2018年08月01日
2018年7月の記録
硬いなぁ。感想が。
世界の深刻な部分がとても気になって、あれこれ考えてしまうのだけれど、
思い詰めて考えるのは、良くない。特に身体にとって。
諦めるんじゃなくて、とりあえず身体の実感を味わおう。
それに、読んで知ったことが全てじゃないよ、きっと。
<今月のデータ>
購入10冊、購入費用9,470円。
読了14冊。
積読本110冊(うちKindle本25冊)。

7月の読書メーター
読んだ本の数:14
骨から見る生物の進化【普及版】の感想
贅沢して買ってしまった。黒い背景に、生物の骨格が白く浮かび上がってなんとも美しい。これは遠い昔から続く進化により到達した構造であり、しかし通過点に過ぎないのだ。『進化とは、何億世代にもわたって自然淘汰が容赦なく選び抜いてきた、突然変異の膨大な蓄積である』。写真と短めの生物学的解説がセットになっている。さて、脊椎動物、特にほ乳類の背骨はまず反らされていることがない。丸めるか、真っ直ぐまでで、それは内蔵を守るためであり、身体の要に力を溜めるためだ。それが生物の摂理ということを頭において、今日の練習に向かう。
読了日:07月31日 著者:J・ド・パナフィユー
縮小ニッポンの衝撃 (講談社現代新書)の感想
今の政府は赤字削減どころか、予算を押える気が全く見えない。近いうちに皆が「痛みを伴う縮小」に迫られるだろう。都会田舎を問わず、地方交付税依存度が高いほどその時は近い。これからの日本で自分自身が賢く立ち回るための情報収集として読み始めたが、そのリアルな痛みのなんと悲しいことか。望む場所で人生を終えることが難しい未来。命題は「少なくなる人口でどうすれば幸せに生きていけるか」なのだと私は思う。公助を頼れない未来では、自助力と共助力を高めるしかない。自分に何ができるか、絶えず考える癖づけをしよう。早いほど良い。
読了日:07月28日 著者:NHKスペシャル取材班
その犬の歩むところ (文春文庫)の感想
この切なく、温かい読後感。原題は犬の名前、Giv(ギヴ)。give、givenと連想する。テロや天災、戦争は容赦なく奪う。のみならず、他者の財産や権利を横奪する人間も少なからずいる。しかし人間と人間は与え合うこともできる。人間と犬もまた、お互いに与え合うことができる。その無私が、犬の眼差しが、切なく温かいのだ。前作は女性が持つことのできる強さがテーマだった。今作はより根源的な、故に敬虔な祈りのような、内なる力の成した物語だ。犬の細かい仕草を知悉した描写、著者は犬好きに違いない。脇役の猫もいい味出してる。
読了日:07月24日 著者:ボストン テラン
お家賃ですけどの感想
雰囲気のある表紙と、若林正恭に似たタイトルセンスに感じて、買ってしまった。「大家さんと僕」のようなエッセイをどこか期待していたので、読んでみるとエッセイではなく日記だ、と思った。こういうテンションで話す友達、身近にいるなぁ。楽しそうに話すのを見るのが楽しくて、話した内容はほとんど覚えていないのだけれど。こんな「大家さん」という人種は、現代日本にまだ一定数いらっしゃるのだろうか。矢部さんの大家さんと通じる部分がある。身の周りをきっちりとして、品が良くて、自分の道を守っている。歳取っても自立した女性って素敵。
読了日:07月22日 著者:能町 みね子
風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡 (文春ジブリ文庫)の感想
聞き手の酷いこと。驕り出しゃばり、「凄いイデオロギーを具現した傑物」ばりに崇めようなど失礼に過ぎるが、宮崎駿は話の噛み合わなさを流しつつ、イデオロギーで語る言葉の雑さに囚われないよう、言葉を選んで話している。どんな状態になっても世界を肯定したい気持ちと、生きることが困難な世界の予感、そのはざま。半藤一利との対談や甲野先生への手紙に表れた率直な危機感は、この対談では隠されているが、各作品の背景となった時代や宮崎駿の足場が存分に語られていて興味深かった。私も、タタラ場で生きるしかないのだよな。映画観直したし。
読了日:07月21日 著者:宮崎 駿
長い道の感想
大島青松園から小豆島を挟んで岡山側、長島愛生園に著者はいた。ハンセン病療養施設は人間の尊厳剥奪の代名詞のように言われるが、この本は様子が違う。『私だけ、らい患者だけが特異で、皆様とは大きく違う人生とは思えない』。実の家族との愛情深い生活、入園以降の療養生活を情感豊かかつ理知的に語りつつ、病のために苦しんだ事実と自分の人生の価値は別物と、安易な憐れみを拒絶する。これこそ本当の尊厳なのだと思った。ハンセン病療養施設にもっと残酷な過去があるのは事実だが、それだけを見ては、入所者の尊厳を更に奪うことになる。
読了日:07月21日 著者:宮崎 かづゑ
山と私の対話 (達人の山旅)の感想
『自然と人間の命の道場のような場所』(武藤昭)。その表現の的確さにしびれるような感動を覚える。単独で山に登るソロクライマーと自然を扱うアーティスト、そこに共通するものがある点には議論の余地がない。自然や自分に対峙する厳しさと心安さ。しかしその姿勢や表現には人それぞれ違いと濃淡がある。山に自然に惹かれる衝動、自分が良しとする水準まで妥協しないストイックさ、裏腹な臆病さ。それが私の好みだ。他ならぬ山野井泰史や岡田昇の純粋な突き抜け感は、表現方法に依るものか、その切れ端でも味わいたいと卑小な私にも切望させる。
読了日:07月16日 著者:
野生のベリージャムの感想
名前は聖岳から、なんて素敵なエピソードから始まるエッセイ。ジョン・ミューア・トレイルもアラスカもハードな行程のはずだが、ブログ日記みたいな文章で、厳しさや美しさは具体的に伝わってこない。楽しさを伝えるのが目的とのことなので、そうなるのかもしれない。そして半分以上がごはんのことだ。女性だから余計に、ごはんをつくって食べる行為の大きさを意識するものなのだろうか。女性の連れがいて、ロングトレイルやキャンプが多くなると、気にせずにいられないものかもしれない。確かに長丁場で携帯食が続くと栄養状態は気になるなぁ。
読了日:07月15日 著者:小島 聖
自閉症スペクトラム 異なるレンズで世界を見るの感想
スペクトラム:意見・現象・症状などが、あいまいな境界をもちながら連続していること。この単語が示すとおり、自閉症は人によって程度も違い、症状も違う。まるで万華鏡みたいだ。話している内容や書かれていることが、少なくとも過不足なく、文字通りの意味でないと理解できない。細かなことに固執するなどのコミュニケーション面が印象強いが、IQが高かったり、思いがけない才能が開花することも珍しくない。啓発のための写真集。実際に出会ったとき、どう接していいかわからないが、脳の発達の仕方が違っている、それだけのことと覚えておく。
読了日:07月13日 著者:MAKIKO
増補版 チェ・ゲバラ伝 (文春文庫)の感想
ラテンアメリカの歴史。スペインの帝国主義、次いでアメリカの資本主義に中南米は搾取され続ける。搾取への反抗、独立闘争の立役者としてゲバラとカストロは現れた。武器に頼らなければ国を変えることができなかった状況下に、「純粋な革命家」として名を遺したゲバラ、その人生を辿ると、精神の稀有さに目を見張る。人間の魂のあるべき姿を求め闘い続けた人生に見えた。1959年に来日した際、ゲバラは注目されるどころかマスコミは無視、閣僚は冷遇した。革命の精神にほど遠い日本国内でゲバラ本やグッズが未だ根強いのはファッションなのかな。
読了日:07月13日 著者:三好 徹
「国境なき医師団」を見に行くの感想
ハイチ、ギリシャ、フィリピン、ウガンダ。国境なき医師団(MSF)の活動を著者は見に行った。「見に行く」というなんとも平たい表題は、裏返せば「見ることしかできなかった」自覚の表明だろう。MSFスタッフは自分が持つ技術を提供するしなやかな力の集まりだった。<ひとつ違えば自分であったかもしれない立場にあるのが相手>と気づいたことが彼らの原動力だ。本人次第で人間の視野は際限なく狭まりも広がりもする。では読むことで小さなバトンを受け取った私は? 企業人としての役目を終えてから加わるのでも遅くはないことを覚えておく。
読了日:07月09日 著者:いとう せいこう
図解入門よくわかる最新スマートグリッドの基本と仕組み[第3版] (How‐nual Visual Guide Book)の感想
電気業界がこの先どのように変化するかを考察するために。スマートグリッドとは、電力送配電のデジタル化による需給制御を指す。発送電分離、電力自由化、スマートメーター普及、HEMS/BEMS。ここまでは既に実現した。皮肉にも原発停止がシステム変革を急速に後押ししたように見える。特に使用電力の可視化は熟成期間に入った。ここからは蓄電池、スマートコミュニティからマイクログリッドまで進むと期待したい。大型インフラな高圧直流送電は疑問だ。エネルギー政策だけでなく環境対策の部分が日本でも進むかがポイントになりそうだ。
読了日:07月07日 著者:山藤 泰
一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白いの感想
昂然ともたげられた頭に伸びた背筋。100歳を超えてなお明正な精神はどのような境地か。人生は途切れなく続く螺旋を登るようなものだけれど、どうやら生きている限り上へと続いているみたいだ。「人」の甲骨文字の形は、二人が支え合っているのではなく、一人が手を前に出して何かを始めよう助けようとする姿に見える、なんて思いがけない発想で興味深かった。しかし本文以外の、大きなフォントで印刷された言葉は、本人の言葉ではないように感じる。もっともらしげに要約する言葉は胡散臭く、邪魔なので読まないようにした。備忘『我が立つ杣』。
読了日:07月06日 著者:篠田 桃紅
下町ロケット (小学館文庫)の感想
私は疲れているのだろう。行き詰まる会社の描写が苦痛で、つい銀行の不義理や大企業社員の無能を罵倒したくなる。かたや社員は和解金を賞与で出せなどと言って、お前は会社の金を何だと思っているのだと憤まんやるかたなくもなった。『いつも顔を合わせていても、社員と経営者との間には途方もないほどの距離がある』。父はどんな気分で読んだのか。今はうまくいっていても、いつかどうにもならない状況に転落するのではという不安は常につきまとう。信頼、信用を積み重ねる。それだけではこんな成功とカタルシスは得られないが、夢だけでもいかん。
読了日:07月03日 著者:池井戸 潤
注:
はKindleで読んだ本。
世界の深刻な部分がとても気になって、あれこれ考えてしまうのだけれど、
思い詰めて考えるのは、良くない。特に身体にとって。
諦めるんじゃなくて、とりあえず身体の実感を味わおう。
それに、読んで知ったことが全てじゃないよ、きっと。
<今月のデータ>
購入10冊、購入費用9,470円。
読了14冊。
積読本110冊(うちKindle本25冊)。

7月の読書メーター
読んだ本の数:14

贅沢して買ってしまった。黒い背景に、生物の骨格が白く浮かび上がってなんとも美しい。これは遠い昔から続く進化により到達した構造であり、しかし通過点に過ぎないのだ。『進化とは、何億世代にもわたって自然淘汰が容赦なく選び抜いてきた、突然変異の膨大な蓄積である』。写真と短めの生物学的解説がセットになっている。さて、脊椎動物、特にほ乳類の背骨はまず反らされていることがない。丸めるか、真っ直ぐまでで、それは内蔵を守るためであり、身体の要に力を溜めるためだ。それが生物の摂理ということを頭において、今日の練習に向かう。
読了日:07月31日 著者:J・ド・パナフィユー

今の政府は赤字削減どころか、予算を押える気が全く見えない。近いうちに皆が「痛みを伴う縮小」に迫られるだろう。都会田舎を問わず、地方交付税依存度が高いほどその時は近い。これからの日本で自分自身が賢く立ち回るための情報収集として読み始めたが、そのリアルな痛みのなんと悲しいことか。望む場所で人生を終えることが難しい未来。命題は「少なくなる人口でどうすれば幸せに生きていけるか」なのだと私は思う。公助を頼れない未来では、自助力と共助力を高めるしかない。自分に何ができるか、絶えず考える癖づけをしよう。早いほど良い。
読了日:07月28日 著者:NHKスペシャル取材班


この切なく、温かい読後感。原題は犬の名前、Giv(ギヴ)。give、givenと連想する。テロや天災、戦争は容赦なく奪う。のみならず、他者の財産や権利を横奪する人間も少なからずいる。しかし人間と人間は与え合うこともできる。人間と犬もまた、お互いに与え合うことができる。その無私が、犬の眼差しが、切なく温かいのだ。前作は女性が持つことのできる強さがテーマだった。今作はより根源的な、故に敬虔な祈りのような、内なる力の成した物語だ。犬の細かい仕草を知悉した描写、著者は犬好きに違いない。脇役の猫もいい味出してる。
読了日:07月24日 著者:ボストン テラン

雰囲気のある表紙と、若林正恭に似たタイトルセンスに感じて、買ってしまった。「大家さんと僕」のようなエッセイをどこか期待していたので、読んでみるとエッセイではなく日記だ、と思った。こういうテンションで話す友達、身近にいるなぁ。楽しそうに話すのを見るのが楽しくて、話した内容はほとんど覚えていないのだけれど。こんな「大家さん」という人種は、現代日本にまだ一定数いらっしゃるのだろうか。矢部さんの大家さんと通じる部分がある。身の周りをきっちりとして、品が良くて、自分の道を守っている。歳取っても自立した女性って素敵。
読了日:07月22日 著者:能町 みね子


聞き手の酷いこと。驕り出しゃばり、「凄いイデオロギーを具現した傑物」ばりに崇めようなど失礼に過ぎるが、宮崎駿は話の噛み合わなさを流しつつ、イデオロギーで語る言葉の雑さに囚われないよう、言葉を選んで話している。どんな状態になっても世界を肯定したい気持ちと、生きることが困難な世界の予感、そのはざま。半藤一利との対談や甲野先生への手紙に表れた率直な危機感は、この対談では隠されているが、各作品の背景となった時代や宮崎駿の足場が存分に語られていて興味深かった。私も、タタラ場で生きるしかないのだよな。映画観直したし。
読了日:07月21日 著者:宮崎 駿


大島青松園から小豆島を挟んで岡山側、長島愛生園に著者はいた。ハンセン病療養施設は人間の尊厳剥奪の代名詞のように言われるが、この本は様子が違う。『私だけ、らい患者だけが特異で、皆様とは大きく違う人生とは思えない』。実の家族との愛情深い生活、入園以降の療養生活を情感豊かかつ理知的に語りつつ、病のために苦しんだ事実と自分の人生の価値は別物と、安易な憐れみを拒絶する。これこそ本当の尊厳なのだと思った。ハンセン病療養施設にもっと残酷な過去があるのは事実だが、それだけを見ては、入所者の尊厳を更に奪うことになる。
読了日:07月21日 著者:宮崎 かづゑ

『自然と人間の命の道場のような場所』(武藤昭)。その表現の的確さにしびれるような感動を覚える。単独で山に登るソロクライマーと自然を扱うアーティスト、そこに共通するものがある点には議論の余地がない。自然や自分に対峙する厳しさと心安さ。しかしその姿勢や表現には人それぞれ違いと濃淡がある。山に自然に惹かれる衝動、自分が良しとする水準まで妥協しないストイックさ、裏腹な臆病さ。それが私の好みだ。他ならぬ山野井泰史や岡田昇の純粋な突き抜け感は、表現方法に依るものか、その切れ端でも味わいたいと卑小な私にも切望させる。
読了日:07月16日 著者:

名前は聖岳から、なんて素敵なエピソードから始まるエッセイ。ジョン・ミューア・トレイルもアラスカもハードな行程のはずだが、ブログ日記みたいな文章で、厳しさや美しさは具体的に伝わってこない。楽しさを伝えるのが目的とのことなので、そうなるのかもしれない。そして半分以上がごはんのことだ。女性だから余計に、ごはんをつくって食べる行為の大きさを意識するものなのだろうか。女性の連れがいて、ロングトレイルやキャンプが多くなると、気にせずにいられないものかもしれない。確かに長丁場で携帯食が続くと栄養状態は気になるなぁ。
読了日:07月15日 著者:小島 聖

スペクトラム:意見・現象・症状などが、あいまいな境界をもちながら連続していること。この単語が示すとおり、自閉症は人によって程度も違い、症状も違う。まるで万華鏡みたいだ。話している内容や書かれていることが、少なくとも過不足なく、文字通りの意味でないと理解できない。細かなことに固執するなどのコミュニケーション面が印象強いが、IQが高かったり、思いがけない才能が開花することも珍しくない。啓発のための写真集。実際に出会ったとき、どう接していいかわからないが、脳の発達の仕方が違っている、それだけのことと覚えておく。
読了日:07月13日 著者:MAKIKO


ラテンアメリカの歴史。スペインの帝国主義、次いでアメリカの資本主義に中南米は搾取され続ける。搾取への反抗、独立闘争の立役者としてゲバラとカストロは現れた。武器に頼らなければ国を変えることができなかった状況下に、「純粋な革命家」として名を遺したゲバラ、その人生を辿ると、精神の稀有さに目を見張る。人間の魂のあるべき姿を求め闘い続けた人生に見えた。1959年に来日した際、ゲバラは注目されるどころかマスコミは無視、閣僚は冷遇した。革命の精神にほど遠い日本国内でゲバラ本やグッズが未だ根強いのはファッションなのかな。
読了日:07月13日 著者:三好 徹


ハイチ、ギリシャ、フィリピン、ウガンダ。国境なき医師団(MSF)の活動を著者は見に行った。「見に行く」というなんとも平たい表題は、裏返せば「見ることしかできなかった」自覚の表明だろう。MSFスタッフは自分が持つ技術を提供するしなやかな力の集まりだった。<ひとつ違えば自分であったかもしれない立場にあるのが相手>と気づいたことが彼らの原動力だ。本人次第で人間の視野は際限なく狭まりも広がりもする。では読むことで小さなバトンを受け取った私は? 企業人としての役目を終えてから加わるのでも遅くはないことを覚えておく。
読了日:07月09日 著者:いとう せいこう

![図解入門よくわかる最新スマートグリッドの基本と仕組み[第3版] (How‐nual Visual Guide Book)](https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51ZBNMWBoDL._SL120_.jpg)
電気業界がこの先どのように変化するかを考察するために。スマートグリッドとは、電力送配電のデジタル化による需給制御を指す。発送電分離、電力自由化、スマートメーター普及、HEMS/BEMS。ここまでは既に実現した。皮肉にも原発停止がシステム変革を急速に後押ししたように見える。特に使用電力の可視化は熟成期間に入った。ここからは蓄電池、スマートコミュニティからマイクログリッドまで進むと期待したい。大型インフラな高圧直流送電は疑問だ。エネルギー政策だけでなく環境対策の部分が日本でも進むかがポイントになりそうだ。
読了日:07月07日 著者:山藤 泰

昂然ともたげられた頭に伸びた背筋。100歳を超えてなお明正な精神はどのような境地か。人生は途切れなく続く螺旋を登るようなものだけれど、どうやら生きている限り上へと続いているみたいだ。「人」の甲骨文字の形は、二人が支え合っているのではなく、一人が手を前に出して何かを始めよう助けようとする姿に見える、なんて思いがけない発想で興味深かった。しかし本文以外の、大きなフォントで印刷された言葉は、本人の言葉ではないように感じる。もっともらしげに要約する言葉は胡散臭く、邪魔なので読まないようにした。備忘『我が立つ杣』。
読了日:07月06日 著者:篠田 桃紅

私は疲れているのだろう。行き詰まる会社の描写が苦痛で、つい銀行の不義理や大企業社員の無能を罵倒したくなる。かたや社員は和解金を賞与で出せなどと言って、お前は会社の金を何だと思っているのだと憤まんやるかたなくもなった。『いつも顔を合わせていても、社員と経営者との間には途方もないほどの距離がある』。父はどんな気分で読んだのか。今はうまくいっていても、いつかどうにもならない状況に転落するのではという不安は常につきまとう。信頼、信用を積み重ねる。それだけではこんな成功とカタルシスは得られないが、夢だけでもいかん。
読了日:07月03日 著者:池井戸 潤
注:

2018年07月23日
猫も熱中症になりそう
これまでにこんな暑い夏はない、と思うような日が続きます。
人間でも耐えがたいのに、毛皮を着ている猫たちはもっと暑いのでは。
どうしよう、帰宅したらぐったりしてたら、と思うと居ても立ってもいられず、
昼休みに急いで帰宅してみました。
外気温が36℃から37℃にもなろうかという晴れの日、我が家のリビングは32.6℃。
毎日、猫たちが好きな場所を選べるように、部屋間の扉を解放しています。
鉄筋コンクリート造りのマンションの、上層階。
外からも若干風が入るためか、むっと熱気がこもったような感じはありません。
当の猫たちは、それぞれ玄関や台所、洗濯かごの中(!)でくつろぎ中。
変な時間に帰ってきた飼い主にけげんな顔をしています。
平気、みたい…。
犬は夏場の留守番はエアコンが必須ですが、猫は暑さに強いと聞きます。
かといって、みんな年寄り猫ですし、油断はできません。
しゃべれない猫をよく観察するのも飼い主の責任!
飲み水は家のあちこちに、新鮮なものをたっぷりと。
ドライフードは目に見えて減らなくなっています。
暑さで食欲は落ちているみたい。
こんなときは、ウェットフードが水分補給のためにも有効です。
いろんな種類のを買ってやると、とても喜んで食べてます。
人間も在宅の間はエアコンの効いた部屋で一緒に。
こーんな格好で寝ています。

人間でも耐えがたいのに、毛皮を着ている猫たちはもっと暑いのでは。
どうしよう、帰宅したらぐったりしてたら、と思うと居ても立ってもいられず、
昼休みに急いで帰宅してみました。
外気温が36℃から37℃にもなろうかという晴れの日、我が家のリビングは32.6℃。
毎日、猫たちが好きな場所を選べるように、部屋間の扉を解放しています。
鉄筋コンクリート造りのマンションの、上層階。
外からも若干風が入るためか、むっと熱気がこもったような感じはありません。
当の猫たちは、それぞれ玄関や台所、洗濯かごの中(!)でくつろぎ中。
変な時間に帰ってきた飼い主にけげんな顔をしています。
平気、みたい…。
犬は夏場の留守番はエアコンが必須ですが、猫は暑さに強いと聞きます。
かといって、みんな年寄り猫ですし、油断はできません。
しゃべれない猫をよく観察するのも飼い主の責任!
飲み水は家のあちこちに、新鮮なものをたっぷりと。
ドライフードは目に見えて減らなくなっています。
暑さで食欲は落ちているみたい。
こんなときは、ウェットフードが水分補給のためにも有効です。
いろんな種類のを買ってやると、とても喜んで食べてます。
人間も在宅の間はエアコンの効いた部屋で一緒に。
こーんな格好で寝ています。

2018年07月02日
2018年6月の記録
世界には私の知らないことがたくさんある。
それを片っ端からかじり散らしているような読書だ。
さすがに疲れた。
ノンフィクションの疲れと小説の疲れは違う。
しかし、脳の一部を尖鋭化させる作業を伴うのは同じだ。
少し、ぼんやりいこう。
<今月のデータ>
購入11冊、購入費用13,100円。
読了13冊。
積読本114冊(うちKindle本24冊)。

6月の読書メーター
読んだ本の数:13
蔵の中・鬼火 (角川文庫)の感想
雑誌の連載だっただろうか。陰湿で、艶めかしくて、狂気じみた物語は、横溝正史の世界の王道だ。陽の当たりそうにない事件の真相への、読む者の好奇心を的確に誘う。妖しさを醸す小道具は言うまでもなく、音、色、形、臭いまで、五感を絡め取られて、ついどっぷり読まされてしまう。『何かしら日陰の湿地で熟れ崩れた果実のようにすえたにおいのする美しさ』とは、これらの物語たちをずばり言い当てた形容じゃないだろうか。Kindleではなく、思わず汗がじっとり滲みそうな手で紙のページを押えつつ、部屋の隅で密かに読みたい。
読了日:06月29日 著者:横溝 正史
マンガでやさしくわかるCSRの感想
Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任。「自然環境や社会環境へのダメージを少なくし、社会から信頼される会社を作るための持続可能なマネジメントの手法」としてEUで立案された。と言えば拒否感が半端ないが、つまり「三方良し」の思想だ。ISO26000に沿って大幅改革するより、小さな選択の積み重ねとして浸透させたい。要素のうち、・組織統治・人権・労働慣行・環境・公正な事業慣行・消費者問題・コミュニティ参画と開発はうちも該当する。ひとつずつ詰めていく、まずはエコアクション。
読了日:06月28日 著者:足立 辰雄
リアル・シンデレラ (光文社文庫)の感想
シンデレラと題されれば、読者は泉をシンデレラに照らし合わせて読む。幸せになってほしいと読者が願える主人公。ちょっとヘンだけど、女らしい嫌らしさの全く無い女の子。しかし女がより良い伴侶を勝ち取って幸せに暮らそうと闘争する世界では、泉は完全に異物なのだろう。言うまでもなく現実でも。外界から来て泉に出会った人は泉を好ましく思う。その落差が際立っていた。泉は冒頭から不穏な陰を漂わせていた。幸せになってほしい願いは見事裏切られる。姫野カオルコは人の歪さ、醜さをすっぱりと書く。しかし毒々しくはない、そこが私は好きだ。
読了日:06月27日 著者:姫野 カオルコ
職業は武装解除 (朝日文庫)の感想
NPO法人JCCPは人材育成を通じた紛争解決と紛争予防の活動をしている。というと難しげだが、臨場感のあるエピソードでわかりやすい。『日本が言うから、信頼して武器を差し出すんだ』。平和で裕福な、そして武力を持たない国の人間だからこそできることがあると気づかされる。こういう日本人の活動を知らないことが、資金協力や自衛隊派遣以外の国際貢献を選べることに気づけない理由のひとつだ。日本人のリテラシーを育てるために、将来を選ぶ若者が「人並み」以外の道を知り「自由に行動できる権利」を行使できるために。お薦めしたい本だ。
読了日:06月23日 著者:瀬谷ルミ子
人質の朗読会 (中公文庫)の感想
場面設定自体が特異だが、まず周りは言葉の通じない外国人ばかりで、部屋には同胞が8人いて、そこでどんな過去を語るだろう。命が助かるかもしれない。助からない可能性も高い。そのような状況下で出る言葉が「祈り」に近づくのは間違いないだろう。しかし、もし私だったら、過去の、ふとすれ違っただけの、名も知らぬ人とのエピソードを思い出したりはしないんじゃないか。人質たちの語る話がしっくりこなかった。そんなときだからこそ、他人とのつながりに思いを託すものだろうか。あるいは忘れられたくない願いの証左にすがったのだろうか。
読了日:06月19日 著者:小川 洋子
忘れられた日本―沖縄文化論 (1964年) (中央公論社)の感想
昭和36年、米軍占領下の沖縄へ岡本太郎は渡る。戦中の悲惨、戦後の土地接収はもとより、戦前の文化剥奪、薩摩藩と王府による人頭税、台風、マラリアと沖縄は奪われ続け、「無い」のが標準とはやりきれない。著者は言う。無いから生まれる唄や踊りが美しい。無いから純粋に胸を打つ。「なんにもない清らかさ」を理解できることが、日本人古来の魂の存在を証明すると。御嶽のように、日本人も昔、なにもない場で祈っていた。自然の樹木。石。そこに人と神とをつなぐ道を見つけられるから、物々しい社や道具は必要なかったという指摘が印象的だった。
読了日:06月17日 著者:岡本 太郎
10年後の仕事図鑑の感想
時代の寵児のおしゃべり本。論拠があって言っているわけではない。巻末の参考文献の少なさときたら。人が生きることの上っ面だけをかき回しているというか、人間は生物学的理由やこれまでの歴史の上に生き、稼ぐためよりも生きるために仕事をしている訳で、そこの部分をすっかり抜かして話していて、私には理解できない。ただ、他人と違わないようにと生き、安全と思わされているレールの上に留まることを「人並みの幸せ」と盲信してしがみつく生き方からは離れるべきとの考え方には賛成だ。人間はもっと別の方向に、別の意味で幸せになれるよ。
読了日:06月15日 著者:堀江 貴文,落合 陽一
魅惑の黒猫 知られざる歴史とエピソードの感想
贈られた本。黒猫の写真のひとつひとつが悶絶級の可愛さ。どの写真もうちの子に似て見え、世界一可愛い。とかく不吉な迷信、それに伴う迫害の歴史が黒猫のイメージと言われるが、主に西洋のものだ。日本や世界全体で見れば良い迷信も悪い迷信も、他の色の猫同様、均衡しているのではないかな。ただ、黒猫は譲渡が難しい、ハロウィン前は虐待回避の為に譲渡を避けるなど、悲しい現実は今もあるようだ。黒猫以外の猫全体の話題にすり替わっていたり、果ては「黒猫」他文芸作品を丸々引用するなど、黒猫だけで1冊の本にしようとした企画自体が苦しい。
読了日:06月15日 著者:ナタリー・セメニーク
暴政:20世紀の歴史に学ぶ20のレッスンの感想
蓮舫氏お勧めの本。著者はトランプ大統領統治下のアメリカを念頭に書いているが、少なからず日本にも当てはまり、目次を概観しただけで溜め息が出る。ジェファーソンの時代の格言『不断の警戒は自由の代償だ』が頭に残った。この場合の警戒対象は、諸外国ではなく自国内だ。一見平和でも、為政者を始め、世間の不穏を見逃しては取り返しのつかないことになる。そして、父祖が戦後築いてくれた法律や制度を含むシステムは万能ではない。自動的に私たちを守ってくれるとどこか思っている、それは確かに現代日本人の慢心の、ひとつの原因だと思った。
読了日:06月15日 著者:ティモシー・スナイダー,Timothy Snyder
未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA)の感想
久々の爆読寝不足系。私は海外拠点を持つ企業の内実も知らなければ、マクベスを読み込んでもなく、もちろん裏社会を知らず、香港と上海と澳門の区別も覚束ない。だからこそ茫漠と、物語だけを楽しめた。マクベスの筋をなぞることでこの物語は成立しているのだが、「あなたは王になって旅に出なくてはならない」という占い師の予言は、私にはそれとは別物としても秀逸に感じる。そして『偶然を偶然としか考えない立場と、偶然にさえ、そこに隠された必然に怯える立場の違い』というマクベスにも伏流するテーマに、彼も飲み込まれてしまったのだ。
読了日:06月13日 著者:早瀬 耕
香川県 雑学読本―これだけ知ればあなたも讃岐人の感想
これも亡祖父の本棚から拝借。小ネタ雑学集だが、著者が地元在住の好事家らしく、過剰にローカルな話題が多く面白かった。例えば「○○町△△の××さんの持っている山にはたくさん生えており…」みたいな話は、どこから仕入れてきたのだろう。平成の初期、小豆島のオリーブ産業が縮小傾向にあったことや、JR端岡駅南の道脇に養蜂者により蜂魂碑が建てられたこと、讃岐三白"砂糖・綿・塩"の話も興味深い。また、明治初期の調査では、香川県民の主食は通常は麦七分、米三分であり、島では麦だけ、芋、粟の所もあったそうだ。無論うどんではない。
読了日:06月08日 著者:阿津 秋良
西南シルクロードは密林に消える (講談社文庫)の感想
アヘン王国に続く、主にミャンマーもの。国家制度により国境を引いた結果、共通の文化を持つ民族が分断された様子が見える。しかし、同じは同じなのだ。展開が巧みで、行ったことがない私でも「東アジア文化圏」「同じモンゴロイド」という大きな視座が芽生える。それにしても、高野さんの高い教養と、後先顧みず飛び込む習性は、それぞれの土地での肌感覚を統合・比較するとき大々的に化学反応を起こすのだろう。ゲリラの存在は民族の結びつきの強さと表裏で、独立=国家政権打倒=革命=希望の構図は人間にとって原始の性質なのだろうか。大作!
読了日:06月07日 著者:高野 秀行
生命の逆襲の感想
『自然は動的平衡の網の目から成り立っています』。AERAコラムの書籍化。一篇4ページのエッセイは、身近な話題や時事ニュースを取り上げてわかりやすく解説してくれる。それにしては過激な書籍タイトルなのは、現代の潮流に警鐘を鳴らしたい思いがあるからだろう。著者の文章には一貫して生物への崇敬がある。そしてそれは、人間がおいそれと「解明した」と断言し、「解決策を見つけた」と決めつけてはいけない、深遠な世界の自覚でもある。その姿勢が私には心地よい。ミツバチが減っている現象も、やっぱり人間のせいらしいぜ。学習しないね。
読了日:06月04日 著者:福岡伸一
注:
はKindleで読んだ本。
それを片っ端からかじり散らしているような読書だ。
さすがに疲れた。
ノンフィクションの疲れと小説の疲れは違う。
しかし、脳の一部を尖鋭化させる作業を伴うのは同じだ。
少し、ぼんやりいこう。
<今月のデータ>
購入11冊、購入費用13,100円。
読了13冊。
積読本114冊(うちKindle本24冊)。

6月の読書メーター
読んだ本の数:13

雑誌の連載だっただろうか。陰湿で、艶めかしくて、狂気じみた物語は、横溝正史の世界の王道だ。陽の当たりそうにない事件の真相への、読む者の好奇心を的確に誘う。妖しさを醸す小道具は言うまでもなく、音、色、形、臭いまで、五感を絡め取られて、ついどっぷり読まされてしまう。『何かしら日陰の湿地で熟れ崩れた果実のようにすえたにおいのする美しさ』とは、これらの物語たちをずばり言い当てた形容じゃないだろうか。Kindleではなく、思わず汗がじっとり滲みそうな手で紙のページを押えつつ、部屋の隅で密かに読みたい。
読了日:06月29日 著者:横溝 正史


Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任。「自然環境や社会環境へのダメージを少なくし、社会から信頼される会社を作るための持続可能なマネジメントの手法」としてEUで立案された。と言えば拒否感が半端ないが、つまり「三方良し」の思想だ。ISO26000に沿って大幅改革するより、小さな選択の積み重ねとして浸透させたい。要素のうち、・組織統治・人権・労働慣行・環境・公正な事業慣行・消費者問題・コミュニティ参画と開発はうちも該当する。ひとつずつ詰めていく、まずはエコアクション。
読了日:06月28日 著者:足立 辰雄

シンデレラと題されれば、読者は泉をシンデレラに照らし合わせて読む。幸せになってほしいと読者が願える主人公。ちょっとヘンだけど、女らしい嫌らしさの全く無い女の子。しかし女がより良い伴侶を勝ち取って幸せに暮らそうと闘争する世界では、泉は完全に異物なのだろう。言うまでもなく現実でも。外界から来て泉に出会った人は泉を好ましく思う。その落差が際立っていた。泉は冒頭から不穏な陰を漂わせていた。幸せになってほしい願いは見事裏切られる。姫野カオルコは人の歪さ、醜さをすっぱりと書く。しかし毒々しくはない、そこが私は好きだ。
読了日:06月27日 著者:姫野 カオルコ

NPO法人JCCPは人材育成を通じた紛争解決と紛争予防の活動をしている。というと難しげだが、臨場感のあるエピソードでわかりやすい。『日本が言うから、信頼して武器を差し出すんだ』。平和で裕福な、そして武力を持たない国の人間だからこそできることがあると気づかされる。こういう日本人の活動を知らないことが、資金協力や自衛隊派遣以外の国際貢献を選べることに気づけない理由のひとつだ。日本人のリテラシーを育てるために、将来を選ぶ若者が「人並み」以外の道を知り「自由に行動できる権利」を行使できるために。お薦めしたい本だ。
読了日:06月23日 著者:瀬谷ルミ子


場面設定自体が特異だが、まず周りは言葉の通じない外国人ばかりで、部屋には同胞が8人いて、そこでどんな過去を語るだろう。命が助かるかもしれない。助からない可能性も高い。そのような状況下で出る言葉が「祈り」に近づくのは間違いないだろう。しかし、もし私だったら、過去の、ふとすれ違っただけの、名も知らぬ人とのエピソードを思い出したりはしないんじゃないか。人質たちの語る話がしっくりこなかった。そんなときだからこそ、他人とのつながりに思いを託すものだろうか。あるいは忘れられたくない願いの証左にすがったのだろうか。
読了日:06月19日 著者:小川 洋子

昭和36年、米軍占領下の沖縄へ岡本太郎は渡る。戦中の悲惨、戦後の土地接収はもとより、戦前の文化剥奪、薩摩藩と王府による人頭税、台風、マラリアと沖縄は奪われ続け、「無い」のが標準とはやりきれない。著者は言う。無いから生まれる唄や踊りが美しい。無いから純粋に胸を打つ。「なんにもない清らかさ」を理解できることが、日本人古来の魂の存在を証明すると。御嶽のように、日本人も昔、なにもない場で祈っていた。自然の樹木。石。そこに人と神とをつなぐ道を見つけられるから、物々しい社や道具は必要なかったという指摘が印象的だった。
読了日:06月17日 著者:岡本 太郎

時代の寵児のおしゃべり本。論拠があって言っているわけではない。巻末の参考文献の少なさときたら。人が生きることの上っ面だけをかき回しているというか、人間は生物学的理由やこれまでの歴史の上に生き、稼ぐためよりも生きるために仕事をしている訳で、そこの部分をすっかり抜かして話していて、私には理解できない。ただ、他人と違わないようにと生き、安全と思わされているレールの上に留まることを「人並みの幸せ」と盲信してしがみつく生き方からは離れるべきとの考え方には賛成だ。人間はもっと別の方向に、別の意味で幸せになれるよ。
読了日:06月15日 著者:堀江 貴文,落合 陽一

贈られた本。黒猫の写真のひとつひとつが悶絶級の可愛さ。どの写真もうちの子に似て見え、世界一可愛い。とかく不吉な迷信、それに伴う迫害の歴史が黒猫のイメージと言われるが、主に西洋のものだ。日本や世界全体で見れば良い迷信も悪い迷信も、他の色の猫同様、均衡しているのではないかな。ただ、黒猫は譲渡が難しい、ハロウィン前は虐待回避の為に譲渡を避けるなど、悲しい現実は今もあるようだ。黒猫以外の猫全体の話題にすり替わっていたり、果ては「黒猫」他文芸作品を丸々引用するなど、黒猫だけで1冊の本にしようとした企画自体が苦しい。
読了日:06月15日 著者:ナタリー・セメニーク

蓮舫氏お勧めの本。著者はトランプ大統領統治下のアメリカを念頭に書いているが、少なからず日本にも当てはまり、目次を概観しただけで溜め息が出る。ジェファーソンの時代の格言『不断の警戒は自由の代償だ』が頭に残った。この場合の警戒対象は、諸外国ではなく自国内だ。一見平和でも、為政者を始め、世間の不穏を見逃しては取り返しのつかないことになる。そして、父祖が戦後築いてくれた法律や制度を含むシステムは万能ではない。自動的に私たちを守ってくれるとどこか思っている、それは確かに現代日本人の慢心の、ひとつの原因だと思った。
読了日:06月15日 著者:ティモシー・スナイダー,Timothy Snyder

久々の爆読寝不足系。私は海外拠点を持つ企業の内実も知らなければ、マクベスを読み込んでもなく、もちろん裏社会を知らず、香港と上海と澳門の区別も覚束ない。だからこそ茫漠と、物語だけを楽しめた。マクベスの筋をなぞることでこの物語は成立しているのだが、「あなたは王になって旅に出なくてはならない」という占い師の予言は、私にはそれとは別物としても秀逸に感じる。そして『偶然を偶然としか考えない立場と、偶然にさえ、そこに隠された必然に怯える立場の違い』というマクベスにも伏流するテーマに、彼も飲み込まれてしまったのだ。
読了日:06月13日 著者:早瀬 耕

これも亡祖父の本棚から拝借。小ネタ雑学集だが、著者が地元在住の好事家らしく、過剰にローカルな話題が多く面白かった。例えば「○○町△△の××さんの持っている山にはたくさん生えており…」みたいな話は、どこから仕入れてきたのだろう。平成の初期、小豆島のオリーブ産業が縮小傾向にあったことや、JR端岡駅南の道脇に養蜂者により蜂魂碑が建てられたこと、讃岐三白"砂糖・綿・塩"の話も興味深い。また、明治初期の調査では、香川県民の主食は通常は麦七分、米三分であり、島では麦だけ、芋、粟の所もあったそうだ。無論うどんではない。
読了日:06月08日 著者:阿津 秋良

アヘン王国に続く、主にミャンマーもの。国家制度により国境を引いた結果、共通の文化を持つ民族が分断された様子が見える。しかし、同じは同じなのだ。展開が巧みで、行ったことがない私でも「東アジア文化圏」「同じモンゴロイド」という大きな視座が芽生える。それにしても、高野さんの高い教養と、後先顧みず飛び込む習性は、それぞれの土地での肌感覚を統合・比較するとき大々的に化学反応を起こすのだろう。ゲリラの存在は民族の結びつきの強さと表裏で、独立=国家政権打倒=革命=希望の構図は人間にとって原始の性質なのだろうか。大作!
読了日:06月07日 著者:高野 秀行


『自然は動的平衡の網の目から成り立っています』。AERAコラムの書籍化。一篇4ページのエッセイは、身近な話題や時事ニュースを取り上げてわかりやすく解説してくれる。それにしては過激な書籍タイトルなのは、現代の潮流に警鐘を鳴らしたい思いがあるからだろう。著者の文章には一貫して生物への崇敬がある。そしてそれは、人間がおいそれと「解明した」と断言し、「解決策を見つけた」と決めつけてはいけない、深遠な世界の自覚でもある。その姿勢が私には心地よい。ミツバチが減っている現象も、やっぱり人間のせいらしいぜ。学習しないね。
読了日:06月04日 著者:福岡伸一
注:

2018年06月01日
2018年5月の記録
忙しい実感があるわりに、読んでいるものだと感慨。
だたし細切れの時間で読むので、それなりにしか読めていない。
長編小説を、朝から晩までかけて、一気呵成に読むような贅沢がしたい。
あ、「金色機械」はそんな感じで読んだのだったか…。
<今月のデータ>
購入12冊、購入費用13,550円。
読了10冊。
積読本107冊(うちKindle本18冊)。

5月の読書メーター
読んだ本の数:10
ダークタワー IV‐1/2 鍵穴を吹き抜ける風 (角川文庫)の感想
キングがこれを書いたのはシリーズ完結の何年も後だ。ということは、キングはこの物語を書き足す必要を感じていた訳で、それは何だったか。懐かしい我らがカ・テットの描写はわずかで、彼らにローランドが語った話こそが肝。これは少年がガンスリンガーになる物語であり、ローランドの両親との物語である。ローランドの母の姿が浮かび上がる他方で、私は物語の持つ力のことを思っていた。鍵穴を吹き抜ける風。鍵穴は語り手や本で、風が物語。この物語が幼いローランドに与えたものは大きかった。『老若男女、だれもがお伽噺のために生きている』。
読了日:05月31日 著者:スティーヴン・キング
この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかたの感想
人間社会がなんらかの大打撃を受け、休みなく動き続けるシステムが崩壊した世界は、多くの小説に描かれてきた。著者は一つの思考実験として、人間が深化させた科学知識をもって、ただし専門家や特異な道具は用いずに社会を再建する方法を辿ってみせる。これは現在享受する生活を顧みさせる点で、かのトースター自作挑戦の裏返しだ。現代人が自力で、今と同等の生活を送ることは不可能である。一方で凄まじく細分化かつ専門化される前の英知は気高くも感じた。環境持続可能性や資源リサイクルの観点から、新しい気づきも多く生まれる知的アプローチ。
読了日:05月30日 著者:ルイス ダートネル
ナムル100 (講談社のお料理BOOK)の感想
つくり置きできる重宝な副菜、ナムル。調味だれは基本として4種類紹介されており、これは携帯に画像保存。野菜は何でもよくて、茹でる、炒める、蒸す、または生でもよいという。なんとなく野菜は1種類と思っているけれど、2種類だってOK。焼き海苔やわかめ、さきいかを一緒に和えるのは美味しそう。とりあえず、ほうれんそう、小松菜、ブロッコリー、キャベツ、もやし、アスパラ、絹さや、オクラ、人参、きゅうり、ジャガイモ、エリンギ、ズッキーニ、茄子、大根、ゴボウ、レンコン、かぶ、長芋あたりを4つの味で使い回すことにする。
読了日:05月28日 著者:チョン・テキョン
ようこそ地球さん (新潮文庫)の感想
昭和36年までの初期短編集。文章は平易で、漫画や演劇のようなドラマチックさが全面に出て、気軽な読み物として支持されただろう。努めて時事物は扱わないようにしたとのことだが、時代の空気や思想は漂うものである。未来に対して、また人間に対して、シニカルなものが主だ。当然のことながら、短編より短いのでとにかく数が多い。作家が発想したアイデアは、中長編小説ならば卵の時点で吟味厳選されるのだろうが、ショートショートの場合はわりに多くが作品になっていそうだ。などと言うと、軽く見ていると言われるのだろう。私は、読み疲れた。
読了日:05月23日 著者:星 新一
金色機械の感想
恒川さんの長編は嬉しく、のめるように読んだ。金色様の存在を軸に、数多の人の生が描かれる。時代と視点を行き来しつつ、様々の不思議が解かれる趣向だ。保たれるべく周到に図られた遺産やシステムも、人の世が移ろえばいずれ滅びることを免れない。その代り『敵も味方も、いずれは交じりあい、その子らは睦みあい、新たな世を創るでしょう』。金色様、否、「彼女」にはわかっていたのだろう。人の胸の内、人と人の間、ひいては社会の在り方。善悪より、清濁という人間の持つ自然の性質を思った。各章のタイトルに恒川さんらしい色気があって好い。
読了日:05月20日 著者:恒川 光太郎
ダチョウの卵で、人類を救います! : アトピー、新型インフルエンザ、HIVも撃墜する夢の抗体発見秘の感想
何の分野においても「好き」は破格の推進力を発揮する。ダチョウが好きで、ずっと眺めていて、ダチョウが怪我や病気に強いことに気づき、抗体をつくる能力が高いと推測したのが端緒。大学で研究予算が削られる中、文部科学省の助成を受けて研究成果を挙げ、大学発ベンチャーとして産業に結びつけた事例でもある。ダチョウを殺さなくても、卵から抗体を採れるところが秀逸。『生命力を借りる』。生き物への敬意を持ちつつ、研究に取り組む姿勢が好感大だ。応援したいので、まずはダチョウ力マスクを花粉症の父にプレゼントする。タイトルに偽りなし。
読了日:05月18日 著者:塚本 康浩
薬石としての本たちの感想
やく‐せき【薬石】いろいろの薬や治療法。書評ではなく、ご自身の人生において鍵となる本と、それにまつわる随想から成る。それぞれが長めでなので、ほとんど半生記だ。南木佳士の文章に「何がないか」はわからないものだが、ご本人は身に実感できない言葉、さらに「心」という言葉は使わないとここに書いている。だからこそ、浮つかない、人そのものの有り様が、静かに自分を整える助けになるのだなと納得した。『人の真実は水深ゼロメートルにある』。歩くこと、山を望むこと、身体(からだ)と心。これらを結びつける穏やかな生活のお手本。
読了日:05月17日 著者:南木 佳士
ひとりでは生きられない ある女医の95年 (集英社文庫)の感想
養老先生の母堂による随想録。真剣に好きなことをするのが人生との主義から、その人生は自由奔放でロマンチックで、気風は子供達に受け継がれているようだ。だが一方、二人目の夫つまり養老先生の尊父は昭和17年、33歳の若さで粟粒結核により亡くなっているので、苦労がない訳がない。本人はわがままに生きたと言うけれど、「八百屋の店先でリンゴをかじりながら買い物をする」姿も、傍からは真剣かつ鮮やかな生き方に見えたのではないだろうか。解説は養老先生。親は親であるので客観的な解説などできるかと、閉口した苦い顔が見えるようだ。
読了日:05月11日 著者:養老 静江
生き物はどのように土にかえるのか: 動植物の死骸をめぐる分解の生物学の感想
分解の生態学。動物や植物の分解過程、理論を易しく説明しており、より深く知るための導入としても良さそう。遺体分解帯など知らない事は多い。さて私の関心事はいつか来る愛猫の埋葬。炉での火葬より、土に還してやりたいと思うようになった。土に還る速度は気温や土地の性質に大きく左右される。埋めるより置く、つまり鳥葬が最も早く土に還るようだが、日本人としては忌避感が半端ない。「棺に入れて土葬」が最も土に還るのが遅い埋葬法との指摘が興味深い。『土に「還る」のではなく、生物と無生物の間、大気と大海と土の中の「循環」』。
読了日:05月07日 著者:大園 享司
歴史に「何を」学ぶのか (ちくまプリマー新書)の感想
半藤さんは歴史の”本当”を発見した者の責任であるかのように発言と著作を重ねてきた。DVD監修や、このプリマー新書も、少しでも多くに事実を届けたい思いからだろう。義務教育の「歴史」は勝者の論理、官修戦史の色を残す。『あの戦争をよく知らずにいたら、日本人はまた間違いを犯しかねない』。関東軍のような謀略や、政治家による権謀術数、民衆操縦を許してはならないし、その余地を憲法や法律に残してはならないのだ。戦争の悲惨さが忘れられるのに40年、為政者が替わり、自国中心主義から新たな戦争に向かうのに40年との史観怖し。
読了日:05月06日 著者:半藤 一利
注:
はKindleで読んだ本。
だたし細切れの時間で読むので、それなりにしか読めていない。
長編小説を、朝から晩までかけて、一気呵成に読むような贅沢がしたい。
あ、「金色機械」はそんな感じで読んだのだったか…。
<今月のデータ>
購入12冊、購入費用13,550円。
読了10冊。
積読本107冊(うちKindle本18冊)。

5月の読書メーター
読んだ本の数:10

キングがこれを書いたのはシリーズ完結の何年も後だ。ということは、キングはこの物語を書き足す必要を感じていた訳で、それは何だったか。懐かしい我らがカ・テットの描写はわずかで、彼らにローランドが語った話こそが肝。これは少年がガンスリンガーになる物語であり、ローランドの両親との物語である。ローランドの母の姿が浮かび上がる他方で、私は物語の持つ力のことを思っていた。鍵穴を吹き抜ける風。鍵穴は語り手や本で、風が物語。この物語が幼いローランドに与えたものは大きかった。『老若男女、だれもがお伽噺のために生きている』。
読了日:05月31日 著者:スティーヴン・キング

人間社会がなんらかの大打撃を受け、休みなく動き続けるシステムが崩壊した世界は、多くの小説に描かれてきた。著者は一つの思考実験として、人間が深化させた科学知識をもって、ただし専門家や特異な道具は用いずに社会を再建する方法を辿ってみせる。これは現在享受する生活を顧みさせる点で、かのトースター自作挑戦の裏返しだ。現代人が自力で、今と同等の生活を送ることは不可能である。一方で凄まじく細分化かつ専門化される前の英知は気高くも感じた。環境持続可能性や資源リサイクルの観点から、新しい気づきも多く生まれる知的アプローチ。
読了日:05月30日 著者:ルイス ダートネル


つくり置きできる重宝な副菜、ナムル。調味だれは基本として4種類紹介されており、これは携帯に画像保存。野菜は何でもよくて、茹でる、炒める、蒸す、または生でもよいという。なんとなく野菜は1種類と思っているけれど、2種類だってOK。焼き海苔やわかめ、さきいかを一緒に和えるのは美味しそう。とりあえず、ほうれんそう、小松菜、ブロッコリー、キャベツ、もやし、アスパラ、絹さや、オクラ、人参、きゅうり、ジャガイモ、エリンギ、ズッキーニ、茄子、大根、ゴボウ、レンコン、かぶ、長芋あたりを4つの味で使い回すことにする。
読了日:05月28日 著者:チョン・テキョン


昭和36年までの初期短編集。文章は平易で、漫画や演劇のようなドラマチックさが全面に出て、気軽な読み物として支持されただろう。努めて時事物は扱わないようにしたとのことだが、時代の空気や思想は漂うものである。未来に対して、また人間に対して、シニカルなものが主だ。当然のことながら、短編より短いのでとにかく数が多い。作家が発想したアイデアは、中長編小説ならば卵の時点で吟味厳選されるのだろうが、ショートショートの場合はわりに多くが作品になっていそうだ。などと言うと、軽く見ていると言われるのだろう。私は、読み疲れた。
読了日:05月23日 著者:星 新一


恒川さんの長編は嬉しく、のめるように読んだ。金色様の存在を軸に、数多の人の生が描かれる。時代と視点を行き来しつつ、様々の不思議が解かれる趣向だ。保たれるべく周到に図られた遺産やシステムも、人の世が移ろえばいずれ滅びることを免れない。その代り『敵も味方も、いずれは交じりあい、その子らは睦みあい、新たな世を創るでしょう』。金色様、否、「彼女」にはわかっていたのだろう。人の胸の内、人と人の間、ひいては社会の在り方。善悪より、清濁という人間の持つ自然の性質を思った。各章のタイトルに恒川さんらしい色気があって好い。
読了日:05月20日 著者:恒川 光太郎

何の分野においても「好き」は破格の推進力を発揮する。ダチョウが好きで、ずっと眺めていて、ダチョウが怪我や病気に強いことに気づき、抗体をつくる能力が高いと推測したのが端緒。大学で研究予算が削られる中、文部科学省の助成を受けて研究成果を挙げ、大学発ベンチャーとして産業に結びつけた事例でもある。ダチョウを殺さなくても、卵から抗体を採れるところが秀逸。『生命力を借りる』。生き物への敬意を持ちつつ、研究に取り組む姿勢が好感大だ。応援したいので、まずはダチョウ力マスクを花粉症の父にプレゼントする。タイトルに偽りなし。
読了日:05月18日 著者:塚本 康浩


やく‐せき【薬石】いろいろの薬や治療法。書評ではなく、ご自身の人生において鍵となる本と、それにまつわる随想から成る。それぞれが長めでなので、ほとんど半生記だ。南木佳士の文章に「何がないか」はわからないものだが、ご本人は身に実感できない言葉、さらに「心」という言葉は使わないとここに書いている。だからこそ、浮つかない、人そのものの有り様が、静かに自分を整える助けになるのだなと納得した。『人の真実は水深ゼロメートルにある』。歩くこと、山を望むこと、身体(からだ)と心。これらを結びつける穏やかな生活のお手本。
読了日:05月17日 著者:南木 佳士


養老先生の母堂による随想録。真剣に好きなことをするのが人生との主義から、その人生は自由奔放でロマンチックで、気風は子供達に受け継がれているようだ。だが一方、二人目の夫つまり養老先生の尊父は昭和17年、33歳の若さで粟粒結核により亡くなっているので、苦労がない訳がない。本人はわがままに生きたと言うけれど、「八百屋の店先でリンゴをかじりながら買い物をする」姿も、傍からは真剣かつ鮮やかな生き方に見えたのではないだろうか。解説は養老先生。親は親であるので客観的な解説などできるかと、閉口した苦い顔が見えるようだ。
読了日:05月11日 著者:養老 静江

分解の生態学。動物や植物の分解過程、理論を易しく説明しており、より深く知るための導入としても良さそう。遺体分解帯など知らない事は多い。さて私の関心事はいつか来る愛猫の埋葬。炉での火葬より、土に還してやりたいと思うようになった。土に還る速度は気温や土地の性質に大きく左右される。埋めるより置く、つまり鳥葬が最も早く土に還るようだが、日本人としては忌避感が半端ない。「棺に入れて土葬」が最も土に還るのが遅い埋葬法との指摘が興味深い。『土に「還る」のではなく、生物と無生物の間、大気と大海と土の中の「循環」』。
読了日:05月07日 著者:大園 享司

半藤さんは歴史の”本当”を発見した者の責任であるかのように発言と著作を重ねてきた。DVD監修や、このプリマー新書も、少しでも多くに事実を届けたい思いからだろう。義務教育の「歴史」は勝者の論理、官修戦史の色を残す。『あの戦争をよく知らずにいたら、日本人はまた間違いを犯しかねない』。関東軍のような謀略や、政治家による権謀術数、民衆操縦を許してはならないし、その余地を憲法や法律に残してはならないのだ。戦争の悲惨さが忘れられるのに40年、為政者が替わり、自国中心主義から新たな戦争に向かうのに40年との史観怖し。
読了日:05月06日 著者:半藤 一利
注:

2018年05月21日
國分八幡宮、大禿山
風薫る晴れた休日、公園で本でも読もうと思い立った。
五色台の南のふもとにある如意輪寺公園へ、一度行ってみたかったのだ。

遊具の周りやグラウンドには子供がたくさんいるが、高台のベンチは無人。
ベンチにもたれて本を読み、のんびりできた。
太極拳の練習も広々できそうだ。
ここまで来たのだから、西隣の國分八幡宮も行っておこう。
隣と言いながら案外遠回りになったが、立派な境内だった。
人気のないせいだろうか、神域という感じがとてもする。気持ちが良い。

国分寺は、さすが国分寺が置かれただけあり、古い縁起のものがそこらじゅうにある。
由緒によると西暦750年頃の創祀だが、何度も焼失し奉遷している。
横にまわると、本殿のすぐ奥に大きな岩々が、本殿と同じ石の柵で囲われ祀られている。
これは岩磐(いわくら)と呼ぶようで、奉遷より古いものだろう。
ご神体かと思うほどの威圧感で、こちらの縁起がとても気になる。
この奥に、大禿山登山口とあった。
大禿山は如意輪寺公園と國分八幡宮の裏、五色台との間のこんもりした山だ。
五色台よりはるかに低いので、散歩スタイルのそのままで登ってみた。

しっかりした道があるが、人気はない。
雨の度に水が流れるのだろう、真ん中がえぐれて歩きにくい。
如意輪寺公園の北側をめぐる舗装路からのルートと合流した。
特に見通しもなく、黙々登る。
大禿山、176m。
頂上は開けており、日当たりが良い。祠が新しいものと、古いものと。

眺望は、五色台側だけが開けていた。
前に登った、遍路ころがしのルートが正面に見える。

制覇。達成感は、残念ながらない。
五色台の南のふもとにある如意輪寺公園へ、一度行ってみたかったのだ。

遊具の周りやグラウンドには子供がたくさんいるが、高台のベンチは無人。
ベンチにもたれて本を読み、のんびりできた。
太極拳の練習も広々できそうだ。
ここまで来たのだから、西隣の國分八幡宮も行っておこう。
隣と言いながら案外遠回りになったが、立派な境内だった。
人気のないせいだろうか、神域という感じがとてもする。気持ちが良い。

国分寺は、さすが国分寺が置かれただけあり、古い縁起のものがそこらじゅうにある。
由緒によると西暦750年頃の創祀だが、何度も焼失し奉遷している。
横にまわると、本殿のすぐ奥に大きな岩々が、本殿と同じ石の柵で囲われ祀られている。
これは岩磐(いわくら)と呼ぶようで、奉遷より古いものだろう。
ご神体かと思うほどの威圧感で、こちらの縁起がとても気になる。
この奥に、大禿山登山口とあった。
大禿山は如意輪寺公園と國分八幡宮の裏、五色台との間のこんもりした山だ。
五色台よりはるかに低いので、散歩スタイルのそのままで登ってみた。

しっかりした道があるが、人気はない。
雨の度に水が流れるのだろう、真ん中がえぐれて歩きにくい。
如意輪寺公園の北側をめぐる舗装路からのルートと合流した。
特に見通しもなく、黙々登る。
大禿山、176m。
頂上は開けており、日当たりが良い。祠が新しいものと、古いものと。

眺望は、五色台側だけが開けていた。
前に登った、遍路ころがしのルートが正面に見える。

制覇。達成感は、残念ながらない。