2013年07月01日
2013年6月の読書
厚い小説をじっくり読む時間と余裕を探している。
エアコンもつけ忘れ、汗だくになりながら没頭するような、濃い夏の夜。
そういうのがいいね。
積読本109冊。気になっている本346冊。
微増。

2013年6月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
間抜けの構造 (新潮新書)の感想
「間」の持つ力、「間」を操る才能についてのあれこれエッセイ。映画、ラジオ、漫才、討論番組のホスト、落語と多岐にわたる分野に通じておられるからこそわかるプロの間について。また社会一般については、間をなにがなんでも埋めてしまおうとする風潮はおかしい、間があるからこそ社会も生き方も豊かになると結論づけている。しかしまるまる一冊を話口調にすると長々しく、なんとも間がだれてペースを取りづらく、読みにくい感あり。
読了日:6月23日 著者:ビートたけし
よろず占い処 陰陽屋へようこそ (ポプラ文庫ピュアフル)の感想
陰陽道の専門家と狐少年の謎解きシリーズ。事件はまるく収まるようになっている。キャラを芸能人に置き換えると、萌えるのだそうだ。私は書いてあること以上に妄想していないということが収穫だった。
読了日:6月23日 著者:天野 頌子
古い骨 (ハヤカワ・ミステリ文庫)の感想
世界遺産を舞台にしたオープニングが印象的。骨から人を突き止め、真実を導き出す教授、曰くスケルトン探偵。フランスの地で、アメリカ人コンビが繰り出す軽妙なやりとりが周りから浮いていておもしろい。動機もどっさり、謎もどっさり、しかし古風な印象のミステリ。関係者一人一人が書き込まれていて、細かい描写にもついくすりと笑ってしまう。純朴な慕情が彩りを添える。続きも読みたい。
読了日:6月17日 著者:アーロン エルキンズ
プロメテウスの罠: 明かされなかった福島原発事故の真実の感想
朝日新聞の記者らが集めた真実の欠片。震災関連の本を読んできて、真実は人の数だけあると知ったので、章ごとに視点が変わり、時系列が行きつ戻りつすることに違和感はない。注視すべきは、事態を変えられる立場にあった人が、どのように行動したか。国を動かす大きな力に対して、正しいことを正しく行なった人たちの姿。記者の気焔が伝わってくる。真実を知りたい。民主党首脳陣の苦闘を読みながら、自民が与党でも大差なかったのではと感じる。完全な機能不全だ。それでも本当に、原発ゼロ方針をなかったことにしてこのまま続けるおつもりか。
読了日:6月16日 著者:朝日新聞特別報道部
「編集手帳」の文章術 (文春新書)の感想
よりよい文章を書きたいなら、まずは読むことなのだと納得。小手先の技より、目と耳とで文章を反復して、手持ちの語彙で、より収まりのよい形にすること。様々な文章を読んでいれば、自然と自分らしい、決して個性的ではないかもしれない、文章のかたちになるのだろう。『覚える。忘れる。忘れたけれども、身体の中に何かが残る。自分で文章を書くとき、その残った何かが汗のように体内からにじみ出て、文章に艶なり、渋みなりを添える。それでいいと思います。』
読了日:6月16日 著者:竹内 政明
聖女の救済 (文春文庫)の感想
東野さんは、女性心理を勉強なさったのですね。他人のことどころでない関係者や野郎どもはだませても、内海の目はだませないわよ、という仕掛け。だけどなんだかな、トリックはともかく動機が今ひとつ釈然としない。白夜行や幻夜のようにまるごと謎にしておくのも手段かと。隠しおおせたとして、決して聖女ではない彼女はどうして生きていくつもりだったのだろう。自分に過失がないなんて嘘、まず自身を許すことができないのだから。 ともあれ安心して読める職人技。
読了日:6月12日 著者:東野 圭吾
人間の基本 (新潮新書)の感想
貧しいとは、その日食べるものがないこと。決して貧しくない私たちは国の施しに慣れて甘えて、必死に生きた先人の知恵を忘れて、愚かになる一方である。想像力を鍛え、世界を知り、自分の頭と力で生きていくことに汲々と努めること。曽野さんの人生哲学にはキリスト教の匂いがする。かと思えばわざと規範から外れる言動を選んでみたり、気ままに放言したりする。センセイの教えだと全て聴こうとすると阿呆臭くなるだろう。しかしそこが人間らしく、身近な年寄りから折に触れ訓話されているような気分になる所以だと思う。
読了日:6月9日 著者:曽野 綾子
十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。 (新潮文庫)の感想
題名に惹かれて読み始めたところ、意外に手紙の書き方についての指南書でした。いつもどおりのユーモアに乗せられてさらりと読んだけれども、手紙に限らずメール、SNSも同様と思えばなんとも身につまされる箇所が多かった。十頁で捨てられる人なんていないでしょう。ずいぶんと時代を感じさせるのもそのはず、幻の原稿の文庫化なのだそうです。
読了日:6月9日 著者:遠藤 周作
Stephen King: The Playboy Interview (50 Years of the Playboy Interview)の感想
1983年6月、スティーヴン・キングへのプレイボーイ誌のインタビュー録。私の読解力によると頭悪そうに感じられる質問に対してもキングは朗々とキング節で応え、質問のことなどさっぱり忘れさせてくれる。肉親のことや家族のこと、内に抱えた恐怖のことなど、初めて知ったことも多かったし、含蓄のあることばも惜しみなく披露してくれていた。≪It Is the Tale, Not He Tells It. ≫
読了日:6月5日 著者:Stephen King,Playboy
日本のリアル 農業・漁業・林業 そして食卓を語り合う (PHP新書)の感想
日本の「標準」は変わり続けているし、よい方に変わっているとは限らない。漠然と当たり前に思っていることが全く正しくない、とは養老先生の本でよく気づかされたことだ。今回は対談に形を変えて、やはりはっと気づかされることが多い。「田を耕す」を疑ったことがあったろうか? 日本人が日本で上手く生きる知恵や感覚を、過去を鑑みながら選択しながら進めば、地球のどこよりも豊かに生きることができる。それに早く気づけと諭されるようだった。しかし、対談に混ぜ込まれた養老節が今回は相手の話の腰を折って邪魔をしているのには苦笑した。
読了日:6月3日 著者:養老 孟司
傍聞き (双葉文庫)の感想
人にとって謎なのは、近しい人の心。そういう謎が劇的に解ける瞬間を描いた4編。意欲を感じる一方、そのぶん心の機微が仕掛けに負けた感があって、読後がまるくない。仕掛けや企みより人情が勝つようになれば、いいミステリが出てきそう。
読了日:6月3日 著者:長岡 弘樹
注:
はKindleで読んだ本。
エアコンもつけ忘れ、汗だくになりながら没頭するような、濃い夏の夜。
そういうのがいいね。
積読本109冊。気になっている本346冊。
微増。

2013年6月の読書メーター
読んだ本の数:11冊

「間」の持つ力、「間」を操る才能についてのあれこれエッセイ。映画、ラジオ、漫才、討論番組のホスト、落語と多岐にわたる分野に通じておられるからこそわかるプロの間について。また社会一般については、間をなにがなんでも埋めてしまおうとする風潮はおかしい、間があるからこそ社会も生き方も豊かになると結論づけている。しかしまるまる一冊を話口調にすると長々しく、なんとも間がだれてペースを取りづらく、読みにくい感あり。
読了日:6月23日 著者:ビートたけし


陰陽道の専門家と狐少年の謎解きシリーズ。事件はまるく収まるようになっている。キャラを芸能人に置き換えると、萌えるのだそうだ。私は書いてあること以上に妄想していないということが収穫だった。
読了日:6月23日 著者:天野 頌子

世界遺産を舞台にしたオープニングが印象的。骨から人を突き止め、真実を導き出す教授、曰くスケルトン探偵。フランスの地で、アメリカ人コンビが繰り出す軽妙なやりとりが周りから浮いていておもしろい。動機もどっさり、謎もどっさり、しかし古風な印象のミステリ。関係者一人一人が書き込まれていて、細かい描写にもついくすりと笑ってしまう。純朴な慕情が彩りを添える。続きも読みたい。
読了日:6月17日 著者:アーロン エルキンズ

朝日新聞の記者らが集めた真実の欠片。震災関連の本を読んできて、真実は人の数だけあると知ったので、章ごとに視点が変わり、時系列が行きつ戻りつすることに違和感はない。注視すべきは、事態を変えられる立場にあった人が、どのように行動したか。国を動かす大きな力に対して、正しいことを正しく行なった人たちの姿。記者の気焔が伝わってくる。真実を知りたい。民主党首脳陣の苦闘を読みながら、自民が与党でも大差なかったのではと感じる。完全な機能不全だ。それでも本当に、原発ゼロ方針をなかったことにしてこのまま続けるおつもりか。
読了日:6月16日 著者:朝日新聞特別報道部


よりよい文章を書きたいなら、まずは読むことなのだと納得。小手先の技より、目と耳とで文章を反復して、手持ちの語彙で、より収まりのよい形にすること。様々な文章を読んでいれば、自然と自分らしい、決して個性的ではないかもしれない、文章のかたちになるのだろう。『覚える。忘れる。忘れたけれども、身体の中に何かが残る。自分で文章を書くとき、その残った何かが汗のように体内からにじみ出て、文章に艶なり、渋みなりを添える。それでいいと思います。』
読了日:6月16日 著者:竹内 政明

東野さんは、女性心理を勉強なさったのですね。他人のことどころでない関係者や野郎どもはだませても、内海の目はだませないわよ、という仕掛け。だけどなんだかな、トリックはともかく動機が今ひとつ釈然としない。白夜行や幻夜のようにまるごと謎にしておくのも手段かと。隠しおおせたとして、決して聖女ではない彼女はどうして生きていくつもりだったのだろう。自分に過失がないなんて嘘、まず自身を許すことができないのだから。 ともあれ安心して読める職人技。
読了日:6月12日 著者:東野 圭吾

貧しいとは、その日食べるものがないこと。決して貧しくない私たちは国の施しに慣れて甘えて、必死に生きた先人の知恵を忘れて、愚かになる一方である。想像力を鍛え、世界を知り、自分の頭と力で生きていくことに汲々と努めること。曽野さんの人生哲学にはキリスト教の匂いがする。かと思えばわざと規範から外れる言動を選んでみたり、気ままに放言したりする。センセイの教えだと全て聴こうとすると阿呆臭くなるだろう。しかしそこが人間らしく、身近な年寄りから折に触れ訓話されているような気分になる所以だと思う。
読了日:6月9日 著者:曽野 綾子

題名に惹かれて読み始めたところ、意外に手紙の書き方についての指南書でした。いつもどおりのユーモアに乗せられてさらりと読んだけれども、手紙に限らずメール、SNSも同様と思えばなんとも身につまされる箇所が多かった。十頁で捨てられる人なんていないでしょう。ずいぶんと時代を感じさせるのもそのはず、幻の原稿の文庫化なのだそうです。
読了日:6月9日 著者:遠藤 周作


1983年6月、スティーヴン・キングへのプレイボーイ誌のインタビュー録。私の読解力によると頭悪そうに感じられる質問に対してもキングは朗々とキング節で応え、質問のことなどさっぱり忘れさせてくれる。肉親のことや家族のこと、内に抱えた恐怖のことなど、初めて知ったことも多かったし、含蓄のあることばも惜しみなく披露してくれていた。≪It Is the Tale, Not He Tells It. ≫
読了日:6月5日 著者:Stephen King,Playboy


日本の「標準」は変わり続けているし、よい方に変わっているとは限らない。漠然と当たり前に思っていることが全く正しくない、とは養老先生の本でよく気づかされたことだ。今回は対談に形を変えて、やはりはっと気づかされることが多い。「田を耕す」を疑ったことがあったろうか? 日本人が日本で上手く生きる知恵や感覚を、過去を鑑みながら選択しながら進めば、地球のどこよりも豊かに生きることができる。それに早く気づけと諭されるようだった。しかし、対談に混ぜ込まれた養老節が今回は相手の話の腰を折って邪魔をしているのには苦笑した。
読了日:6月3日 著者:養老 孟司


人にとって謎なのは、近しい人の心。そういう謎が劇的に解ける瞬間を描いた4編。意欲を感じる一方、そのぶん心の機微が仕掛けに負けた感があって、読後がまるくない。仕掛けや企みより人情が勝つようになれば、いいミステリが出てきそう。
読了日:6月3日 著者:長岡 弘樹
注:

Posted by nekoneko at 15:03│Comments(0)
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