2017年03月01日
2017年2月の記録
夫が平日夜の時間を勉強に割かなければならない。
ということは、そのあいだ私は本を読める。ひゃっほう!
という短絡思考に陥っている。
積読本86冊(うちKindle本15冊)。

2017年2月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
アジア新聞屋台村 (集英社文庫)の感想
外国を舞台にした作品よりこぢんまりしたスケールだが、発散する熱量はさすがの、エイジアンである。高野さんがなんとも日本人らしく感じるのは、高野さんが日本にいるからか、彼女らが高野さんの日本人らしさを引き立てているのか。高野さんがなにかに所属しているのも珍しいには違いない。ここで得たものを手に、世界に飛び出してとびきりぶっ飛んだネタを書いてほしい。それと、高野さん、劉さんみたいなタイプ好きだね。
読了日:2月28日 著者:高野秀行
一汁一菜でよいという提案の感想
一汁一菜は日本食文化の原点、伝統の基本様式。毎日の食事は手数を増やさないもの、季節の素材を素朴にいただき楽しむものである。の辺りまでは読まずとも想像がつくだろう。が、土井家のお味噌汁の写真は衝撃的だ。もやしがはみ出し、煮干しの頭が突き出し、『繕わない』味噌汁とはこういうものか。こんな一汁一菜+αでいいなら、私にも余裕ができる。そして『余裕があるとき、おいしそうなものが目に飛び込んできて、これが食べたいと思ったとき、同時に家族の顔が浮かんでくる』。そう、その喜ばせたい純粋な衝動が戻る日々の幸せよ。温かい。
読了日:2月27日 著者:土井善晴
OUT OF AFRICA アフリカの奇跡 世界に誇れる日本人ビジネスマンの物語 (OUT OF AFRICA)の感想
例えば幼少期の海外暮らしや、外国人との交友があると、それが親の都合でも、子供は世界という視野を抵抗なく獲得する。家や親に世界観が育まれる流れは、横着や卑屈な心持ちから言うのではなく、確かに在って、広い視野を持つ人は広い選択肢を持つ。子供は選べない。私にとって大層なことが、佐藤家の娘さんにとっては日常生活の延長線上でしかないのだ。文化や教養を生活に取り入れ、積み重ねることは今からでもできる。しかし『本当に良質なもの』の見極めや入口探しも、目を持たなければまた難しいことだと、読みながらずっと思っていた。
読了日:2月25日 著者:佐藤芳之
探検家の日々本本の感想
山好きには本好きが多い印象を持っている。探検家を名乗る著者も読書好きであり、探検と読書の相互作用が面白い。探検、つまり身体を使って世界を探索する行為と、読書、つまり頭脳を使って世界を探索する行為は似ている。意識無意識的に真理を求める衝動だ。それも彼の場合、生死の境界ぎりぎりまで幾度となく行っており、読んだ本のそういう部分に鋭く感応している。安楽な環境で本ばかり読む私には理解しえない領域ではあるが、読書が人生を変えることの実証だ。彼自身の探検記も含め、読みたい本が加速度的に増加、読むのが俄然楽しみになった。
読了日:2月22日 著者:角幡唯介
鴨川ホルモー (角川文庫)の感想
実は読むのが怖かった。「鹿男あおによし」の独特、邪気のない荒唐無稽さ、どうしようもなく気に入っている、あの世界の匂いが偶々生まれただけのもので、期待が今回早くも裏切られるのではと。しかし全くの心配無用だった。造形人物が作為的に変人なのではなく、万城目氏の描く世界そのものが独特で且つヘンなのだ。なのに、大学生あるあるだし、京都ならありそうな気もするし、読んでいるうちに受け入れて先を期待してしまうのだ。渾身のビンタ。あぁ青春だねぇ。
読了日:2月19日 著者:万城目学
i(アイ)の感想
このタイミングで読んだことが何者かの啓示としか思えない凄い小説。大きな物語は、読む者に様々な読み方を許す。私は「居場所の物語」としておこう。居場所は、祖国や家があればいいとは限らない。本人の内なる拠り所だから、他から与えることも強いることもできない。アイは大きな家があっても、平穏で居られずもがいていた。そのうちに見つけるんだ。若い頃ってそういうものでしょう。私は幸いアイほど若くないから、もう少しわかったつもりで、依存せず、自らの居場所を慈しむことができるのではないかと希望しつつ、祈るような気持ちになった。
読了日:2月15日 著者:西加奈子
横田真一 4スタンスゴルフの感想
共有のKindleアカウントで夫が買ったので読んでみた。人の身体の使い方には4パターンあるとする廣戸氏の理論を基にした、パターン別ゴルフ指南である。私はB2、クロス。よく合致しているように感じる。ゴルフのみならず、人の身体がそれぞれ違った重心の置き方をするならば、どの運動においても画一の指導はできないことになる。太極拳など姿勢を厳密に指摘する種目では、「正しい姿勢」は時に苦痛だ。より良い身体をつくるためには今の身体の動きは矯めるべきなのか、活かすべきなのか。もっと知り考える必要がある。
読了日:2月14日 著者:横田真一
不妊治療を考えたら読む本 科学でわかる「妊娠への近道」 (ブルーバックス)の感想
40歳の大台が見えている女性が、初めての子供を自然妊娠して無事に出産する。それがもはやファンタジーである事実を数字で突きつけられる。自然妊娠しない最大の要因は、加齢。体質改善やサプリなどは気休めであり時間の無駄で、本当に産みたいなら、少しでも早く診察を受けなさいと著者は言う。そう、「不妊」治療ですらないのだ。検査して不妊症と診断されたから処置を受けるのではない。より確実に子供を授かる為の手段として、ふたりの身体の状況に合わせて自ら選ぶ生殖補助医療。そのような時代になったのだ。最新の研究・技術に詳しい。
読了日:2月13日 著者:浅田義正,河合蘭
脳外科医マーシュの告白の感想
1987年に脳神経外科専門医になったイギリス人医師マーシュ氏の回想録。原題「Do No Harm」。脳神経外科の手術は過酷だ。脳や神経の損傷は取り返しがつかず、密接した血管を傷つけるようなわずかな過失も大惨事を招く。いやはや、想像を絶した。患者とは理不尽なものだ。人間が最も弱くなる瞬間だろう。治る見込みのない障害や死の宣告に惑い、目を背け、幻の希望にしがみつき、医師に懇願し、憎み、訴訟を起こす。一方で、受け入れ、赦し、平安に逝くことも、人間はできる。全能な病院、全能な医師は存在しないと知ることから。
読了日:2月12日 著者:ヘンリー・マーシュ
できるクリエイター GIMP 2.8独習ナビ Windows&Mac OS X対応 (できるクリエイターシリーズ)の感想
JTrimよりも高度な画像編集をするために入手したフリーソフトGIMPの入門書。レイヤーやパスなどの基本的な概念がわからないままレッスンに突入するので、細かい機能の意味はわかるが、作業のための手順の考え方が初心者の私は会得できないままだ。あと、手順が詳細に示されているようで、ときどき抜けていて混乱させられる。
読了日:2月9日 著者:ドルバッキーヨウコ,オブスキュアインク,できるシリーズ編集部
下り坂をそろそろと下る (講談社現代新書)の感想
演劇を学校教育に組み込み、『人と共に生きるためのセンス』を育成する。香川県内でも取組まれ、効果を上げているとは知らなかった。地方と中央の文化資本格差をなくす目的もある。伝統芸能なり文化芸術なりを、子どもに「シャワーを浴びるように」地方でも与える。無意味に中央を目指さない、付加価値を生む人材を育て、『寛容と包摂の社会』へ変わろう。これからの下り坂の日本を憂い、自ら携わる演劇がどのように資することができるかを考える平田オリザの提言だ。私にはまだしっくりこないこれらの動き。でも、これらが、当然になるのだろう。
読了日:2月7日 著者:平田オリザ
注:
はKindleで読んだ本。
ということは、そのあいだ私は本を読める。ひゃっほう!
という短絡思考に陥っている。
積読本86冊(うちKindle本15冊)。

2017年2月の読書メーター
読んだ本の数:11冊

外国を舞台にした作品よりこぢんまりしたスケールだが、発散する熱量はさすがの、エイジアンである。高野さんがなんとも日本人らしく感じるのは、高野さんが日本にいるからか、彼女らが高野さんの日本人らしさを引き立てているのか。高野さんがなにかに所属しているのも珍しいには違いない。ここで得たものを手に、世界に飛び出してとびきりぶっ飛んだネタを書いてほしい。それと、高野さん、劉さんみたいなタイプ好きだね。
読了日:2月28日 著者:高野秀行


一汁一菜は日本食文化の原点、伝統の基本様式。毎日の食事は手数を増やさないもの、季節の素材を素朴にいただき楽しむものである。の辺りまでは読まずとも想像がつくだろう。が、土井家のお味噌汁の写真は衝撃的だ。もやしがはみ出し、煮干しの頭が突き出し、『繕わない』味噌汁とはこういうものか。こんな一汁一菜+αでいいなら、私にも余裕ができる。そして『余裕があるとき、おいしそうなものが目に飛び込んできて、これが食べたいと思ったとき、同時に家族の顔が浮かんでくる』。そう、その喜ばせたい純粋な衝動が戻る日々の幸せよ。温かい。
読了日:2月27日 著者:土井善晴

例えば幼少期の海外暮らしや、外国人との交友があると、それが親の都合でも、子供は世界という視野を抵抗なく獲得する。家や親に世界観が育まれる流れは、横着や卑屈な心持ちから言うのではなく、確かに在って、広い視野を持つ人は広い選択肢を持つ。子供は選べない。私にとって大層なことが、佐藤家の娘さんにとっては日常生活の延長線上でしかないのだ。文化や教養を生活に取り入れ、積み重ねることは今からでもできる。しかし『本当に良質なもの』の見極めや入口探しも、目を持たなければまた難しいことだと、読みながらずっと思っていた。
読了日:2月25日 著者:佐藤芳之


山好きには本好きが多い印象を持っている。探検家を名乗る著者も読書好きであり、探検と読書の相互作用が面白い。探検、つまり身体を使って世界を探索する行為と、読書、つまり頭脳を使って世界を探索する行為は似ている。意識無意識的に真理を求める衝動だ。それも彼の場合、生死の境界ぎりぎりまで幾度となく行っており、読んだ本のそういう部分に鋭く感応している。安楽な環境で本ばかり読む私には理解しえない領域ではあるが、読書が人生を変えることの実証だ。彼自身の探検記も含め、読みたい本が加速度的に増加、読むのが俄然楽しみになった。
読了日:2月22日 著者:角幡唯介


実は読むのが怖かった。「鹿男あおによし」の独特、邪気のない荒唐無稽さ、どうしようもなく気に入っている、あの世界の匂いが偶々生まれただけのもので、期待が今回早くも裏切られるのではと。しかし全くの心配無用だった。造形人物が作為的に変人なのではなく、万城目氏の描く世界そのものが独特で且つヘンなのだ。なのに、大学生あるあるだし、京都ならありそうな気もするし、読んでいるうちに受け入れて先を期待してしまうのだ。渾身のビンタ。あぁ青春だねぇ。
読了日:2月19日 著者:万城目学

このタイミングで読んだことが何者かの啓示としか思えない凄い小説。大きな物語は、読む者に様々な読み方を許す。私は「居場所の物語」としておこう。居場所は、祖国や家があればいいとは限らない。本人の内なる拠り所だから、他から与えることも強いることもできない。アイは大きな家があっても、平穏で居られずもがいていた。そのうちに見つけるんだ。若い頃ってそういうものでしょう。私は幸いアイほど若くないから、もう少しわかったつもりで、依存せず、自らの居場所を慈しむことができるのではないかと希望しつつ、祈るような気持ちになった。
読了日:2月15日 著者:西加奈子

共有のKindleアカウントで夫が買ったので読んでみた。人の身体の使い方には4パターンあるとする廣戸氏の理論を基にした、パターン別ゴルフ指南である。私はB2、クロス。よく合致しているように感じる。ゴルフのみならず、人の身体がそれぞれ違った重心の置き方をするならば、どの運動においても画一の指導はできないことになる。太極拳など姿勢を厳密に指摘する種目では、「正しい姿勢」は時に苦痛だ。より良い身体をつくるためには今の身体の動きは矯めるべきなのか、活かすべきなのか。もっと知り考える必要がある。
読了日:2月14日 著者:横田真一


40歳の大台が見えている女性が、初めての子供を自然妊娠して無事に出産する。それがもはやファンタジーである事実を数字で突きつけられる。自然妊娠しない最大の要因は、加齢。体質改善やサプリなどは気休めであり時間の無駄で、本当に産みたいなら、少しでも早く診察を受けなさいと著者は言う。そう、「不妊」治療ですらないのだ。検査して不妊症と診断されたから処置を受けるのではない。より確実に子供を授かる為の手段として、ふたりの身体の状況に合わせて自ら選ぶ生殖補助医療。そのような時代になったのだ。最新の研究・技術に詳しい。
読了日:2月13日 著者:浅田義正,河合蘭


1987年に脳神経外科専門医になったイギリス人医師マーシュ氏の回想録。原題「Do No Harm」。脳神経外科の手術は過酷だ。脳や神経の損傷は取り返しがつかず、密接した血管を傷つけるようなわずかな過失も大惨事を招く。いやはや、想像を絶した。患者とは理不尽なものだ。人間が最も弱くなる瞬間だろう。治る見込みのない障害や死の宣告に惑い、目を背け、幻の希望にしがみつき、医師に懇願し、憎み、訴訟を起こす。一方で、受け入れ、赦し、平安に逝くことも、人間はできる。全能な病院、全能な医師は存在しないと知ることから。
読了日:2月12日 著者:ヘンリー・マーシュ


JTrimよりも高度な画像編集をするために入手したフリーソフトGIMPの入門書。レイヤーやパスなどの基本的な概念がわからないままレッスンに突入するので、細かい機能の意味はわかるが、作業のための手順の考え方が初心者の私は会得できないままだ。あと、手順が詳細に示されているようで、ときどき抜けていて混乱させられる。
読了日:2月9日 著者:ドルバッキーヨウコ,オブスキュアインク,できるシリーズ編集部


演劇を学校教育に組み込み、『人と共に生きるためのセンス』を育成する。香川県内でも取組まれ、効果を上げているとは知らなかった。地方と中央の文化資本格差をなくす目的もある。伝統芸能なり文化芸術なりを、子どもに「シャワーを浴びるように」地方でも与える。無意味に中央を目指さない、付加価値を生む人材を育て、『寛容と包摂の社会』へ変わろう。これからの下り坂の日本を憂い、自ら携わる演劇がどのように資することができるかを考える平田オリザの提言だ。私にはまだしっくりこないこれらの動き。でも、これらが、当然になるのだろう。
読了日:2月7日 著者:平田オリザ
注:

Posted by nekoneko at 10:08│Comments(0)
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