2014年12月03日
2014年11月の記録
読みすぎ。
膨満感が薄れるまではペースを落とさないと。
読み難いものに取り掛かるのが得策か。
積読本107冊。気になっている本377冊。

2014年11月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
寺田寅彦随筆集 (第2巻) (岩波文庫)の感想
「子猫」というエッセイをどこかで読み、もっと読みたくなったのだった。雑誌掲載されたエッセイ集。掲載誌も内容も色々である。一編一編が濃く、そのテーマに興味があってもなくてもなかなか読み進まなかった。科学者らしい理屈っぽさと、多岐に渡る好奇心、ちらりと混ぜ込んでくるユーモアにぐっときた。読みたくなったらまた読み返すことにして、えいやっと読了。あなたの指摘したとおり日本人は科学の進歩以外なにも変わっていない、あなたと同じことを相変わらず憂慮していると伝えたい。
読了日:11月29日 著者:寺田寅彦
獣の奏者 4完結編 (講談社文庫)の感想
ここに世界がある。歴史を持ち、理により秩序立てられた世界で、人が生きている。その世界の住人ではないけれど、寄り添うように一緒に駆け抜けたと感じている。喪失と希望とを胸に生んでいる。この物語は現実の私たちの根本的な問題を突きつける。他種生物を管理すべき物の地位に貶め、誠意や敬意を失っていないか。同時に人がその不明の中でどう進んでいけるか。真摯だからこそ人は輝くし、在り続けていける。それをこんな無粋な言葉ではなく、美しい世界で、愛すべき人物たちの生き方で、がつんと教えてくれる。
読了日:11月27日 著者:上橋菜穂子
池上彰の講義の時間 高校生からわかる原子力の感想
これは日本人の義務教育でしょう。知ろうとしない限り事実も歴史も知られないのでは無知な人間が増えるばかり。私は知らないことだらけでいちいち驚いた。国家や法律、日米条約、非核三原則さえも、現代の日本人が安寧と信じている決め事や約束はちっとも確固たるものでない。二転三転させながら、日本は「トイレなきマンション」を54基もつくったのだ。日本では原発建設であれ再稼働であれ、GOを国に一度出させてしまえば、裁判でも住民投票でもそれを止めることはできない可能性が高い。私たちはどう選択するのがより良いのだろう?
読了日:11月26日 著者:池上彰
獣の奏者 3探求編 (講談社文庫)の感想
かつてエリンとセィミヤは娘と娘の対話をした。あれから11年。ふたりは女と女の対話をし、決断する。守り人シリーズで成さぬ仲、契らぬ仲の愛を描いた上橋さんは、ここで夫婦の、親子の愛を直球で描いてみせた。そのまっすぐ訴えかけてくる力に、ぎゅうっと涙がにじむ。どうか、それぞれの大切な者を守れるエンディングをください。
読了日:11月24日 著者:上橋菜穂子
荒天の武学 (集英社新書)の感想
武道についての対談で、結論があるわけではない。内田さんの武道へのアプローチと光岡氏のそれは全く違っていて、噛み合っていないと感じる部分もある。しかし見解が一致する部分は武道かじりかけの私にも意味深く沁み、わくわくした。『広く人間が蔵している潜在的な資源の涵養』つまり自分の身体や外界・社会への感覚を研ぐこと。競技や実戦とはまた違う意味で、武道には本質があり、役割があると、私にも感じられる。いや、奥が深い。後半になると話がより抽象に、深く、広範になり、見失って呆然とした。ともあれ再読だ。
読了日:11月23日 著者:内田樹,光岡英稔
シャイニング〈下〉 (文春文庫)の感想
ジャックは時々正気を取り戻した。それはいつもダニーのことを思うときだった。しかしホテルの方が二枚も三枚も上手。狂気と恐怖と冷たさと。なんと完成された舞台だろう。最後までかすかに残っていたジャックの愛が切ない。可哀想なダニー。Mr.ハローランが大きな手でこの先もダニーを守ってくれますように。再読で、あることに気づいた。これはまさか続編のカギになりうる!?
読了日:11月18日 著者:スティーヴンキング,StephenKing
シャイニング〈上〉 (文春文庫)の感想
続編の発表を聞き、再読。これを書いたとき、キングは既に依存症から脱していたのだったか。ジャックの煩悶と、ウェンディとダニーの感じる恐怖、不安はそのままキングの家族への贖罪の気持ち、自らへの断罪に思える。217号室よりそちらの方が気になるなんて、私も大人になったわ。ジャックにはまだ正気が残っている。
読了日:11月18日 著者:スティーヴンキング,StephenKing
世界をひとりで歩いてみた――女30にして旅に目覚めるの感想
楽しそう。ひとりで旅に出ることの、手配やアクシデント対処のいろいろを自力でできるようになる成長感と、自ら決め自ら楽しむ解放感に満ちている。素直にいいね!と言いたい。iPhoneでインターネットとアプリをフル活用する旅は、ひとり旅の体感を大きく変えたと思う。
読了日:11月13日 著者:眞鍋かをり
体の知性を取り戻す (講談社現代新書)の感想
韓氏意拳の体験講座で教えていただいた本。私が頭で考えているほど、私は私の体を制御できていない。太極拳を始めて思い知らされたことだ。そして、頭で考えて動かす体に、体が本来備えている動きはできない。体の本来備えている動きは、頭で意識した瞬間に壊れる。ぎくしゃくするのだ。この矛盾。これらの武術は体の本来持つ力こそ最強のパワーとし、頭や習慣による雁字搦めを解き放った先にある、曰く伸びやかな、曰く自然な、無形の強さを追及する。私も『あの時のあの感じ』を追及している。しかし理念でなく、力技でない鍛錬は、果てしない。
読了日:11月11日 著者:尹雄大
僕に踏まれた町と僕が踏まれた町 (集英社文庫)の感想
らもさんの小さな思い出話集。幼い頃のアホなエピソード、思春期の悶々とした日々。『狭い町から必死で逃げきってみせるエネルギー』『泥酔という快楽をエサに、死への願望という糸を使って、病気を自分のほうへおびき寄せた』『ちょうど卵のかたまりがあって、ふ化したものから飛び出していくようにして群れというものは跡かたもなくなる』。この表現がなんともらもさん。
読了日:11月8日 著者:中島らも
オレたちバブル入行組 (文春文庫)の感想
遅まきながら半沢デビュー。父がえらく肩入れしており、読み終えては私たち姉妹に廻してくる。小さいながら会社を数十年背負ってきた父には、ぐっとくるところがあるのだろうと思いながら読んだ。銀行なんて大嫌いだ。では済まない関係が、企業と銀行にはある。その辺りから始まることどもを、父は私に諭したいのかもしれないな。噂に違わぬカタルシス。どっこい、私は頑固なのだ。
読了日:11月7日 著者:池井戸潤
みんなが欲しかった 簿記の教科書 日商3級 商業簿記 第3版 (旧:TAC簿記の教室シリーズ)の感想
一部の実務はできるが全体を理解していない、と感じている人にはとても良い教科書だと思います。日々の仕訳から決算処理までを流れの中で説明してくれるのでわかりやすい。過去問か模擬試験を1年分でもつけておいてくれれば満点でした。ともあれ、2級もこのシリーズを使います。
読了日:11月5日 著者:滝澤ななみ
魔術師の夜 下 (創元推理文庫)の感想
欺瞞、陽動、幻惑。マロリーとマジシャンの丁々発止が容赦ない。謎は老マジシャンたちの戦時につながっていた。哀れなルイーズの影は濃く物語につきまとう。その影が消える瞬間はなんとも幻想的で、観たことのないブロードウェイの舞台を想ってため息が出た。
読了日:11月3日 著者:キャロル・オコンネル
魔術師の夜 上 (創元推理文庫)の感想
マロリー対老マジシャン。マロリー対警察。マロリー対相棒。つまりマロリーは相変わらず、意見の合わない誰に対しても容赦なく突き放し、攻撃を仕掛ける。大きな装置を使ったマジックの仕掛け描写は今ひとつ頭の中で映像化しづらく、なにが謎なのかがピンと来ないまま下巻へ。
読了日:11月2日 著者:キャロル・オコンネル
注:
はKindleで読んだ本。
膨満感が薄れるまではペースを落とさないと。
読み難いものに取り掛かるのが得策か。
積読本107冊。気になっている本377冊。

2014年11月の読書メーター
読んだ本の数:14冊

「子猫」というエッセイをどこかで読み、もっと読みたくなったのだった。雑誌掲載されたエッセイ集。掲載誌も内容も色々である。一編一編が濃く、そのテーマに興味があってもなくてもなかなか読み進まなかった。科学者らしい理屈っぽさと、多岐に渡る好奇心、ちらりと混ぜ込んでくるユーモアにぐっときた。読みたくなったらまた読み返すことにして、えいやっと読了。あなたの指摘したとおり日本人は科学の進歩以外なにも変わっていない、あなたと同じことを相変わらず憂慮していると伝えたい。
読了日:11月29日 著者:寺田寅彦

ここに世界がある。歴史を持ち、理により秩序立てられた世界で、人が生きている。その世界の住人ではないけれど、寄り添うように一緒に駆け抜けたと感じている。喪失と希望とを胸に生んでいる。この物語は現実の私たちの根本的な問題を突きつける。他種生物を管理すべき物の地位に貶め、誠意や敬意を失っていないか。同時に人がその不明の中でどう進んでいけるか。真摯だからこそ人は輝くし、在り続けていける。それをこんな無粋な言葉ではなく、美しい世界で、愛すべき人物たちの生き方で、がつんと教えてくれる。
読了日:11月27日 著者:上橋菜穂子

これは日本人の義務教育でしょう。知ろうとしない限り事実も歴史も知られないのでは無知な人間が増えるばかり。私は知らないことだらけでいちいち驚いた。国家や法律、日米条約、非核三原則さえも、現代の日本人が安寧と信じている決め事や約束はちっとも確固たるものでない。二転三転させながら、日本は「トイレなきマンション」を54基もつくったのだ。日本では原発建設であれ再稼働であれ、GOを国に一度出させてしまえば、裁判でも住民投票でもそれを止めることはできない可能性が高い。私たちはどう選択するのがより良いのだろう?
読了日:11月26日 著者:池上彰

かつてエリンとセィミヤは娘と娘の対話をした。あれから11年。ふたりは女と女の対話をし、決断する。守り人シリーズで成さぬ仲、契らぬ仲の愛を描いた上橋さんは、ここで夫婦の、親子の愛を直球で描いてみせた。そのまっすぐ訴えかけてくる力に、ぎゅうっと涙がにじむ。どうか、それぞれの大切な者を守れるエンディングをください。
読了日:11月24日 著者:上橋菜穂子

武道についての対談で、結論があるわけではない。内田さんの武道へのアプローチと光岡氏のそれは全く違っていて、噛み合っていないと感じる部分もある。しかし見解が一致する部分は武道かじりかけの私にも意味深く沁み、わくわくした。『広く人間が蔵している潜在的な資源の涵養』つまり自分の身体や外界・社会への感覚を研ぐこと。競技や実戦とはまた違う意味で、武道には本質があり、役割があると、私にも感じられる。いや、奥が深い。後半になると話がより抽象に、深く、広範になり、見失って呆然とした。ともあれ再読だ。
読了日:11月23日 著者:内田樹,光岡英稔


ジャックは時々正気を取り戻した。それはいつもダニーのことを思うときだった。しかしホテルの方が二枚も三枚も上手。狂気と恐怖と冷たさと。なんと完成された舞台だろう。最後までかすかに残っていたジャックの愛が切ない。可哀想なダニー。Mr.ハローランが大きな手でこの先もダニーを守ってくれますように。再読で、あることに気づいた。これはまさか続編のカギになりうる!?
読了日:11月18日 著者:スティーヴンキング,StephenKing

続編の発表を聞き、再読。これを書いたとき、キングは既に依存症から脱していたのだったか。ジャックの煩悶と、ウェンディとダニーの感じる恐怖、不安はそのままキングの家族への贖罪の気持ち、自らへの断罪に思える。217号室よりそちらの方が気になるなんて、私も大人になったわ。ジャックにはまだ正気が残っている。
読了日:11月18日 著者:スティーヴンキング,StephenKing

楽しそう。ひとりで旅に出ることの、手配やアクシデント対処のいろいろを自力でできるようになる成長感と、自ら決め自ら楽しむ解放感に満ちている。素直にいいね!と言いたい。iPhoneでインターネットとアプリをフル活用する旅は、ひとり旅の体感を大きく変えたと思う。
読了日:11月13日 著者:眞鍋かをり


韓氏意拳の体験講座で教えていただいた本。私が頭で考えているほど、私は私の体を制御できていない。太極拳を始めて思い知らされたことだ。そして、頭で考えて動かす体に、体が本来備えている動きはできない。体の本来備えている動きは、頭で意識した瞬間に壊れる。ぎくしゃくするのだ。この矛盾。これらの武術は体の本来持つ力こそ最強のパワーとし、頭や習慣による雁字搦めを解き放った先にある、曰く伸びやかな、曰く自然な、無形の強さを追及する。私も『あの時のあの感じ』を追及している。しかし理念でなく、力技でない鍛錬は、果てしない。
読了日:11月11日 著者:尹雄大

らもさんの小さな思い出話集。幼い頃のアホなエピソード、思春期の悶々とした日々。『狭い町から必死で逃げきってみせるエネルギー』『泥酔という快楽をエサに、死への願望という糸を使って、病気を自分のほうへおびき寄せた』『ちょうど卵のかたまりがあって、ふ化したものから飛び出していくようにして群れというものは跡かたもなくなる』。この表現がなんともらもさん。
読了日:11月8日 著者:中島らも


遅まきながら半沢デビュー。父がえらく肩入れしており、読み終えては私たち姉妹に廻してくる。小さいながら会社を数十年背負ってきた父には、ぐっとくるところがあるのだろうと思いながら読んだ。銀行なんて大嫌いだ。では済まない関係が、企業と銀行にはある。その辺りから始まることどもを、父は私に諭したいのかもしれないな。噂に違わぬカタルシス。どっこい、私は頑固なのだ。
読了日:11月7日 著者:池井戸潤

一部の実務はできるが全体を理解していない、と感じている人にはとても良い教科書だと思います。日々の仕訳から決算処理までを流れの中で説明してくれるのでわかりやすい。過去問か模擬試験を1年分でもつけておいてくれれば満点でした。ともあれ、2級もこのシリーズを使います。
読了日:11月5日 著者:滝澤ななみ

欺瞞、陽動、幻惑。マロリーとマジシャンの丁々発止が容赦ない。謎は老マジシャンたちの戦時につながっていた。哀れなルイーズの影は濃く物語につきまとう。その影が消える瞬間はなんとも幻想的で、観たことのないブロードウェイの舞台を想ってため息が出た。
読了日:11月3日 著者:キャロル・オコンネル

マロリー対老マジシャン。マロリー対警察。マロリー対相棒。つまりマロリーは相変わらず、意見の合わない誰に対しても容赦なく突き放し、攻撃を仕掛ける。大きな装置を使ったマジックの仕掛け描写は今ひとつ頭の中で映像化しづらく、なにが謎なのかがピンと来ないまま下巻へ。
読了日:11月2日 著者:キャロル・オコンネル
注:

Posted by nekoneko at 10:34│Comments(0)
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