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2017年12月02日

2017年11月の記録

人として成熟しつつある年齢のせいなのだろうけど。
国のこと、地球のこと、未来のことが気になって、
本を読み漁ってはぷりぷり怒ることが増えました。
怒る以外に、できることはないのだろうか。
あまりにもちっちゃな、日々の心がけしかないのだろうか。

<今月のデータ>
購入10冊、購入費用6,903円。
読了10冊。
積読本95冊(うちKindle本15冊)。


ブック

11月の読書メーター

カラスの教科書カラスの教科書感想
奇特なカラス研究者による、カラス愛溢れる一般読者向けカラス解説書。ひょうきんな語り口の各所にカラスのことを理解してほしい熱意が満載で、私もついカラスを好きになりかけている。かつては太陽神や狩猟民の神話に見られた神性が失われ、今や嫌な印象ばかりだが、カラスは人を襲わないこと、不吉な予言などしないことなど、流説の真相に納得した。なお、害鳥としての巣の撤去と補殺は効果が薄いようだ。巻末にカラスにまつわる絵本が紹介されており、その多さが意外だった。全部読みたい。つい、窓の外にカラスを探してしまう。あれはブトか。
読了日:11月29日 著者:松原 始 ファイル

猫の領分―南木佳士自選エッセイ集猫の領分―南木佳士自選エッセイ集感想
私はそれほど心を痛めたわけではないが、それなりに苦しい日々はあった。それでも緩やかに、つま先や空や手元を眺めながら、立ち位置を確認し、ともかく前に進んでいることを確かめ、生きていることをよしとする。『じぶんが生きのびるために』。南木さんのエッセイは、柔らかく降り積もる落ち葉のクッションのような安らぎを与えてくれる。ただ、いちどきに読める類のエッセイではないので、文庫を持ち出すほうが気楽とわかった。素敵な装丁のこの本は、本棚に並べよう。次に読むときは沁みる文章に線を引こう。表紙のトラへの挨拶を忘れずに。
読了日:11月24日 著者:南木佳士

ダーク・タワー〈7〉暗黒の塔〈上〉 (新潮文庫)ダーク・タワー〈7〉暗黒の塔〈上〉 (新潮文庫)感想
なんてこった。私はモルドレッドに期待を抱いていたらしい。キングのほくそ笑む様が目に見えるようだ。当然過ぎる程当然に異形の子。シリーズ最終となるパートの上巻だというのに、容赦なく新しい者たちが投入され、着地点は全く見通せない。<カ・シューム>の予感にカ・テットは愛を宣言する。私たち読者も、キング自身も愛しているはずのカ・テットに待受ける<カ>はどれほど苛烈になろうか。他方、キャラハンは再び戦い、解き放たれた。涙が出た。キャラハンの最後の祈り、その成就まであともう少し。『エイク、エイク、アカッ、ススムダ!』
読了日:11月19日 著者:スティーヴン キング

武器輸出と日本企業 (角川新書)武器輸出と日本企業 (角川新書)感想
この本はもっと読まれるべきだ。2014年に日本の防衛政策変更が行なわれた。日本での武器展示会では、日本企業が商品を売り込む姿が報道された。現在日本に軍需依存した企業はなく、儲からない。もとより企業の知的財産、国家機密となる技術流出が必至だ。研究者は研究費は欲しいが、軍事の為の研究などしたくない。それを特例法、財政支援と手替え品替え推進するのは政府と防衛省、特に安倍政権だ。アメリカの強い要請を受けた、お決まりの反知性主義的政策である。「防衛の為」「デュアル・ユース」は口先の欺瞞と覚らなければならない。あらゆる近代の戦争は「自衛のため」と軍事研究が推奨されてきた。政権の都合で法に拡大解釈の余地を残してはならない。政府が国内のあらゆる組織に介入できることを思えば、個人の倫理観だけではだめなのだ。敗戦後、日本の知識人や研究者が頑強に守ってきた法律も取り決めも、今、なし崩しに瓦解されてしまいそうなのだ。日本は憲法9条を守る。武力は放棄した。皆が声高に倫理声明を掲げよう。繰り返し拒否されながら、本音を聞くまで取材を続ける著者の姿勢。噂に違わぬ骨太さに賞賛を送る。
読了日:11月18日 著者:望月 衣塑子 ファイル

盤上の夜 (創元SF文庫)盤上の夜 (創元SF文庫)感想
当時話題になった本。なるほど、いくつかの“盤上遊戯”を主題に、プレイヤーを追う視点で構成された連作で、よく練られた意欲作、ということらしい。盤上という閉塞した場で、卓から一歩も動かないのに、暗く深い宇宙、または底なしの狂気へいざなわれる。ゲームの為の盤とは深く探れば異世界へのウィージャ盤である、という感覚は得たが、正直に言ってプレイヤーを盤に向かわせる時点で既に状況が異様で、あまり好きではなかった。
読了日:11月16日 著者:宮内 悠介 ファイル

せとうちスタイルvol.3せとうちスタイルvol.3感想
瀬戸内海に面する県に住んでいても、まだ行ったことのない島はたくさんある。観光や名産紹介はもとより、島に住んでいる人たちの、土地や生産物にこめる思いがクローズアップされていて、浮つかない、じんわりと湧く憧憬感が心地よい。私にとって、オリーブオイルはここ数年で日常に欠かせなくなった物だ。以前は贅沢品か嗜好品だと寄りつきもしなかったのに、今や代表的な県産品みたいに思っている。こんなふうに月日をかけて、新しい、または古き良き暮らし、考えかた、生産物たちが人の心に馴染む手助けを、この雑誌はしているのだと思う。
読了日:11月15日 著者:せとうちスタイル編集部

百年法 (下) (角川文庫)百年法 (下) (角川文庫)感想
人間が長く生きる世界では、社会の仕組みや様相も様々変わっていく。経時的な変化と不変、自然要因と人為要因が程よく雑じる上手さに感心した。さて人間の永遠の難題、死。人は自分が老いゆく姿を視認することで残された時間や生き方を考える。だから、外見が老いないことは、つい惰性で生きてしまうデメリットでもあるだろう。一方、癌で亡くなった佐野洋子が、余命宣告について、残り時間がはっきりしている死は、身の振り方、お金の算段を自分で決められるから良いと言ったのを思い出す。死に方は選べない。選べないからいいこともあると思った。
読了日:11月10日 著者:山田 宗樹

百年法 (上) (角川文庫)百年法 (上) (角川文庫)感想
百年法そのものは途方もないフィクションだが、どれだけ年月が経ってもこの国はこんな感じなんだろうなぁ、と溜め息を吐かざるを得ない。著者もそれを念頭に書いただろう、いくつかのエピソードの同時進行で物語が進む。衆愚の中にきらめく小さな英知。しかしその小さな英知が国を救うことは、現実にはきっとない。『永遠に生きるには、人間は複雑すぎる』。人の死を先延ばしにすることには意味がない。ただ、生き方を選ぶことはできるのだと、知っている人だけが知っている。さて、ここから物語を転回させるものは自然の摂理か、人の意志か。
読了日:11月06日 著者:山田 宗樹

Pen (ペン) 2017年 11/1号 [映画・小説・マンガの名作から最新作まで SF絶対主義。]Pen (ペン) 2017年 11/1号 [映画・小説・マンガの名作から最新作まで SF絶対主義。]感想
SF小説の特集に惹かれて。大森望の愛溢れるSF小説史講釈が良い。SF好きは自認しないが、そもそも児童書で小松左京を読んでいたし、SFはたいてい哲学的な問いをはらんでいる。だから私には親和性が高いのかもしれない。ケン・リュウのインタビューに大興奮。小川哲の書き下ろしも面白く、芋づる式に読みたい本を増やす。「ブレードランナー2049」は美しかったけれど、あっという間に帰結してしまって、世界観をかみしめて読みたい私には、やはり小説が向いているのだろう。
読了日:11月04日 著者: ファイル

宿根草図鑑 Perennials宿根草図鑑 Perennials感想
当たり前だが、ガーデニングを前提にしている。宿根草をつかった庭づくりの基礎、図鑑、育て方講座。会社の花壇に宿根草が手軽できれいなのではと思いついて読んだが、奥が深い。種類が多く、原産地も日本、アジア、ヨーロッパ、アフリカと多彩で驚いた。インターネットを使えば、原産がどこのものでも手に入る時代は驚異である。草丈、開花期、葉や花の形で選ぶと良さそうだ。気候や土、手入れが合わなかった場合を、著者は「枯れる」ではなく「消える」と表現している。宿根草の性質をよく表していて気に入った。
読了日:11月02日 著者:山本 規詔 ファイル


注:ファイルはKindleで読んだ本。

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