2021年05月01日
2021年4月の記録
我が家の老猫たちの体調が気づかわしく、また主張も激しいため、
本を手に取って数分後には中断することの繰り返し。
自身の疲れもあって、思うように読めていない。
BOOX Nova2のストレスに耐えられなくなり、またAmazon一択に戻ることにした。
とはいえ、Honto本がまだ29冊もあるため、渋面で消化作業をしている。
誰だ、いっぺんに大量に買い込んだのは。
早くKindle Voyage生活に戻りたい。
<今月のデータ>
購入11冊、購入費用13,988円。
読了9冊。
積読本256冊(うちKindle本82冊、Honto本29冊)。

4月の読書メーター
読んだ本の数:9
俺、つしま 3の感想
安定の存在感。人間の食べ物を欲しがるつーさんへの言動が我が家のやりとりとほぼ同じなど、「あるある」とおもしろがる私のコメントが毎巻同じだと、夫が変に感心していた。笑ったり泣いたりが激しすぎないのも、ある意味読み続けられる要因なのだろうな。適度に笑い、しんみりし、カシの木さんのこやのエピソードが沁みる。失われゆくものを惜しむ気持ちは、猫にもあると思いたくなる。そしてそのオチに感嘆する。おぉそうか、建つのか。売上げの一部は保護活動に使うともあり、やっぱり買わんといかんやないの。おまけシールLOVE。
読了日:04月29日 著者:おぷうのきょうだい
自然に生きる力 24時間の自然を満喫するの感想
モンベルの創業者、辰野さんのエッセイ。意外や、アウトドア初心者への指南書みたいになっていて、そのうえで自分ならこう、と我流を述べている。壁一面の収納棚から順番に用具を取り出すだけで旅支度ができる家は壮観だろう。昨日もアウトドア用品の店で眺めていて、自分にはあれこれ用品を揃えてテントごと担いで行くような山行はできないと悟った。準備して火を焚いて調理して、を山でまでやりたくない。帰宅してから洗って干して片付けて、なんてまっぴら。最低限の必要品だけザックに詰めて、歩いて、ぼーっとして、山小屋に頼る山旅がいい。
読了日:04月29日 著者:辰野 勇
その犬の名を誰も知らない (ShoPro Books)の感想
南極でタロとジロが生きて発見される直前まで生き延び、経験の浅い2頭を導いた犬がいたという。証言と記録文書を元にその犬を探るノンフィクション。一次越冬隊の犬係を務めた北村氏の記憶が、資料に触発されてよみがえる。一冬を共に越えて強い“確信”で結ばれた犬たちを、きつく繋いだまま置き去りにしたことへの自責から、氏は三次越冬隊に志願した。氷雪の下に寄り添って死んでいた犬たちを独りで掘り出し、1頭ずつ抱きしめ、水葬にする場面。声が出ないほどの慟哭が南極の大気に満ちて、どうしたってこちらが強烈に印象を残してしまう。
第3の犬は、タロとジロ発見時には既にいなかった。10年後氷雪から融けだすまで、埋もれてしまっていた。解剖の記録もない。つまり、彼がいつ死んだかは不明のままだ。証言から、彼がいなくなっていたうちの誰であるかは判明した。ほぼ間違いないだろう。他方で、いつまでか不明にせよ、首輪を脱出した犬は他にもいた。なぜ彼だけにスポットを当てるのか。謎解きとしてはあいまいなままの点が多いのだ。彼がタロとジロを導いた可能性は、近しい人にはタロとジロ生存に貢献した存在として意味を持つ。それは気高くも、少々、弱い光に感じられた。
国家事業としての南極越冬。犬は犬ぞりという動力のための手段で、機械だけに頼らなかった点は日本にとって正解だった。一方、科学的研究を目的とするため、科学者優先で獣医師も同行しなかった。敗戦国のレッテルを上書きすることに血眼だった日本には、致し方ないこと、だったのだろう。しかし氷の状況が予断を許さなかったとはいえ、犬たちを置き去りにして死なせたことは、日本中から猛非難の的になった。だから八次隊による新しい遺骸発見の記録と発表もあえて伏せた可能性があると著者らは考えている。犬の位置づけが伺われて興味深い。
読了日:04月27日 著者:嘉悦 洋
芸術新潮2020年12月号の感想
三島由紀夫特集。作品をさして読んでいないのに特集読んでどうするのかという声もありつつ。ここに寄稿した何人もが思い入れを込めて文章を綴っている。三島由紀夫という作家は、その最期もあってのことに違いはないであろうけれども、浅からぬ感慨を人の心に残す人だったのだと思う。手書きの原稿、一字一字がマスからはみ出るほど大きく端正な字をまじまじと見つめてしまった。作品ガイドは平野啓一郎。これ以上の適任があろうか。あまり深入りするつもりはないけれど、あの文体がなんとも好きなのだ。そろそろ「豊饒の海」に手を付けようか。
読了日:04月24日 著者:
フランス日記: 日々ごはん 特別編の感想
2006年、高山さんはスイセイさんと一緒にフランスへ取材旅行に行く。新型コロナなどないごく普通の海外旅行が、はるか昔のことのように思えるなあ。さて、高山さんは街歩きも食事も貪欲にこなす。フランスでは新鮮な美味しい食材が身近な市場で手に入るのだから、料理研究家の需要なんてないのだろうと繰り返すのが印象的だった。『写真を撮ってもええか?』とフランスの子供に広島弁で聞くスイセイさんが好きだ。なんでこの穏やかなスイセイさんと喧嘩になるのか、私は不思議で仕方無いのだが、それってスイセイさんに肩入れしすぎだろうか。
読了日:04月23日 著者:高山 なおみ
白洲次郎〈増補新版〉 (KAWADE夢ムック 文藝別冊)の感想
白洲次郎の格好良さにもう少しうっとりしたくて。歳取るほど格好いい日本人の男ってそうそういない。「プリンシプルのない日本」と「占領を背負った男」を読んでしまえば政治絡みのインタビューや対談は食傷気味。これだけの媒体で歯に衣着せず発言できたのは、それこそ政治的立場が無かったからだろう。妻正子の書きようが好い。『まあ、カッコはいいでしょうよ、見た目にはね。でも、家では、あんな弱虫いなかった』。『本当にカッコつけつづけて生きていたようなもんですよ。まあ、それを貫いたんだから、ご苦労さまだけど』。うーん、容赦ない。
読了日:04月18日 著者:
とにかくうちに帰りますの感想
オフィスには、日々事件が起きている。と、つられて言いたくなるくらい、彼女の目は些細な異変を拾う。そうなのよね、気がついちゃうのよね。そこから想像が膨らむのは娯楽半分、いかんともしがたい性分半分。原始の頃からの女性の役割を思えば、それは身内ごと生き延びるための能力(の名残?)と呼びたい。表題作は、現代の人間が大都市の街中で遭難しうる風景を描いている。買った缶飲料に残る、微かな温もりのごとき人情をよすがに、都会の人は日々生きているんだろうか。非常時の、皆に余裕のない事態には、行き倒れることもありそうに思えた。
読了日:04月18日 著者:津村 記久子
旅をする木 (文春文庫)の感想
『人の心は、深くて、そして不思議なほど浅いのだと思います。きっと、その浅さで、人は生きてゆけるのでしょう』。冒頭で心を掴まれて、一度に一編ずつ読み進めた。アラスカで出会った景色や、様々な来し方を持った人とのつながりを一つ一つ慈しみ、その優しさや厳しさをも愛しているのが肌で感じられた。景色や気候が違うだけではない。日本で日々慌ただしく明け暮れるのとは色も早さも違う彼方の時間の流れや、時間を無駄にした、生産性がない、などと自分を責めることのない生き方を我が身に取り込みたかった。歯車の軸の役目を外れたくなった。
読了日:04月14日 著者:星野 道夫
南極で心臓の音は聞こえるか 生還の保証なし、南極観測隊 (光文社新書)の感想
南極観測隊もの。著者は南極に行きたいがために研究者の道を選び、越冬隊大気担当に見事選ばれた。しかし念願の南極で、気象観測への情熱やユーモアも控えめで、長い滞在の中に楽しい事、幸せな事はあっただろうかと訝しんでしまう。さて、角幡氏などの単独探検業の旅と比べると、些細なことが命に直結する外環境は同じでも、60回も観測隊を送っていれば日課は定型化、行事は恒例化し、「30人余の男たちで上手くやってゆく」点にエネルギーが注がれるのは仕方ないようだ。役目を終え雪に埋もれてゆくばかりのドームふじやみずほ基地が侘しい。
読了日:04月04日 著者:山田恭平
注:
は電子書籍で読んだ本。
本を手に取って数分後には中断することの繰り返し。
自身の疲れもあって、思うように読めていない。
BOOX Nova2のストレスに耐えられなくなり、またAmazon一択に戻ることにした。
とはいえ、Honto本がまだ29冊もあるため、渋面で消化作業をしている。
誰だ、いっぺんに大量に買い込んだのは。
早くKindle Voyage生活に戻りたい。
<今月のデータ>
購入11冊、購入費用13,988円。
読了9冊。
積読本256冊(うちKindle本82冊、Honto本29冊)。

4月の読書メーター
読んだ本の数:9

安定の存在感。人間の食べ物を欲しがるつーさんへの言動が我が家のやりとりとほぼ同じなど、「あるある」とおもしろがる私のコメントが毎巻同じだと、夫が変に感心していた。笑ったり泣いたりが激しすぎないのも、ある意味読み続けられる要因なのだろうな。適度に笑い、しんみりし、カシの木さんのこやのエピソードが沁みる。失われゆくものを惜しむ気持ちは、猫にもあると思いたくなる。そしてそのオチに感嘆する。おぉそうか、建つのか。売上げの一部は保護活動に使うともあり、やっぱり買わんといかんやないの。おまけシールLOVE。
読了日:04月29日 著者:おぷうのきょうだい

モンベルの創業者、辰野さんのエッセイ。意外や、アウトドア初心者への指南書みたいになっていて、そのうえで自分ならこう、と我流を述べている。壁一面の収納棚から順番に用具を取り出すだけで旅支度ができる家は壮観だろう。昨日もアウトドア用品の店で眺めていて、自分にはあれこれ用品を揃えてテントごと担いで行くような山行はできないと悟った。準備して火を焚いて調理して、を山でまでやりたくない。帰宅してから洗って干して片付けて、なんてまっぴら。最低限の必要品だけザックに詰めて、歩いて、ぼーっとして、山小屋に頼る山旅がいい。
読了日:04月29日 著者:辰野 勇

南極でタロとジロが生きて発見される直前まで生き延び、経験の浅い2頭を導いた犬がいたという。証言と記録文書を元にその犬を探るノンフィクション。一次越冬隊の犬係を務めた北村氏の記憶が、資料に触発されてよみがえる。一冬を共に越えて強い“確信”で結ばれた犬たちを、きつく繋いだまま置き去りにしたことへの自責から、氏は三次越冬隊に志願した。氷雪の下に寄り添って死んでいた犬たちを独りで掘り出し、1頭ずつ抱きしめ、水葬にする場面。声が出ないほどの慟哭が南極の大気に満ちて、どうしたってこちらが強烈に印象を残してしまう。
第3の犬は、タロとジロ発見時には既にいなかった。10年後氷雪から融けだすまで、埋もれてしまっていた。解剖の記録もない。つまり、彼がいつ死んだかは不明のままだ。証言から、彼がいなくなっていたうちの誰であるかは判明した。ほぼ間違いないだろう。他方で、いつまでか不明にせよ、首輪を脱出した犬は他にもいた。なぜ彼だけにスポットを当てるのか。謎解きとしてはあいまいなままの点が多いのだ。彼がタロとジロを導いた可能性は、近しい人にはタロとジロ生存に貢献した存在として意味を持つ。それは気高くも、少々、弱い光に感じられた。
国家事業としての南極越冬。犬は犬ぞりという動力のための手段で、機械だけに頼らなかった点は日本にとって正解だった。一方、科学的研究を目的とするため、科学者優先で獣医師も同行しなかった。敗戦国のレッテルを上書きすることに血眼だった日本には、致し方ないこと、だったのだろう。しかし氷の状況が予断を許さなかったとはいえ、犬たちを置き去りにして死なせたことは、日本中から猛非難の的になった。だから八次隊による新しい遺骸発見の記録と発表もあえて伏せた可能性があると著者らは考えている。犬の位置づけが伺われて興味深い。
読了日:04月27日 著者:嘉悦 洋

三島由紀夫特集。作品をさして読んでいないのに特集読んでどうするのかという声もありつつ。ここに寄稿した何人もが思い入れを込めて文章を綴っている。三島由紀夫という作家は、その最期もあってのことに違いはないであろうけれども、浅からぬ感慨を人の心に残す人だったのだと思う。手書きの原稿、一字一字がマスからはみ出るほど大きく端正な字をまじまじと見つめてしまった。作品ガイドは平野啓一郎。これ以上の適任があろうか。あまり深入りするつもりはないけれど、あの文体がなんとも好きなのだ。そろそろ「豊饒の海」に手を付けようか。
読了日:04月24日 著者:

2006年、高山さんはスイセイさんと一緒にフランスへ取材旅行に行く。新型コロナなどないごく普通の海外旅行が、はるか昔のことのように思えるなあ。さて、高山さんは街歩きも食事も貪欲にこなす。フランスでは新鮮な美味しい食材が身近な市場で手に入るのだから、料理研究家の需要なんてないのだろうと繰り返すのが印象的だった。『写真を撮ってもええか?』とフランスの子供に広島弁で聞くスイセイさんが好きだ。なんでこの穏やかなスイセイさんと喧嘩になるのか、私は不思議で仕方無いのだが、それってスイセイさんに肩入れしすぎだろうか。
読了日:04月23日 著者:高山 なおみ


白洲次郎の格好良さにもう少しうっとりしたくて。歳取るほど格好いい日本人の男ってそうそういない。「プリンシプルのない日本」と「占領を背負った男」を読んでしまえば政治絡みのインタビューや対談は食傷気味。これだけの媒体で歯に衣着せず発言できたのは、それこそ政治的立場が無かったからだろう。妻正子の書きようが好い。『まあ、カッコはいいでしょうよ、見た目にはね。でも、家では、あんな弱虫いなかった』。『本当にカッコつけつづけて生きていたようなもんですよ。まあ、それを貫いたんだから、ご苦労さまだけど』。うーん、容赦ない。
読了日:04月18日 著者:

オフィスには、日々事件が起きている。と、つられて言いたくなるくらい、彼女の目は些細な異変を拾う。そうなのよね、気がついちゃうのよね。そこから想像が膨らむのは娯楽半分、いかんともしがたい性分半分。原始の頃からの女性の役割を思えば、それは身内ごと生き延びるための能力(の名残?)と呼びたい。表題作は、現代の人間が大都市の街中で遭難しうる風景を描いている。買った缶飲料に残る、微かな温もりのごとき人情をよすがに、都会の人は日々生きているんだろうか。非常時の、皆に余裕のない事態には、行き倒れることもありそうに思えた。
読了日:04月18日 著者:津村 記久子

『人の心は、深くて、そして不思議なほど浅いのだと思います。きっと、その浅さで、人は生きてゆけるのでしょう』。冒頭で心を掴まれて、一度に一編ずつ読み進めた。アラスカで出会った景色や、様々な来し方を持った人とのつながりを一つ一つ慈しみ、その優しさや厳しさをも愛しているのが肌で感じられた。景色や気候が違うだけではない。日本で日々慌ただしく明け暮れるのとは色も早さも違う彼方の時間の流れや、時間を無駄にした、生産性がない、などと自分を責めることのない生き方を我が身に取り込みたかった。歯車の軸の役目を外れたくなった。
読了日:04月14日 著者:星野 道夫

南極観測隊もの。著者は南極に行きたいがために研究者の道を選び、越冬隊大気担当に見事選ばれた。しかし念願の南極で、気象観測への情熱やユーモアも控えめで、長い滞在の中に楽しい事、幸せな事はあっただろうかと訝しんでしまう。さて、角幡氏などの単独探検業の旅と比べると、些細なことが命に直結する外環境は同じでも、60回も観測隊を送っていれば日課は定型化、行事は恒例化し、「30人余の男たちで上手くやってゆく」点にエネルギーが注がれるのは仕方ないようだ。役目を終え雪に埋もれてゆくばかりのドームふじやみずほ基地が侘しい。
読了日:04月04日 著者:山田恭平

注:

Posted by nekoneko at 11:17│Comments(0)
│読書