2016年01月04日
2015年12月の記録
実生活を優先すれば、本を読む時間が少なくなるのは当たり前のこと。
合い間に、ちょっとだけ読んじゃお。
その積み重ねで、案外しっかり読めています。
キングのダークタワーシリーズを揃えたぶん、積読が増えました。
積読本95冊。

2015年12月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
ダーク・タワー〈2〉運命の三人〈上〉 (新潮文庫)の感想
<カ>とは義務、運命、行かねばならぬ場所。前巻でさらりと書かれていた、ローランドの世界の概念について、ようやく説明がなされた。なるほど、では<暗黒の塔>へいざ行かん。…って、あぁあぁ、このペースでローランドが身体を損なっていったら<暗黒の塔>に辿りつけずに死んじゃうよ。あまりにダークなファンタジー。まさしくキングです。
読了日:12月23日 著者:スティーヴンキング
99%対1% アメリカ格差ウォーズ (講談社文庫)の感想
アメリカの政治史を俯瞰した後、ニュースになったネタについて町山節交じりに解説する。日本の政治も理解できていないのに、アメリカの政治とメディアの話など難度は高い。しかし日本のメディアが報道しないアメリカの実像は日本人の持つイメージとかけ離れた現実であるし、ポピュリズム、デマゴーグ、ティーパーティーなど、アメリカ内の動向の、断片でも知ることは良い。日本、アメリカに倣ってる場合じゃないですよ。マジック・二グロという視方はキングにもつながる収穫だった。
読了日:12月22日 著者:町山智浩
ダーク・タワー1 ガンスリンガー (新潮文庫)の感想
キングによる長い長いファンタジーの始まり。指輪物語に触発されたこと、ライフワークと位置づけていることを知り、心して掛かる。荒涼と哀しみに満ちた世界、ローランドの身中も同じ色をしている。キングはローランドにどのような旅と結末を与えるのか。初っ端から大きな罪を背負わせ、旅は始まる。次巻で出会う3人の者。『それからが楽しいドンチャン騒ぎの始まりだ!』
読了日:12月20日 著者:スティーヴンキング,風間賢二
ドロレス・クレイボーン (文春文庫)の感想
満足の再読。この小説は私にとって、キング作品で上位に入る傑作だ。ほぼ全編がドロレスの一人語りなのに、平板に感じないどころかぐいぐい引き込まれる。物語の運びの巧さだけではない。ドロレスの持つ真っ当な心持ちや洞察、世間知。ヴェラと深くつながり合えた故の哀しみ。それらがこの言葉と共に心に沁み入ってくるのだ。『女というものは、ときには性悪になるしか、しかたがないときだってあるの』。
読了日:12月17日 著者:スティーヴンキング
健全な肉体に狂気は宿る―生きづらさの正体 (角川Oneテーマ21)の感想
お二人の対談を聴いていると、なるほどと得心する指摘でぼろぼろと気持ちよくなる。自らを生きにくくする縛りのような、他者からの決めつけや自身の思い込みはこのまま捨て去りたい。この対談自体が心身の歪みを取り、軸を真っ直ぐに調整するような働きを持つのだろう。ただし内田先生の指摘どおり、マニュアルにはなりそうもない。読み終えた今、良かった箇所を挙げろと言われても、たぶん具体的に答えられない。私が解決を欲したときに、意識無意識にぽっかり思い出すのだ。『なにが「正しい」かじゃなくて、何が「気持ちいいか」』を探求すべき。
読了日:12月17日 著者:内田樹,春日武彦
このミステリーがすごい! 2016年版の感想
そろそろ潮時だな。新進気鋭の若い作家を物色する気力も歳とともに減退、気晴らしに目についた文庫を買うスタンスでは、読み込むべきページも限られる。何冊かはチェックを入れた。海外作品が充実している印象。
読了日:12月14日 著者:
明日は、いずこの空の下の感想
物語はどうして生まれるのか、私を引き込む物語はなにを持っているのか。上橋さんがこれまでに世界各地で体感してきた、嬉しさや美味しさ、寂しさ哀しさ全ての感動が上橋さんの物語に生きて現れていることを、このエッセイを読んで感じた。『私はきっと、いつも、世界の半分を知らないまま生きている』。上橋さんの物語を読んだからといって、私は世界のほとんどを知らないままに違いない。だけど、世界のほとんどを知らないこと、それでも、知らない世界で生きる人と同じ思いでぎゅっとつながり合う瞬間があることを思いだせる。だから読みたい。
読了日:12月10日 著者:上橋菜穂子
真実 新聞が警察に跪いた日 (角川文庫)の感想
警察と新聞社の関係は、情報を提供する者と提供される者であり、取り締まる者と取り締まられる者でもあり、不正を監視される者と監視する者でもある。つまり、正しくは緊張の上に成り立つ関係であるが、緊張よりも馴れ合いを選んだほうが組織ははるかに楽である。著者は一連の事件の中心にあった社員として、記者らしくできるかぎり客観的な事実を積みつつ、苦々しさをにじませて当時を述懐する。門外漢の私にとって異様に感じる部分は多く、佐々木氏の執拗な言動に至ってはまるきり化け物のようだが…。悪人はいない、か。そして組織は生き延びる。
読了日:12月8日 著者:高田昌幸
限りなく黒に近いグレーな心理術の感想
具体的なシチュエーションから心理学用語を解説する。わかりやすくまとめようとする真面目な姿勢がDaiGoらしい。~症候群や~現象など名付けられたものが好きな方に、読み物としてお勧めする。『空気は読むものではなく、自ら動かしていくもの』。場の状況を読み取ったうえで、望む方向へ相手を誘導するための上級テク。利便のためというよりは、自らを生きやすくするための知と捉えたい。
読了日:12月6日 著者:メンタリストDaiGo
秋の感想
南木佳士が挙げた芥川の短編。印象深いと書いていたのだったか。よくできた若妻と、妻の文学趣味を馬鹿にする夫、好きな男を姉に譲られた妹と、文学を生業にした男。その皆誰もが抱えた心の隙間を、秋の冷たい風が抜けていく。風が吹き抜けて初めて心の隙間を意識するような、意識してしまえばその存在をもう忘れることのできないような、寒々しさ。南木さんがこの短編のなにを印象深いと思ったかはわからないけれど、なんとも鮮やかだと感じた。
読了日:12月5日 著者:芥川竜之介
デービッド・アトキンソン 新・観光立国論の感想
GDPを増大させるには人口減少を補うほど多くの外国人観光客を受け入れるのが有益策と前提し、「観光」視点で世界と日本を見る。日本の観光施策には勘違いが多く、国の行政すら視点がずれている。テレビ番組などで外国人が日本の良さを挙げると満悦し、世界標準の評価と勘違いをしている面は私にもある。著者は日本が観光後進国であることを数字で示し、観光を産業として収入につなげる提案をしている。頭のどこかで、観光産業を下に見ている。だから提供されるものが全てと思って諦めてきた。多様性を産むためには日本人同士も要求し合わないと。
読了日:12月5日 著者:デービッドアトキンソン
注:
はKindleで読んだ本。
合い間に、ちょっとだけ読んじゃお。
その積み重ねで、案外しっかり読めています。
キングのダークタワーシリーズを揃えたぶん、積読が増えました。
積読本95冊。

2015年12月の読書メーター
読んだ本の数:11冊

<カ>とは義務、運命、行かねばならぬ場所。前巻でさらりと書かれていた、ローランドの世界の概念について、ようやく説明がなされた。なるほど、では<暗黒の塔>へいざ行かん。…って、あぁあぁ、このペースでローランドが身体を損なっていったら<暗黒の塔>に辿りつけずに死んじゃうよ。あまりにダークなファンタジー。まさしくキングです。
読了日:12月23日 著者:スティーヴンキング

アメリカの政治史を俯瞰した後、ニュースになったネタについて町山節交じりに解説する。日本の政治も理解できていないのに、アメリカの政治とメディアの話など難度は高い。しかし日本のメディアが報道しないアメリカの実像は日本人の持つイメージとかけ離れた現実であるし、ポピュリズム、デマゴーグ、ティーパーティーなど、アメリカ内の動向の、断片でも知ることは良い。日本、アメリカに倣ってる場合じゃないですよ。マジック・二グロという視方はキングにもつながる収穫だった。
読了日:12月22日 著者:町山智浩


キングによる長い長いファンタジーの始まり。指輪物語に触発されたこと、ライフワークと位置づけていることを知り、心して掛かる。荒涼と哀しみに満ちた世界、ローランドの身中も同じ色をしている。キングはローランドにどのような旅と結末を与えるのか。初っ端から大きな罪を背負わせ、旅は始まる。次巻で出会う3人の者。『それからが楽しいドンチャン騒ぎの始まりだ!』
読了日:12月20日 著者:スティーヴンキング,風間賢二

満足の再読。この小説は私にとって、キング作品で上位に入る傑作だ。ほぼ全編がドロレスの一人語りなのに、平板に感じないどころかぐいぐい引き込まれる。物語の運びの巧さだけではない。ドロレスの持つ真っ当な心持ちや洞察、世間知。ヴェラと深くつながり合えた故の哀しみ。それらがこの言葉と共に心に沁み入ってくるのだ。『女というものは、ときには性悪になるしか、しかたがないときだってあるの』。
読了日:12月17日 著者:スティーヴンキング

お二人の対談を聴いていると、なるほどと得心する指摘でぼろぼろと気持ちよくなる。自らを生きにくくする縛りのような、他者からの決めつけや自身の思い込みはこのまま捨て去りたい。この対談自体が心身の歪みを取り、軸を真っ直ぐに調整するような働きを持つのだろう。ただし内田先生の指摘どおり、マニュアルにはなりそうもない。読み終えた今、良かった箇所を挙げろと言われても、たぶん具体的に答えられない。私が解決を欲したときに、意識無意識にぽっかり思い出すのだ。『なにが「正しい」かじゃなくて、何が「気持ちいいか」』を探求すべき。
読了日:12月17日 著者:内田樹,春日武彦


そろそろ潮時だな。新進気鋭の若い作家を物色する気力も歳とともに減退、気晴らしに目についた文庫を買うスタンスでは、読み込むべきページも限られる。何冊かはチェックを入れた。海外作品が充実している印象。
読了日:12月14日 著者:

物語はどうして生まれるのか、私を引き込む物語はなにを持っているのか。上橋さんがこれまでに世界各地で体感してきた、嬉しさや美味しさ、寂しさ哀しさ全ての感動が上橋さんの物語に生きて現れていることを、このエッセイを読んで感じた。『私はきっと、いつも、世界の半分を知らないまま生きている』。上橋さんの物語を読んだからといって、私は世界のほとんどを知らないままに違いない。だけど、世界のほとんどを知らないこと、それでも、知らない世界で生きる人と同じ思いでぎゅっとつながり合う瞬間があることを思いだせる。だから読みたい。
読了日:12月10日 著者:上橋菜穂子


警察と新聞社の関係は、情報を提供する者と提供される者であり、取り締まる者と取り締まられる者でもあり、不正を監視される者と監視する者でもある。つまり、正しくは緊張の上に成り立つ関係であるが、緊張よりも馴れ合いを選んだほうが組織ははるかに楽である。著者は一連の事件の中心にあった社員として、記者らしくできるかぎり客観的な事実を積みつつ、苦々しさをにじませて当時を述懐する。門外漢の私にとって異様に感じる部分は多く、佐々木氏の執拗な言動に至ってはまるきり化け物のようだが…。悪人はいない、か。そして組織は生き延びる。
読了日:12月8日 著者:高田昌幸


具体的なシチュエーションから心理学用語を解説する。わかりやすくまとめようとする真面目な姿勢がDaiGoらしい。~症候群や~現象など名付けられたものが好きな方に、読み物としてお勧めする。『空気は読むものではなく、自ら動かしていくもの』。場の状況を読み取ったうえで、望む方向へ相手を誘導するための上級テク。利便のためというよりは、自らを生きやすくするための知と捉えたい。
読了日:12月6日 著者:メンタリストDaiGo

南木佳士が挙げた芥川の短編。印象深いと書いていたのだったか。よくできた若妻と、妻の文学趣味を馬鹿にする夫、好きな男を姉に譲られた妹と、文学を生業にした男。その皆誰もが抱えた心の隙間を、秋の冷たい風が抜けていく。風が吹き抜けて初めて心の隙間を意識するような、意識してしまえばその存在をもう忘れることのできないような、寒々しさ。南木さんがこの短編のなにを印象深いと思ったかはわからないけれど、なんとも鮮やかだと感じた。
読了日:12月5日 著者:芥川竜之介


GDPを増大させるには人口減少を補うほど多くの外国人観光客を受け入れるのが有益策と前提し、「観光」視点で世界と日本を見る。日本の観光施策には勘違いが多く、国の行政すら視点がずれている。テレビ番組などで外国人が日本の良さを挙げると満悦し、世界標準の評価と勘違いをしている面は私にもある。著者は日本が観光後進国であることを数字で示し、観光を産業として収入につなげる提案をしている。頭のどこかで、観光産業を下に見ている。だから提供されるものが全てと思って諦めてきた。多様性を産むためには日本人同士も要求し合わないと。
読了日:12月5日 著者:デービッドアトキンソン

注:

Posted by nekoneko at 15:43│Comments(0)
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