< 2025年06月 >
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
オーナーへメッセージ

2015年11月01日

2015年10月の記録

努力とも呼べない努力の甲斐あって、積読は70冊台へ。
過去には120冊もあったかと思うと、今更ながら、阿呆です。
今月は待ちに待った爆買いイベントがありますが、
それはそれとして節制は続けたいと自戒しています。

積読本73冊。

ブック

2015年10月の読書メーター
読んだ本の数:12冊

イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む (講談社学術文庫)イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む (講談社学術文庫)感想
宮本常一の講読会の記録。イザベラ・バードの記述を引用しながら、豊富な知見と合わせて講釈されるので、原著の記述で読み流していた部分からもそれぞれに、風習や因習の名残をこれ程も読み取ることができるのかと驚嘆する。『われわれの持っている欠点や習俗は、その頃に根をおろし、知らないうちにわれわれの生活を支配していることもよくわかる』。それらは外国人の目だからこそ確かに書き留められていたと強調される。日本とアイヌ、「未開」の烙印はどちらが早く古いものを捨てたかにしかよらなかった。そして未開にも連帯感と善意はあった。
読了日:10月31日 著者:宮本常一 ファイル

押絵の奇蹟 (角川文庫)押絵の奇蹟 (角川文庫)感想
ひとり語りに語られるお話の、どこまでが真実でどこからが妄想錯誤かは、仕組まれたあやふやさなのだ。慣れるとこれが夢野久作一流の趣向とわかる。この趣向ゆえに、これらの短編はミステリではない。辻褄の合わない、二転三転する理路の踏み外しに眩惑される。呪われた鼓。倒錯への切望、その成就。
読了日:10月30日 著者:夢野久作 ファイル

ヒトのオスは飼わないの? (文春文庫)ヒトのオスは飼わないの? (文春文庫)感想
米原家に運命づけられた犬猫たちにまつわるエッセイ。ペットショップで出会った子など1匹もいない。だけど、どの子も出会うべくして米原さんに出会った犬であり猫である。濃密な日々を共にし、そして思いがけない別れも訪れる。今時珍しくもない犬猫話も、米原さんの手に掛かるとこんなにもドラマチックだ。犬猫を介した人とのやり取りも悲喜こもごも。
読了日:10月29日 著者:米原万里 ファイル

リストランテ・パラディーゾ (f×COMICS)リストランテ・パラディーゾ (f×COMICS)感想
知人のお薦め。変わった画風で、それがどのような表情なのか、しばしば目を瞬いて読み取ろうとする感じ。私の目が漫画に慣れていないのだろうか。 男も女も素敵な人ばかり。それほど劇的ではないけれど、雰囲気のいい空間だなぁ。
読了日:10月27日 著者:オノ・ナツメ ファイル

ふだん使いのマインドマップ 描くだけで毎日がハッピーになるふだん使いのマインドマップ 描くだけで毎日がハッピーになる感想
マインドマップは体験講習を受けて面白いと思ったツール。特に思考やプランをまとめるときに使いたいので読んでみた。事例がたくさん載っており、多様な使い方、形のマップを目にしておくと後々の発想力が上がりそうだ。セントラルイメージは大きめ縦長に。枝は滑らか・上向き・拡がるようにといったアドバイスと共に、セントラルイメージははっきり書きたいとか、小さくても手帳に書くと気張らなくていいとか、私マップをイメトレできた。マップは「実現するために」書くこと。未来に向けて書くマップが素敵。二人で描くマップはもっと素敵!
読了日:10月23日 著者:矢嶋美由希 ファイル

青い壺 (文春文庫)青い壺 (文春文庫)感想
物言わず動かぬ壺の、まわりに人間たちが入れ替わり立ち代わり現れては人の営みの綾を見せる。青い壺はさぞ美しい容貌をしているのだろう。しかし、私には禍々しく見えた。手にした者、それも固執した者ほど不幸な目に合っているように思えるのは気のせいか。現に第四話、芳江の夫は言い放つ。『この家に置くことはならん。僕は見るのも嫌だ』。贈り主と悶着があったとは読めない。この壺の持っているなにかを感じ取ったのだ。そして「古色」はなにを象徴したのか。関わった者たちの、人の業。それをこの壺は重ねまとっている、と私は思う。
読了日:10月23日 著者:有吉佐和子

Coyote No.55 ◆ 旅する二人 キャパとゲルダ 追走 沢木耕太郎Coyote No.55 ◆ 旅する二人 キャパとゲルダ 追走 沢木耕太郎感想
書店で「キャパの十字架」の隣に並んでおり、釣られ買い。「キャパの十字架」で鮮やかな印象を残したのがゲルダ・タローである。本名ゲルタ・ポポリレ。ロバート・キャパと一時期を共にした女性。彼女の足跡を追ったレポートを基に、沢木さんはゲルダに思いを巡らせる。ユダヤ人の運命、奔放な性格、岡本太郎との縁、キャパとのロマンスの香り、キャパにまつわる永遠に解かれないであろう謎。その謎ゆえにゲルダは私の心に引っ掛かっている。「キャパの十字架」の最後の写真も良かったけれど、この表紙の写真も素敵。
読了日:10月22日 著者:

斜陽 (新潮文庫)斜陽 (新潮文庫)感想
NHKの番組で解説していたのを観、本棚漁って再読した。おそらく私の健全さ故に、物語に引き込まれることはなかった。『希望の地盤が無い』とはどういう不均衡か。『こうでもしなければ、生きて行かれないのかも知れない』。そう忖度するしかない人物たちは全て太宰自身の投影だ。ただかず子だけが、破滅から抜け出たように見える。自らのほんの少し先にすがるものを見出し生き抜ける。それすら生計を立て得ようもないものだが、可能性はあるのではないか。そう思うから、各所に解説される「四人四様の滅び」には疑問符をつける。
読了日:10月21日 著者:太宰治

山怪 山人が語る不思議な話山怪 山人が語る不思議な話感想
山には説明のつかない不思議な体験談が残っている。山で生計を立てる人はマタギのみならず全国におり、不思議な話もまた全国に渡る。編み機をぶら下げた狐に、チェーンソーの音真似をする狸。日本人の現代化と共に狐狸の現象も進化変容するらしい。「狐狸の仕業」を見る要因は酔いと疲れだと現代的な分析をする者もあるが、やはり説明に納得しきれないから、そして平成の今も信じる人々がいるから、狐や狸、他諸々の怪は話の中に生き延びる。面白かった。ただ、こう言っては失礼だが、この本を読むと遠野物語の深遠さと偉大さが改めて思われる。
読了日:10月20日 著者:田中康弘 ファイル

日本を、信じる (中公文庫)日本を、信じる (中公文庫)感想
日本をこよなく愛するお二人による、日本の人や、日本の文学、日本の文化への深い愛ある対談。文豪と私が認識している作家との逸話などを聴いていると、いくつもの時代に渡り、日本の変遷を直に見てこられた方なのだと感服する。深くも柔らかい対話で、宗教や死についても語られるのだが、自分たちはもうボケることなく死にそうだ、みたいな冗談がとても好ましい。だいたい82歳までにボケなければ、最後まで大丈夫、なのですって。『長く生きると、秋の木の葉がはらりと自然に落ちるように、命が尽きる』。穏やかに読める1冊。
読了日:10月15日 著者:瀬戸内寂聴,ドナルドキーン ファイル

書くことについて (小学館文庫)書くことについて (小学館文庫)感想
キング53歳、自身の半生と文章を書くことについてのエッセイには苦心したようだ。文章についての部分は英語教師としての厳しさを、物語の生まれ方の部分にはプロとしての信条を感じる(受動態禁止!)。プロットに合わせて書けば物語は死ぬ。人物を思いどおりに操らず、任せる。そうすれば人物は勝手に成長し、物語は収まるところに収まると繰り返す。テーマを見つけ強化するのはその後だとか。具体例を照らし合わせると面白い。後半があの交通事故後に書かれたことも特筆に値する。鮮烈に直撃してくる文章がある。あれは、キングの露わな本音だ。
読了日:10月11日 著者:スティーヴンキング

イザベラ・バードの日本紀行 (下) (講談社学術文庫 1872)イザベラ・バードの日本紀行 (下) (講談社学術文庫 1872)感想
奥州北上、蝦夷へ。上巻の浅草寺の描写と比べ、蝦夷の盆祭りの描写は美しい。上巻では風光明媚を賛美することの多い一方、風習に対しては否定的な見方が多かった。著者の見方が明らかに変わってきており、我が故郷ながらなんと美しいことかと寄り添い共に感嘆される。アイヌの必要最低限の暮らしが、日本人の村ができることによって「貧しくなる」のは印象的。後半は関西へ。宗教的社会観と未開国(!)への布教への使命感は歪で異様と言おう。グーグルアースで地名と地形を確認しながら、著者の描写から想像する景色にうっとりするのがお勧めです。
読了日:10月3日 著者:イザベラ・バード ファイル


注:ファイルはKindleで読んだ本。

同じカテゴリー(読書)の記事画像
2025年5月の記録
2024年の総括
2024年8月の記録
2024年2月の記録
2023年の総括
2023年6月の記録
同じカテゴリー(読書)の記事
 2025年5月の記録 (2025-06-03 13:17)
 2025年4月の記録 (2025-05-02 15:51)
 2025年3月の記録 (2025-04-05 14:09)
 2025年2月の記録 (2025-03-01 10:54)
 2025年1月の記録 (2025-02-01 17:00)
 2024年の総括 (2025-01-07 16:59)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
2015年10月の記録
    コメント(0)