2016年12月01日
2016年11月の記録
好きな作家、好きな分野の本をどっぷり読むより、偶々出会った面白そうな本を気分に任せて読む読み方を、最近はしている感じです。積読棚にある本は、どれも気合を入れて読みたい、期待の本ばかり。ハードカバーの本が、特に回転悪し。読み始めてしまえば、おそらく一気呵成に読めるのだから、手にとって読み始めるタイミング、それを逃さないことですね。
積読本92冊(うちKindle本21冊)。

2016年11月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
カタロニア讃歌 (岩波文庫)の感想
民主主義を守りファシズムと戦う為、オーウェルはスペイン内戦の義勇軍に志願従軍した。しかしフランコ政権との闘いは反ファシスト勢力組織間の対立にすり替わり、泥沼化する。共産党による捏造報道に気づき、バルセロナ市街戦の場にいた者として真実をと書かれた詳細なルポだ。国の在り様を思い、ファシズムの席巻を予見して憂い、義憤故に戦いに身を投じる、それが男の道なのか。オーウェルはPOUMを愛し、ルポにカタロニアへのオマージュと題した。咽喉を撃ち抜かれ、警察に追われなお、スペインに帰りたいと思わせたものに私は思いを巡らす。
読了日:11月30日 著者:ジョージオーウェル
こんな気持ちが恋だったの感想
川柳集の位置づけ。恋愛にまつわるコンパクトな雑感。『どこでもドアあなたがいないとこはイヤ』などかわいらしく始まるが、徐々に『僕だけが気づいたホクロと信じてる』、『引きずってる前の女がその程度』など、苦味が効いたものが増えてくる。共感は覚えるも、もう少しピリッと、辛味で読み手を戦慄させてほしい。
読了日:11月27日 著者:益田ミリ
さらば白人国家アメリカの感想
トランプ氏は察知力に長け、ポピュリズムの手腕も一流だった。読めば、あるべくしてこの大統領選は展開されたと思える。もしも私がアメリカ国民だったならサンダース氏を支持し、「投票所に行く」ことができたならクリントン氏に投票し、結果に憤激しただろう。よしんばトランプ氏に建設的なビジョンがあるとして、全国に煽り立てた憎悪や嘘にどう落とし前をつけるつもりか。アメリカの迷走あるいは衰退を漠と想像してみる。注意深く見守り、私たちの行く先を決めなければ。町山さんの真情がほろり切ない。
読了日:11月18日 著者:町山智浩
命売ります (ちくま文庫)の感想
三島と知らなければ、三島が書いたとは思えないタッチの小説。娯楽ものの展開に沿いながら、じわじわと死への恐怖の色が濃くなり、それは三島自身の内深くに隠している恐怖感と察するに至って、こういう形で書かなければいてもたってもいられない心持ちが強がりの三島を動かしたのだろうかと、情けない姿の主人公を感慨深く眺めた。その時代らしい描写がおもしろい。
読了日:11月12日 著者:三島由紀夫
「全世界史」講義 I古代・中世編: 教養に効く!人類5000年史の感想
出口さんが得た知識を統合した歴史は、出口色に富んだ注釈と解釈が面白い。歴史は遺物からの情報と推定との積み重ねだから、今後も新発見があるし、都度見解も変わって当然なのだ。古代の歴史は中東を軸に展開する。支配と宗教と文化は時代独自で、離合集散しながら色々のものを各地に伝播し、文明を進めてゆく様は、ひとつの絵巻物を見ているようだった。『気候変動などの偶然の条件と、世の中の大きな流れと、高い能力を持った個人と、この三つの波長があったときに、大帝国ができる』。今もまた過去から未来への過渡期。どんどん変わるのだろう。
読了日:11月10日 著者:出口治明
一年でいちばん暗い夕暮れに (ハヤカワ文庫 NV ク 6-9) (ハヤカワ文庫NV)の感想
昔読んでいた頃のクーンツは、善悪観がくっきりと宗教性に結びついていたと記憶している。久しぶりに読んだこの物語はそこまで宗教性が強くない代わりに、小さいけれど、幼くまた無垢なる故に強く輝く光が際立つ。大人は彼らを守り、憧れ、慈しみ、だから希望をもって生きていけるのだと、クーンツは言っているようだ。そうか、だから灯台なのだ。魅力的な犬たち、傷を負わされた彼らもまた、心ある手当に癒され、魂のままに草原を駆けられますように。
読了日:11月5日 著者:ディーン・クーンツ
注:
はKindleで読んだ本。
積読本92冊(うちKindle本21冊)。

2016年11月の読書メーター
読んだ本の数:6冊

民主主義を守りファシズムと戦う為、オーウェルはスペイン内戦の義勇軍に志願従軍した。しかしフランコ政権との闘いは反ファシスト勢力組織間の対立にすり替わり、泥沼化する。共産党による捏造報道に気づき、バルセロナ市街戦の場にいた者として真実をと書かれた詳細なルポだ。国の在り様を思い、ファシズムの席巻を予見して憂い、義憤故に戦いに身を投じる、それが男の道なのか。オーウェルはPOUMを愛し、ルポにカタロニアへのオマージュと題した。咽喉を撃ち抜かれ、警察に追われなお、スペインに帰りたいと思わせたものに私は思いを巡らす。
読了日:11月30日 著者:ジョージオーウェル


川柳集の位置づけ。恋愛にまつわるコンパクトな雑感。『どこでもドアあなたがいないとこはイヤ』などかわいらしく始まるが、徐々に『僕だけが気づいたホクロと信じてる』、『引きずってる前の女がその程度』など、苦味が効いたものが増えてくる。共感は覚えるも、もう少しピリッと、辛味で読み手を戦慄させてほしい。
読了日:11月27日 著者:益田ミリ

トランプ氏は察知力に長け、ポピュリズムの手腕も一流だった。読めば、あるべくしてこの大統領選は展開されたと思える。もしも私がアメリカ国民だったならサンダース氏を支持し、「投票所に行く」ことができたならクリントン氏に投票し、結果に憤激しただろう。よしんばトランプ氏に建設的なビジョンがあるとして、全国に煽り立てた憎悪や嘘にどう落とし前をつけるつもりか。アメリカの迷走あるいは衰退を漠と想像してみる。注意深く見守り、私たちの行く先を決めなければ。町山さんの真情がほろり切ない。
読了日:11月18日 著者:町山智浩


三島と知らなければ、三島が書いたとは思えないタッチの小説。娯楽ものの展開に沿いながら、じわじわと死への恐怖の色が濃くなり、それは三島自身の内深くに隠している恐怖感と察するに至って、こういう形で書かなければいてもたってもいられない心持ちが強がりの三島を動かしたのだろうかと、情けない姿の主人公を感慨深く眺めた。その時代らしい描写がおもしろい。
読了日:11月12日 著者:三島由紀夫

出口さんが得た知識を統合した歴史は、出口色に富んだ注釈と解釈が面白い。歴史は遺物からの情報と推定との積み重ねだから、今後も新発見があるし、都度見解も変わって当然なのだ。古代の歴史は中東を軸に展開する。支配と宗教と文化は時代独自で、離合集散しながら色々のものを各地に伝播し、文明を進めてゆく様は、ひとつの絵巻物を見ているようだった。『気候変動などの偶然の条件と、世の中の大きな流れと、高い能力を持った個人と、この三つの波長があったときに、大帝国ができる』。今もまた過去から未来への過渡期。どんどん変わるのだろう。
読了日:11月10日 著者:出口治明


昔読んでいた頃のクーンツは、善悪観がくっきりと宗教性に結びついていたと記憶している。久しぶりに読んだこの物語はそこまで宗教性が強くない代わりに、小さいけれど、幼くまた無垢なる故に強く輝く光が際立つ。大人は彼らを守り、憧れ、慈しみ、だから希望をもって生きていけるのだと、クーンツは言っているようだ。そうか、だから灯台なのだ。魅力的な犬たち、傷を負わされた彼らもまた、心ある手当に癒され、魂のままに草原を駆けられますように。
読了日:11月5日 著者:ディーン・クーンツ
注:

Posted by nekoneko at 09:50│Comments(0)
│読書