2015年01月01日
2014年12月の記録
おおかた年末になって高熱を出した。
大安静の布団の中でこれ幸いと本を読みまくった。
変な体勢のせいでどうやら肩関節を痛めたようだ…。
積読本101冊。気になっている本381冊。

2014年12月の読書メーター
読んだ本の数:18冊
知の逆転 (NHK出版新書 395)の感想
各分野の著名な研究者へのインタビュー。受け取る側によって響くものは違うのではないかな。私には、敬愛するオリバー・サックスはもちろん、ノーム・チョムスキーがよく響いた。一つ一つの受け答えが深い。今なら読める気がする。インタビューの最後に若い人への推薦図書を聞かれ、難しいとしたうえでの提言がなんとも良い。
読了日:12月31日 著者:ジャレド・ダイアモンド,ノーム・チョムスキー,オリバー・サックス,マービン・ミンスキー,トム・レイトン,ジェームズ・ワトソン
ガダラの豚〈1〉 (集英社文庫)の感想
年の終わりにエラい本を選んでしまった。どこへ向かうのかさっぱりわからん。そして完結してない! 成り行きだから、らもさんの筆についていくか…。
読了日:12月31日 著者:中島らも
ビッグ・ドライバー (文春文庫)の感想
熱に浮かされた頭で読む小説ではなかったな。女性にとって最強に胸糞悪い2編。3人の女性がなぜ強くあらねばならなかったかといえば、人生において出会った男が最悪の類だったからであり、そのような類の人間は決して稀でない、それが前提の事実だからだ。まさにFULL DARK,NO STARS。キングが主人公たちを窮地に置いて見守るように、読者である私をもキングは興味津々に観察している様に感じる。明確なカタルシスを与えられなかったことで、私は“感情に思考がとって代る瞬間”をまだ得られないでいる。うーーー。
読了日:12月30日 著者:スティーヴンキング
遠野物語―付・遠野物語拾遺 (角川ソフィア文庫)の感想
遠野の地で、伝説と呼ぶには出処がリアルで、迷信と呼ぶには人々が信じて生きている説話集。文学というよりは学術的な蒐集物として受け取った。人々が確かに見たという、科学で説明のつかない現象のいくつかは、テレビやインターネットなどの刺激に鈍麻されることなく、命に直結する自然へ感覚を研いでいたからこそ察知できたなにかの具象であり、口伝ならではの改変・誇大化の末に「今在る」説話なのではないだろうか。
読了日:12月30日 著者:柳田国男
プロメテウスの罠 5: 福島原発事故、渾身の調査報道の感想
吉田調書の件などがあり、朝日新聞社の持つ偏り、傲慢な体質がメディアに取りざたされ、シリーズを読み続けるべきか迷った。しかし、他のどの新聞社が「震災を忘れるな」「行政や電力業界の歪みを正そう」と働きかけ続けてくれただろうか。誤りを認める謙虚さを期待しつつ、これからもシリーズを追おうと思う。動物シリーズ収録巻。
読了日:12月29日 著者:朝日新聞特別報道部
ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していくの感想
よくも悪くも素直な人。ひとりよがりも矛盾もさらけ出して、寂しがりの性格が働く原動力だと堂々書き上げている。動機が何であれ、事を成し、今また若者の背を押すなら、堀江氏、この本の価値は大きい。
読了日:12月28日 著者:堀江貴文
ナミヤ雑貨店の奇蹟 (角川文庫)の感想
ねじりすぎたか。この物語はいつものテクニシャン東野の安定した仕事と違い、単純に上手いと思えない。撚り合わさってもいない、円くもない…。ただ救いは、核となるふたりの人の好さ。
読了日:12月28日 著者:東野圭吾
ひとりでは生きられないのも芸のうち (文春文庫)の感想
今年の総括に、今年も結婚へ一歩も進まなかった自分を「だけどね、人というものは…」と内田先生にたしなめてもらおうと読み始めたけれど、だいぶ違った。いや、社会の在り方や共同体の意味についての話は多いのだけど、個人的関心事と別の次元で納得してしまったのだった。納得して面白がるだけでなく、荒天の時代を思って反芻しながら、来年に向けて自他のことを考えてゆこう。
読了日:12月27日 著者:内田樹
かくれた次元の感想
人類の進化過程における嗅覚鈍化により、他者との近接を許容できるようになった説は面白い。それも人種や文化により程度が異なるとは。1970年代における仮説や実験結果は未だ示唆に富んでおり、その後の研究に俄然興味が湧く。一方、社会生活を営む者としてもまた、人間の持つ知覚能力や個と個の近接の在り様など、学生時より哲学的な感慨も生まれる。中国武術や気とパーソナルスペースにも関連があるに違いないと閃く。専攻分野の名著を今頃じっくり読むなど恥ずかしいが、学生時代から今の自分に一貫する関心を感じ、興味深かった。
読了日:12月24日 著者:エドワード・T・ホール
断崖の骨 (ハヤカワ・ミステリ文庫)の感想
舞台は英国の片田舎。ギデオンはまだ新婚中である。ええ歳こいて「これこそ青春だ」とギデオンはのたまうのである。そこまで現実(及び事件)を忘れさせるくらい、英国ならではの美しさを持った地であるようだ。食べ物も美味しそうで、行ったことのない身が想像する素地すら持たないのが残念。
読了日:12月21日 著者:アーロンエルキンズ
億男の感想
望外な大金が手に転がり込んだとき、人はどうなるのだろうか。よく言われる宝くじの当選者が不幸になる話はほんの一部の例で、大抵の人は地道に人生を歩むという。その内心は変わるだろうか? 金はツールだ。それ以上の真実は金自体にはない。しかし人の金に対する考え方は一貫しているつもりで実はひどくねじれていると思う。だから手にしても手から離れても迷う。相応な努力で手に入れたものであれ、転がり込んだものであれ、必要以上におもねったりひがんだりすることなく、日本人らしく恭しくも淡々と扱って生きたい。お金と幸せはつなげない。
読了日:12月15日 著者:川村元気
このミステリーがすごい! 2015年版の感想
波長が合わなくなってきている。面白さに置くところが私の中で減っているからか。中でも大森さんと間室さんの意見は参考にしつつ、漏らした小説をチェック。大関心事のドクタースリープは、春とのこと。
読了日:12月14日 著者:
月刊 秘伝 2014年 12月号 [雑誌]の感想
主に武道。こんなに種類があって、流派があって、増してどれもディープ。いやはや私の嗜みなんて話にもならんわ。さて、私も股関節の硬さに悩まされるひとり。自分の骨格は開脚できるようには構造されてないとまで断じかけていたが、やはりやりようなのだと撃沈(当たり前だ)。読みつつ、体勢を取りつつ、線を引きつつ…でも学ぶのは身体。種目が違っても、同じことを言っていると感じる部分がある。人間の身体の普遍なのか、偶々私が留意しているキーワードに引っかかったのかはわからない。
読了日:12月13日 著者:作成者
山を歩いて元気になろう 四国の山歩きベスト50の感想
四国の主な山のマップと指南。四国には中央の四国山地及び各県にもぽこぽこと山が散っている。楽しんであちこち登ることができたいいな。
読了日:12月13日 著者:
獣の奏者 外伝 刹那 (講談社文庫)の感想
感涙の外伝。本編では獣の命の自然を追及したのに対し、外伝では人の命の自然が描かれている。バルサの生き方にかつて私は慰められた。だが本来は斯様に女は自ら母となり、母は子を慈しんで生きるようできていると、誰に強制されずともそのように成っていくのが人にとって自然にあることだと上橋さんは言っている。少子化など国家都合ではなく、人の命の自然、理なのだ。恋も想いもその上に乗っかっている。その後にエサルの物語だ。順序は逆ではない。逆ではないが、子を持たぬからこそ成し得る尊い利他行為があることも真実。表紙は生命の樹。
読了日:12月12日 著者:上橋菜穂子
荒天の武学 (集英社新書)の感想
武術とは。身体の在り様から、他文化、人間社会の在り様まで、多岐に語られる。無論韓氏意拳にも触れる。形体訓練、站椿、試力。目指すのは伸びやかにあること。『身体がもともと持っている本来の特徴から外れない』動き。他の誰でもない私だけの感覚。思考が干渉しないところにある自我ではない主体…。わかる、気がする。しかし自力では呼び出せず、先生に誘い出されたときにふと現れて消え、私は呆気にとられる。書き込みながらの再読で本は傍線だらけになった。何度も読み返すだろう。動きについては、練習のときに先生に聞いてみよう。
読了日:12月8日 著者:内田樹,光岡英稔
残るは食欲 (新潮文庫)の感想
阿川さんのエッセイは、年上の友人とお喋りをしているような、気さくであったかい感じ。しかも食べ物の話って、なんて楽しいんだろう。「他人に手料理を食べさせてこそ料理の腕は磨かれる」とは、少々謙遜が過ぎるのではないかしら。自分でつくって自分で食べる点では阿川さんも私も同じだが、読んでいて阿川さんの料理レパートリーの広さには目を見張る。うまくいかなかったのは偶々で、そんなことないと思うな。他人のために料理をつくるのが面倒くさいのは確かだけど。
読了日:12月5日 著者:阿川佐和子
MASTERキートン Reマスター (ビッグ コミックス)の感想
ああ、Mr.キートンが帰ってきた。キートンの人柄も好きだし、事件にまつわる人たちも憎めない。人ってそうだよな、と、人間を好きになりたくなる。
読了日:12月1日 著者:浦沢直樹,長崎尚志
注:
はKindleで読んだ本。
大安静の布団の中でこれ幸いと本を読みまくった。
変な体勢のせいでどうやら肩関節を痛めたようだ…。
積読本101冊。気になっている本381冊。

2014年12月の読書メーター
読んだ本の数:18冊

各分野の著名な研究者へのインタビュー。受け取る側によって響くものは違うのではないかな。私には、敬愛するオリバー・サックスはもちろん、ノーム・チョムスキーがよく響いた。一つ一つの受け答えが深い。今なら読める気がする。インタビューの最後に若い人への推薦図書を聞かれ、難しいとしたうえでの提言がなんとも良い。
読了日:12月31日 著者:ジャレド・ダイアモンド,ノーム・チョムスキー,オリバー・サックス,マービン・ミンスキー,トム・レイトン,ジェームズ・ワトソン

年の終わりにエラい本を選んでしまった。どこへ向かうのかさっぱりわからん。そして完結してない! 成り行きだから、らもさんの筆についていくか…。
読了日:12月31日 著者:中島らも


熱に浮かされた頭で読む小説ではなかったな。女性にとって最強に胸糞悪い2編。3人の女性がなぜ強くあらねばならなかったかといえば、人生において出会った男が最悪の類だったからであり、そのような類の人間は決して稀でない、それが前提の事実だからだ。まさにFULL DARK,NO STARS。キングが主人公たちを窮地に置いて見守るように、読者である私をもキングは興味津々に観察している様に感じる。明確なカタルシスを与えられなかったことで、私は“感情に思考がとって代る瞬間”をまだ得られないでいる。うーーー。
読了日:12月30日 著者:スティーヴンキング

遠野の地で、伝説と呼ぶには出処がリアルで、迷信と呼ぶには人々が信じて生きている説話集。文学というよりは学術的な蒐集物として受け取った。人々が確かに見たという、科学で説明のつかない現象のいくつかは、テレビやインターネットなどの刺激に鈍麻されることなく、命に直結する自然へ感覚を研いでいたからこそ察知できたなにかの具象であり、口伝ならではの改変・誇大化の末に「今在る」説話なのではないだろうか。
読了日:12月30日 著者:柳田国男


吉田調書の件などがあり、朝日新聞社の持つ偏り、傲慢な体質がメディアに取りざたされ、シリーズを読み続けるべきか迷った。しかし、他のどの新聞社が「震災を忘れるな」「行政や電力業界の歪みを正そう」と働きかけ続けてくれただろうか。誤りを認める謙虚さを期待しつつ、これからもシリーズを追おうと思う。動物シリーズ収録巻。
読了日:12月29日 著者:朝日新聞特別報道部


よくも悪くも素直な人。ひとりよがりも矛盾もさらけ出して、寂しがりの性格が働く原動力だと堂々書き上げている。動機が何であれ、事を成し、今また若者の背を押すなら、堀江氏、この本の価値は大きい。
読了日:12月28日 著者:堀江貴文


ねじりすぎたか。この物語はいつものテクニシャン東野の安定した仕事と違い、単純に上手いと思えない。撚り合わさってもいない、円くもない…。ただ救いは、核となるふたりの人の好さ。
読了日:12月28日 著者:東野圭吾

今年の総括に、今年も結婚へ一歩も進まなかった自分を「だけどね、人というものは…」と内田先生にたしなめてもらおうと読み始めたけれど、だいぶ違った。いや、社会の在り方や共同体の意味についての話は多いのだけど、個人的関心事と別の次元で納得してしまったのだった。納得して面白がるだけでなく、荒天の時代を思って反芻しながら、来年に向けて自他のことを考えてゆこう。
読了日:12月27日 著者:内田樹

人類の進化過程における嗅覚鈍化により、他者との近接を許容できるようになった説は面白い。それも人種や文化により程度が異なるとは。1970年代における仮説や実験結果は未だ示唆に富んでおり、その後の研究に俄然興味が湧く。一方、社会生活を営む者としてもまた、人間の持つ知覚能力や個と個の近接の在り様など、学生時より哲学的な感慨も生まれる。中国武術や気とパーソナルスペースにも関連があるに違いないと閃く。専攻分野の名著を今頃じっくり読むなど恥ずかしいが、学生時代から今の自分に一貫する関心を感じ、興味深かった。
読了日:12月24日 著者:エドワード・T・ホール

舞台は英国の片田舎。ギデオンはまだ新婚中である。ええ歳こいて「これこそ青春だ」とギデオンはのたまうのである。そこまで現実(及び事件)を忘れさせるくらい、英国ならではの美しさを持った地であるようだ。食べ物も美味しそうで、行ったことのない身が想像する素地すら持たないのが残念。
読了日:12月21日 著者:アーロンエルキンズ

望外な大金が手に転がり込んだとき、人はどうなるのだろうか。よく言われる宝くじの当選者が不幸になる話はほんの一部の例で、大抵の人は地道に人生を歩むという。その内心は変わるだろうか? 金はツールだ。それ以上の真実は金自体にはない。しかし人の金に対する考え方は一貫しているつもりで実はひどくねじれていると思う。だから手にしても手から離れても迷う。相応な努力で手に入れたものであれ、転がり込んだものであれ、必要以上におもねったりひがんだりすることなく、日本人らしく恭しくも淡々と扱って生きたい。お金と幸せはつなげない。
読了日:12月15日 著者:川村元気

波長が合わなくなってきている。面白さに置くところが私の中で減っているからか。中でも大森さんと間室さんの意見は参考にしつつ、漏らした小説をチェック。大関心事のドクタースリープは、春とのこと。
読了日:12月14日 著者:
![月刊 秘伝 2014年 12月号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/61K5j3tYQOL._SX70_.jpg)
主に武道。こんなに種類があって、流派があって、増してどれもディープ。いやはや私の嗜みなんて話にもならんわ。さて、私も股関節の硬さに悩まされるひとり。自分の骨格は開脚できるようには構造されてないとまで断じかけていたが、やはりやりようなのだと撃沈(当たり前だ)。読みつつ、体勢を取りつつ、線を引きつつ…でも学ぶのは身体。種目が違っても、同じことを言っていると感じる部分がある。人間の身体の普遍なのか、偶々私が留意しているキーワードに引っかかったのかはわからない。
読了日:12月13日 著者:作成者

四国の主な山のマップと指南。四国には中央の四国山地及び各県にもぽこぽこと山が散っている。楽しんであちこち登ることができたいいな。
読了日:12月13日 著者:

感涙の外伝。本編では獣の命の自然を追及したのに対し、外伝では人の命の自然が描かれている。バルサの生き方にかつて私は慰められた。だが本来は斯様に女は自ら母となり、母は子を慈しんで生きるようできていると、誰に強制されずともそのように成っていくのが人にとって自然にあることだと上橋さんは言っている。少子化など国家都合ではなく、人の命の自然、理なのだ。恋も想いもその上に乗っかっている。その後にエサルの物語だ。順序は逆ではない。逆ではないが、子を持たぬからこそ成し得る尊い利他行為があることも真実。表紙は生命の樹。
読了日:12月12日 著者:上橋菜穂子

武術とは。身体の在り様から、他文化、人間社会の在り様まで、多岐に語られる。無論韓氏意拳にも触れる。形体訓練、站椿、試力。目指すのは伸びやかにあること。『身体がもともと持っている本来の特徴から外れない』動き。他の誰でもない私だけの感覚。思考が干渉しないところにある自我ではない主体…。わかる、気がする。しかし自力では呼び出せず、先生に誘い出されたときにふと現れて消え、私は呆気にとられる。書き込みながらの再読で本は傍線だらけになった。何度も読み返すだろう。動きについては、練習のときに先生に聞いてみよう。
読了日:12月8日 著者:内田樹,光岡英稔

阿川さんのエッセイは、年上の友人とお喋りをしているような、気さくであったかい感じ。しかも食べ物の話って、なんて楽しいんだろう。「他人に手料理を食べさせてこそ料理の腕は磨かれる」とは、少々謙遜が過ぎるのではないかしら。自分でつくって自分で食べる点では阿川さんも私も同じだが、読んでいて阿川さんの料理レパートリーの広さには目を見張る。うまくいかなかったのは偶々で、そんなことないと思うな。他人のために料理をつくるのが面倒くさいのは確かだけど。
読了日:12月5日 著者:阿川佐和子

ああ、Mr.キートンが帰ってきた。キートンの人柄も好きだし、事件にまつわる人たちも憎めない。人ってそうだよな、と、人間を好きになりたくなる。
読了日:12月1日 著者:浦沢直樹,長崎尚志
注:

Posted by nekoneko at 19:27│Comments(0)
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