2014年01月06日
2013年12月の読書
さて、今年の目標は積読を減らすこと。
新年早々、読書人生をより深めるための手法を示唆してくれる本に出会いました。
今、まばらな点である読書は、密になって繋がり合い、いつか私だけの網になる。
30年経って、あの人の読書網は面妖だと言われたい。
そのためにはどんな道具立てで、どのように深めればいいのか。
模索が続きます。
積読本129冊。気になっている本385冊。

2013年12月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (生物ミステリー)の感想
私の恐竜観はずいぶん古いとわかった。多くの恐竜に羽毛が生えていたことや翼竜が四足歩行であったことは、もはや現代の共通認識だそうである。そもそも、翼竜は恐竜類ではない。そして鳥は恐竜である。といったややこしい「事実」を熱意と語り口の軽妙さで読ませる。さらに生物学的知識を応用して恐竜の生態を形や色や卵の温め方まで仮説してみせるあたり、学生たちを惹きつけて飽きさせない講義のようだ。恐竜の話を読んでいたはずが、いつの間にか鳥に詳しくなってた。
読了日:12月20日 著者:川上和人
「もう、うんざりだ!」 自暴自棄の精神病理 角川SSC新書 (角川SSC新書)の感想
医者が臨床症例ではなく、読んだ小説や著者自身の情動体験から考察するので、どこか淡々と読み進める。強烈に共感した自暴自棄は、他者への攻撃衝動の自分攻撃へのすり替えだ。まず自分と他者は思考の流れの中で容易に入れ替え得るという前提がある。他者を攻撃することは道徳観念などから躊躇われるので、代替として自他をすり替え、自分を攻撃することを同義として実行するのである。あえて自分の立場を蹂躙する振舞いを取ることもある。その瞬間には唯一の解決法?であるが、まあ見境を失った精神病理だわね。『自暴自棄』の反対語は『深呼吸』。
読了日:12月19日 著者:春日武彦
グーグーだって猫である5 (角川文庫)の感想
大島家には目まぐるしく猫が出入りする。内猫。外猫。野良猫。野良猫の産んだ子。里親を募って残った子。この巻はとかく生と死の繰り返しであり、どちらも運命であり神秘であることが感じられる。そんな日常を大島さんは生きている。生まれた子には幸せになれと、死んだ子には幸福な猫に生まれ変わって来いと願う。市の職員が訪れた。大島さんは「動物嫌いを愛護する協会」と呼んだ。内猫を散歩に出し、避妊しているとはいえ野良猫にエサをやる行為は、今の「常識」では近所住民への迷惑行為であり、避けることが望ましい。正しさってなんだろうね?
読了日:12月15日 著者:大島弓子
呪い! (ハヤカワ・ミステリ文庫)の感想
ギデオンとジュリーのアメリカ人夫婦の絡みっぷりがメキシコの熱帯気候と相まって見せつけてくれる。このような夫婦になりたいものだ(遅)。
読了日:12月14日 著者:アーロンエルキンズ
キャパの十字架の感想
ロバート・キャパのかの有名な写真の一瞬に閉じ込められた謎を、沢木さんは追跡する。以来発表された写真や同じように「崩れ落ちる兵士」のことを調べた論説を丹念に見返す。いつ、どこで、誰が、誰を、どのカメラで、と、くどいほど繰り返し検証する。このくどさが、ふと意外な方向に展望が開けたときの抜け感につながっていると思った。この謎がこれほど沢木さんを引きつける理由はあまり理解できない。でもセロ・ムリアーノのキャパとゲルダの後ろ姿にはぎゅっとなるものがあった。
読了日:12月10日 著者:沢木耕太郎
このミステリーがすごい! 2014年版の感想
あれもこれも読みたい。海外部門第1位はハードカバー購入決定である。神様、月に15冊以上読んでも平気な精神力と時間をあたしにください。綾辻さんのラヴ・レターに鼻血ノックアウト。
読了日:12月8日 著者:
どんべえ物語―ヒグマと二人のイノシシ (角川文庫 緑 319-4)の感想
読みやすいのだけれども、野生動物と生きるひとつひとつのエピソードが意味する深遠さを思うたび、粛然としてなかなか読み進まなかった。動物と人間のあり方。もちろんヒグマと暮らすのは常人には無理なことで、ムツゴロウさんが生き延びていることのほうが不思議だ。文字どおり裸の体当たり作戦には呆気にとられるやら笑いだしたいやらである。それには裏打ちされる哲学、実践と探求の精神がある。私はこの人を尊敬してやまない。
読了日:12月7日 著者:畑正憲
沈黙の春 (新潮文庫)の感想
1冊を費やしての告発。DDTを筆頭とした化学物質をいけいけどんどんで乱用し、昆虫、植物、鳥はおろか人間までが死に至る環境破壊が繰り返された時代。DDTそのものは現在使用を認められていない。しかしいずれ、自分たちの生活に邪魔なものがあれば化学薬品で殲滅しようとする考え方が問題だったのである。科学技術や製品を過信する考え方は現在も変わりないように思う。蓄積された化学物質と白血病などの血液系の病気や癌との因果関係にも言及されている。
読了日:12月5日 著者:レイチェルカーソン
解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)の感想
ほんのワンケースの道具と天賦の感覚で闇世界の大波をしのぐ若きLock Artist。主人公が並行して語る二つの時間軸の、両方それぞれにジリジリハラハラさせられる。次が気になる最高潮で別の時間軸へ移って、ああそうだったこの続きも気になっていたのだったとまた大急ぎで頭を巻き戻してページを追う。その反復に見事振り回されたって感じ。上手い。
読了日:12月3日 著者:スティーヴ・ハミルトン
新年早々、読書人生をより深めるための手法を示唆してくれる本に出会いました。
今、まばらな点である読書は、密になって繋がり合い、いつか私だけの網になる。
30年経って、あの人の読書網は面妖だと言われたい。
そのためにはどんな道具立てで、どのように深めればいいのか。
模索が続きます。
積読本129冊。気になっている本385冊。

2013年12月の読書メーター
読んだ本の数:9冊

私の恐竜観はずいぶん古いとわかった。多くの恐竜に羽毛が生えていたことや翼竜が四足歩行であったことは、もはや現代の共通認識だそうである。そもそも、翼竜は恐竜類ではない。そして鳥は恐竜である。といったややこしい「事実」を熱意と語り口の軽妙さで読ませる。さらに生物学的知識を応用して恐竜の生態を形や色や卵の温め方まで仮説してみせるあたり、学生たちを惹きつけて飽きさせない講義のようだ。恐竜の話を読んでいたはずが、いつの間にか鳥に詳しくなってた。
読了日:12月20日 著者:川上和人

医者が臨床症例ではなく、読んだ小説や著者自身の情動体験から考察するので、どこか淡々と読み進める。強烈に共感した自暴自棄は、他者への攻撃衝動の自分攻撃へのすり替えだ。まず自分と他者は思考の流れの中で容易に入れ替え得るという前提がある。他者を攻撃することは道徳観念などから躊躇われるので、代替として自他をすり替え、自分を攻撃することを同義として実行するのである。あえて自分の立場を蹂躙する振舞いを取ることもある。その瞬間には唯一の解決法?であるが、まあ見境を失った精神病理だわね。『自暴自棄』の反対語は『深呼吸』。
読了日:12月19日 著者:春日武彦


大島家には目まぐるしく猫が出入りする。内猫。外猫。野良猫。野良猫の産んだ子。里親を募って残った子。この巻はとかく生と死の繰り返しであり、どちらも運命であり神秘であることが感じられる。そんな日常を大島さんは生きている。生まれた子には幸せになれと、死んだ子には幸福な猫に生まれ変わって来いと願う。市の職員が訪れた。大島さんは「動物嫌いを愛護する協会」と呼んだ。内猫を散歩に出し、避妊しているとはいえ野良猫にエサをやる行為は、今の「常識」では近所住民への迷惑行為であり、避けることが望ましい。正しさってなんだろうね?
読了日:12月15日 著者:大島弓子

ギデオンとジュリーのアメリカ人夫婦の絡みっぷりがメキシコの熱帯気候と相まって見せつけてくれる。このような夫婦になりたいものだ(遅)。
読了日:12月14日 著者:アーロンエルキンズ

ロバート・キャパのかの有名な写真の一瞬に閉じ込められた謎を、沢木さんは追跡する。以来発表された写真や同じように「崩れ落ちる兵士」のことを調べた論説を丹念に見返す。いつ、どこで、誰が、誰を、どのカメラで、と、くどいほど繰り返し検証する。このくどさが、ふと意外な方向に展望が開けたときの抜け感につながっていると思った。この謎がこれほど沢木さんを引きつける理由はあまり理解できない。でもセロ・ムリアーノのキャパとゲルダの後ろ姿にはぎゅっとなるものがあった。
読了日:12月10日 著者:沢木耕太郎

あれもこれも読みたい。海外部門第1位はハードカバー購入決定である。神様、月に15冊以上読んでも平気な精神力と時間をあたしにください。綾辻さんのラヴ・レターに鼻血ノックアウト。
読了日:12月8日 著者:

読みやすいのだけれども、野生動物と生きるひとつひとつのエピソードが意味する深遠さを思うたび、粛然としてなかなか読み進まなかった。動物と人間のあり方。もちろんヒグマと暮らすのは常人には無理なことで、ムツゴロウさんが生き延びていることのほうが不思議だ。文字どおり裸の体当たり作戦には呆気にとられるやら笑いだしたいやらである。それには裏打ちされる哲学、実践と探求の精神がある。私はこの人を尊敬してやまない。
読了日:12月7日 著者:畑正憲

1冊を費やしての告発。DDTを筆頭とした化学物質をいけいけどんどんで乱用し、昆虫、植物、鳥はおろか人間までが死に至る環境破壊が繰り返された時代。DDTそのものは現在使用を認められていない。しかしいずれ、自分たちの生活に邪魔なものがあれば化学薬品で殲滅しようとする考え方が問題だったのである。科学技術や製品を過信する考え方は現在も変わりないように思う。蓄積された化学物質と白血病などの血液系の病気や癌との因果関係にも言及されている。
読了日:12月5日 著者:レイチェルカーソン

ほんのワンケースの道具と天賦の感覚で闇世界の大波をしのぐ若きLock Artist。主人公が並行して語る二つの時間軸の、両方それぞれにジリジリハラハラさせられる。次が気になる最高潮で別の時間軸へ移って、ああそうだったこの続きも気になっていたのだったとまた大急ぎで頭を巻き戻してページを追う。その反復に見事振り回されたって感じ。上手い。
読了日:12月3日 著者:スティーヴ・ハミルトン

Posted by nekoneko at 19:08│Comments(0)
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