2016年05月02日
2016年4月の記録
Kindle Voyageを買ってしまいました。
発表されたKindle Oasisが魅力的でなかったための衝動買いの感が強く、
よく考えればKindle Paperwhiteにさほどの不具合もなかったので、
意味もなく豪勢な2台運用です。
Wi-Fiも入れっぱなにして、交互に使おうかと。
いつもどおりDecalGirlのスキンも調達。
左がKindle Paperwhite、右がKindle Voyageです。

イオン香西の宮脇書店、本を見やすい配置であることに初めて気づく。
平積みの多さ、だけではない感触。
店員さんのセンスなのか、売れ筋でない本も売りたい心意気なのか。
リアル本を、しかも宮脇書店で、4冊も買うのは久しぶりです。
積読本89冊。

2016年4月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
世にも奇妙なマラソン大会 (集英社文庫)の感想
相変わらずの無茶っぷりに抱腹絶倒である。世界の、今まで見たことも聞いたこともない地へ行きたい衝動は、もちろん著者本人の性向なのだけれど、一方で、別の意志も見える。例えば日本に暮らしていて想像もつかない理不尽や、逆に、欧米的ないわゆる先進国の物差しでは計れない、しかしその民族性に沿ったうまい仕組み。それらが世界のそこここに存在することを、面白可笑しいエピソードに伏流させて知らしめたいように感じた。今回は西サハラ問題、私は恥ずかしながら初めて知った。若い頃に冒険を好んだ人が進むいろいろの職が興味深い。
読了日:4月28日 著者:高野秀行
猫の神様 (講談社文庫)の感想
猫は神様からの預りもの。一緒に生きて、いつか神様にお返しする。わかっていても、別れの予感に、胸が痙攣するように苦しい。病んで死ぬとは、こんなに猫と飼い主を苦しめるのかと怖くなる。著者は精一杯愛し、見守り、見届けた。その姿は尊敬に値する。一歩抑えた文章がいやらしくなくてよかった。
読了日:4月28日 著者:東良美季
北の無人駅からの感想
北海道の無人駅と聞くと荒涼とした風景や人里離れたい心持ちを思い浮かべるが、このノンフィクションはそこから程遠い。北海道の無人駅は最初から無人だった訳はなく、それぞれに人が集まり、時代につれ離合集散した歴史がある。漁業、農業、自然保護、僻地村落の有り様など、駅ごとに一つの主題を結びつけ章立てしている。「じっくり土地の人の話を聞いてみたい」。特に凋落した地は、余所者に昔話をしてくれる古老も限られる。それらの話は、私たち余所者が訪れて美しいと感じる風景の表裏、旅では知り得ない本当の生活、この世界の普遍を見せる。
読了日:4月24日 著者:渡辺一史
諦める力 〈勝てないのは努力が足りないからじゃない〉の感想
熱っぽく語られる「がんばれば夢はかなう」が危うさをはらんでいることに、皆薄々気づいているのではないだろうか。だとすると本書はお勧めだ。上昇志向の空気は必要だが、個々人がそれに縛られるといつか身体や心を壊す。振り返って気づける真実を、為末さんだから語れる言葉で綴っている。例えば、自分だけに通じる軸を立てていくこと。アスリートに限らない。「気がすんだ」「好きでやっている」「それでいい」の重要さ。競技を離れた為末さんの人生の目的は「社会にインパクトを与える」、目標は「生き延びる」。なるほどそういう本です。
読了日:4月21日 著者:為末大
タイムマシン (光文社古典新訳文庫)の感想
人類の行く末を憂うSF。富裕層と労働者の各々に未来を見る。それにしても西暦(?)802000年とは、ずいぶん大きく見たものだ。私は人類がそこまで血脈を保てるとは思わないが。さらに未来の終末を確認したタイムトラヴェラーは帰還後すぐに肉を所望する。これは、彼が2種類の新人類のいずれにも親近の感情を抱き得なかったことを示している。だってあまりに醜悪な姿なのだ。醜悪と言えば、人類の滅亡した後、浜辺に現れる「鈍重なカニの化け物」は、キングのダークタワーシリーズに出てくる怪物を想起させる。こちらが原型ね。
読了日:4月17日 著者:ハーバート・ジョージウェルズ
半藤一利と宮崎駿の 腰ぬけ愛国談義 (文春ジブリ文庫)の感想
映画「風立ちぬ」を軸に、文豪、昭和、国などについての対談。昭和前半の時代を肌で知る人だけが持てる日本観が、在ると思う。お二人の間でも、大地にしたたる緑を見たことがない人には、アニメにもその緑を描くことはできないという話が出る。子供のときに見た記憶がないと我がものにはならない。同様に戦争も、自分が味わった以上に自分の理解にはなりえない。『地理的に見てこの国は力では守れない国』とお二人は同意する。力で守ろうと発想したときに、日本は道を踏み外してきた、と。愛国談義だけじゃなく、ほかもいろいろ豪華な対談。
読了日:4月16日 著者:半藤一利,宮崎駿
動物の言い分 人間の言い分 (角川oneテーマ21)の感想
日高先生が動植物の不思議を熱く語る読み物。短いので軽いようだが、ところどころ鼻腔を膨らませていると想像されるような箇所もあり、こちらもそれでそれで?と傾聴するのが楽しい。ガマにヘビがどう見えるかなど、心底驚きで、日高先生のしたり顔が見えるようだ。
読了日:4月15日 著者:日高敏隆
生存教室 ディストピアを生き抜くために (集英社新書)の感想
「暗殺教室」の設定を武術的と感じた光岡さんが、内田先生に対談を持ちかけた態。『武術がいまの社会になにを提示できるか。なにをもって能力の向上とし、また世の中に貢献できるか』。この方達や守先生のおかげで私も考えるようになり、身体も変わり始めた。近頃の話題は、現代人の身体と原初的な古の身体の比較考察だ。生活においても武術の稽古においても身体は退化している。原初の身体との乖離は、脳と身体の乖離をも招く。安易な想像は却って害。自らの退化を思い知り、少しでも原初の身体に回帰する努力をするべし。馬に乗ってみたくなった。
読了日:4月12日 著者:内田樹,光岡英稔
マリファナも銃もバカもOKの国 言霊USA2015の感想
アメリカにおける珍事は相変わらずである。あぁ面白い。一方、ちくりちくりと指摘している日本のおかしいところ、これは笑えない。アメリカの歪さと日本の歪さの根っこは同じだ。民主主義国家なら、国民はほんとうのことを知り、判断し、声を上げなきゃいけない。アンジー監督の映画『アンブロークン』が公開延期になった事件はもっと深刻に受け止めるべきだったのだ。「反日」が公開を見合わせる理由になるなんて、日本はいつからそんな国になったのか。それも反日ですらなかったとは。気をつけて世の中を見ていなければ。
読了日:4月5日 著者:町山智浩
エンデュアランス号漂流 (新潮文庫)の感想
ちょうど100年前、実在の遭難事件を、本人らの記録に基づき著したノンフィクション。彼らは南極大陸の横断は果たせなかったが、17か月の漂流を経ての全員生還が栄誉と讃えられた。功名心に駆られてリーダーとなったシャクルトンはやがてその即断と専心で皆を生還に導き、直感で選んだ隊員たちは、集団の力学にのっとって極寒の地と氷の海を生き延びる術を全て使った。叙情描写が抑えられているのにこの分量である。読むこちらも気力を試される。印象深いのは夜明けの光だ。暗く悲惨な夜を癒し、生きる意志を導く、神々しいまでの金色の光。
読了日:4月4日 著者:アルフレッドランシング
注:
はKindleで読んだ本。
発表されたKindle Oasisが魅力的でなかったための衝動買いの感が強く、
よく考えればKindle Paperwhiteにさほどの不具合もなかったので、
意味もなく豪勢な2台運用です。
Wi-Fiも入れっぱなにして、交互に使おうかと。
いつもどおりDecalGirlのスキンも調達。
左がKindle Paperwhite、右がKindle Voyageです。

イオン香西の宮脇書店、本を見やすい配置であることに初めて気づく。
平積みの多さ、だけではない感触。
店員さんのセンスなのか、売れ筋でない本も売りたい心意気なのか。
リアル本を、しかも宮脇書店で、4冊も買うのは久しぶりです。
積読本89冊。

2016年4月の読書メーター
読んだ本の数:10冊

相変わらずの無茶っぷりに抱腹絶倒である。世界の、今まで見たことも聞いたこともない地へ行きたい衝動は、もちろん著者本人の性向なのだけれど、一方で、別の意志も見える。例えば日本に暮らしていて想像もつかない理不尽や、逆に、欧米的ないわゆる先進国の物差しでは計れない、しかしその民族性に沿ったうまい仕組み。それらが世界のそこここに存在することを、面白可笑しいエピソードに伏流させて知らしめたいように感じた。今回は西サハラ問題、私は恥ずかしながら初めて知った。若い頃に冒険を好んだ人が進むいろいろの職が興味深い。
読了日:4月28日 著者:高野秀行


猫は神様からの預りもの。一緒に生きて、いつか神様にお返しする。わかっていても、別れの予感に、胸が痙攣するように苦しい。病んで死ぬとは、こんなに猫と飼い主を苦しめるのかと怖くなる。著者は精一杯愛し、見守り、見届けた。その姿は尊敬に値する。一歩抑えた文章がいやらしくなくてよかった。
読了日:4月28日 著者:東良美季


北海道の無人駅と聞くと荒涼とした風景や人里離れたい心持ちを思い浮かべるが、このノンフィクションはそこから程遠い。北海道の無人駅は最初から無人だった訳はなく、それぞれに人が集まり、時代につれ離合集散した歴史がある。漁業、農業、自然保護、僻地村落の有り様など、駅ごとに一つの主題を結びつけ章立てしている。「じっくり土地の人の話を聞いてみたい」。特に凋落した地は、余所者に昔話をしてくれる古老も限られる。それらの話は、私たち余所者が訪れて美しいと感じる風景の表裏、旅では知り得ない本当の生活、この世界の普遍を見せる。
読了日:4月24日 著者:渡辺一史

熱っぽく語られる「がんばれば夢はかなう」が危うさをはらんでいることに、皆薄々気づいているのではないだろうか。だとすると本書はお勧めだ。上昇志向の空気は必要だが、個々人がそれに縛られるといつか身体や心を壊す。振り返って気づける真実を、為末さんだから語れる言葉で綴っている。例えば、自分だけに通じる軸を立てていくこと。アスリートに限らない。「気がすんだ」「好きでやっている」「それでいい」の重要さ。競技を離れた為末さんの人生の目的は「社会にインパクトを与える」、目標は「生き延びる」。なるほどそういう本です。
読了日:4月21日 著者:為末大


人類の行く末を憂うSF。富裕層と労働者の各々に未来を見る。それにしても西暦(?)802000年とは、ずいぶん大きく見たものだ。私は人類がそこまで血脈を保てるとは思わないが。さらに未来の終末を確認したタイムトラヴェラーは帰還後すぐに肉を所望する。これは、彼が2種類の新人類のいずれにも親近の感情を抱き得なかったことを示している。だってあまりに醜悪な姿なのだ。醜悪と言えば、人類の滅亡した後、浜辺に現れる「鈍重なカニの化け物」は、キングのダークタワーシリーズに出てくる怪物を想起させる。こちらが原型ね。
読了日:4月17日 著者:ハーバート・ジョージウェルズ


映画「風立ちぬ」を軸に、文豪、昭和、国などについての対談。昭和前半の時代を肌で知る人だけが持てる日本観が、在ると思う。お二人の間でも、大地にしたたる緑を見たことがない人には、アニメにもその緑を描くことはできないという話が出る。子供のときに見た記憶がないと我がものにはならない。同様に戦争も、自分が味わった以上に自分の理解にはなりえない。『地理的に見てこの国は力では守れない国』とお二人は同意する。力で守ろうと発想したときに、日本は道を踏み外してきた、と。愛国談義だけじゃなく、ほかもいろいろ豪華な対談。
読了日:4月16日 著者:半藤一利,宮崎駿


日高先生が動植物の不思議を熱く語る読み物。短いので軽いようだが、ところどころ鼻腔を膨らませていると想像されるような箇所もあり、こちらもそれでそれで?と傾聴するのが楽しい。ガマにヘビがどう見えるかなど、心底驚きで、日高先生のしたり顔が見えるようだ。
読了日:4月15日 著者:日高敏隆


「暗殺教室」の設定を武術的と感じた光岡さんが、内田先生に対談を持ちかけた態。『武術がいまの社会になにを提示できるか。なにをもって能力の向上とし、また世の中に貢献できるか』。この方達や守先生のおかげで私も考えるようになり、身体も変わり始めた。近頃の話題は、現代人の身体と原初的な古の身体の比較考察だ。生活においても武術の稽古においても身体は退化している。原初の身体との乖離は、脳と身体の乖離をも招く。安易な想像は却って害。自らの退化を思い知り、少しでも原初の身体に回帰する努力をするべし。馬に乗ってみたくなった。
読了日:4月12日 著者:内田樹,光岡英稔


アメリカにおける珍事は相変わらずである。あぁ面白い。一方、ちくりちくりと指摘している日本のおかしいところ、これは笑えない。アメリカの歪さと日本の歪さの根っこは同じだ。民主主義国家なら、国民はほんとうのことを知り、判断し、声を上げなきゃいけない。アンジー監督の映画『アンブロークン』が公開延期になった事件はもっと深刻に受け止めるべきだったのだ。「反日」が公開を見合わせる理由になるなんて、日本はいつからそんな国になったのか。それも反日ですらなかったとは。気をつけて世の中を見ていなければ。
読了日:4月5日 著者:町山智浩


ちょうど100年前、実在の遭難事件を、本人らの記録に基づき著したノンフィクション。彼らは南極大陸の横断は果たせなかったが、17か月の漂流を経ての全員生還が栄誉と讃えられた。功名心に駆られてリーダーとなったシャクルトンはやがてその即断と専心で皆を生還に導き、直感で選んだ隊員たちは、集団の力学にのっとって極寒の地と氷の海を生き延びる術を全て使った。叙情描写が抑えられているのにこの分量である。読むこちらも気力を試される。印象深いのは夜明けの光だ。暗く悲惨な夜を癒し、生きる意志を導く、神々しいまでの金色の光。
読了日:4月4日 著者:アルフレッドランシング
注:

Posted by nekoneko at 11:09│Comments(0)
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