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2019年10月01日

2019年9月の記録

秋の夜長。
心ゆくまで本を読み耽りたし。

備忘:今月末より読書週間なので、それまで本を買い控えること。

<今月のデータ>
購入21冊、購入費用27,268円。
読了15冊。
積読本188冊(うちKindle本72冊)。

ブック

9月の読書メーター
読んだ本の数:15

山怪 参 山人が語る不思議な話山怪 参 山人が語る不思議な話感想
シリーズ3冊目になると書く方も読む方も慣れたものだが、山へ行く直前に読んだのはまずかった。夜中2時に山小屋のトイレへ行きながら後悔した。そして怖がりながら自問した。自分は有形無形の恐怖の中で、何を怖がっているのか。それは、生命を持たない悪意だろう。意味もなく「それ」に襲われることを私は怖がる。無論、身体を害する危険も正しく怖がるべきだ。その為には自分の皮膚感覚を研ぎ澄ませておくことだと、山の人たちは言外に語っている。回避する術が私にもあるのか怪しいものだが、喜ばしいことに何事もなく、山を楽しんで帰還した。
読了日:09月28日 著者:田中 康弘 ファイル

漢方的生き方のすすめ漢方的生き方のすすめ感想
38度2分の熱に浮かされながらでも読める面白さ。飲み薬でがんが治る時代はいずれ来る。だとしても、中庸と摂養が人間には大事なんだと、丁先生は重ねて言う。風邪を引くということは、なにか不摂生をしたということ。二日酔いでへろへろしていた私自身が体内に菌を呼び込んだのである。East asian medicine=東亜医学。日本と中国、朝鮮、インドまでを含めた医学・薬学の話が何回聞いても面白い。古来、流動的に進化(後退を含め)してきた医学は人間の英知の結晶。歴史も効用も大切です。丁先生の生い立ちがとかく印象深い。
読了日:09月26日 著者:丁 宗鐵,南 伸坊 ファイル

令和ニッポン改造論令和ニッポン改造論感想
地元出身で、人柄も好きだが、時間の制約や取材者の意図に邪魔されず政策をじっくり聴くことが難しかった。この自筆本は程よい硬さの文章で読みやすく、お勧めだ。数字ベースで考えることができ、なのに正しい肌感覚も持っている政治家の印象が覆されることはなかった。改憲論も子ども国債も、じっくり説明されれば理解できた。食料安全保障は言わずもがな、農業や教育への財政投資も「人重視」からぶれない。政治は社会を変えることができる。一般の国民にとって至極真っ当な内容なのに、伝わりにくい現代の歪さを、本人に成り代わり憂慮する。
読了日:09月25日 著者:玉木 雄一郎 ファイル

仰臥漫録 (角川ソフィア文庫)仰臥漫録 (角川ソフィア文庫)感想
結核患者は栄養を摂らねばならない。しかし正岡子規は食い過ぎで腹を下したり吐いたり、そのために疲労困憊して衰弱するのではと勘ぐるほどよく食う。1食に粥4椀とか、梨2個とか、桃の缶詰3個とか、菓子パン10個とか、異様だった。さらに菓子パンが不味かったとやけ食いする、団子の要求を無視したと妹をなじる、余命宣告されれば御馳走を食わせてもらえるのにと嘆くなど、自力で布団を出ることすらできない人間から発せられる食べ物への恋着は、怨念の如き生への意志だったのだろう。その衰弱もまた凄まじい。『梨腹も牡丹餅腹も彼岸かな』。
読了日:09月24日 著者:正岡 子規 ファイル

ランドネ 2019年 9月号(特別付録:ランドネオリジナル お着替えポーチ)ランドネ 2019年 9月号(特別付録:ランドネオリジナル お着替えポーチ)感想
近々、尾瀬へ歩きに行く、その気分づくりと忘れ物撲滅のために。2日間背負って歩くのだから、荷物は軽ければ軽いほど良いのだが、久しぶり故についあれもこれもと欲張ってしまう。着替えやらスキンケア用品やら、減らすべく自戒。忘れないようにしたいのは枕カバー代わりのタオル。山小屋のお布団は、有るというだけで感謝すべきところだが、顔の当たるところだけは万全であってほしいので。尾瀬はメジャーだから石鎚とは違って、ひょっとするともっと女子向けに整えられているのかもしれず、それならやはりあれもこれも持って行きた(以下略)。
読了日:09月16日 著者:

孤島の鬼 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)孤島の鬼 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)感想
大衆雑誌「朝日」に昭和4年から連載された小説。乱歩にとっては、通俗娯楽小説の第一作目だという。連載だからだろう、とかく劣情を煽る。現代の週刊誌みたいだ。冒頭のごく普通のオフィスからどのように「孤島」に場面がつながるのかと、穏当至極な興味で読む私を尻目に、在り得ない殺人、"畸形"の者たちの暗躍とどんどんえげつない世界へはまり込んでいく。この小説に更なる異様を加えるのが同性愛だ。乱歩は同性愛に親和性が高いと勝手に想像していたが、ここに描かれた関係性はBL的な耽美よりも、気持ち悪い場面の印象が強烈で意外だった。
読了日:09月16日 著者:江戸川 乱歩 ファイル

ダーウィンの「種の起源」: はじめての進化論ダーウィンの「種の起源」: はじめての進化論感想
かの有名な書物をこれで読んだことにしたい私の魂胆と裏腹に、昆虫の仕掛けなど色彩豊かで楽しい絵本。さて、種の進化は長い時間をかけて進んできた。ある動植物に新種が生まれたといって、その機能が役に立つかはわからない。しかしその進化によって、より生き残りやすい種になっている可能性を全ての生命体は追っている。現代、人間が種を絶滅させることは、未来への芽をまた一つ摘む行為と言える。生物は生き残った種の中から、人間にとっては気の遠くなるような時間をかけて、また進化していく。人間が絶滅した後にも。大きな時間を想像させる。
読了日:09月11日 著者:サビーナ ラデヴァ

小笠原が救った鳥: アカガシラカラスバトと777匹のネコ小笠原が救った鳥: アカガシラカラスバトと777匹のネコ感想
ネコの本能である狩りが固有種を絶滅に追い込んでいる、と世界中で問題になっている。元々は猫がいなかった土地に持ち込み、野放しにした人間の責任であり、その対処法が課題だ。本書は小笠原諸島のケース。固有種が減少する要因を検討したところ、やはり猫が大きな要因であり、実際に猫が減れば固有種は増えた。TNRの手法は使えない。捕獲したノラネコ・ノネコを全て内地へ送り、里親を探す。同時に島内の猫の飼い方を改めた。島内・島外、専門家・住民の連携と協力、その熱意努力に頭が下がる。「ネコ問題は外来種問題ではない」の言葉が重い。
島から運び出された猫の数は777頭を超えて、未だ全てではない。"トラップシャイ"な猫の捕獲が難航し、そこからリバウンドで猫の数が増えるなど、離島ですら「ノネコをゼロにする」ことの難しさが浮き出ている。その事実を踏まえての決定であろうが、オーストラリア政府は2020年までにノネコ200万匹を駆除する計画を宣言している。『どの生きものは殺し、どの生きものは残す。それを人間が決めることができるのか?』。非常に難解で、倫理的で、もはや何が正しいなど、解自体が存在しないが、諦めるわけにはいかない。人間に責任はある。
読了日:09月10日 著者:有川 美紀子

社長のための「中小企業の決算書」読み方・活かし方社長のための「中小企業の決算書」読み方・活かし方感想
企業が経営のために資金を借りる/返すことを前提に、経営の数字の見方を指南する本。今のところ融資は必要ないが、だいたいのところは読めていることと、銀行が企業を見るポイントや知りたがる事項が判って良かった。数字の定石を見る目は今のうちに養っておこう。貸借対照表の経年バームクーヘンは視覚的に把握できる意味で良いみたいなので続ける。一人あたり売上高、一人当たり人件費、一人当たり平均支給額もバームクーヘン化してみたい(従業員数は法人税申告書から)。数字を社員にオープンに、をいずれやってみたい。 
読了日:09月10日 著者:安田 順 ファイル

RDG レッドデータガール 氷の靴 ガラスの靴 (角川文庫)RDG レッドデータガール 氷の靴 ガラスの靴 (角川文庫)感想
スピンオフ。完結を見てから久しぶりだったけど、ややあって物語の世界に戻れた。思いがけず豪華なおまけをもらった、得した気分。宗田の三つ子には、どうしても儚い気持ちがつきまとう。泉水子と深行がなんだかんだ盤石なだけに、いつまでこの関係でいられるのか、その不安定が比較されて、こちらの気持ちが過敏になってしまうようだ。だから無邪気な真澄に会えて望外の満足です。次はもうないと思って、余韻を満喫します。余韻といえば、ピエール・マルコリーニのチョコ食いたし。
読了日:09月07日 著者:荻原 規子 ファイル

ミスター・メルセデス 下 (文春文庫)ミスター・メルセデス 下 (文春文庫)感想
善き者/悪しき者など簡単に断じた読み手への罰だな。登場人物が増えるにつれてなんだかわからなくなってきた私に、キングはちゃんと答えを用意している。『気の毒に思う。なにもかも。本当に気の毒でならないよ』。他人のために胸を痛めることができるか。そして喪失を正面から抱えられるか。交差するように、するりと変則的な形で入ってきた登場人物が、目を疑う変身を遂げたのが印象的。アメリカ版リスベット・サランデルだな。チーム・ホッジズは歳も見た目もばらばらだけど、ピクニックの光景は美しく眩しい。そういう強さを私が持たないから。
読了日:09月07日 著者:スティーヴン キング

シルクロードのあかい空シルクロードのあかい空感想
岩波書店の絵本。鮮やかな表紙に目を奪われた。西安から古いシルクロードを辿って西へと旅するフランス人が描いた、新疆の景色が目の前に大きく広がる。トルファン、ウルムチ、カシュガル。アジアの真ん中なんだなあ。きっと豊かな場所だ。著者の目的である蝶とともに描かれた、色彩と細い線を重ねた風景や人が、異国情緒を際立たせている。ウイグル族、カザフ族の生活も、空も砂漠も川も、「チョウの王女」の霊廟に掛けられた布も、行ってこの目で見てみたい気持ちを掻き立てられる。大人のエッセイのような素敵な読後感。他の作品も読みたい。
読了日:09月06日 著者:イザベル・シムレール

琴電殺人事件 (新潮文庫)琴電殺人事件 (新潮文庫)感想
かの西村京太郎がコトデンを舞台に小説を書いた。と聞いたら讃岐人として読まない訳にいかんやないですか。コトデンや金丸座、こんぴら歌舞伎について調べていただいたようで、多少の脚色は加えられているものの薀蓄盛り盛りです。ですが、失礼ながら西村先生、琴電にはお乗りにならなかったのですね。なぜなら、コトデンは特に仏生山から先、上下に激しく揺れるので、走る列車内でファンにサインを書くなんて不可能だからです。缶コーヒーを飲むのも無理です。唇を切るか、服を汚すか、むせるか。そんな小ネタが入っとったら大ウケやったのになぁ。
読了日:09月05日 著者:西村 京太郎 ファイル

ミスター・メルセデス 上 (文春文庫)ミスター・メルセデス 上 (文春文庫)感想
超常現象ものでないのと、まっとうな神経の登場人物が多いことで、キングにしてはすんなり読めるし、わりとお上品(過去作品比、読者私見)。冒頭に出てくる事件の被害者が丁寧に描かれていて、切ない。キングが現実のニュースに怒ったり悲しんだりする様が目に浮かぶ。アメリカの貧しくも慎ましく暮らす、善き者たち。彼らが悪しき者にこれ以上害されないようにと私も願う。これも善き者、オデル。まさか、キングに限って、彼女を害するような展開にはしないはずよね。冷静沈着とは言い難い犯人。お腹の出た色男さん、がつんとやっちゃって。
読了日:09月01日 著者:スティーヴン キング

夏の闇夏の闇感想
女の視点で見てしまう。男は放っておけば寝床から出もせず惰眠を貪り続ける、美食と性欲ばかりの中年。しかし覚醒しているときの会話は理知的で、食の薀蓄が縦横無尽で、楽しい相手だ。男を手放せない女の雄弁が痛くてひりひりする。一方、男は酒でも紛らわせない倦怠のどん底。戦地ベトナムへ行きたいと、ある日生き生きと情報収集を始める。死なないようまじないの言葉を彫ったライターを手放さないでいながら、死地を望むロマンチシズム。そりゃ女は絶望的についていけんわな。どうしようもない人やなぁ。言葉にも貪欲でこってりで、息が詰まる。
男は釣りとなると生き返る。芋虫みたいな生活との余りの落差が、鮮やかすぎる印象を残した。男が開高健自身に重なった瞬間、ぞっとした。開高健が釣りにのめり込んだ理由ってまさかこれなのかと。趣味と呼べる範疇を超えて、まるで生きる理由そのものだ。釣りのエッセイも読んでみよう。
読了日:09月01日 著者:開高 健


注:ファイルはKindleで読んだ本。


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