2015年08月01日
2015年7月の記録
今秋オープンする瓦町FLAGに、ジュンク堂が入ります。
本の爆買いをやってみたくて、あれこれ案を練っています。
国内小説5冊、海外小説5冊、エッセイ5冊にノンフィクション5冊…
いや、もっといけるな。句集と、写真集も入れて…
積読本87冊。気になっている本438冊。

2015年7月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
知ろうとすること。 (新潮文庫)の感想
世間には、ともすれば感情論で判断しがちな問題が多くある。たくさんの人が関心を持つ故にデマがまかり通ったり風評を生んだり、人々の不安をあおり、正しいことを知るのを難しくする。原発事故後の放射能問題はまさにそれであった。他の諸問題を考えるのにも役立つ。情報の発信者ができ得る限り正確で誠実な情報を発信することと、世間に対し伝える方法を選ぶこと。一方、受信者が冷静に正しい情報による判断を心がけることと、氾濫する情報の中から正しい情報の発信源を見定めること。その双方が保たれつながれることが、大事。
読了日:7月30日 著者:早野龍五,糸井重里
銀翼のイカロスの感想
私利私欲のために狡いことを企んだり騙したりする輩は後を絶たない。他人を屈服させたい、自分を認めさせたい思いもまた私欲。それらが組織を捻じ曲げることは道義にもとる、と力技で正してしまうのが、我らが半沢直樹なのだ。本作で私が気になったのは白井亜希子。なんと簡単に私欲に取りつかれ、他人の思惑に曲げられた情報に騙されてしまうことか。人間の浅さと言えばそれまで、しかし銀行も政界も、おっと金融庁も、権力に釣り合う人格を持つことは並大抵でないのだな。中野渡のようには、なかなか在れない。
読了日:7月29日 著者:池井戸潤
薔薇忌 (実業之日本社文庫)の感想
舞台にまつわる短編集。舞台や舞台裏、楽屋という舞台関係人にとっての表の世界と、パラレルに浮かぶほの暗い世界。スポットライトの当たらない空間からじわじわ浸食して、ついにはすっぽり違う世界に連れられたことに気づくのだ。こちらが皆川さんの本領のようだ。先に読むべきだった。
読了日:7月26日 著者:皆川博子
史上最強の内閣 (小学館文庫)の感想
アホくささを楽しみつつ、笑みが歪んでしまう。そりゃあの政権は悪夢だったけれど、今の政権は別の意味で悪夢だ。ならばとスーパー内閣を妄想するこの試みは、閣僚の思惑だけで国が動かされることのグロテスクさを露わにした。もしスーパー内閣、最良の政治家というものが在り得たとしても、だ。『日本は武力で国際紛争を解決する道を自分からは選びまへん』。ただ今も、未来も、それを信じたいけれど…。余地を残すな。(補足:あのときの政権も今の政権も、部分では評価していますよ。)
読了日:7月25日 著者:室積光
もだえ苦しむ活字中毒者地獄の味噌蔵 (角川文庫)の感想
女殺油地獄のごとき、なんともおどろおどろしいタイトル。あれがどこまでほんまやったのかと、想像するだにおも怖ろしい。母屋の不気味さも良い。以降はエッセイ。本、雑誌、活字、読む行為への愛が熱い。雑誌談義には時代が漂うものの、日付が入っていなければ、30年余り前の文章とは知らずに最後まで読んだかもしれない。とは言い過ぎだが、今の時代も本質が変わっていないものは変わっておらず、装丁や活字レイアウトが排された電子書籍ならではの効果でもある。一方、予想以上に長かった椎名節におぼれかけるサプライズも。
読了日:7月24日 著者:椎名誠
英国一家、日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)の感想
イギリス人フードライターが家族と共に日本中の「日本食」を食べまくる。と聞いて過度な娯楽描写を危惧するも、ニッポンいじりは程々に抑えられている。屋台から会員制料亭までを真剣に食べる姿勢にも感心するが、味のみならず、由来、発酵食品などの製法、民族問題までも怠りない。日本食のスピリットについては、私を含め無自覚な日本人よりはるかに深いと言えよう。表現もいい。酒蔵の匂いを『強い甘みと、汗と酵母のにおい。豊かに腐敗した、日本流の貴腐の香りだ』とは素晴らしい。私、もっと真剣に呑み喰いします。あっ、、、調理もします。
読了日:7月20日 著者:マイケル・ブース
なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか (PHP新書)の感想
コンサル系。トヨタ流、トヨタ生産方式に留まらず様々な企業の言葉や方法論が詰め込まれている。傍線箇所は多いが、表題への明答はない。トヨタの強みは流れをトップダウンにしないこと、とは言えるだろう。軽微な失敗は想定の上で、まず現場に判断・実行させてみる。上司はそれに対して思いつきでものを言わない、対案もなしに反対しない。ミスの報告はねぎらう。責任追及と対策は別だ。相手への要求が増せば自分の知恵が減ると思うべし。改善点の発見には『「ムラ、ムリ、ムダ」の順番で考えるのがよい』を深く考えてみたい。
読了日:7月18日 著者:若松義人
たんぽぽのお酒 (1971年) (文学のおくりもの〈1〉)の感想
少年は毎日を新しく感じることができて、毎日のように何気なく真実を穿つ。「大人はかつて子供であったことはない」は真実かもしれない。だって忘れ果てているなら、なかったも同然だもの。物語には徐々に「大人の事情」も入り交じり、ダグも町で起きていることを目撃する。そして悟るのだ。『もしこれが全部真実であるならば…それならば…ダグラス・スポールディングも、いつか…きっと!』。私がその真実に気づいたのはいつだったろう。ジョウナスさんのように、子供の真実を忘れない大人だけが、彼らを救うことができるのかもしれない。
読了日:7月16日 著者:レイ・ブラッドベリ
全国道場ガイド付き 月刊 秘伝 2015年 07月号の感想
YASKAWA BUSHIDO PROJECTの動画を観て、刀も面白そうだと思ってつい購入。うん、紙面でいくら眺めてもわからん。全国道場ガイドが別冊。日本に道場と呼ばれる場所はたくさんあるのだな。予想すべきではあったが、香川の掲載は1軒のみ。子供を通わせるような町の道場や、知っている先生の道場は載っていなかった。湯川さんの連載、いつか本になるといいな。
読了日:7月15日 著者:
日本の名随筆 (3)の感想
猫好きな人や、左程でもない人の、猫を中心に置いたエッセイ集。左程でもないとはいえエッセイに書くくらいだから猫好きな側ではある。猫は人間の生活にすっと入りこむ。子供染みた愛玩だけでなく、気ままに生きる猫をただ眺めて物思いしている、そういう大げさでない日常描写が良い。しかしその幸せと喪失感は引換えで、行間に滲む度、猫の存在感というものを想う。柳田國男のヴェネツィア他における猫事情観察と、導かれる猫族の行方の考察は、意外なような、らしいようなで面白い。編者はさぞたくさんの猫エッセイと格闘されたことだろう。
読了日:7月13日 著者:
開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド)の感想
この小説の舞台であるロンドンは、空が見えなくて、街は汚れて人々は意地悪で、権力の腐敗がひどい。穢れなきネイサン少年はなす術もなく消えた。解剖教室とはかなり風変りな道具立てで面食らった。常識が違う気がする。ミステリとして被害者や犯人の見当は楽につくのに、ひとつ嘘が暴かれるごと見える景色がさらにねじれて感ぜられ、街同様、私もどんどん視界を失くしていく。盲目の治安判事が謎解きというのも意味深である。最後に青い空は見えたけれど、彼らの未来が明るいものであるとは、私にはどうしても思えず切ないのだ。
読了日:7月7日 著者:皆川博子
街場の読書論の感想
知性とは。より良くあることとは。内田先生の文章は読みやすくも、常と桁違った視点や思考手段を提示する。軽妙な調子で理解したい欲求を刺激してくれるから、ふんふんと読み通せるが、まず理解できていない。多弁な内田先生だから、繰り返し読むうちに開眼することもあるかもしれないと思っている。「知識を習得するための装置そのものの改変」を漠然と目指している。私の持つ、そこそこの知性、そこそこの良識。武術同様、ふと振り返ると螺旋の道を登っていて見える景色が一変している、それを期待してまた読むだろう。
読了日:7月6日 著者:内田樹
世界最強の商人 (角川文庫)の感想
新卒入社当時、ハードカバー版で貸与された。内容を覚えていなかったので、再読してみた。なるほど覚えていないはずだ。実践していないので、巻物の内容について語ることは控える。ただこの本がアメリカで売れたのは、18章、つまりビジネス本をキリスト教を絡めた物語に仕立て、劇的なオチをつけたことが大きく影響しているだろう。恋のために野望を抱いたハフィッドと、布教のために艱難辛苦に耐えるパウロを同列に扱ったことに、キリスト教徒は憤慨しないのか。
読了日:7月4日 著者:オグ・マンディーノ
注:
はKindleで読んだ本。
本の爆買いをやってみたくて、あれこれ案を練っています。
国内小説5冊、海外小説5冊、エッセイ5冊にノンフィクション5冊…
いや、もっといけるな。句集と、写真集も入れて…
積読本87冊。気になっている本438冊。

2015年7月の読書メーター
読んだ本の数:13冊

世間には、ともすれば感情論で判断しがちな問題が多くある。たくさんの人が関心を持つ故にデマがまかり通ったり風評を生んだり、人々の不安をあおり、正しいことを知るのを難しくする。原発事故後の放射能問題はまさにそれであった。他の諸問題を考えるのにも役立つ。情報の発信者ができ得る限り正確で誠実な情報を発信することと、世間に対し伝える方法を選ぶこと。一方、受信者が冷静に正しい情報による判断を心がけることと、氾濫する情報の中から正しい情報の発信源を見定めること。その双方が保たれつながれることが、大事。
読了日:7月30日 著者:早野龍五,糸井重里

私利私欲のために狡いことを企んだり騙したりする輩は後を絶たない。他人を屈服させたい、自分を認めさせたい思いもまた私欲。それらが組織を捻じ曲げることは道義にもとる、と力技で正してしまうのが、我らが半沢直樹なのだ。本作で私が気になったのは白井亜希子。なんと簡単に私欲に取りつかれ、他人の思惑に曲げられた情報に騙されてしまうことか。人間の浅さと言えばそれまで、しかし銀行も政界も、おっと金融庁も、権力に釣り合う人格を持つことは並大抵でないのだな。中野渡のようには、なかなか在れない。
読了日:7月29日 著者:池井戸潤

舞台にまつわる短編集。舞台や舞台裏、楽屋という舞台関係人にとっての表の世界と、パラレルに浮かぶほの暗い世界。スポットライトの当たらない空間からじわじわ浸食して、ついにはすっぽり違う世界に連れられたことに気づくのだ。こちらが皆川さんの本領のようだ。先に読むべきだった。
読了日:7月26日 著者:皆川博子


アホくささを楽しみつつ、笑みが歪んでしまう。そりゃあの政権は悪夢だったけれど、今の政権は別の意味で悪夢だ。ならばとスーパー内閣を妄想するこの試みは、閣僚の思惑だけで国が動かされることのグロテスクさを露わにした。もしスーパー内閣、最良の政治家というものが在り得たとしても、だ。『日本は武力で国際紛争を解決する道を自分からは選びまへん』。ただ今も、未来も、それを信じたいけれど…。余地を残すな。(補足:あのときの政権も今の政権も、部分では評価していますよ。)
読了日:7月25日 著者:室積光


女殺油地獄のごとき、なんともおどろおどろしいタイトル。あれがどこまでほんまやったのかと、想像するだにおも怖ろしい。母屋の不気味さも良い。以降はエッセイ。本、雑誌、活字、読む行為への愛が熱い。雑誌談義には時代が漂うものの、日付が入っていなければ、30年余り前の文章とは知らずに最後まで読んだかもしれない。とは言い過ぎだが、今の時代も本質が変わっていないものは変わっておらず、装丁や活字レイアウトが排された電子書籍ならではの効果でもある。一方、予想以上に長かった椎名節におぼれかけるサプライズも。
読了日:7月24日 著者:椎名誠


イギリス人フードライターが家族と共に日本中の「日本食」を食べまくる。と聞いて過度な娯楽描写を危惧するも、ニッポンいじりは程々に抑えられている。屋台から会員制料亭までを真剣に食べる姿勢にも感心するが、味のみならず、由来、発酵食品などの製法、民族問題までも怠りない。日本食のスピリットについては、私を含め無自覚な日本人よりはるかに深いと言えよう。表現もいい。酒蔵の匂いを『強い甘みと、汗と酵母のにおい。豊かに腐敗した、日本流の貴腐の香りだ』とは素晴らしい。私、もっと真剣に呑み喰いします。あっ、、、調理もします。
読了日:7月20日 著者:マイケル・ブース

コンサル系。トヨタ流、トヨタ生産方式に留まらず様々な企業の言葉や方法論が詰め込まれている。傍線箇所は多いが、表題への明答はない。トヨタの強みは流れをトップダウンにしないこと、とは言えるだろう。軽微な失敗は想定の上で、まず現場に判断・実行させてみる。上司はそれに対して思いつきでものを言わない、対案もなしに反対しない。ミスの報告はねぎらう。責任追及と対策は別だ。相手への要求が増せば自分の知恵が減ると思うべし。改善点の発見には『「ムラ、ムリ、ムダ」の順番で考えるのがよい』を深く考えてみたい。
読了日:7月18日 著者:若松義人


少年は毎日を新しく感じることができて、毎日のように何気なく真実を穿つ。「大人はかつて子供であったことはない」は真実かもしれない。だって忘れ果てているなら、なかったも同然だもの。物語には徐々に「大人の事情」も入り交じり、ダグも町で起きていることを目撃する。そして悟るのだ。『もしこれが全部真実であるならば…それならば…ダグラス・スポールディングも、いつか…きっと!』。私がその真実に気づいたのはいつだったろう。ジョウナスさんのように、子供の真実を忘れない大人だけが、彼らを救うことができるのかもしれない。
読了日:7月16日 著者:レイ・ブラッドベリ

YASKAWA BUSHIDO PROJECTの動画を観て、刀も面白そうだと思ってつい購入。うん、紙面でいくら眺めてもわからん。全国道場ガイドが別冊。日本に道場と呼ばれる場所はたくさんあるのだな。予想すべきではあったが、香川の掲載は1軒のみ。子供を通わせるような町の道場や、知っている先生の道場は載っていなかった。湯川さんの連載、いつか本になるといいな。
読了日:7月15日 著者:

猫好きな人や、左程でもない人の、猫を中心に置いたエッセイ集。左程でもないとはいえエッセイに書くくらいだから猫好きな側ではある。猫は人間の生活にすっと入りこむ。子供染みた愛玩だけでなく、気ままに生きる猫をただ眺めて物思いしている、そういう大げさでない日常描写が良い。しかしその幸せと喪失感は引換えで、行間に滲む度、猫の存在感というものを想う。柳田國男のヴェネツィア他における猫事情観察と、導かれる猫族の行方の考察は、意外なような、らしいようなで面白い。編者はさぞたくさんの猫エッセイと格闘されたことだろう。
読了日:7月13日 著者:

この小説の舞台であるロンドンは、空が見えなくて、街は汚れて人々は意地悪で、権力の腐敗がひどい。穢れなきネイサン少年はなす術もなく消えた。解剖教室とはかなり風変りな道具立てで面食らった。常識が違う気がする。ミステリとして被害者や犯人の見当は楽につくのに、ひとつ嘘が暴かれるごと見える景色がさらにねじれて感ぜられ、街同様、私もどんどん視界を失くしていく。盲目の治安判事が謎解きというのも意味深である。最後に青い空は見えたけれど、彼らの未来が明るいものであるとは、私にはどうしても思えず切ないのだ。
読了日:7月7日 著者:皆川博子


知性とは。より良くあることとは。内田先生の文章は読みやすくも、常と桁違った視点や思考手段を提示する。軽妙な調子で理解したい欲求を刺激してくれるから、ふんふんと読み通せるが、まず理解できていない。多弁な内田先生だから、繰り返し読むうちに開眼することもあるかもしれないと思っている。「知識を習得するための装置そのものの改変」を漠然と目指している。私の持つ、そこそこの知性、そこそこの良識。武術同様、ふと振り返ると螺旋の道を登っていて見える景色が一変している、それを期待してまた読むだろう。
読了日:7月6日 著者:内田樹


新卒入社当時、ハードカバー版で貸与された。内容を覚えていなかったので、再読してみた。なるほど覚えていないはずだ。実践していないので、巻物の内容について語ることは控える。ただこの本がアメリカで売れたのは、18章、つまりビジネス本をキリスト教を絡めた物語に仕立て、劇的なオチをつけたことが大きく影響しているだろう。恋のために野望を抱いたハフィッドと、布教のために艱難辛苦に耐えるパウロを同列に扱ったことに、キリスト教徒は憤慨しないのか。
読了日:7月4日 著者:オグ・マンディーノ

注:

Posted by nekoneko at 12:01│Comments(0)
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