2018年01月05日
2017年12月の記録
リビングの、いつでも手の届くところに読みかけの本を積んである。
空いた時間に、テレビを観ながら、おやつを食べながら、
家族に遠慮しながら、ついつい手を伸ばしてしまう。
我ながら、意地汚い。物欲しげ。
だからといって我慢した方が良いとは、思わない。
<今月のデータ>
購入12冊、購入費用6,656円。
読了10冊。
積読本98冊(うちKindle本20冊)。

忘れられた巨人の感想
現実世界ではないが、現実ほどに重厚な架空世界。奥ゆかしく配された幾つもの要素が伏流し重奏して、如何様にも読める。物語の主となるのは旅する老夫婦。記憶が欠落しているのは"霧"のせいだが、忘れながら生きるのは人間の本質だ。良い記憶も悪い記憶も、忘れないと耐えられないことがある。霧によって隠されていたものが明瞭に見えたとき、二人には平穏が、世界には不穏が立ち現れ、私はたじろいだ。人は信じるもののために生きる。或いは信じるために敢えて忘れるのか。悲しみや怒りで争いを生まないために? 物語に深く潜る力が欲しい。
読了日:12月28日 著者:カズオ イシグロ
視力を失わない生き方 日本の眼科医療は間違いだらけ (光文社新書)の感想
『現代ではほとんどの眼の病気は治せる』。なのに日本の眼科医療界は機能不全に陥っており、誤った治療が横行する。だから患者が正しく選択せよと言う。少々扱き下ろしが過ぎるが、最新医療を実践してきた眼科外科医の矜持はあろう。そもそも人間の眼の寿命は70年程度。老眼近眼乱視はもちろん、白内障、緑内障、網膜剥離、加齢黄斑変性など、長生きする限りなんらかの不具合は免れない。私はレーシック手術を受けてからだいぶ経ち、視力が落ちてきた。眼の調整能力の低下も考え合わせると、もう一度レーシックか、眼鏡が良さそうだ。
読了日:12月27日 著者:深作 秀春
未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)の感想
人口減少の”不都合な真実”を列挙し、人口減少や高齢者増加に耐えうる社会システムの構築を提言する趣旨。起こり得る事態や弊害を想像することは大事だ。100年後に人口が半分を切る試算グラフは目に鮮烈だが、自律平衡点はどこかにあるだろう。若い世代は既に察し始めているし、豊かさの定義も常識も数年単位で変わるから心配しないが、行政は基本的に後手対応、社会インフラや法律が適応するには時間がかかると見る。公助を当てにしない共助の仕組みや自助の能力は養っておきたい。備忘:住人が500人程度いれば最低限の集落は維持できる。
読了日:12月27日 著者:河合 雅司
自分の頭と身体で考える (PHP文庫)の感想
養老先生は虫、甲野さんは武術武具。夫々の『そのもの自体は何の役にも立たない』マニア振りが面白い。「日本人的共同体意識」に係る根源的な考察で意気投合しているようだ。武術のヒントも多かった。下腹丹田を動きの支点とすると、骨がないので抽象的な概念になる。しかし『全身がうまく協調的に動く』『身体中が直接参加できる』感覚が甲野さんにもあるという。ならば丹田に力の支点が集まるような身体操作と、それを探る稽古法をこそ見つけなければならないのだ。私の思想と身体の動きは直結している。稽古はその双方を変えるものということか。
読了日:12月26日 著者:養老 孟司,甲野 善紀
イスラエルとユダヤ人に関するノートの感想
イスラエル・ユダヤ・中東が主題の隔月誌「みるとす」での連載。氏は『イスラエルとユダヤ人について知り、そこから学んだことを我が同胞に伝える』事を使命と考えている。なぜならイスラエルは日本と自由、民主主義、市場経済という価値観を共有できる国家であり、持っている情報や技術が日本に有益だからだ。信仰上の理由もあるようだ。私は素人なりに世界への偏りない視点、考え方の素地を持ちたいと思ってなんとか最後まで読んだ。世界の反ユダヤ主義と長く戦ってきた民族だからこそ、国家や民族の問題に敏感にならざるを得ない事実を痛感した。
読了日:12月20日 著者:佐藤 優
ジニのパズルの感想
ずっと疑問に思っていた。金一族の国際社会に対する暴挙を、日本に住む朝鮮民族の人たちはどう思っているのかと。この小説はひとつの現れであって、彼女の思いだけが全ての答えではない。しかし日本人の排他性が如何なく発揮されているであろうことは容易に想像がつく。今もどのような思いで生きているだろう。辛い思いをさせて申し訳ない。あなたは悪くない。かの国家は憎いけれど、個々人を知りもせずに憎んではいけない。ただ朝鮮学校は、偶々北と南に分割された経緯があるとはいえ、各々国家と無縁では在り得ず、やはり割り切れない位置にある。
読了日:12月17日 著者:崔 実
マイナス50℃の世界 (角川ソフィア文庫)の感想
中国やモンゴルの北方、ロシア連邦に属するサハ共和国はロシアの1/5の広さを持つ。永久凍土の地「北半球の寒極」へ、米原さんは通訳としてテレビ取材に同行した。歯に衣着せぬいつもの物言いが出ないのも当然、小学生新聞での連載だったらしい。日本人には想像もつかない数々の体験の中で、極寒の地では石油製品が全く役に立たないという事実が印象深い。すぐにボロボロに砕けるのだ。地元民は動物たちの毛皮を必需品として大切にしている。そんな土地でも人間が生きていけることに感動し、また愛着を持って暮らす人々を、私は真っ当に感じた。
読了日:12月16日 著者:米原 万里
トットひとり (新潮文庫)の感想
テレビ番組の黎明期。携わる人は皆手探りで、一緒に創り上げていこうという連帯感が強かったようだ。手紙を書き、電話し、会い、ごはんを一緒に食べる。私からすると余程深いおつき合いを50年60年に渡り続けてきた相手は、業界の大御所ばかり。彼らの死は、残された者から見ればまるで急いだみたいだ。皆を見送った黒柳さんの心中を思うと、この表題は胸にツンと来る。一方、『テレビは、すべてが、使い捨て』と看破していた黒柳さんが選んだ生き方、仕事、髪型に至るまで、想像だにしない新鮮さでとても素敵だった。この表紙って、ヌード!?
読了日:12月14日 著者:黒柳 徹子
人形館の殺人 (講談社文庫)の感想
元祖新本格と呼ばれたミステリのシリーズ、わりと初期の作品。パズルのようなもので、後腐れなく読み切れる。場の造りこみは流石だが、文章がまだ甘いのか。暗黒館級の凄みは、作品を重ねるごとに練り上げられた技なんだろう。後味が良くないのは、まあ、綾辻さんだから。そんなもんで殴るなよー。
読了日:12月13日 著者:綾辻 行人
ハンディ図鑑 散歩道の木と花の感想
日頃目にする樹木と野草、と前置きするだけあり、憶えのある植物が多い。しかし知っているようで、様子と名前が一致しない植物が多いので、まずはざっくり目を通した。野鶏頭、花韮、洋種山牛蒡。帰化植物であっても、おおかたの植物には和名があり、漢字が充ててある。特に野草で目につくのが、犬、豚をはじめ、馬狐雀蛇、果ては屁糞尻盗人襤褸などが入った名前である。田畑や里山に生い茂るのを忌々しく思い、邪険にする日本人の姿を想像して面白くなった。写真は花の時期の大写しが多く、他の時期の印象と一致せずピンとこないものもある。
読了日:12月05日 著者:金田 洋一郎
注:
はKindleで読んだ本。
空いた時間に、テレビを観ながら、おやつを食べながら、
家族に遠慮しながら、ついつい手を伸ばしてしまう。
我ながら、意地汚い。物欲しげ。
だからといって我慢した方が良いとは、思わない。
<今月のデータ>
購入12冊、購入費用6,656円。
読了10冊。
積読本98冊(うちKindle本20冊)。


現実世界ではないが、現実ほどに重厚な架空世界。奥ゆかしく配された幾つもの要素が伏流し重奏して、如何様にも読める。物語の主となるのは旅する老夫婦。記憶が欠落しているのは"霧"のせいだが、忘れながら生きるのは人間の本質だ。良い記憶も悪い記憶も、忘れないと耐えられないことがある。霧によって隠されていたものが明瞭に見えたとき、二人には平穏が、世界には不穏が立ち現れ、私はたじろいだ。人は信じるもののために生きる。或いは信じるために敢えて忘れるのか。悲しみや怒りで争いを生まないために? 物語に深く潜る力が欲しい。
読了日:12月28日 著者:カズオ イシグロ

『現代ではほとんどの眼の病気は治せる』。なのに日本の眼科医療界は機能不全に陥っており、誤った治療が横行する。だから患者が正しく選択せよと言う。少々扱き下ろしが過ぎるが、最新医療を実践してきた眼科外科医の矜持はあろう。そもそも人間の眼の寿命は70年程度。老眼近眼乱視はもちろん、白内障、緑内障、網膜剥離、加齢黄斑変性など、長生きする限りなんらかの不具合は免れない。私はレーシック手術を受けてからだいぶ経ち、視力が落ちてきた。眼の調整能力の低下も考え合わせると、もう一度レーシックか、眼鏡が良さそうだ。
読了日:12月27日 著者:深作 秀春


人口減少の”不都合な真実”を列挙し、人口減少や高齢者増加に耐えうる社会システムの構築を提言する趣旨。起こり得る事態や弊害を想像することは大事だ。100年後に人口が半分を切る試算グラフは目に鮮烈だが、自律平衡点はどこかにあるだろう。若い世代は既に察し始めているし、豊かさの定義も常識も数年単位で変わるから心配しないが、行政は基本的に後手対応、社会インフラや法律が適応するには時間がかかると見る。公助を当てにしない共助の仕組みや自助の能力は養っておきたい。備忘:住人が500人程度いれば最低限の集落は維持できる。
読了日:12月27日 著者:河合 雅司


養老先生は虫、甲野さんは武術武具。夫々の『そのもの自体は何の役にも立たない』マニア振りが面白い。「日本人的共同体意識」に係る根源的な考察で意気投合しているようだ。武術のヒントも多かった。下腹丹田を動きの支点とすると、骨がないので抽象的な概念になる。しかし『全身がうまく協調的に動く』『身体中が直接参加できる』感覚が甲野さんにもあるという。ならば丹田に力の支点が集まるような身体操作と、それを探る稽古法をこそ見つけなければならないのだ。私の思想と身体の動きは直結している。稽古はその双方を変えるものということか。
読了日:12月26日 著者:養老 孟司,甲野 善紀


イスラエル・ユダヤ・中東が主題の隔月誌「みるとす」での連載。氏は『イスラエルとユダヤ人について知り、そこから学んだことを我が同胞に伝える』事を使命と考えている。なぜならイスラエルは日本と自由、民主主義、市場経済という価値観を共有できる国家であり、持っている情報や技術が日本に有益だからだ。信仰上の理由もあるようだ。私は素人なりに世界への偏りない視点、考え方の素地を持ちたいと思ってなんとか最後まで読んだ。世界の反ユダヤ主義と長く戦ってきた民族だからこそ、国家や民族の問題に敏感にならざるを得ない事実を痛感した。
読了日:12月20日 著者:佐藤 優


ずっと疑問に思っていた。金一族の国際社会に対する暴挙を、日本に住む朝鮮民族の人たちはどう思っているのかと。この小説はひとつの現れであって、彼女の思いだけが全ての答えではない。しかし日本人の排他性が如何なく発揮されているであろうことは容易に想像がつく。今もどのような思いで生きているだろう。辛い思いをさせて申し訳ない。あなたは悪くない。かの国家は憎いけれど、個々人を知りもせずに憎んではいけない。ただ朝鮮学校は、偶々北と南に分割された経緯があるとはいえ、各々国家と無縁では在り得ず、やはり割り切れない位置にある。
読了日:12月17日 著者:崔 実


中国やモンゴルの北方、ロシア連邦に属するサハ共和国はロシアの1/5の広さを持つ。永久凍土の地「北半球の寒極」へ、米原さんは通訳としてテレビ取材に同行した。歯に衣着せぬいつもの物言いが出ないのも当然、小学生新聞での連載だったらしい。日本人には想像もつかない数々の体験の中で、極寒の地では石油製品が全く役に立たないという事実が印象深い。すぐにボロボロに砕けるのだ。地元民は動物たちの毛皮を必需品として大切にしている。そんな土地でも人間が生きていけることに感動し、また愛着を持って暮らす人々を、私は真っ当に感じた。
読了日:12月16日 著者:米原 万里


テレビ番組の黎明期。携わる人は皆手探りで、一緒に創り上げていこうという連帯感が強かったようだ。手紙を書き、電話し、会い、ごはんを一緒に食べる。私からすると余程深いおつき合いを50年60年に渡り続けてきた相手は、業界の大御所ばかり。彼らの死は、残された者から見ればまるで急いだみたいだ。皆を見送った黒柳さんの心中を思うと、この表題は胸にツンと来る。一方、『テレビは、すべてが、使い捨て』と看破していた黒柳さんが選んだ生き方、仕事、髪型に至るまで、想像だにしない新鮮さでとても素敵だった。この表紙って、ヌード!?
読了日:12月14日 著者:黒柳 徹子

元祖新本格と呼ばれたミステリのシリーズ、わりと初期の作品。パズルのようなもので、後腐れなく読み切れる。場の造りこみは流石だが、文章がまだ甘いのか。暗黒館級の凄みは、作品を重ねるごとに練り上げられた技なんだろう。後味が良くないのは、まあ、綾辻さんだから。そんなもんで殴るなよー。
読了日:12月13日 著者:綾辻 行人


日頃目にする樹木と野草、と前置きするだけあり、憶えのある植物が多い。しかし知っているようで、様子と名前が一致しない植物が多いので、まずはざっくり目を通した。野鶏頭、花韮、洋種山牛蒡。帰化植物であっても、おおかたの植物には和名があり、漢字が充ててある。特に野草で目につくのが、犬、豚をはじめ、馬狐雀蛇、果ては屁糞尻盗人襤褸などが入った名前である。田畑や里山に生い茂るのを忌々しく思い、邪険にする日本人の姿を想像して面白くなった。写真は花の時期の大写しが多く、他の時期の印象と一致せずピンとこないものもある。
読了日:12月05日 著者:金田 洋一郎

注:

Posted by nekoneko at 11:21│Comments(0)
│読書