読んだことのない寄稿者との出会いの場でもある。そういう意味で、これは新書判だけど雑誌。「人は本棚で決まる」と言いながら、こういう本を読まなきゃ読書とは言えないね、の匂いがこちらの姿勢をざっと読みにさせる。
読了日:5月12日 著者:

痛快。本を読まない人間とはつきあわなくていいなど、過激に聞こえるかもしれない。けれど、なんというか、同意してしまう部分がある。私はなにか間違っているだろうか、本などに耽溺しているから相手と齟齬するのかとも迷いかけていたところだった。その迷いを吹っ飛ばしてくれた著者に感謝する。がんがん読み倒せ。そしてもう一段上の本読みになるのだ。知識より好奇心、そして好奇心はどこまでも伸びてゆくもの。
読了日:5月12日 著者:成毛 眞

小学校中高年向けだろうか。私でも「そうなんだ!」と声を上げるような生き物の習性、からだの仕組み。イラストがかわいらしく、生き物好きの子どもだけでなく、興味を引くことができそうだ。Kindleでは文字と絵のページがわかれてしまい、しかも白黒で、どうも残念。
読了日:5月11日 著者:


行動も無茶なら展開も無茶だけど、なんとも勇気をもらえる。かっこよすぎやろ、とつぶやいてしまう。信念を得て動けることの強さが、この勢いを生んでいるのだと思う。少々人間の域を超えてしまった強さもありますがね。新しい道を見つけた登場人物たちに、また新しい慶の物語で会えるよう祈ります。
読了日:5月8日 著者:小野 不由美

3人の少女が苦難にぶち当たっている。それは読み手にも置き換えられる、人生の課題というやつ。大人になって再読する今も、自分を顧みて自問する。どうすればいい? なにが正しい? やれるだけやった? これが限界なの? きっと年齢は関係ない。自問できるかぎり成長できる。でもたぶん、尚隆のように達観することは生涯ないと思うわ。
読了日:5月6日 著者:小野 不由美

猫が一人称の小説はちょっとねぇ、と思いつつ文句なしに号泣。ずるいわ。サトルからナナ、ナナからサトルへの愛が全開すぎて、それ以上大切なものなんてないような気がしてくる。
読了日:5月5日 著者:有川 浩

人間に捨てられた犬の、幸せになるストーリー3つ。著者は殺処分の現実を知ってこの絵本を書くことを決めた。だけど、ご自分の書いた犬たちの結末を、悲しいものにはできなかった、ということで、辛いけれど幸せになるストーリー。『現実の世界の犬たちに、優しい手が少しでも多くさしのべられることを祈っています』。捨てられた犬猫を引き取りたい人へのメッセージがあたたかい。
読了日:5月4日 著者:さかざき ちはる
注:

Posted by nekoneko at 10:32│Comments(0)
│読書