2019年08月01日
2019年7月の記録
積読本の増殖に歯止めがかからない。
というより、歯止めになる言葉が私には最早ないと気づいた。
ふと思った。
Amazonの電子書籍売上げにかかる印税は正当に払われているのだろうな。
イギリスのAmazonの巨大倉庫で働く人たちのような横暴は許されていないだろうな。
まあ、支払われていなければ、さすがに出版社も作家も黙っていなかろうな。
Kindle本は素晴らしい、と私は思っている。
便利さだけでなく、新古書店の古本と違って正当な印税が著者に払われている。
そう信じているから、盛大に利用させてもらっている。
今までの購入額を試算してみたら、高級車が買えそうな金額になった。
ひゃっほう。
<今月のデータ>
購入29冊、購入費用15,037円。
読了11冊(費用・読了共「進撃の巨人」28冊まとめ読みを除く)。
積読本180冊(うちKindle本70冊)。

7月の読書メーター
読んだ本の数:11
アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂したの感想
著者の行動を不遜と責める向きもあるかもしれない。しかしこれがイギリスの労働者階級の現実には違いない。搾取と侮蔑の連鎖構造。不信頼関係の上に成り立つ雇用の元では、質素堅実になど暮らせないと理解できる。貧しいほど用事を済ませるのに物理的時間がかかる。酒やタバコがなければ精神を保てない劣悪な環境。心の余裕がなければ人当たりは意地悪くなる。EU離脱を望む人が多くなってしまったイギリスにおいて、憎まれるべきは移民ではなく、非人間的な巨大システムで格差を広げ、イギリス人の適正な収入と自尊心を奪った多国籍企業だろう。
私にはこの本の向こうに今の日本、近未来の日本が透けて見える。日本にも貧困状態にある人が増えていると聞く。非正規の劣悪な仕事でも得なければ生きていけない人を減らす社会にするために自分が何をすべきかを考えた。著者の指摘した『ワンクリックの向こう側』。ワンコインの値段の意味。ほんの少しの価格差や便利さの為に、他人を困窮した生活に陥れるのか。「社会の下層にいる人たち」と「勤勉な私たち」の差は、経済的にはとても大きく、時間的にはごく短い。ひとつのアクシデントでいつでも誰でもそうなり得ることを心得るべきだろう。
邦題が最悪だ。真面目で良質なノンフィクションなのに、もう少しマシな邦題をつけられなかったのかと怒りさえ覚える。原題は「HIRED」。この本は商いをする者にとって反面教師としても響く。例えば組織が大きくなりすぎれば、立場の弱い者に歪みが及びやすい。また社内に対立の構造をつくっても同様。社員に「日に日に疲れが増していくような気がする」と思わせる働かせ方ではいけない。働く誇りが得られるのはどのような働き方の中でだろう。その為に必要な雇用条件、給料はどのようなものであるべきかを考える、これは企業の永遠の課題だ。
読了日:07月31日 著者:ジェームズ・ブラッドワース
第六大陸〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)の感想
わぁ、素敵! この大団円は、殺伐とした中盤からはどうやっても予想できなかった。どころか、こんな近・近未来の予感まで用意するとは! この賑やかで華やかなラストシーンに対比して思い出されるのは、イブロケットの上昇を見つめる泰の静かな眼差しだ。彼は夢を、夢の実現を見続ける。理論の部分はからきし理解できないんだけど。その場が真空かそうじゃないかもわかりづらいけど。そう、人類が宇宙を目指す意味はあるかな。今年はアポロ月面着陸50周年。この小説を読んで、宇宙を目指す若者が増えるといいな。デブリはちゃんと除去してよ。
読了日:07月30日 著者:小川 一水
天災から日本史を読みなおす - 先人に学ぶ防災 (中公新書)の感想
『すみません。陰陽師が津波を呪力で止めた塚に行きたいのですが』。磯田先生、遺跡や資料が気になるとわき目も振らず突っ走る。さて、地震や津波は日本各地に突然起きるが、大概初めてではない。古い文書を紐解くと災害についての記述は散見され、昨今の災害により残念ながら立証されたものも多いようだ。防災庁舎など公共施設の立地も、これらを踏まえて検討するべきではないか。古い神社は災害が及ばないと確認された場所を選んで建てられているという。鳥居までで止まる津波。神性と合理性を兼ね備える存在であり、累積された人知の具現である。
香川県も、1854年伊賀上野地震の影響で満濃池が決壊したと高松藩記にある。ため池の耐震化は県下で言われていることだが、実際に罹災が防がれるのかどうかは、その時になってみないと分からないとするべきだろう。警戒はしておかなくては。それにしても記録は大事だ。ゆめゆめ破棄すべからず。
読了日:07月28日 著者:磯田 道史
「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済 (光文社新書)の感想
Living for today。"その日暮らし"と聞くと、「そう生きたいから」あるいは「そう生きざるを得ないから」資本主義社会システムから外れて生きる人々を想像したが、この本のテーマは違った。タンザニアやケニアの人々を主に、中国人との商取引、携帯を使った送金システムによる社会の変化などを研究したものだ。彼らは『均質的な時が未来に向かって単線的な道筋を刻んでいく』日本の社会とは異なる論理で動いている。怠惰や知識不足ではない、日本人とは全く違うひとつの解。時間や人生への認識が違うと、社会の様相も違ってくる。
読了日:07月25日 著者:小川 さやか
日本の路地を旅する (文春文庫)の感想
この「路地」とは穢多と呼ばれた人らが代々住んできた、いわゆる被差別部落だ。城や寺に付随し、都会離島を問わず人の住む集落なら日本全国どこにでもある。路地が被差別部落への差別行為のみを指すなら、早く無くしてしまえで済む。しかし彼らの担ってきた役割と歴史は重く長く、決して無かったことにできるものではない。 『無くてはならないものだが、我々とはちょっと違う』。同じ路地出身だから聞き出せる各地の歴史と現在を描写しながら、著者の抱えた闇と希望が色濃い。私の知らない日本の風景が目の前に二重写しになるようで興味深かった。
県主催の人権研修で、大阪から呼ばれた講師が部落差別について話した事があったが、実はピンとこなかった。私が若かったこともあるだろうが、大阪と当県では温度差があったのだろうと今思う。当県に部落差別がもう無いとは言わない。しかし私の世代では、同和を騙った恫喝や不当要求を除いては、世代を経て薄まってきている感が強い。『この現代に被差別部落があるかといわれれば、もうないといえるだろう。それは土地ではなく、人の心の中に生きているからだ』。『非日常的な出来事が起こると、そのときはじめて路地は「路地」になることがある』。
また"近江牛"と言えば日本人垂涎のブランド牛肉だが、そのルーツが江戸時代、近江彦根藩のかわたたちにあることを知って感嘆した。彼らが江戸をはじめ各地に出て精力的に牛肉を宣伝、販売したことが、明治時代に入って拡大し、現代の知名度につながっている。なんともたくましい。細工物や芸事など、驚くほど身近なところに路地の者の痕跡はある。手づくりの革小物など、その手で必要な物をつくることができる人を無邪気に羨ましく思うが、それは例えば数十年前の基準で言えば、路地に住む者たちの領分だったのだ。
読了日:07月23日 著者:上原 善広
第六大陸〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)の感想
近い未来、宇宙の惑星や衛星へ出て行く人類の話といえば、アンディ・ウィアーの小説が脳裏に残っている。設備や技術の描写が細かい辺りが似ていて、現代のSFらしい。特徴的なのは、主人公がゼネコンの社員であるところだ。月でどうやって一般人が居住できる施設をつくり維持するのか。宇宙開発に必要なのは航空宇宙的な分野だけではなく、まずは人間が滞在する施設をつくるための土木建設技術だという視点が面白い。月を目指す意義は、有って無いようなもの。とりあえず全力で目指す。人間ってこうして進化し、地球上に広がってきたのね。次巻へ。
読了日:07月18日 著者:小川 一水
百年前の山を旅する (新潮文庫)の感想
便利な登山用具がなかった時代の先達の足跡を、同じ装備で辿るという試みを、私は興味深く思った。残された記録を読み解き、歩く速さや山の読み方を追体験する。人間ひとりの身体と知識で向かう山は深い。心もとなさも含め、真に登った充足感はたまらないだろう。スキルがあればこそだ。服部文祥という人、見た目に反して真面目で繊細だ。物事の根源を求めてしまう性格は私と似ている。結果、恐ろしくストイックな行動につながるのだろう。ご本人はこの計画達成度の中途半端さが気に入らなそうだが、現在の服部文祥へ至る思考の道筋が見えて面白い。
『おそらく人間の限界といえる行為ができる人間は人類の一握りで、そういう人だけが、最先端の道具の本当の価値を体感でき、われわれ凡人はただ、便利な道具で得た余裕の中に安住するだけで、そのぶん知らないうちに本質からは遠ざかっているにちがいない』。
読了日:07月14日 著者:服部 文祥
シュッシュッポッポきかんしゃチャーリーの感想
キングの「ダーク・タワー」シリーズに登場した絵本。『こういう絵本を、ずっと書きたいと思っていた』ってどういう意味だろう? 既に物語を明瞭に思い出せない。なにも知らずに読めば、ごく普通の、ハッピーエンドの絵本だ。しかしチャーリーの顔だけタッチが怖くないか。「ダーク・タワー」を読んだ私には、恐怖ワードが散りばめられているように感じるのだ。いや、確かにリンクしている。やめて怖いから。発売時には風間さんによる解説の冊子が付属していたらしい。この絵本の存在に気づくのが遅く、古本として買ったらついていなかった。残念。
読了日:07月09日 著者:ベリル・エヴァンス
-リアルRPG譚- 行商人に憧れて、ロバとモロッコを1000km歩いた男の冒険の感想
世界に飛び出したいなら必要なのは気持ちとパスポートだけ。と言いたいところだが、この著者、無謀そうでなにげに用意周到だ。読み終える頃にはすっかり感心してしまった。夢や目的の為に努力する。動物の扱い方も語学も、必要性を見定めて自分のものにしていく。客引きの仕事すらスキルのためとはね。ほんとRPGみたい。動物の命の重さや価値は、その国柄や民族によって違うものだなと思った。それは人間として高尚だとか善し悪しだとかとは違う。違って当たり前な背景がその地にあるからだ。でもそれに流されない彼の判断が好かった。次章待つ。
読了日:07月06日 著者:春間 豪太郎
このゴミは収集できません ゴミ清掃員が見たあり得ない光景の感想
ゴミ清掃員の立場から見える社会なんて想像もしたことなかったが、人間の本性が丸見えだな。ゴミを出す方のね。時間を遅れて出したのに収集に来ないとクレームをつけたり、出してはいけない物を出してしらを切ったり、道理を外れるのはたいていゴミを出す側だ。それでも収集するしかない。ゴミ清掃員という職業を見下しているから、品の良さげな中年女性が突然「ゴミ屋のくせに!」と逆切れするのだろう。ゴミ集積所を見るとその地域の治安や住人の人間性がわかるというのも納得してしまう。前半はゴミ収集あるある。笑える。ご苦労様です。
読了日:07月05日 著者:滝沢 秀一
中小企業の「働き方改革」労務管理をスムーズに変える本
読了日:07月01日 著者:小岩 広宣
注:
はKindleで読んだ本。
というより、歯止めになる言葉が私には最早ないと気づいた。
ふと思った。
Amazonの電子書籍売上げにかかる印税は正当に払われているのだろうな。
イギリスのAmazonの巨大倉庫で働く人たちのような横暴は許されていないだろうな。
まあ、支払われていなければ、さすがに出版社も作家も黙っていなかろうな。
Kindle本は素晴らしい、と私は思っている。
便利さだけでなく、新古書店の古本と違って正当な印税が著者に払われている。
そう信じているから、盛大に利用させてもらっている。
今までの購入額を試算してみたら、高級車が買えそうな金額になった。
ひゃっほう。
<今月のデータ>
購入29冊、購入費用15,037円。
読了11冊(費用・読了共「進撃の巨人」28冊まとめ読みを除く)。
積読本180冊(うちKindle本70冊)。

7月の読書メーター
読んだ本の数:11

著者の行動を不遜と責める向きもあるかもしれない。しかしこれがイギリスの労働者階級の現実には違いない。搾取と侮蔑の連鎖構造。不信頼関係の上に成り立つ雇用の元では、質素堅実になど暮らせないと理解できる。貧しいほど用事を済ませるのに物理的時間がかかる。酒やタバコがなければ精神を保てない劣悪な環境。心の余裕がなければ人当たりは意地悪くなる。EU離脱を望む人が多くなってしまったイギリスにおいて、憎まれるべきは移民ではなく、非人間的な巨大システムで格差を広げ、イギリス人の適正な収入と自尊心を奪った多国籍企業だろう。
私にはこの本の向こうに今の日本、近未来の日本が透けて見える。日本にも貧困状態にある人が増えていると聞く。非正規の劣悪な仕事でも得なければ生きていけない人を減らす社会にするために自分が何をすべきかを考えた。著者の指摘した『ワンクリックの向こう側』。ワンコインの値段の意味。ほんの少しの価格差や便利さの為に、他人を困窮した生活に陥れるのか。「社会の下層にいる人たち」と「勤勉な私たち」の差は、経済的にはとても大きく、時間的にはごく短い。ひとつのアクシデントでいつでも誰でもそうなり得ることを心得るべきだろう。
邦題が最悪だ。真面目で良質なノンフィクションなのに、もう少しマシな邦題をつけられなかったのかと怒りさえ覚える。原題は「HIRED」。この本は商いをする者にとって反面教師としても響く。例えば組織が大きくなりすぎれば、立場の弱い者に歪みが及びやすい。また社内に対立の構造をつくっても同様。社員に「日に日に疲れが増していくような気がする」と思わせる働かせ方ではいけない。働く誇りが得られるのはどのような働き方の中でだろう。その為に必要な雇用条件、給料はどのようなものであるべきかを考える、これは企業の永遠の課題だ。
読了日:07月31日 著者:ジェームズ・ブラッドワース


わぁ、素敵! この大団円は、殺伐とした中盤からはどうやっても予想できなかった。どころか、こんな近・近未来の予感まで用意するとは! この賑やかで華やかなラストシーンに対比して思い出されるのは、イブロケットの上昇を見つめる泰の静かな眼差しだ。彼は夢を、夢の実現を見続ける。理論の部分はからきし理解できないんだけど。その場が真空かそうじゃないかもわかりづらいけど。そう、人類が宇宙を目指す意味はあるかな。今年はアポロ月面着陸50周年。この小説を読んで、宇宙を目指す若者が増えるといいな。デブリはちゃんと除去してよ。
読了日:07月30日 著者:小川 一水


『すみません。陰陽師が津波を呪力で止めた塚に行きたいのですが』。磯田先生、遺跡や資料が気になるとわき目も振らず突っ走る。さて、地震や津波は日本各地に突然起きるが、大概初めてではない。古い文書を紐解くと災害についての記述は散見され、昨今の災害により残念ながら立証されたものも多いようだ。防災庁舎など公共施設の立地も、これらを踏まえて検討するべきではないか。古い神社は災害が及ばないと確認された場所を選んで建てられているという。鳥居までで止まる津波。神性と合理性を兼ね備える存在であり、累積された人知の具現である。
香川県も、1854年伊賀上野地震の影響で満濃池が決壊したと高松藩記にある。ため池の耐震化は県下で言われていることだが、実際に罹災が防がれるのかどうかは、その時になってみないと分からないとするべきだろう。警戒はしておかなくては。それにしても記録は大事だ。ゆめゆめ破棄すべからず。
読了日:07月28日 著者:磯田 道史

Living for today。"その日暮らし"と聞くと、「そう生きたいから」あるいは「そう生きざるを得ないから」資本主義社会システムから外れて生きる人々を想像したが、この本のテーマは違った。タンザニアやケニアの人々を主に、中国人との商取引、携帯を使った送金システムによる社会の変化などを研究したものだ。彼らは『均質的な時が未来に向かって単線的な道筋を刻んでいく』日本の社会とは異なる論理で動いている。怠惰や知識不足ではない、日本人とは全く違うひとつの解。時間や人生への認識が違うと、社会の様相も違ってくる。
読了日:07月25日 著者:小川 さやか


この「路地」とは穢多と呼ばれた人らが代々住んできた、いわゆる被差別部落だ。城や寺に付随し、都会離島を問わず人の住む集落なら日本全国どこにでもある。路地が被差別部落への差別行為のみを指すなら、早く無くしてしまえで済む。しかし彼らの担ってきた役割と歴史は重く長く、決して無かったことにできるものではない。 『無くてはならないものだが、我々とはちょっと違う』。同じ路地出身だから聞き出せる各地の歴史と現在を描写しながら、著者の抱えた闇と希望が色濃い。私の知らない日本の風景が目の前に二重写しになるようで興味深かった。
県主催の人権研修で、大阪から呼ばれた講師が部落差別について話した事があったが、実はピンとこなかった。私が若かったこともあるだろうが、大阪と当県では温度差があったのだろうと今思う。当県に部落差別がもう無いとは言わない。しかし私の世代では、同和を騙った恫喝や不当要求を除いては、世代を経て薄まってきている感が強い。『この現代に被差別部落があるかといわれれば、もうないといえるだろう。それは土地ではなく、人の心の中に生きているからだ』。『非日常的な出来事が起こると、そのときはじめて路地は「路地」になることがある』。
また"近江牛"と言えば日本人垂涎のブランド牛肉だが、そのルーツが江戸時代、近江彦根藩のかわたたちにあることを知って感嘆した。彼らが江戸をはじめ各地に出て精力的に牛肉を宣伝、販売したことが、明治時代に入って拡大し、現代の知名度につながっている。なんともたくましい。細工物や芸事など、驚くほど身近なところに路地の者の痕跡はある。手づくりの革小物など、その手で必要な物をつくることができる人を無邪気に羨ましく思うが、それは例えば数十年前の基準で言えば、路地に住む者たちの領分だったのだ。
読了日:07月23日 著者:上原 善広


近い未来、宇宙の惑星や衛星へ出て行く人類の話といえば、アンディ・ウィアーの小説が脳裏に残っている。設備や技術の描写が細かい辺りが似ていて、現代のSFらしい。特徴的なのは、主人公がゼネコンの社員であるところだ。月でどうやって一般人が居住できる施設をつくり維持するのか。宇宙開発に必要なのは航空宇宙的な分野だけではなく、まずは人間が滞在する施設をつくるための土木建設技術だという視点が面白い。月を目指す意義は、有って無いようなもの。とりあえず全力で目指す。人間ってこうして進化し、地球上に広がってきたのね。次巻へ。
読了日:07月18日 著者:小川 一水


便利な登山用具がなかった時代の先達の足跡を、同じ装備で辿るという試みを、私は興味深く思った。残された記録を読み解き、歩く速さや山の読み方を追体験する。人間ひとりの身体と知識で向かう山は深い。心もとなさも含め、真に登った充足感はたまらないだろう。スキルがあればこそだ。服部文祥という人、見た目に反して真面目で繊細だ。物事の根源を求めてしまう性格は私と似ている。結果、恐ろしくストイックな行動につながるのだろう。ご本人はこの計画達成度の中途半端さが気に入らなそうだが、現在の服部文祥へ至る思考の道筋が見えて面白い。
『おそらく人間の限界といえる行為ができる人間は人類の一握りで、そういう人だけが、最先端の道具の本当の価値を体感でき、われわれ凡人はただ、便利な道具で得た余裕の中に安住するだけで、そのぶん知らないうちに本質からは遠ざかっているにちがいない』。
読了日:07月14日 著者:服部 文祥

キングの「ダーク・タワー」シリーズに登場した絵本。『こういう絵本を、ずっと書きたいと思っていた』ってどういう意味だろう? 既に物語を明瞭に思い出せない。なにも知らずに読めば、ごく普通の、ハッピーエンドの絵本だ。しかしチャーリーの顔だけタッチが怖くないか。「ダーク・タワー」を読んだ私には、恐怖ワードが散りばめられているように感じるのだ。いや、確かにリンクしている。やめて怖いから。発売時には風間さんによる解説の冊子が付属していたらしい。この絵本の存在に気づくのが遅く、古本として買ったらついていなかった。残念。
読了日:07月09日 著者:ベリル・エヴァンス

世界に飛び出したいなら必要なのは気持ちとパスポートだけ。と言いたいところだが、この著者、無謀そうでなにげに用意周到だ。読み終える頃にはすっかり感心してしまった。夢や目的の為に努力する。動物の扱い方も語学も、必要性を見定めて自分のものにしていく。客引きの仕事すらスキルのためとはね。ほんとRPGみたい。動物の命の重さや価値は、その国柄や民族によって違うものだなと思った。それは人間として高尚だとか善し悪しだとかとは違う。違って当たり前な背景がその地にあるからだ。でもそれに流されない彼の判断が好かった。次章待つ。
読了日:07月06日 著者:春間 豪太郎


ゴミ清掃員の立場から見える社会なんて想像もしたことなかったが、人間の本性が丸見えだな。ゴミを出す方のね。時間を遅れて出したのに収集に来ないとクレームをつけたり、出してはいけない物を出してしらを切ったり、道理を外れるのはたいていゴミを出す側だ。それでも収集するしかない。ゴミ清掃員という職業を見下しているから、品の良さげな中年女性が突然「ゴミ屋のくせに!」と逆切れするのだろう。ゴミ集積所を見るとその地域の治安や住人の人間性がわかるというのも納得してしまう。前半はゴミ収集あるある。笑える。ご苦労様です。
読了日:07月05日 著者:滝沢 秀一


読了日:07月01日 著者:小岩 広宣
注:

Posted by nekoneko at 15:01│Comments(0)
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