2016年08月03日
2016年7月の記録
入籍したからと言って、予想していたよりは読めている。
夫の帰りを待つ間、夫が勉強している間、夫がテレビを観ている間。
諸雑用を首尾よく片づければ、時間は取れる。
自分の人生が劇的に動いているとき、特に現代小説は読めないと知る。
実用書とか、外国を感じさせるルポとか、私から遠い本に今は惹かれる。
積読本87冊(うちKindle本18冊)。

2016年7月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
できない理由は、その頑張りと努力にあったの感想
甲野さんの話は文脈が独特だ。そのためか、平尾さんの合いの手も説明的、継ぎ接ぎの感がある。人間の身体は、意識が意識できる域、想像できる域をも超えた運動ができるようになっている。つまり人間は関節でヒンジ運動、随意筋で対象を動かすだけの構造体ではなく、伸び、縮み、捩り、さらに時間にずれをつけて各部位を動かすことができるので、その組み合わせは無限大、日本の父祖が武術の技として伝えてきたものが、時代の科学化と西洋化で失われ、または単純化された。日本の技を再度発見しようとする甲野さんの日々鍛錬する熱意は一言、すごい。
読了日:7月30日 著者:甲野善紀
世界がもし100人の村だったらの感想
数年前に話題になった本。なんとなく想像していた、社会学的に世界を捉える初歩としての本ではなく、若年世代に読んでもらうことにより、広い世界を意識し、生きることを肯定させる狙いがあるらしい。インターネット上の民話と位置づけられている。つまり、不特定多数に訴求するために、現象を余りに単純平準化したため、それ以上の深みを生まない絵本。
読了日:7月29日 著者:池田香代子
水の巡礼 (角川文庫)の感想
私は神社や山へ行って何か感じても、雰囲気に呑まれたか気の迷いだと断じてきた。しかし人間の身体の持つ可能性を知るにつけ、生物としてなにかしら感知することは有り得ると考えるようになった。しかればこれら神秘の力を持つという場所に是非行ってみたい。人が昔持っていたはずの感覚なら涵養できそうだ。ランディさんは木や草、山、水、自然のことをもっと知りたいと言う。機会に飛び乗って、行き、納得するまでつき詰め、つながっていく。それは生物として信頼するに足る大きな根源にひかれた、原始的な欲求なのだろう。『魂は水に似ている』。
読了日:7月21日 著者:田口ランディ
驚きの皮膚の感想
表紙の手触りにこだわりが見える。皮膚感覚は脳が知覚または意識するよりはるかに膨大な量の情報を感知し、瞬時に処理する機能をも持つ「外界との境界に存在する知能」である。人間の行動や心理さえ、かなりの部分を支配している。真皮の下の神経細胞が信号を受容して脳へ送り…という説明は最早古いのだ。皮膚感覚の、想像を上回る機能を紹介しつつ、本作ではより大きなシステム、人間社会の仕組みと未来にまで考察を試みている。言わんとするところはわかるが、若干弱い。私の関心は、魂は皮膚にあるか。意識せずに身体を動かせる為の鍛錬とは。
読了日:7月18日 著者:傳田光洋
0ベース思考---どんな難問もシンプルに解決できるの感想
Think Like A Freak. 専門家ですら近未来予測の的中率がチンパンジーが投げるダーツの的に当たる確率と大差ないとすれば、一般人がこねまわす思考のレベルは言わずもがな。フリークのように、子供のように考えてみようと著者は言う。主軸は2つある。人の脳の論理と机上の論理の違いを知ることと、先入観やインセンティブなどの思考を濁らせるものを全力で無視することだ。そしてほんの一瞬よぎる思考のしっぽをつかむ。いろいろの実験、実証が印象深い。帯は煽り過ぎ、単純に痛快なので読まれているのでは?
読了日:7月12日 著者:スティーヴン・レヴィット,スティーヴン・ダブナー
十六夜橋 (ちくま文庫)の感想
この読み心地をなんと表現すればよいのか。言葉がやさしい。人の心がやさしい。人の生そのもので、決して楽しいことばかりではなく、どころか、辛い想いのためにあの世とのあわいに漂うような志乃の姿は痛々しく、見守る家族も心穏やかとは言い難い。それでもひとりひとりが地に足をつけ、儚い願いを抱いて暮らす様が、やわらかい方言と相まって、私を人懐かしく、祈るような心持ちにさせる。
読了日:7月10日 著者:石牟礼道子
すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)の感想
「乳と卵」を読んだとき、私は「生臭い、どうせなら美しい文章を読みたい」と思ったのだった。だから今回、あまりの文調の違いに私は面食らった。漢字と平仮名のバランス、文章の速度など念入りに計算されて、まるで冬子の人格そのものだ。そう、この人の文章そのものが、主体を現している。前半の慎重な、探りあて探りあて進む文章から、終盤に感情を振り切って脱皮してからは、いわば世間標準、年相応の女性らしい文章に変化している。その意味で、他の作品も読んでみたいと思った。
読了日:7月9日 著者:川上未映子
シャーロック・ホームズの冒険 (創元推理文庫)の感想
有名な短編が収められたシリーズ第1作。深町さんの訳。さて、人として欠点だらけのホームズ。下宿の女主人とワトスンのほか、人づきあいもなさそう。ホームズはワトスンのことを有能とは思っていないが、「心から信頼できる友人」と呼ぶ。ワトスンも冒険に巻き込まれることを喜んでいる。でもワトスンは妻を娶り、つまりホームズの他にも信頼できる存在があるわけだ。危なっかしくはないのかな。そういうことを気にする時代ではないのかな。読みやすく、面白い。私にはそれだけ。
読了日:7月6日 著者:アーサー・コナン・ドイル
世界を変えた10冊の本 (文春文庫)の感想
宗教、資本主義、経済、環境、生物学など、幅広いジャンルの本各々が世界に多大な影響を与えてきたと、読めば納得の選本である。例えばある本が出版されたとして、どこまで真実でどこまで仮説の範囲内か、どこまでが信じるに値しどこまでが首を傾げざるを得ない代物か、科学であれば後世から真偽が判明するだろうが、当世には真実と断言できない余地が残るぶん、ある種の流行り、熱狂のようなものでしかないのかもしれない。この観点で見る「本」は魔物のようだ。イスラム原理主義の「道しるべ」のような、現代の世界への影響を、本は与えうる。
読了日:7月2日 著者:池上彰
注:
はKindleで読んだ本。
夫の帰りを待つ間、夫が勉強している間、夫がテレビを観ている間。
諸雑用を首尾よく片づければ、時間は取れる。
自分の人生が劇的に動いているとき、特に現代小説は読めないと知る。
実用書とか、外国を感じさせるルポとか、私から遠い本に今は惹かれる。
積読本87冊(うちKindle本18冊)。

2016年7月の読書メーター
読んだ本の数:9冊

甲野さんの話は文脈が独特だ。そのためか、平尾さんの合いの手も説明的、継ぎ接ぎの感がある。人間の身体は、意識が意識できる域、想像できる域をも超えた運動ができるようになっている。つまり人間は関節でヒンジ運動、随意筋で対象を動かすだけの構造体ではなく、伸び、縮み、捩り、さらに時間にずれをつけて各部位を動かすことができるので、その組み合わせは無限大、日本の父祖が武術の技として伝えてきたものが、時代の科学化と西洋化で失われ、または単純化された。日本の技を再度発見しようとする甲野さんの日々鍛錬する熱意は一言、すごい。
読了日:7月30日 著者:甲野善紀

数年前に話題になった本。なんとなく想像していた、社会学的に世界を捉える初歩としての本ではなく、若年世代に読んでもらうことにより、広い世界を意識し、生きることを肯定させる狙いがあるらしい。インターネット上の民話と位置づけられている。つまり、不特定多数に訴求するために、現象を余りに単純平準化したため、それ以上の深みを生まない絵本。
読了日:7月29日 著者:池田香代子

私は神社や山へ行って何か感じても、雰囲気に呑まれたか気の迷いだと断じてきた。しかし人間の身体の持つ可能性を知るにつけ、生物としてなにかしら感知することは有り得ると考えるようになった。しかればこれら神秘の力を持つという場所に是非行ってみたい。人が昔持っていたはずの感覚なら涵養できそうだ。ランディさんは木や草、山、水、自然のことをもっと知りたいと言う。機会に飛び乗って、行き、納得するまでつき詰め、つながっていく。それは生物として信頼するに足る大きな根源にひかれた、原始的な欲求なのだろう。『魂は水に似ている』。
読了日:7月21日 著者:田口ランディ


表紙の手触りにこだわりが見える。皮膚感覚は脳が知覚または意識するよりはるかに膨大な量の情報を感知し、瞬時に処理する機能をも持つ「外界との境界に存在する知能」である。人間の行動や心理さえ、かなりの部分を支配している。真皮の下の神経細胞が信号を受容して脳へ送り…という説明は最早古いのだ。皮膚感覚の、想像を上回る機能を紹介しつつ、本作ではより大きなシステム、人間社会の仕組みと未来にまで考察を試みている。言わんとするところはわかるが、若干弱い。私の関心は、魂は皮膚にあるか。意識せずに身体を動かせる為の鍛錬とは。
読了日:7月18日 著者:傳田光洋

Think Like A Freak. 専門家ですら近未来予測の的中率がチンパンジーが投げるダーツの的に当たる確率と大差ないとすれば、一般人がこねまわす思考のレベルは言わずもがな。フリークのように、子供のように考えてみようと著者は言う。主軸は2つある。人の脳の論理と机上の論理の違いを知ることと、先入観やインセンティブなどの思考を濁らせるものを全力で無視することだ。そしてほんの一瞬よぎる思考のしっぽをつかむ。いろいろの実験、実証が印象深い。帯は煽り過ぎ、単純に痛快なので読まれているのでは?
読了日:7月12日 著者:スティーヴン・レヴィット,スティーヴン・ダブナー

この読み心地をなんと表現すればよいのか。言葉がやさしい。人の心がやさしい。人の生そのもので、決して楽しいことばかりではなく、どころか、辛い想いのためにあの世とのあわいに漂うような志乃の姿は痛々しく、見守る家族も心穏やかとは言い難い。それでもひとりひとりが地に足をつけ、儚い願いを抱いて暮らす様が、やわらかい方言と相まって、私を人懐かしく、祈るような心持ちにさせる。
読了日:7月10日 著者:石牟礼道子

「乳と卵」を読んだとき、私は「生臭い、どうせなら美しい文章を読みたい」と思ったのだった。だから今回、あまりの文調の違いに私は面食らった。漢字と平仮名のバランス、文章の速度など念入りに計算されて、まるで冬子の人格そのものだ。そう、この人の文章そのものが、主体を現している。前半の慎重な、探りあて探りあて進む文章から、終盤に感情を振り切って脱皮してからは、いわば世間標準、年相応の女性らしい文章に変化している。その意味で、他の作品も読んでみたいと思った。
読了日:7月9日 著者:川上未映子

有名な短編が収められたシリーズ第1作。深町さんの訳。さて、人として欠点だらけのホームズ。下宿の女主人とワトスンのほか、人づきあいもなさそう。ホームズはワトスンのことを有能とは思っていないが、「心から信頼できる友人」と呼ぶ。ワトスンも冒険に巻き込まれることを喜んでいる。でもワトスンは妻を娶り、つまりホームズの他にも信頼できる存在があるわけだ。危なっかしくはないのかな。そういうことを気にする時代ではないのかな。読みやすく、面白い。私にはそれだけ。
読了日:7月6日 著者:アーサー・コナン・ドイル


宗教、資本主義、経済、環境、生物学など、幅広いジャンルの本各々が世界に多大な影響を与えてきたと、読めば納得の選本である。例えばある本が出版されたとして、どこまで真実でどこまで仮説の範囲内か、どこまでが信じるに値しどこまでが首を傾げざるを得ない代物か、科学であれば後世から真偽が判明するだろうが、当世には真実と断言できない余地が残るぶん、ある種の流行り、熱狂のようなものでしかないのかもしれない。この観点で見る「本」は魔物のようだ。イスラム原理主義の「道しるべ」のような、現代の世界への影響を、本は与えうる。
読了日:7月2日 著者:池上彰

注:

Posted by nekoneko at 09:08│Comments(0)
│読書