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2022年05月02日

2022年4月の記録

なんだかKindle本ばっかり読んでいるなあ。
積読本棚がぱつぱつだなあ。

思い返してみると、猫の「撫でて撫でて」要求が激しいので、
片手で撫でながらのもう片手で読めるKindleでしか読めないのでした。


<今月のデータ>
購入17冊、購入費用10,962円。
読了18冊。
積読本311冊(うちKindle本139冊、Honto本13冊)。

ブック

4月の読書メーター
読んだ本の数:11

魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章 (新潮文庫)魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章 (新潮文庫)感想
今のウクライナを見たら米原万里はなんと言うだろう。人脈の広い著者ならでは、ワールドワイドなエッセイ集。そしてユダヤ、東西冷戦、ユーゴと絶えぬ紛争に繰り返し言及する。『本来身近な者を遠のかせ、可変的な物を固定的なものと捉えていくフィクションによる観念操作、それも国家的規模の観念操作の恐ろしさ』は進行形で実感するところであるし、また日本の過度な欧米偏重、「先進国」らの歴史的傲慢、彼らが異文化やその歴史的背景に想像力を欠如している前提のうえで、時間軸、空間軸とも広い視野で捉え、自ら考えることが必要と受け止めた。
読了日:04月30日 著者:米原 万里 ファイル

Humankind 希望の歴史 下 人類が善き未来をつくるための18章Humankind 希望の歴史 下 人類が善き未来をつくるための18章感想
なにが希望かと吐き捨てたい時勢だが、だからこそ多くの人に読んでほしい。特に行政に携わる人。制度設計に必要なのは民への猜疑心や水も漏らさぬ管理体制ではないとよく解る。人間はおおむね他者に友好的で、善なる素質を持った生き物だ。集団で協力し合い物事をより良くすることもできる。しかし、今多発する海外の紛争や、国内のきな臭い動きをも説明できたとは思えない。罪なき人々を苦しませるのは『悪を駆り立てる少数の』政治家、司令官、主戦論者の煽動や洗脳だとして、また皆して被害者面でPTSDに苦しむ歴史を繰り返すしかないのか。
「共感は良いことではない」の言葉に考え込む。共感は、特定の人々に同調し集中する行為だ。それは裏返せば、それ以外の人に対しては理解しようとする努力が疎かになり、排他的になり、敵とみなす原動力にもなると著者は言う。それこそが人間の残虐性の源、戦争の要因と著者は考える。いわゆるウチとソトと表現する日本の概念と被る。入管でウィシュマさんにした仕打ちや、ウクライナ人に肩入れするあまりロシア人を一概に拒む風潮、いつまでも続くアジア人へのヘイト、新型コロナで他県人の流入を疎む気持ちだって安易な共感の裏返しと言えよう。
間違いなく希望は必要だ。著者は利他、コモンズ、信頼型の企業経営など、いま流行りの思想にも言及する。これらは「人間は本質的に悪」とするホッブスの考え方や、それを裏付けてきた心理学/社会学の実験捏造によって育まれた社会思想への反動なのだろうか。それともただの流行で、10年後にはまた別の思想が生まれて人口に膾炙するのだろうか。あるいは人類は本当により良くなれるのだろうか。私個人、他者にもっと優しくなれそうな気がする。しかし「ファクトフルネス」の指摘する数字の改善を知ってなお、やはり人類に楽観的にはなれないのだ。
読了日:04月27日 著者:ルトガー・ブレグマン ファイル

ミシマ社の雑誌 ちゃぶ台 「移住×仕事」号ミシマ社の雑誌 ちゃぶ台 「移住×仕事」号感想
記念すべき第1号。無頓着に脱力しているようでてんこ盛りな目次が楽しい。「移住×仕事」についてもさながら、今の時勢だから響くこともたくさんある。内田先生の「農作物は商品ではない」話。藤原さんの戦争と飢餓と農業の話。日本農業新聞を読んでいると、農政は農作物輸出、農地集約化、第6次産業振興と、いかに稼ぐかばかりに目を血走らせているけれど、異状めいてくると農業と資本主義のかみ合わない歪さが露呈してくる。日本人は皆でちょっと困って、軌道修正すればいいのだ。"小さな単位での食料自給率"を上げることならできそうやん。
読了日:04月25日 著者:ミシマ社 編

〈屍人荘の殺人〉エピソード0 明智恭介 最初でも最後でもない事件 屍人荘の殺人シリーズ〈屍人荘の殺人〉エピソード0 明智恭介 最初でも最後でもない事件 屍人荘の殺人シリーズ感想
在りし日の明智さんの日常。彼は葉村という良い相棒を得て、生き生きと大学構内外を駆け回っていたのだ。彼が楽しそうであるほど、全体にかかったフィルターが青みを増して感じられる。昨日もそうだったし、明日もそうであろう平和な日々、屍人荘へ着くまでは。返すがえすも、惜しい気持ちが湧き起こる。エピソード0ってこういうものなんでしょうね。ホームズの復活を願う読者の声がよほど多かったとみた。
読了日:04月24日 著者:今村 昌弘 ファイル

感じるオープンダイアローグ (講談社現代新書)感じるオープンダイアローグ (講談社現代新書)感想
人生には対話が必要。当たり前だが、それができずに人は生きづらさを抱え込んでしまう。フィンランドのケロプダス病院で始まったオープンダイアローグという手法。対話だけで困難や誤解を解消することを目指す。著者はその手法を学びたいと思い、トレーニングの過程で自らの分厚い鎧を脱ぐ経験をする。考えてみれば、人の心を救う道に進んだ人は、ほかならぬ自身が苦しかった過去があるのだ。そして心に分厚い鎧をまとい、自分を他人に見せることができないのは私も同じ。苦しくなったときに頼れる療法の場として、こういうのが身近にあってほしい。
読了日:04月22日 著者:森川 すいめい ファイル

地球の未来のため僕が決断したこと地球の未来のため僕が決断したこと感想
ゲイツは今の世界で、諸分野トップクラスの知性にアクセスできる存在だ。その彼が結論したのなら、それは世界で最も優等生な結論だろう。しかし聞けば聞くほど私には無理ゲーとしか感じられない。なぜなら脱炭素のためだけでも2050年には今の3倍の電気が必要になる見通しなのだ。そして高度かつ複雑な技術革新には、より大きなエネルギーと資源が必要になる。鉄も銅もアルミもレアメタルも。気候変動に対処したいのなら、新たに木を植えるのではなく、『すでにある木をいまのようにたくさん切るのをやめ』なければならない。諸事において。
今や世界中の企業がこぞって目指す炭素低減の目算値は、果たして正しいのだろうか。消費資源を増やす方向へばかり進んでいることに、私は疑問が拭えない。確かにゲイツは財団を興し、長年世界の貧困問題を解決するための技術支援や投資をしてきたから、技術革新の大切さ、政府や国際機構の役割、うまい交渉方法などよく理解している。施策が状態を改善してきたのも確かだ。インセンティヴの使いかたに学ぶものも多い。しかし、どこか技術革新への過信、驕りがあるような気がして、人間世界の破滅へギアを上げる行為のような気がして仕方ないのだ。
読了日:04月21日 著者:ビル・ゲイツ,Bill Gates ファイル

神も仏もありませぬ (ちくま文庫)神も仏もありませぬ (ちくま文庫)感想
洋子さんのエッセイを読むと、しばらくは心の声がでかくなる。開けっぴろげで格好悪いことも堂々と言ってしまう洋子さんを、好いなとどこかで思って真似るのだろう。浅間の見える北軽井沢で、自然や農作物に恵まれて、近所の人とゆるくつながりながら暮らしている様子。羨ましい。洋子さんは若い頃からたくさん猫を飼ってきたのに、60歳過ぎても飼い猫が死ぬことに動揺し、生き物の宿命である死をそのまま受け入れる、"小さな獣の偉大さ"に感動する。ということは、人間は死に対して覚悟もできず達観もできないのだ。きっと、私もこの先ずっと。
読了日:04月20日 著者:佐野 洋子

猫に教わる猫に教わる感想
表題に"猫"とあってつい手に取ったけれど、なにげない日々のいつものエッセイよね。とぼんやり読んでいると、新型コロナワクチン接種担当に名乗り出たとか山行の文章を書くのをやめたとかの近況に交じって、力強い文章に目が留まる。『未来は明日ですら完璧に隠されていると了解し、夢など抱かず、とりあえずいまを生きる』。若い頃とは見えない何かが変わってしまったと感じる。私自身の身辺の変化や戦争や社会の迷走、つまり近未来の不透明さに私は消耗している。"いま"に立ち返ろう。やはり南木さんの文章は私に無くてはならないと思い直す。
読了日:04月17日 著者:南木 佳士

ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ――人糞地理学ことはじめ (ちくま新書)ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ――人糞地理学ことはじめ (ちくま新書)感想
気になっていた本。ヨーロッパで人々が家の窓から糞尿を投げ捨てていた頃から、日本人は高値で取引して田畑の肥料にしていた。それをいつ何故やめてしまったか。転機は下肥利用を駆逐すべき習俗と断じたGHQと米軍による指導だった。その後都市化が進み、つまり土から離れて消費するだけの人口が増加するにつれて精神面でも構造面でも不可逆的変化が進み、糞尿は臭くて汚くて忌まわしいものになった。そしてバクテリアを使った下水道処理でできる乾燥汚泥を堆肥にしないのはなぜか。今の人間は土に還元できないほど汚染されている、と言うのだが。
化学合成添加物まみれになっているのは残飯も同じだし、どうせ化学合成添加物まみれにして食べるのだから、少々の汚染はもはや仕方ないのではないだろうか。マイクロプラスチックだって、既に人体内組織に入り込んでいるというし。つまり、化学合成添加物を含んでいるから糞尿からできる堆肥は田畑で使えないという言い分が、やりたくない理由にしか聞こえなくなってきた。
読了日:04月13日 著者:湯澤 規子 ファイル

戦争は女の顔をしていない戦争は女の顔をしていない感想
戦場に出た女性たちの、たくさんの声。ひとりひとりの、胸に涙を湛えながら集められたであろう小さな声が、怒涛となってこちらを打ちのめす。千人いれば、千の戦争と千の真実がある。今ウクライナについて語る著者の背後には深い悲しみが満ちて見える。頭から離れないのは、砲弾を運ぶ車両を運転していた女性の話。ドイツ兵の死体の上を通過するとき、頭蓋骨の砕ける音が嬉しかったと。憎しみは人の中にもともとあるのではない。生まれるのだ。今このときも、人々の中に育ちつつある憎しみが恐ろしい。他方、憎み抜けないことは救い。人間らしさだ。
『戦闘は夜中に終わりました。朝になって雪が降りました。亡くなった人たちの身体が雪に覆われました……その多くが手を上にあげていました……空の方に……。』読んでいるものと同じ行為が再現されているかのような映像が絶えず目前に流れ、辛い。だんだん、私がこの本を読んでいるから、同じことがウクライナに起きてしまうかのような倒錯が起きる。過去のエピソードも現実の報道も、当人には永遠に続くかのように感じるだろう深い慟哭がまとわりついている。
読了日:04月12日 著者:スヴェトラーナ アレクシエーヴィチ ファイル

ルポ新大久保 移民最前線都市を歩くルポ新大久保 移民最前線都市を歩く感想
移民として日本に住み着く人たちは、日本は決してオープンな社会ではないのに、なぜ選んでくれるのかとずっと思っていた。その理由は、稼ぐためだったり、日本の学歴が本国の就職に有利だからだったりするが、以前から言われる治安の良さだけではなく、今や韓国やオーストラリアより"割安だから"という選択に愕然とする。日本は「近くて安い国」になったのだ。まあ、それでもいい。彼らに優しい国であってほしい。多文化共生の基盤が整いつつある新大久保は今や先進地域。その発散するエネルギーを浴びに行ってみたくなるようなルポだった。
読了日:04月11日 著者:室橋 裕和 ファイル


注:ファイルは電子書籍で読んだ本。



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