2017年10月02日
2017年9月の記録
とうとう、ソーシャルライブラリーが動かなくなりました。
正確には、新しい本を登録できなくなりました。
無料でよくぞここまで使わせてくれた、ありがたいアプリでした。
取り急ぎ積読と書籍費の管理をするべく、エクセルでなんとか形をつくりました。

<今月のデータ>
購入13冊、購入費用20,154円。
読了10冊。
積読本96冊(うちKindle本15冊)。
いきなりやばい事態になっとる。。。

GO (角川文庫)の感想
朝鮮学校無償化裁判の判決に憤慨する若者たちをテレビ報道で見て、自分が考える材料を持たないのに気づいた。この小説はそんな日本人にもわかるよう、くどい程丁寧に描写してあって知識を得るのに良い。馬鹿らしいことだが、日本人の排他主義は益々ひどくなっているだろうし、彼らの大半に科はない。お互いに向ける刃を収めるなら、もっと違う世界も開けそうなものだ。かといって無償化の是非、これは他の思惑や事情が絡んでいそうでまだわからない。
読了日:09月23日 著者:金城 一紀
動的平衡 生命はなぜそこに宿るのかの感想
各章の主題は表題と直接的な関係がない。最終章で「動的平衡」の説明が生命と自然を捉える基本モデルとして初めて現れ、話題が「生命の働き」で一貫していたと気づく。『全身の細胞が一つの例外もなく、動的平衡にあり、日々、壊され、更新されている』。この考えは、現在の機械論的な生命理解に相反する。この平衡状態こそが生きているということで、平衡が崩れれば戻るべく働く仕組みがある。拡張すれば、地球上全ての自然のものが動的平衡の状態にあるということになる。なんて壮大な働きだろう。因果を単純化する人間の傲慢への警鐘でもある。
読了日:09月23日 著者:福岡 伸一
もう年はとれない (創元推理文庫)の感想
年寄りの元刑事を探偵役にするという趣向。素早く動けなかったり、若い連中に馬鹿にされたり、歳を取った故のハンディは多々あれど、最も痛手なのは、若い頃には鋭く働いていたはずの頭脳が衰え、回転が落ちることである。それどころか妄想、つまり認知症の初期症状ではないかと疑うなど、瞬時の判断に確信が持てない恐怖とリスクがつきまとうあたり、サスペンスをいや増す要素になっている。一方で主人公の叩く減らず口は年寄りの得意技で、いけ好かないジェニングスを激怒させる軽妙さが小気味よい。年寄りは気持ちの上では軽やかになれるのだ。
読了日:09月22日 著者:ダニエル・フリードマン
断食で変わったぼくのカラダ (幻冬舎plus+)の感想
ノウハウ本ではない。断食という身体実験の、経過と考察をまとめたものだ。他者の誘導や意志力を用いない断食とは、ストイックな尹さんらしい。さて我慢とは義務や目的のために意志で我を抑えること。我慢は自らの感覚を損ない、社会人としての我慢の連続はその欠損を強化する。断食日数が進むにつれ、新しく感じるものを丁寧に観る。内観と哲学な考察は続き、頭と身体の関係に至って韓氏意拳の考え方につながり、思わずにやりとする。どうやら断食には頭の発する声を抑える効果があるのではないか。身体の声を聴く手段として私もやってみたいぞ。
読了日:09月21日 著者:尹雄大
ダーク・タワー〈6〉スザンナの歌〈上〉 (新潮文庫)の感想
「刺すような青色」の目をした子供とはなんてこった。エディはくたばり損ないだった頃が思い出せない程、見違えてでっかくなった。この時代にいると、ローランドの存在感を食ってしまうくらいだ。しかしこの展開に耐えられるか。そしてサイ・キング、いよいよお出ましなのか。あなたがクリムゾン・キングなのか? さあカマラ・カム・ナイン!
読了日:09月17日 著者:スティーヴン キング
アルゼンチンババア (幻冬舎文庫)の感想
なにもかも刹那的で、手応えがなくて、読みあぐねた。いちばん共鳴できそうなユリでさえ、過去も、気持ちも、茫洋としてつかめない。生き生きした言葉は発したけれど、彼女は半分死んでいたのだろう。主人公の目に映る彼女の家では、人は正気で生きていけるとは思えないから。
読了日:09月17日 著者:よしもと ばなな
卵子老化の真実 (文春新書)の感想
著者はジャーナリストだ。女性が30代半ばを過ぎて妊娠、出産しようとすることの可能性やリスクについて、数字を交え、偏向の少ない立ち位置で書いている。ドライな印象は受けない。あとがきに『高齢出産はやめてもらうべきことなのか、それとも励ますべきことなのか』悩んだとある。多くの面で20代よりリスクが高いのは否めないからだ。それでも若いうちに産むことができなかった女性たちへ、生命の誕生という奇跡へと背中を押していると感じた。卵子の老化から高齢妊娠、高齢出産、育児、晩婚化の社会学的見地まで多岐に渡るこの本はお勧めだ。
読了日:09月15日 著者:河合 蘭
リンゴが教えてくれたこと (日経プレミアシリーズ 46)の感想
「沈黙の春」を引くまでもなく、人間は自然界の均衡を崩す物質である農薬や肥料を撒き続け、生態系を歪めてきた。それに対する解は、より安全な物質の開発ではなく、使用ゼロ。それを証明したのが著者の農法だ。農薬、肥料の使用を止めて初めてわかる自然の摂理。耕し方ひとつでも土の生態系は変わる。見失った自然界の均衡を取り戻すのは大変だ。プロの農家にも最早「まったく新しい技術」。これが、自然を人間に従わせる経済優先農業の綻びが揺り戻される過渡期ならいいのに。プロにせよ素人にせよ、なにかを土に植える前に読んでおきたい本。
読了日:09月13日 著者:木村 秋則
傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書)の感想
軽い火傷や擦過傷を『消毒して軟膏ガーゼで乾かす治療』の全否定。消毒薬は人体細胞をも破壊するから痛いし治りにくく、乾かせば傷口は痛む。既成観念を捨て、湿潤治療へ移行をと提言する本書は2009年刊行だ。文中の創傷被覆材は簡単に買えた。変わった質感だが期待は大きい。しかし、生活に染みついた「殺菌」の考え方を止めることが相当難しいと実感した。傳田氏の論から、表皮細胞が単独で感知する知覚と知覚細胞が感知する知覚が機能分担しているなら、治療のアプローチも違って当然と推論しており、興味深い。例えが頻繁に自爆する。
読了日:09月08日 著者:夏井睦
何もしなくても人がついてくるリーダーの習慣の感想
言葉の扱いが丁寧で好感が持てる。書かれる大抵の要素はリーダーでなくとも人皆心がけるものが多い。とりわけ「自然体」がキーワードとして頻出する。解釈は様々あるが、概してなにかを演出することが自身の時間と労力を奪うこと、対してその演出が他者の目にそれ程プラスにならないことを知っているのだ。服装はナチュラルが良いと言っても、見え見えの抜け感が印象を好転しないのに似て、「そのまま」が最強なのだ。加えて、敢えて論理的に言わないなど対話のスキルを持っている。天然ボケを装うことを「養殖」とは上手い。率直であること。
読了日:09月02日 著者:谷本 有香
注:
はKindleで読んだ本。
正確には、新しい本を登録できなくなりました。
無料でよくぞここまで使わせてくれた、ありがたいアプリでした。
取り急ぎ積読と書籍費の管理をするべく、エクセルでなんとか形をつくりました。

<今月のデータ>
購入13冊、購入費用20,154円。
読了10冊。
積読本96冊(うちKindle本15冊)。
いきなりやばい事態になっとる。。。


朝鮮学校無償化裁判の判決に憤慨する若者たちをテレビ報道で見て、自分が考える材料を持たないのに気づいた。この小説はそんな日本人にもわかるよう、くどい程丁寧に描写してあって知識を得るのに良い。馬鹿らしいことだが、日本人の排他主義は益々ひどくなっているだろうし、彼らの大半に科はない。お互いに向ける刃を収めるなら、もっと違う世界も開けそうなものだ。かといって無償化の是非、これは他の思惑や事情が絡んでいそうでまだわからない。
読了日:09月23日 著者:金城 一紀


各章の主題は表題と直接的な関係がない。最終章で「動的平衡」の説明が生命と自然を捉える基本モデルとして初めて現れ、話題が「生命の働き」で一貫していたと気づく。『全身の細胞が一つの例外もなく、動的平衡にあり、日々、壊され、更新されている』。この考えは、現在の機械論的な生命理解に相反する。この平衡状態こそが生きているということで、平衡が崩れれば戻るべく働く仕組みがある。拡張すれば、地球上全ての自然のものが動的平衡の状態にあるということになる。なんて壮大な働きだろう。因果を単純化する人間の傲慢への警鐘でもある。
読了日:09月23日 著者:福岡 伸一

年寄りの元刑事を探偵役にするという趣向。素早く動けなかったり、若い連中に馬鹿にされたり、歳を取った故のハンディは多々あれど、最も痛手なのは、若い頃には鋭く働いていたはずの頭脳が衰え、回転が落ちることである。それどころか妄想、つまり認知症の初期症状ではないかと疑うなど、瞬時の判断に確信が持てない恐怖とリスクがつきまとうあたり、サスペンスをいや増す要素になっている。一方で主人公の叩く減らず口は年寄りの得意技で、いけ好かないジェニングスを激怒させる軽妙さが小気味よい。年寄りは気持ちの上では軽やかになれるのだ。
読了日:09月22日 著者:ダニエル・フリードマン


ノウハウ本ではない。断食という身体実験の、経過と考察をまとめたものだ。他者の誘導や意志力を用いない断食とは、ストイックな尹さんらしい。さて我慢とは義務や目的のために意志で我を抑えること。我慢は自らの感覚を損ない、社会人としての我慢の連続はその欠損を強化する。断食日数が進むにつれ、新しく感じるものを丁寧に観る。内観と哲学な考察は続き、頭と身体の関係に至って韓氏意拳の考え方につながり、思わずにやりとする。どうやら断食には頭の発する声を抑える効果があるのではないか。身体の声を聴く手段として私もやってみたいぞ。
読了日:09月21日 著者:尹雄大


「刺すような青色」の目をした子供とはなんてこった。エディはくたばり損ないだった頃が思い出せない程、見違えてでっかくなった。この時代にいると、ローランドの存在感を食ってしまうくらいだ。しかしこの展開に耐えられるか。そしてサイ・キング、いよいよお出ましなのか。あなたがクリムゾン・キングなのか? さあカマラ・カム・ナイン!
読了日:09月17日 著者:スティーヴン キング

なにもかも刹那的で、手応えがなくて、読みあぐねた。いちばん共鳴できそうなユリでさえ、過去も、気持ちも、茫洋としてつかめない。生き生きした言葉は発したけれど、彼女は半分死んでいたのだろう。主人公の目に映る彼女の家では、人は正気で生きていけるとは思えないから。
読了日:09月17日 著者:よしもと ばなな


著者はジャーナリストだ。女性が30代半ばを過ぎて妊娠、出産しようとすることの可能性やリスクについて、数字を交え、偏向の少ない立ち位置で書いている。ドライな印象は受けない。あとがきに『高齢出産はやめてもらうべきことなのか、それとも励ますべきことなのか』悩んだとある。多くの面で20代よりリスクが高いのは否めないからだ。それでも若いうちに産むことができなかった女性たちへ、生命の誕生という奇跡へと背中を押していると感じた。卵子の老化から高齢妊娠、高齢出産、育児、晩婚化の社会学的見地まで多岐に渡るこの本はお勧めだ。
読了日:09月15日 著者:河合 蘭


「沈黙の春」を引くまでもなく、人間は自然界の均衡を崩す物質である農薬や肥料を撒き続け、生態系を歪めてきた。それに対する解は、より安全な物質の開発ではなく、使用ゼロ。それを証明したのが著者の農法だ。農薬、肥料の使用を止めて初めてわかる自然の摂理。耕し方ひとつでも土の生態系は変わる。見失った自然界の均衡を取り戻すのは大変だ。プロの農家にも最早「まったく新しい技術」。これが、自然を人間に従わせる経済優先農業の綻びが揺り戻される過渡期ならいいのに。プロにせよ素人にせよ、なにかを土に植える前に読んでおきたい本。
読了日:09月13日 著者:木村 秋則


軽い火傷や擦過傷を『消毒して軟膏ガーゼで乾かす治療』の全否定。消毒薬は人体細胞をも破壊するから痛いし治りにくく、乾かせば傷口は痛む。既成観念を捨て、湿潤治療へ移行をと提言する本書は2009年刊行だ。文中の創傷被覆材は簡単に買えた。変わった質感だが期待は大きい。しかし、生活に染みついた「殺菌」の考え方を止めることが相当難しいと実感した。傳田氏の論から、表皮細胞が単独で感知する知覚と知覚細胞が感知する知覚が機能分担しているなら、治療のアプローチも違って当然と推論しており、興味深い。例えが頻繁に自爆する。
読了日:09月08日 著者:夏井睦


言葉の扱いが丁寧で好感が持てる。書かれる大抵の要素はリーダーでなくとも人皆心がけるものが多い。とりわけ「自然体」がキーワードとして頻出する。解釈は様々あるが、概してなにかを演出することが自身の時間と労力を奪うこと、対してその演出が他者の目にそれ程プラスにならないことを知っているのだ。服装はナチュラルが良いと言っても、見え見えの抜け感が印象を好転しないのに似て、「そのまま」が最強なのだ。加えて、敢えて論理的に言わないなど対話のスキルを持っている。天然ボケを装うことを「養殖」とは上手い。率直であること。
読了日:09月02日 著者:谷本 有香

注:

Posted by nekoneko at 10:49│Comments(0)
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