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2022年12月01日

2022年11月の記録

すごい! 本が読めない! この私が! 
溜まった疲れのうえに家の中の諸雑用で忙殺され、
ようやく本を手に取っても並ぶ文字を理解できない日が続く。
この感覚のまあ新鮮なこと。
ようやく休息も足り、時間ができ、ソファに寝そべって本を手に取ったのに、
それがハズレだったときのがっかり感よ。


<今月のデータ>
購入16冊、購入費用14,860円。
読了11冊。
積読本324冊(うちKindle本160冊、Honto本6冊)。


ブック

11月の読書メーター
読んだ本の数:11

スタッキング可能スタッキング可能感想
『嘘ばっかり! 嘘ばっかり! ウォータープルーフ嘘ばっかり!』 ああもうすんごい生きづらそう。そんな不毛でしんどい日々をなんとか過ごしている人たちが今もいるんだなあ、と思って気づくのは、自分もそういう時期を経たのであり、歳を重ねるうちにようやく手放し、平和を手に入れた事実である。しかし今も都会のビル街でホワイトカラーとして働いていたなら、手放すこともできずに悶々と抱えていなきゃならんのかなあと思うと、やはり同情しきりだった。ここ10年を超えて化粧品売り場に足を踏み入れることのなかった、この平和を愛する。
読了日:11月27日 著者:松田 青子 ファイル

ぼくの旅のあと先 (角川文庫)ぼくの旅のあと先 (角川文庫)感想
「本の旅人」連載。シーナさんが新たにどこかへ旅した、みたいな話ではなくて、これまで行った土地やエピソードを回顧するような、言ってみれば人生の総括に差しかかっているのかと寂しさを覚えた。さすがのシーナさんも痛風を患い、機内の小さなライトでは文庫本を読めなくなり、小樽の家も仕舞を余儀なくされた。少年すぎるエピソードも陰を帯びる。だけど積み重ねたものの趣は深く、読んで良かった。インドで牛肉に人気が無いからスパイスカレーに牛肉は入らないとか、人間はその土地に合った埋葬方法を編み出し儀式を整えるとか、なるほど納得。
読了日:11月27日 著者:椎名 誠 ファイル

黒猫ネロの帰郷黒猫ネロの帰郷感想
原題「ネロ・コルレオーネ」。生後6週目にしてこの傍若無人な振舞いよう、ネロの名は黒いからではなく暴君からのほうがしっくりくる。私の経験上(サンプル数3)、人間と暮らす黒猫は天然気質で愛くるしい性格なものだけど、著者の家の黒猫はそんなだったのかしらん。ネロはイタリアからドイツへ、ドイツからイタリアへと移住する。最後の老農夫とじっと見つめあう場面がとても好い。この老農夫、なんだかんだ言って面倒見が良くて、実はちゃんとわかってるんだなあ。農家の猫って猫の暮らしとしては理想的なんじゃないかしら。
読了日:11月27日 著者:エルケ ハイデンライヒ

瀬戸内海の発見―意味の風景から視覚の風景へ (中公新書)瀬戸内海の発見―意味の風景から視覚の風景へ (中公新書)感想
近代初頭、来日した西洋人たちは瀬戸内海を絶賛した。なかでも瀬戸内海を航行する船の上から見える景色を称賛したという。陸路より海路のほうが発達が早かった。波が穏やかなだけでなく、大小の島々、潮の流れる瀬戸、港町、段々畑、小舟が移ろいゆくのを船上から「動く風景」として愛でた。だから初まりは陸からの展望景や山上からの俯瞰景ではなかったのだ。『すべて島々の海中に浮てみゆるは、盆に水を湛へておもしろき石どもを入れをける如くにて』とは日本人の評だが、京都の石庭に通じるものがある。それが自ら動いたらそれは興深かろう。
近世までは、古典文学、また俳句や和歌に詠い継がれた地が日本人の見るすべき"観光地"であり、その様式化された風景を踏まえて表現をすることがステイタスだったのだろう。それ以外の景色は見向きされなかった。朝鮮通信使もまた九州から近畿へ抜ける航行で、中国文化に由来する漢詩チックな風景をもて囃した。だから、瀬戸内海の自然の風景が称賛されたというのは地学・地理学的知識を持った西洋人が来航し、国内を行き来するようになってからの話であり、日本の知識人がそれに影響され、広がったというのが実のところではないかと思う。
地元民にとって瀬戸内海は、愛着はあれど「ほんまに海か?」と茶化すような当たり前の存在である。私は長年、太平洋のほうが雄大で偉いと思ってきた。しかしこうまで評されると、なにやらかけがえのないものに思われてきた。料金の馬鹿高いガンツウも、インバウンド狙いの時代になるほどそういった客層を狙ってのものなのだと理解した。そのガンツウには乗れそうもない庶民である私は、年に一日だけ近畿から九州へ航行している「昼の瀬戸内海カジュアルクルーズ」を発見し、来年狙うことにした。わくわくする。読んでよかった。
読了日:11月26日 著者:西田 正憲

日本人の給料 (宝島社新書)日本人の給料 (宝島社新書)感想
専門家が解析してみせる日本の経済や政策の如何は理解しきれないのだが、政財界や外資系コンサルなどが煽ってなんとなく日本に充満している「今の常識」は耳に入れなくていいということはわかった。時代が変わろうと、日本の「良い企業」の条件は変わらない。肌感覚を鋭敏にし、世間の潮流には馬耳東風で構わない。とはいえ、資本主義による弊害と日本政府の失策による弊害は混然として、法律で雁字搦めになっている地方の中小企業にとって、これが会社にも従業員にもひいては客にも良いと言える仕組みはなかなか難しい。結局悩むしかないのだが。
読了日:11月25日 著者:浜 矩子,城 繁幸,野口 悠紀雄,ほか ファイル

ワニの町へ来たスパイ (創元推理文庫)ワニの町へ来たスパイ (創元推理文庫)感想
評判通りの面白さであっという間に読み終わってしまった。老いた男が元気なのは微笑ましいが、老いた女が元気なのは痛快だ。こんな老後を過ごしたい。無理だけど。あり得ないけど。舞台がディープサウスってのも、都会とは違った未知の要素てんこ盛りでわくわくする。ロマンス要素ももれなくついてて、続き読んじゃうなあ、これ。この調子で続々仕留めてたら、シリーズ終盤には町の人口半減してるんじゃないかと心配。
読了日:11月19日 著者:ジャナ・デリオン ファイル

ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いたぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた感想
「アマゾンの倉庫で絶望し、~」をふまえたようなタイトル。こちらは潜入ではなく取材、毎日新聞の連載だ。枚挙に暇無い社会問題の現地に斎藤幸平は出かけて行く。字数制限もあり、各々への所感はあっさりしている。思想家と自称する斎藤幸平は、自分が当事者でない、理不尽を振りかざす立場にないと自覚している。それでもこうして書く、自身の立ち位置への逡巡が巻末で吐露される。しかし自身結論するとおり、直接取材することで肌に感じ共有することには意味がある。加えて、実経験の積み重ねは斎藤幸平の言霊を育てるだろう。次作が楽しみです。
読了日:11月17日 著者:斎藤 幸平 ファイル

ねじねじ録ねじねじ録感想
藤崎彩織はごく平均的な家庭で育った女性だ。学生時代や新しい家族の日々を描き、女性が抱える諸問題を考え、セカオワの裏話も書く。話題のバランスを配慮しているのが窺える。孤独を抱え、不眠に悩んだ時期が彼女にもある。負けず嫌いなのに悩み性だから今もねじねじする。それらがセカオワの曲に通底する祈りと希望に昇華しているのだと納得。ライブでのあの満ち足りた笑顔の裏側に数えきれない涙があると知れば、大切に思える曲も新たに増えたのは嬉しいボーナスだった。2019年のライブ前が実は解散の危機崖っぷちだった、なんて心臓に悪い。
読了日:11月12日 著者:藤崎 彩織 ファイル

脳科学者の母が、認知症になる: 記憶を失うと、その人は“その人でなくなるのか?脳科学者の母が、認知症になる: 記憶を失うと、その人は“その人"でなくなるのか?感想
認知症がいかに今の生活から地続きであることか。「認知症世界の歩き方」が、認知症を患った本人にとって世界がどのように変貌して見えるかだったのに対し、こちらは認知症と診断された家族が呈する症状への解釈の実践である。人間が知覚する情報量は膨大だ。それを取捨選択し、絞り込み、処理する能力は、脳機能の経年減退に伴い低減する。それは過度な疲労や泥酔時の自分のそれと同種ではないのか。泥酔と違い、回復することなく緩慢に進む症状と折り合うには、できることを自分のペースでやれている実感を本人に維持するのが大事と憶えておく。
『感情は、理性だけではとても対応できないような、不確実な状況で、なんとか人間を動かしてくれるシステム、意思決定をさせてくれるシステムなのである』。物事の理解能力が衰えても、感情的判断は正しいと著者は言う。理性よりも原始的な能力であるところの感情は、人間の生存を助けてきたからだ。健康な人と同じように尊重すべきだし、感情こそその人らしさと結論づけている。『感情は、生まれつきの個性であり、また、認知機能と同じように、その人の人生経験によって発達してきた能力であり、いまだに発達し続けている能力である』。
読了日:11月11日 著者:恩蔵絢子 ファイル

化物園 (単行本)化物園 (単行本)感想
ん。これも、一貫した主題あって書かれた短編集じゃない感じ。ケシヨウ(化生?)の気配を感じるもの、感じないもの、人の性悪、ファンタジー、因果応報、ぶれぶれ。そのケシヨウすら、読みながら存在を忘れてしまうほどの存在感の薄さが、恒川さんの迷走を思わせる。「胡乱の山犬」が好きかな。そこここに暗闇と曖昧があった時代設定もさながら、「彼」の生涯が自然に呑まれる時を迎える展開が好きなのだ。恒川光太郎のなにが好きといって、単なる怪異譚ではない。現実とのズレ感が、空間的時間的に拡がりを持つとき、物語は永遠の性質を帯びる。
読了日:11月10日 著者:恒川 光太郎

ケアマネジャーはらはら日記ケアマネジャーはらはら日記感想
先日祖母を見送った。施設に10年近く入っていた。5年前には娘の顔も忘れた。葬儀で伯母たちは「ケアマネさんが良い人でよかった」と言い合った。ケアマネージャーという仕事は小回りの効いた動きを求められ、精神的負担は想像をはるかに超えた。"目配り、気配り、心配り"。不安や困窮を抱えた老人やその家族が、生活に差配する他人に穏やかに接せるとは限らない。その心のケアもなんて大変すぎる。かつその報酬がケアプランの作成料だけとか。ケアする側も全員が心映えや各種処理能力のよくできた聖人ではなく、全てで当たり前ではないと自戒。
読了日:11月02日 著者:岸山真理子 ファイル


注:ファイルは電子書籍で読んだ本。



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