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2021年06月01日

2021年5月の記録

時間と争うような読書。とにかく情報を得るために。

<今月のデータ>
購入17冊、購入費用15,986円。
読了20冊。
積読本256冊(うちKindle本93冊、Honto本25冊)。


ブック

5月の読書メーター
読んだ本の数:20

世界は分けてもわからない (講談社現代新書)世界は分けてもわからない (講談社現代新書)感想
これも連載かな。福岡センセイの本は、それぞれの篇のつながりがよくわからず、あとがきで「そうだったのか」と思うことが多い。今回もよくわからないのだけど、後半の物語はまるで小説、まるでミステリのような余韻を残す。研究の道を選んだ人たちは、仮説を証明するためにほんとうに細かな実験と証明を積み重ねていかなくてはならない。証明の過程は難しく、また証明されたとしてもそれは全体から見れば星粒のようなもので、その粒から全体を理解することはできない。その哀しみが、星空の美しさに投影されて、福岡センセイの詩的感覚に感じ入る。
読了日:05月29日 著者:福岡 伸一

和漢診療学――あたらしい漢方 (岩波新書)和漢診療学――あたらしい漢方 (岩波新書)感想
漢方医学の奥深さを知るのに良い。西暦210年頃に記された「傷寒論」にはじまる数多の古典には、現代で使用する漢方薬や、療治の判断に役立つ知識が既に現れているという凄さ。自覚症状など、計量化できない要素をこそ重視するその漢方の働きを、西洋医学の言葉と論理で解き明かし、裏づけることが一部できているという。ようやく「証明」できたのだ。西洋医学の知識と併用するだけでなく、双方の利点を掛け合わせる医療の進化と呼びたい。漢方薬をドラッグストアで簡単に買える時代に感謝だけど、漢方学、漢方薬への敬意はいつも持っておきたい。
読了日:05月29日 著者:寺澤 捷年 ファイル

基本がわかる 漢方医学講義基本がわかる 漢方医学講義感想
こちらは漢方の歴史や概念の解説など、まさに教科書的な専門書。現在の日本では、医師資格を持っている人は漢方診療を行なえ、全ての医学部のカリキュラムに漢方医学が組み込まれていると知る。漢方医学では四診によって症状から「証」(=英訳はpattern)を判定し、治療法を決める。西洋医学よりも、医師の観察力に負う部分が大きく、経験値が的確さを上げる印象である。取り急ぎ覚えておきたいのは「血」と「水」は「気」の制御を受けているので、「血」や「水」の失調には「気」の失調も連動すること。陰陽と虚実はイメージが掴めた。
なるほどペットに四診は無理である。だから、生体反応から漢方薬を選ぶ"モダンカンポウ"は動物に漢方薬を与えるハードルを著しく下げるアイデアであるといえる。この本でそのあたりを確認できたことは良かった。実際に漢方薬を選ぶべく、「ペット漢方薬」フローチャートに戻る。
読了日:05月27日 著者:

獣医版フローチャートペット漢方薬 実は有効! 明日から使える!獣医版フローチャートペット漢方薬 実は有効! 明日から使える!感想
人間と同じように「証」を見極める漢方診療は、ペットには不可能。漢方薬を動物に与えて、副作用が出るのは稀。だから、症状に合わせた漢方薬をとりあえず与えてみる"モダンカンポウ"を著者は提唱している。ほんまにそんなんで大丈夫なんかと怖じるが、著者は"漢方が趣味の西洋医"を自称し、漢方の本をたくさん出し、移植免疫学の研究で様々な漢方薬を実験マウスに与えてもいる。もちろん自宅の犬にも。ついでに言えばイグノーベル賞も受賞している。フローチャートの記載は明快である。それだけに、もっと迷わなくてよいのかと迷ってしまう。
考えてみると、近所の獣医の出す錠剤は指示どおり飲ませて、本で紹介された漢方薬は躊躇するというのもおかしな話だ。こういうところに、西洋医学や医者の肩書きへの信仰みたいなものが表れるのだろう。あと、別の本のところでも書いたように、私ひとりの責任をもって決定することへの恐れと。私の身体なら、実験もかまわない。でも私の猫へとなると生じる恐怖もある。そうか、私も同じものを飲めばよいのだ。ちょっと論理がおかしいけど、それでいこう。猫のぶんの分量は人間の1/10を計算してみる。
読了日:05月26日 著者:新見正則,井上明

世界まちかど地政学 90カ国弾丸旅行記世界まちかど地政学 90カ国弾丸旅行記感想
自称地理オタクで旅行マニアの藻谷さんが、外国の現地に赴くことで見える地形や気候、人の様子から理解する世界の連載もの。人口規模や距離を日本のそれに当てはめてくれるのでわかりやすい。そういう方法で藻谷さんは世界を把握するのだな。島国に住むか大陸に住むか、日常眺めるのが象徴となる山かおにぎり山かなどの違いで、人間の持つスケールが変わるのは当たり前なのだろう。とすると、島国の日本の小さな香川県に住む私の感覚は、ちまちましているので間違いなく、そして致し方ない。ブラタモリならぬブラモタニ、面白そう。私、観たいです。
読了日:05月26日 著者:藻谷 浩介 ファイル

ねこの肉球診断BOOK―東洋医学的体調チェックとツボマッサージねこの肉球診断BOOK―東洋医学的体調チェックとツボマッサージ感想
東洋医学を学んだ開業獣医によるマッサージ指南書。猫は舌を見せてくれないので、代わりに肉球の状態を見るというのはアイデアである。肉球の状態別に体質を示しているのだけど、、、違いがわからん。人の掌や足裏がツボだらけなのと同様、猫の足裏もたくさんツボがあるという。もむと気持ちよさそうにするものねえ。お腹や手足のマッサージにイラストや写真が詳しく、ツボの場所や押し方がわかりやすい。ただし、体調が悪く触らせてもらえない状態では使えない。つまりそうなる前に、日々気軽に飼い主が自分でマッサージしてあげましょうの本。
読了日:05月26日 著者:石野 孝,相澤 まな

名医は虫歯を削らない 虫歯も歯周病も「自然治癒力」で治す方法名医は虫歯を削らない 虫歯も歯周病も「自然治癒力」で治す方法感想
夫が親知らずを抜き、隣で痛みに煩悶している。虫歯が「自然治癒力」で治る。そりゃ信じたいけど、「人は自分が信じたいものを信じる」という教訓を得たばかりの私としては、とりあえず信じてはいけない気がする。歯医者に行くのが怖くなるような描写もあり、できるだけ行かずにすむよう、今ある歯を大事にしようと決意する。「食後すぐに歯を磨かない」はやってみても損はなさそうだと思ったのは、母が常々「私は歯を磨きすぎて虫歯になったのよ」と言っていたからだと思う。"ドックベスト療法"、覚えておく。
読了日:05月26日 著者:小峰 一雄 ファイル

ジビエを食べれば「害獣」は減るのか―野生動物問題を解くヒントジビエを食べれば「害獣」は減るのか―野生動物問題を解くヒント感想
日本が誇る京大霊長研に在籍した研究者の著書である。つまりサルがご専門で、サルの話が続く。あれれ、6割がサル、3割がオットセイ・トドの話で、野生生物には違いないが、ジビエと聞いて思い浮かべる動物ではないぞ。森林開発や観光施設、動物保護、乱獲などによって国内外の生息環境が攪乱された事例が詳細に続く。各地の対策事業に関わってこられたとのことだ。結論としては、人間が最高位捕食者として野生動物の適正な生息数をコントロールできないのなら、オオカミを国内に復活させてその役割を担ってもらうしかない。である。なんと。
読了日:05月25日 著者:和田 一雄

ワンちゃん・ネコちゃんの健康は東洋医学で守る〜おうちケアで幸せなペットライフを送る〜ワンちゃん・ネコちゃんの健康は東洋医学で守る〜おうちケアで幸せなペットライフを送る〜感想
探せば系統立てて東洋医学を学んだ獣医も学会もあるようだ。需要はあるのだ。この手の本に必ず書いてあるのは、西洋医学と東洋医学では考え方の根本が違うのであって、治療として相反するものではないということ。この本の記述は実際の診察例も多く、飼い主目線で想像しやすい。いくつか新しい知識を得るも、情報に微妙なムラがある。人間と猫は幸い臓器のつくりがだいたい同じと考えて、ペット向けと人間向け、それぞれをもっと学んでみることにする。特に陰陽虚実はわかりづらく、漢方の投与は躊躇する。それでも少しずつ理解し始めた感じ。
読了日:05月24日 著者:鈴木綾香 ファイル

女に生まれてモヤってる!女に生まれてモヤってる!感想
女二人の『人生ゲームのバグ報告書』。女に生まれてしんどい点を切れ味良く思い出させてくれる。今や聞かなかったふりでスルーしたり、余裕があれば手厳しく反撃したりができるようになったけれど、あったわたくさん。お二人も言うように、40代に乗っかってラクになった。曰く、「女らしさ」を求められなくなったこと。物理的に出産不可能に近づいたこと。男の『テストステロン・スコープ』に入らなくなること。そこで敢えて狙ったようなオビの写真が素敵。結婚話に抱腹絶倒する。パートナーは『真人間でいるための漬物石』とか『培養液』とか。
読了日:05月23日 著者:中野 信子,ジェーン スー

やってはいけない健康診断 早期発見・早期治療の「罠」 (SB新書)やってはいけない健康診断 早期発見・早期治療の「罠」 (SB新書)感想
養老先生のお話からのつながりで。この手の議論は極端になりがちで、素人には判断のつかない部分も多い。しかし、それなりの機関による調査結果は信用に値すると思う。文中で紹介されるこれらの結果から言えば、がんは早期発見して治療を続けるほど早死にする。BMI26~30のちょいメタボがいちばん長生きする。血糖値や血圧、コレステロールを薬で下げないほうが長生きする。歳を取ると各種の数値が上がるのは、体の自己調節機能の働きなのであって、そこに自然の摂理があるという考え方だ。機嫌良く生きるためには、知らないほうがいいわね。
読了日:05月19日 著者:近藤 誠,和田 秀樹 ファイル

ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論感想
「クソしょうもない仕事」「役立たず」と歯に衣着せぬ分析が痛快で笑い転げたのもつかの間、肌で感じていた現象の根深さを知ってやがて震撼する。ブルシットか否かは本人の受け止め次第。問題は社会的に不要な職業ほど高給取りであることと、ブルシットな仕事は職業でも職務でも増殖するということだ。その点について、ブルシットな職を増やす要因の一つは民主主義であると著者は指摘する。労働の社会への貢献度と報酬、社会的評価、自己充足度はもはや整合性を取れず、人々の感情は理不尽にねじれている。私もアナーキストになろうかしら。
読了日:05月17日 著者:デヴィッド・グレーバー ファイル

養老先生、病院へ行く養老先生、病院へ行く感想
養老先生と中川医師のかみ合わなさよ。養老先生は科学としての医療を信じていないのではない。現代の医療システムや人体を数値化する行為への過信を避け、人間の身体機能を信じること、異変を自ら察知する感覚こそ大事と重んじて実践されているのだ。一方、まるの闘病、死。散歩に行ったまま林の中でじっとしていたまるを連れ帰ったことを気に病まれている。それは自然な死への過程だったかもしれないと考えられたのだろうか。でも、苦しんでいるのは放置できなかった、二人称の相手だから、との言葉に胸が詰まった。ほんとうに優しい、養老先生。
読了日:05月15日 著者:養老 孟司,中川 恵一

決定版 犬・猫に効くツボ・マッサージ 指圧と漢方でみるみる元気になる決定版 犬・猫に効くツボ・マッサージ 指圧と漢方でみるみる元気になる感想
手で触れることには痛みやストレスを軽減する働きがある。さらにホリスティックケアや指圧を取り入れればケア効果はより大きくなる。以前から猫のケアに取り入れたくも系統立った情報が少なかったので、犬猫の経脈図まで載っている本書は心強い指針となりそうだ。しっぽは胸と肩甲骨まわり、ぴゅうまは背骨まわりと四肢重視の指圧(なでなで)を取り入れる。投薬と見守り以外にも自分にできることがあるという考えは、想像以上に大きな希望を生む。しかし過信は禁物と自戒して、日々地道に虚心の姿勢でやりたい。漢方もそのうち取り入れてみたい。
読了日:05月13日 著者:シェリル・シュワルツ

アマニタ・パンセリナ (集英社文庫)アマニタ・パンセリナ (集英社文庫)感想
らもさんのドラッグエッセイ。高校生の頃、私はこの本をハードカバーで読んだ記憶がある。高校生に、この本の何が理解できたというのか。らもさんは異様な熱量を注いで薬物を探る。アルコールの過剰摂取が中毒人生のきっかけではあるんだが、光も闇も受け入れるのだ。そこから自分に信じられるものを見つけていくのだと、ドラッグの連れが幾人も死に行くのを横目に、人間の精神の深淵を熱心にのぞき込み続けた。『すべてのドラッグは自失への希求』。際限なく溺れながら、自分は生きようとしていると豪語して、予言どおりに死ぬなんて、深遠すぎる。
読了日:05月12日 著者:中島 らも ファイル

脱・筋トレ思考脱・筋トレ思考感想
ラグビー選手として活躍した後、指導者としてのキャリアにある著者が、どのように反筋トレの考え方と折り合うのかと興味を持った。過剰な筋トレの弊害は『感覚世界の矮小化』であり『身体知の空虚化』であるとの見解に立ちつつ、筋トレをしても感受性を衰えさせない努力や方法が重要としている。天才と呼ばれる選手は筋トレの弊害を察してトレーニングを適度ですませるというが、どうしても筋トレを免れない環境にある子供や選手には、楽しむこと、感覚を確かめながら動くことを提言している。脱「筋トレ」ではなく脱「筋トレ重視思考」なのだ。
読了日:05月07日 著者:平尾 剛

稲垣足穂 飛行機の黄昏 (STANDARD BOOKS)稲垣足穂 飛行機の黄昏 (STANDARD BOOKS)感想
古書店の店主が、戯れに私に勧めたのが、稲垣足穂だった。どんな作風なのかも知らず、著作を選べないまま古書店は閉まって、未完の宿題になってしまった。もっと早く平凡社がこのシリーズを出してくれていたら、感想を伝えられたかもしれない。稲垣足穂は永遠の理系少年みたいだった。どこまでも現実的な寺田寅彦とは違い、その科学や物理分野への博識からファンタジーの世界へ跳躍する感じがあり、それが老年になっても残っている。星座を覚えて、道々夜空を見上げては何が見分けられたかを日記に記すなど、愛すべき生真面目な人であっただろう。
読了日:05月05日 著者:稲垣 足穂

ヤマザキマリの世界逍遥録 (JAL BOOKS)ヤマザキマリの世界逍遥録 (JAL BOOKS)感想
JAL機内誌に連載された一編4ページのライトエッセイ集。挟まれた自筆の絵に惹かれて。私が家族と国内旅行をするような気軽さで、ヤマザキマリさん一家は世界を旅している。エッセイそれぞれ違う国で、特定の料理や物に視点が絞られているので、ぼんやりした雑感集になっていなくて格好いい。イタリカ/スペインなど行ってみたい地はあるけれど、現実的に、行けるとは今は思えていない。それでも覚えておきたいのは、パンダを抱っこする機会があったとしても、脳天の匂いを嗅いではいけないということだ。悶絶するらしいから。
読了日:05月05日 著者:ヤマザキ マリ

見てしまう人びと:幻覚の脳科学見てしまう人びと:幻覚の脳科学感想
様々な幻覚の症状と要因。怪我や病など器質的障害による幻覚もあれば、不眠、薬物、感覚遮断など生理学的要因による幻覚、PTSDによる幻覚もある。幻聴、幻肢、幻嗅を含め、幻覚を覚えたことがある人は決して珍しくないらしい。超自然現象やサードマン現象も一部幻覚とか。驚いたのはオリヴァー・サックス自身が、片頭痛や骨折のPTSDによる幻覚に加え、知的好奇心からあらゆるドラッグによる幻覚を体験していたことだ。医師として患者に向き合うだけでなく、実体感として知っているからこそ、深い関心を持ち、体験者に理解を寄せられたのだ。
読了日:05月03日 著者:オリヴァー・サックス ファイル

要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑 (サンクチュアリ出版)要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑 (サンクチュアリ出版)感想
勤め始めて20年も経つと、若い人が何に苦手意識があって仕事が滞っているのか理解できなくなった。この本はコンプレックスや苦手意識、ADHD特性があっても、小ワザで仕事はクリアできると励ましてくれるので職場の本棚に。ついでに本を読めなくても、索引めいた目次で「メンタルが弱い」「整理、片付けができない」など自分の課題を見つけられるようになっている。トラブルが起きるとテンパる人には、『呪文「しびれるなぁ!」で状態異常を回復』。あれ、これ私か。トラブルが現れたら、深刻であるほど「しびれるなぁ!」と爆笑してみよう。
読了日:05月03日 著者:F太,小鳥遊 ファイル


注:ファイルは電子書籍で読んだ本。


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