2016年03月01日
2016年2月の記録
本を読みたい欲求が沸々と湧いて、苦しい。
チーズやナッツや海苔などかじりながら、緑茶や紅茶やビールなどすすりながら、
日向で呆けたように読み耽りたい。
そろそろ春ですね。
積読本91冊。

2016年2月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
ボブという名のストリート・キャットの感想
ホームレスの青年が野良猫と出会い、人生を変える。テレビ番組でも紹介された。猫を連れることで彼は人目を惹き、社会とつながれた。でもそれだけではない。猫と暮らすことで、なにより彼自身が変わった。『ぼくたちは正式に家族になったんだよ』。自分以外のなにかに責任を持つことには大きな意味がある。彼は薬物依存を治し、猫を気遣い、自立し、稼ごうとする。私も猫をきっかけに自身が変わったと感じているので言うと、これは教育図書である。イギリスのホームレス事情や猫事情、薬物依存治療もうかがえて面白い。やたら猫に詳しくもある。
読了日:2月29日 著者:ジェームズ・ボーエン
おうちで学べるネットワークのきほんの感想
やさしそうな表紙への甘えを裏切って、門外漢には辛い試練となった。機器の選定や接続などのハード面の指南ではなく、ネットワークの中身の手ほどき書。プロトコルで挫折しかけるも、自分の必要以上に深い箇所は上滑りにやり過ごして終えた。つまり余りに粗末な読み方ではあるが、基本的な用語がぼんやり理解でき、トラブルの切り分け手順が手に入ったのでよしとする。インターネット上の無料情報は体系的でないので、少しは知識を系統立てられたか。たぶん親切な本。
読了日:2月29日 著者:Gene
火星の人 (ハヤカワ文庫SF)の感想
邦題「オデッセイ」で映画化された。アクシデントで火星に一人取り残された宇宙飛行士の話、とまでは言っていいだろう。これが滅法おもしろい。調べたところ著者はプログラマー職だとか。物語の構成や造り込みの精度はそれで納得がいくが、宇宙にまつわる専門知識、これはSFへの情熱に他ならない。細かい描写とポップさのバランスが絶妙で、読み応えのあるエンタメになっている。実は途中までしか読めていない状態で映画を観た。火星の地表の赤さや広さ、孤独感は、小説では感じ取りにくかった部分だ。主人公が強烈やもん。冒険エンタメ。
読了日:2月23日 著者:アンディ・ウィアー
小泉今日子書評集の感想
38歳から48歳までの期間、書評委員として綴った書評集。書評委員になるとき、逆差別をしないでほしいと自ら頼んだと言うだけあって、平易かつ素直に綴られた文章に好感が湧く。書評はパーソナルなものだ。『何かに向き合うということは同時に自分の内面とも向き合うということ』。小説を読むときは、正しく心を消費して感じ取らないと、人の心に届く感想は出てこないだろう。40歳を目前に控え、そして超えた心の揺れが読んだ本にリンクして印象的だ。素の小泉今日子。あれこれ読みたい本が増えた。
読了日:2月19日 著者:小泉今日子
ツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)の感想
今のところ無縁の生活をしているけれど、いつどこで出会うかわからないのがこの病気だと思っている。ひょっと出会う日のために、原因はセロトニン、効果があるのは納豆、バナナ、はちみつに牛乳ね、それから日光によく当たること、と脳の片隅に刻む。ご本人も健康なときには想像もできない状態だったと言う。そして、治癒した後からも、当時の気分を思い出すことが難しいとも。「人生の夏休み」。憶えておこう。
読了日:2月18日 著者:細川貂々
小石川の家の感想
幸田家の子でなくてよかった。心底思った。露伴の理不尽さは途轍もなかった。文さんは六白金星の辰、気性が激しいほうだし、露伴の無理強いにぴりぴりとして幼い玉さんに厳しく当たる。風流で教養あっても、私にはとても我慢できそうにない。露伴、昭和18年に喜寿。露伴の我が儘は戦時に極まるが、終戦頃には文さんが取り仕切っている。露伴の死に、文さんは惑う。どんなに無茶でも親は親だ。うちだっておおよそ似たようなものだよな。さらに慕った母をも見送り、残るのは追慕。戦時に燃えてしまった小石川の家は、在りし家族の象徴だった。
読了日:2月12日 著者:青木玉
リノベラー!: 司法書士・菅野文秋の会社救済コンサルティング (徳間文庫)の感想
父はラノベをよく読む。忙しい中、気分転換に脳ミソをアイドリングしているのかと思う。読み終えた本を娘に廻してくれ、最近多いのはお仕事小説だ。中小企業のなりふりが主だけに、頁を折ってある箇所など、何を思ったのかとどきどきしてしまった。著者も司法書士を持って開業しているとか。思い入れやTipsなど、リアルで良い。身につまされる。2作目も計画しているなら、(笑)はやめたほうがよいかと…。
読了日:2月10日 著者:奥村聡
ダーク・タワー〈3〉荒地〈上〉 (新潮文庫)の感想
ローランドが壊れかけている。パラドックスのせいらしいが、それだけではないのだろう。ローランドはジェイクを想って心を痛めている。異変はジェイクにも訪れており、双方に混沌とした出来事が続く。その混沌ぶりのおかげで読み進めにくいが、その度カ・テットの絆が強くなっていることは確かだ。『あの人の中間駅の空みたいに青い瞳』を見るため、ジェイクは走る。『俺は来た、いかにも』。ローランドの ハイ・スピーチ語がかっこええ。
読了日:2月8日 著者:スティーヴンキング
あなたが世界のためにできる たったひとつのこと―<効果的な利他主義>のすすめの感想
『動物の解放』の著者による、効果的な利他主義=慈善行為の勧めである。この私でも、Global Rich Listというサイトによると世界の上位2%に位置する収入を得ているそうだ。自分の生活も楽しみつつ年収の幾ばくかを寄付することは可能だ。OK。ではどの団体へどれだけ寄付すればよいのか? 国内外で救える命の数や寿命、苦しみの量を比較し、論理的に判断する基準、合理性、費用対効果などの思考方法が提示され、得難い収穫だった。最終的には広義での好み。自らが信じる分野に貢献し行動に納得することで、利他行為は完結する。
読了日:2月6日 著者:ピーター・シンガー
謎の独立国家ソマリランドの感想
関心すらなかった国。そのルポがこれ程面白いなんて。国の存在に興味を持った高野さんは本当に乗り込んでしまう。ソマリ人は率直で独自の論理を持ち、豊かだ。国には人の気質や気候に合ったシステムが育まれる。会社を日本人がつくると村社会ができるように、ソマリ人がつくると氏族社会ができる。植民地政策や欧米の論理による干渉で歪み、戦乱状態になるとしたら、グローバル化ってなんだ。国際組織はどうあるべきか。高野さんの最後の提言は私の胸を打つ。高野さんの実感は、私のそれになり得ない。私は私の世界から少しずつ実感をつなげるのだ。
読了日:2月3日 著者:高野秀行
アドラー 人生を生き抜く心理学 (NHKブックス)の感想
「嫌われる勇気」の補完として手に取った。あちらは対話型の自己啓発書であったが、こちらはアドラー心理学を著者が解釈しつつ、生きづらさを打破する為の考え方を考察するものである。つまりアドラー心理学の入門というより、アドラーからエッセンスを引いた著者の論が大半かと思う。本人の著作を読まねば。そもそもアドラーは心療の専門家であるが、視点を過去でなく未来に向けたところが単なる臨床理論に留まらない普遍性の要因だろう。温厚なアドラーに対し、狭量で排他的なフロイト。人の知見はその人の人生、性格に基づくものだと納得する。
読了日:2月1日 著者:岸見一郎
注:
はKindleで読んだ本。
チーズやナッツや海苔などかじりながら、緑茶や紅茶やビールなどすすりながら、
日向で呆けたように読み耽りたい。
そろそろ春ですね。
積読本91冊。

2016年2月の読書メーター
読んだ本の数:11冊

ホームレスの青年が野良猫と出会い、人生を変える。テレビ番組でも紹介された。猫を連れることで彼は人目を惹き、社会とつながれた。でもそれだけではない。猫と暮らすことで、なにより彼自身が変わった。『ぼくたちは正式に家族になったんだよ』。自分以外のなにかに責任を持つことには大きな意味がある。彼は薬物依存を治し、猫を気遣い、自立し、稼ごうとする。私も猫をきっかけに自身が変わったと感じているので言うと、これは教育図書である。イギリスのホームレス事情や猫事情、薬物依存治療もうかがえて面白い。やたら猫に詳しくもある。
読了日:2月29日 著者:ジェームズ・ボーエン


やさしそうな表紙への甘えを裏切って、門外漢には辛い試練となった。機器の選定や接続などのハード面の指南ではなく、ネットワークの中身の手ほどき書。プロトコルで挫折しかけるも、自分の必要以上に深い箇所は上滑りにやり過ごして終えた。つまり余りに粗末な読み方ではあるが、基本的な用語がぼんやり理解でき、トラブルの切り分け手順が手に入ったのでよしとする。インターネット上の無料情報は体系的でないので、少しは知識を系統立てられたか。たぶん親切な本。
読了日:2月29日 著者:Gene


邦題「オデッセイ」で映画化された。アクシデントで火星に一人取り残された宇宙飛行士の話、とまでは言っていいだろう。これが滅法おもしろい。調べたところ著者はプログラマー職だとか。物語の構成や造り込みの精度はそれで納得がいくが、宇宙にまつわる専門知識、これはSFへの情熱に他ならない。細かい描写とポップさのバランスが絶妙で、読み応えのあるエンタメになっている。実は途中までしか読めていない状態で映画を観た。火星の地表の赤さや広さ、孤独感は、小説では感じ取りにくかった部分だ。主人公が強烈やもん。冒険エンタメ。
読了日:2月23日 著者:アンディ・ウィアー


38歳から48歳までの期間、書評委員として綴った書評集。書評委員になるとき、逆差別をしないでほしいと自ら頼んだと言うだけあって、平易かつ素直に綴られた文章に好感が湧く。書評はパーソナルなものだ。『何かに向き合うということは同時に自分の内面とも向き合うということ』。小説を読むときは、正しく心を消費して感じ取らないと、人の心に届く感想は出てこないだろう。40歳を目前に控え、そして超えた心の揺れが読んだ本にリンクして印象的だ。素の小泉今日子。あれこれ読みたい本が増えた。
読了日:2月19日 著者:小泉今日子

今のところ無縁の生活をしているけれど、いつどこで出会うかわからないのがこの病気だと思っている。ひょっと出会う日のために、原因はセロトニン、効果があるのは納豆、バナナ、はちみつに牛乳ね、それから日光によく当たること、と脳の片隅に刻む。ご本人も健康なときには想像もできない状態だったと言う。そして、治癒した後からも、当時の気分を思い出すことが難しいとも。「人生の夏休み」。憶えておこう。
読了日:2月18日 著者:細川貂々


幸田家の子でなくてよかった。心底思った。露伴の理不尽さは途轍もなかった。文さんは六白金星の辰、気性が激しいほうだし、露伴の無理強いにぴりぴりとして幼い玉さんに厳しく当たる。風流で教養あっても、私にはとても我慢できそうにない。露伴、昭和18年に喜寿。露伴の我が儘は戦時に極まるが、終戦頃には文さんが取り仕切っている。露伴の死に、文さんは惑う。どんなに無茶でも親は親だ。うちだっておおよそ似たようなものだよな。さらに慕った母をも見送り、残るのは追慕。戦時に燃えてしまった小石川の家は、在りし家族の象徴だった。
読了日:2月12日 著者:青木玉

父はラノベをよく読む。忙しい中、気分転換に脳ミソをアイドリングしているのかと思う。読み終えた本を娘に廻してくれ、最近多いのはお仕事小説だ。中小企業のなりふりが主だけに、頁を折ってある箇所など、何を思ったのかとどきどきしてしまった。著者も司法書士を持って開業しているとか。思い入れやTipsなど、リアルで良い。身につまされる。2作目も計画しているなら、(笑)はやめたほうがよいかと…。
読了日:2月10日 著者:奥村聡

ローランドが壊れかけている。パラドックスのせいらしいが、それだけではないのだろう。ローランドはジェイクを想って心を痛めている。異変はジェイクにも訪れており、双方に混沌とした出来事が続く。その混沌ぶりのおかげで読み進めにくいが、その度カ・テットの絆が強くなっていることは確かだ。『あの人の中間駅の空みたいに青い瞳』を見るため、ジェイクは走る。『俺は来た、いかにも』。ローランドの ハイ・スピーチ語がかっこええ。
読了日:2月8日 著者:スティーヴンキング

『動物の解放』の著者による、効果的な利他主義=慈善行為の勧めである。この私でも、Global Rich Listというサイトによると世界の上位2%に位置する収入を得ているそうだ。自分の生活も楽しみつつ年収の幾ばくかを寄付することは可能だ。OK。ではどの団体へどれだけ寄付すればよいのか? 国内外で救える命の数や寿命、苦しみの量を比較し、論理的に判断する基準、合理性、費用対効果などの思考方法が提示され、得難い収穫だった。最終的には広義での好み。自らが信じる分野に貢献し行動に納得することで、利他行為は完結する。
読了日:2月6日 著者:ピーター・シンガー


関心すらなかった国。そのルポがこれ程面白いなんて。国の存在に興味を持った高野さんは本当に乗り込んでしまう。ソマリ人は率直で独自の論理を持ち、豊かだ。国には人の気質や気候に合ったシステムが育まれる。会社を日本人がつくると村社会ができるように、ソマリ人がつくると氏族社会ができる。植民地政策や欧米の論理による干渉で歪み、戦乱状態になるとしたら、グローバル化ってなんだ。国際組織はどうあるべきか。高野さんの最後の提言は私の胸を打つ。高野さんの実感は、私のそれになり得ない。私は私の世界から少しずつ実感をつなげるのだ。
読了日:2月3日 著者:高野秀行


「嫌われる勇気」の補完として手に取った。あちらは対話型の自己啓発書であったが、こちらはアドラー心理学を著者が解釈しつつ、生きづらさを打破する為の考え方を考察するものである。つまりアドラー心理学の入門というより、アドラーからエッセンスを引いた著者の論が大半かと思う。本人の著作を読まねば。そもそもアドラーは心療の専門家であるが、視点を過去でなく未来に向けたところが単なる臨床理論に留まらない普遍性の要因だろう。温厚なアドラーに対し、狭量で排他的なフロイト。人の知見はその人の人生、性格に基づくものだと納得する。
読了日:2月1日 著者:岸見一郎

注:

Posted by nekoneko at 11:46│Comments(0)
│読書