2018年03月01日
2018年2月の記録

「私の師匠」と勝手に決めた方に、本屋でお会いする機会がありました。
話している間にも、読みたい本が増える増える。
しかしその方の目前で本を買うのは、たいして興味を持って見られてはいないであろうに、
洗ってない顔を見られるくらい恥ずかしくて無理でした。
<今月のデータ>
購入17冊、購入費用9,873円。
読了10冊。
積読本108冊(うちKindle本20冊)。


ゼウス生誕の地、クレタ。そこには身体操作にまつわる随一の知が現存している…。軸を第二次世界大戦下のクレタ島における対ナチス抗戦に置きつつ、世界あちこちに飛ぶ挿話は冗長に感じる。主題を二つ設定したのは欲張りだろう。しかしすぐに、前作並みの熱い展開に引き込まれた。私が興奮したのは現代にも生きる英雄の技術のほうだ。パルクール、詠春拳、ナチュラル・ムーブメント、他にも。真の身体への探索と、神話や叙事詩に『役に立つ肉体というギリシャの理想』を読み取る辺りなど、鳥肌ものだ。【命の再野生化】を私の生涯目標としたい。
読了日:02月24日 著者:クリストファー・マクドゥーガル


表紙の印象からは思いがけない方向へ展開されようとしているのを、私は安心して楽しんでいる。身を委ねている。だって宮部みゆきだもの。東野圭吾とはまた違った職人技で、上巻は起承。場がつくられ、伏線が張られた。若い子たちが主人公なので、私の現実のヘヴィさからすれば気楽なものだ。なんて油断していたら、下巻でヤられるのかもしれぬ。楽しみだ。
読了日:02月23日 著者:宮部 みゆき

世界各地における支配と収奪がアメリカの存在意義であるような考え方だ。紛争を誘発し介入することで自国の立ち位置を確保している国、アメリカの世界支配はまだ100年続く「予測」にうんざりした。結局のところ世界の模範だの正義だのは虚構でしかない。確かにアメリカには地政学的アドバンテージと人的・物的資源のポテンシャルがある。対して日本は、地政学的にも、資源的にも、人口的にも今後増強は見込めない。だから次にアメリカに戦争を仕掛けるのは日本との論の立て方は、予想である以上否定もないが、あえて何かを見落としている。
読了日:02月16日 著者:ジョージ・フリードマン

彼らの関係は、実に稀な均衡の上に成り立っている。月島/深瀬のあやうさが核にあり、病名がつこうとつくまいと、彼の在りかたこそが独特であり、それを描写しえたところにこの小説の評価はある。唯一無二の声で歌う彼の言語が私の心を掴んで離さない理由は、痛みを知った者の生々しい強さだ。さて、彼とふたごであった生きかたを区切る気持ちが、藤崎彩織にこの小説を完成させたように感じる。彼らのうち二人が伴侶を得た今、均衡は揺らがざるを得ない。小説は彼らのデビューで明るく終わるが、どこか喪失を予感させるような切なさが後を引いた。
読了日:02月11日 著者:藤崎 彩織(SEKAI NO OWARI)


IBBYこと国際児童図書評議会の世界大会における皇后美智子様のご講演2編。社会的責務に基づく活動、とはいえ多々様々な依頼があることだろう。さて、子供時代の読書体験など、興味深く拝読した。美智子様とて戦争は他人事ではなく、疎開もされている。真摯な語り口を直に聴いたなら、どんなに胸を打たれたことかと思う。中でも日本神話を読まれたときのお話が印象深い。倭建と弟橘媛の物語から感じられたという、意志的な犠牲、愛と感謝が、今の美智子様の芯に持たれているお気持ちと明確に通じて想像されるのは、余りに短絡的だろうか。
読了日:02月09日 著者:美智子
![図解入門ビジネス最新産廃処理の基本と仕組みがよ~くわかる本[第2版] (How‐nual Business Guide Book)](https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51N06v2Y8XL._SL120_.jpg)
排出事業者向け。産廃処理の現状、マニフェスト制度の仕組み、不法投棄の現状、関連法の概説など、環境省の発表データに沿った丁寧な記述でわかりやすい。建設業絡みの不法投棄は大規模になりがちなので、建設業はより重点を置いて規制されていることもわかった。知りたかったのはそれぞれの産廃の定義と処理方法だったのだが、これを知ったことにより、排出事業者としての義務はもとより、可能な小さな工夫のアイデアも増えたと思う。当然ながら、産廃排出量の抑制と、より正確な分別は望ましい。エコアクション取るべきか、本腰入れて検討すべし。
読了日:02月08日 著者:尾上 雅典

長い旅だった。しかし小説の終盤には唖然とさせられ、物語の意味を考えた。思うに、これは失敗の旅だった。ローランドが非情だったから。象徴を失くしたから。だから<カ>は古い、しかし変容した世界にローランドを送り込んだのだ。真の心を手に入れた今、彼は心と自身の身体をいや増して痛めながら進むだろう。角笛を取り戻した次回こそは、旅を本当に終えることができるだろう。その塔の前には<カ・テット>が揃うべく<カ>が働くはずだ。さて、結末は唯一無二とキングは断言した。その物言いからして、キング自身の魂の決算は成されたようだ。
読了日:02月07日 著者:スティーヴン キング

これ、才能でしょう。大家さんとのやり取りのじんわりした温かさや、観察眼、絵の嫌味の無さ。笑いのパターンを踏みつつも、失礼ながら、テレビでの冴えない印象をぶっ飛ばして余りある。いや、テレビの人を馬鹿にした笑いとは異質の、人の心を緩める笑いを彼は知っているのだ。優しい。私はそのほうが好きだ。高齢の大家さんという、終わりがすぐそこにあるかもしれない儚さも手伝って、味わい深い。矢部さんと大家さんのランデヴーが1回でも多く続きますように。
読了日:02月05日 著者:矢部 太郎


最初のPTAに参加した経緯こそ「らしい」と思ったが、なんだ、さすがの杉江松恋も我が子の為ならば長いものにも巻かれるのか。と流し始めたらどっこい。豚の丸焼きパーティー、なんて楽しそうなんだ。可能な範囲で無駄を省き、可能な範囲で子どもの為に活動する。この可能な範囲、というのはけっこう広くて、保護者も教職者もいろいろ、動機も色々なのだな。会社員の経験があって、大事些事含め処理能力も高いからこのように収まって見えるが、人間関係は「どこでも揉める」は間違いないようだ。素敵な祝辞は必読。杉江松恋、かっこいい。
読了日:02月03日 著者:杉江 松恋


キング特集。本誌の方向性を知らずに買って面食らう。文学史の流れで俯瞰するような仰々しい講釈には興味がないし、映画はキングであってキングでないし、ましてやあらすじなど不要である。好きでディープにキングに浸かってきた人の文章がやはり面白い。装画の藤田新策氏の話が興味深く、しみじみ表紙を眺めてしまう理由がわかった。宮部みゆきや小野不由美をキングチルドレンと呼ぶならば、私自身、思春期以降をどっぷりキングの流れにまみれてきたことになる。骨の髄まで染みているだろう。私にはキングは唯一無二。他と比べることなどできない。
読了日:02月01日 著者:スティーヴン・キング,恩田陸,風間賢二,広江礼威
注:

Posted by nekoneko at 09:22│Comments(0)
│読書